
エリアの隠れた魅力を
探り出す面白さ。
人と仕事
2021年キャリア入社
教養学部卒業
学生時代から「街づくり」に興味があったので、新卒で建設会社に入社。しかし飛び込み営業の毎日の中で、「もっと街や人に深くかかわる仕事がしたい」と考えるようになり、転職を決意しました。
市場調査の経験はありませんでしたが、旅に出るときには目的の土地を洗いざらい調べてから出かけるタイプなので、面接でそう話したところ、「それこそが当社の仕事だ」と言われ、入社を決めました。
不動産関連の様々な調査を行う第二事業本部で、私は数十万人規模の都市での分譲マンションの市場調査を主に担当しています。
最近では、ある地方中核都市に建設されるタワーマンションに関する調査を行いました。それ以外にも、官公庁からの依頼で公共住宅の住民満足度調査を行ったこともあります。同じ「不動産の調査」でも内容は多彩ですし、案件ごとの違いがあって飽きません。
クライアントが何を知りたくて、そのためには何を調べるべきなのか、調査の概略は上司が示してくれます。しかしその先は、自分次第。自分で考え、工夫した結果、「自分ならでは」の情報を手にできたときは、とても大きな手応えを感じます。クライアントから「これは知らなかった。ありがとう」と言われると、本当にうれしいです。
一方で、そうした情報が手に入らないときは悔しいし、もっと頑張らねばと感じます。
基本的なことですが、表計算ソフトやプレゼンテーション作成ソフトを駆使する力は必須です。図表の見やすさや内容の伝わりやすさは、調査報告の要となります。私は前職で事務作業をほとんどしなかったので必死になって勉強しました。
それ以上に大切なのは、「不動産への興味」でしょうか。不動産業界の人々に会ってインタビューする機会が多くありますが、こちらが心から興味関心を示さないと、相手も深い話をしてくれません。逆に私のような街好きには、地域を深く知ることができる最高の仕事です。
仕事を任せてくれることがうれしいです。この会社は、人を見て育成方法を決めて行くようで、私は放任主義で育てられました(笑)。私には、それが向いていました。誰に何をどのようにヒアリングするか、自分で考え、自分らしいやり方で進められます。もちろん上司や同僚はアドバイスしてくれますが、主人公は自分です。
正直、今はまだ基礎を固めているところです。もっと見やすいグラフづくり、もっとわかりやすい文章作成は、私の大きな課題です。
その上で、自分らしさを活かした取材力を磨きたいと思います。私の趣味はスポーツ観戦で、野球とサッカーをそれぞれ20試合近くスタジアムで観戦しています。サッカーチームは全国にあるおかげで、初めての土地に取材に行っても、地元チームの話題ですぐにうち解けることができます。相手と良好な関係を築けると、より深い話を聞くことができます。
個性を武器にできるこの仕事が、私はとても気に入っています。
入社2年目、Y.Kはある地方都市に建てられる大規模マンションの調査を任された。
「ネットで得られる最新情報はもちろん、自社での過去の調査データなどを参照し、地域の基礎情報を把握します。旅好きの私は、さらに観光情報や地図を詳しく調べます。その段階では、今回の建設予定地はごく普通の街にしか見えませんでした」
地元の不動産仲介業者や大手デベロッパーの支店にアポイントを取り、Y.Kは1泊2日の出張に出かけた。
現地に入った彼は、駅前で土地の名物料理を食べてから老舗不動産店へと向かった。
「初対面の相手の懐に素早く入り込むことが、調査成功のカギ。事務的な質問でなく『あの店、おいしいですね!』という話から入ると、みんな笑顔で話してくれるんですよ」
そこで彼は、貴重な情報を聞くことができた。「1つの通りを境に住む人の年齢、家族構成、求める住宅の広さが全く異なる」と言うのだ。
「その後、改めて建設予定地周辺を2時間ほどかけて歩きました。すると、それまで気づかなかった“その理由”が見えてきたのです」
Y.Kが自分の足と目と耳で作成した報告書を見たクライアントは、感嘆の声を上げた。
「プレゼンでも強い手応えを感じましたが、しばらくしてクライアントから『提案いただいたキーワードのおかげで、コンペに勝てました。ありがとう』と連絡をもらい、上司からも『やったな!』とほめられました」
可能な限り現場を見て、生の声を聞き集めるのが、この会社の持ち味だ。そこに研究員の個性と工夫が加わることで、さらに調査は深みが増すのである。