
常に好奇心を持ち、
海外では
ハプニングも楽しむ。
人と仕事
2022年入社
国際政治学・修士課程修了
大学院で旧ユーゴスラビアについて研究し、修士号も取得しました。その際、指導教授から「資料や論文を読むだけでなく、現地へ足を運び、話を聞いて、人々の感情にも触れなさい」と言われ、思い切ってセルビアやコソボへ赴きました。おかげで多くの発見があり、理解が一気に深まりました。
数年後、調査・研究というキーワードで就職先を探していたとき、当社の「足で稼ぐ活きた情報の収集」という言葉に強く惹かれました。仕事内容も私の理想に近く、ぜひここで働きたいと思いました。
私がこれまでに担当したのは、官公庁の案件が約3割、残りは産業機器や医療機器など多彩な業界です。調査対象は海外と国内が半々。「可能な限り現地へ赴く」が原則ですが、コロナ禍以降は電話やリモートでのヒアリングが増えています。
実際の調査以上に、「どうしたら良い調査ができるか」を考え、質問を工夫している時間が長いです。クライアントが知りたいことをそのまま問いかけても、欲しい答えが返ってくるわけではありません。どんな切り口で聞けば求める答えにたどり着けるか、いつも頭をひねっています。
「これが知りたかったんだよ」とクライアントに言ってもらえたときは、すごくうれしいです。通常、クライアントの要望は営業担当がヒアリングしてきますが、私はできるだけそこに同席させてもらい、「クライアントが本当に知りたいことは何か」というツボを探ります。オーダーメイドの質問を作成して、欲しい回答にたどり着けたら最高です。
難しいのは、毎回調査対象が変わることです。まったく知らない業界や商品を担当するのは日常茶飯事ですので、基礎の基礎から調べなければなりません。また海外調査では、話を聞きたい人と連絡を取るまでが本当に大変で、毎回苦労しています。
私はいつも、「どうしたらインタビューを盛り上げられるか」を考えています。調査の内容や業界、商品などに関心を持ち、インタビューする相手に「私は本当にこれを知りたいのです」という思いを伝えること。こちらの好奇心やワクワク感のようなものが相手に伝わると、期待以上の話が出てくるものです。
だから質問を考えるときも、「どんな話をすれば相手が乗って来てくれるか」を考えます。話を盛り上げて、気持ち良く語ってもらうことが重要だと、私は思います。
上司だけでなく周囲の誰もがサポートしてくれる会社です。私は勝手に仕事に「高い壁」を作り、取り越し苦労をしがちです。そんなとき、「人生の決断をするわけじゃないんだからさ」と肩を叩いてくれるだけで、気が楽になります。
先輩たちは常に私の目標であり、仕事のモチベーションです。先輩たちのサポートがなければ、私は成長できなかったと思います。
クライアントにも調査対象者にも、もっと喜ばれる調査をしたいと思います。まだ上司から指示された調査項目を追いかけて、定型的なインタビューになりがちなのです。けれど先輩方は、項目にない内容も臨機応変に質問して場を和ませ、必要な情報を引き出します。
私も経験を積み、話の引き出しを増やしたいと思います。
医療機器メーカーから「海外に拡販したいので市場調査を」という依頼を受けたT.Kは、苦労の末に地元商社とのアポイントを取り付けた。
「海外の人はメールに返信などしてくれません。電話をしても在宅ワークが多くて、本人と話すだけでひと苦労です」
幸い、出張先でのインタビューは順調に進行。帰ろうとしたとき、「この地域はイスラム教徒が多いから、身体に触れるものはハラール認証を受けると販路が広がる」と言われる。
「想定外の話に驚きましたが、聞いた以上は調べずに帰国できません」
すぐに予定を変更し、認証を扱う省庁を目指した。
官庁街へ来たものの、目指す部門がどこにあるのか、ビルだらけの場所でT.Kは迷子になる。
「すると声をかけてくれた人がいました。『ハラール認証の機関を探している』と伝えると、『私は政府職員なんだ。案内するよ』と、アポ取りまでサポートしてくれました」
海外取材にハプニングやアクシデントは付きものだが、今回はそれが良いほうへと転んだ。積極的な行動から幸運にも独自情報を手にしたT.Kは、確かな手応えを抱いて帰国の途に就いた。
報告を聞いたクライアントは、満足そうにうなずいてくれた。
「当初のオーダーは『現地のニーズを知りたい』という大まかなものでした。それを事前に『重視するのは品質?価格?知名度?』『品質だとしたら、故障しにくさ?管理のしやすさ?』とブレイクダウンしておいたのが効きました」
さらにハラール認証関連のオマケもつき、クライアントの期待を超える調査結果を届けることができた。
「数ヶ月後には、ご指名で追加調査の依頼をいただき、研究員冥利に尽きる経験となりました」