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2012.01.13

産業事業部門から、産業界のトピックス(IMC'S EYE)の掲載を開始しました。
No.01 ―リチウムイオン二次電池およびその主要部材の動向―

産業界トピックス-IMC'S EYE No.01-
―リチウムイオン二次電池およびその主要部材の動向―
■主要部材の技術開発動向からみる環境対応車の普及予測

 世界各国で自動車の燃費規制やCO2排出規制が強化されている状況において、自動車メーカー各社では既存のエンジン技術(内燃機関)だけではそれらの規制をクリアするのは難しいと捉え、近年ではHEV、PHEV、EVなどの環境対応車の展開を強化している。
 上記環境対応車における基幹部品の1つとして、バッテリーが挙げられる。近年、自動車メーカーではリチウムイオン二次電池(以下LIBという)の性能向上とその採用に注力している。周知の通り、LIBは正極材・負極材・セパレータ・電解液が主要部材であり、また、これらの部材は化学・素材加工の技術が集積したものである。
 これら主要部材では日系企業が技術的に優位な立場にあり、現在世界市場で大きなシェアを有している。民生用機器で使用されるLIB向けでは、上記主要部材は技術的に一定レベルの完成領域に達したものの、車載で使用されるLIB向けではまだまだ十分に満足できる技術レベルには至っていない。
 その理由として、民生用と車載用ではLIBおよびその主要部材に求められる特性・機能が異なることが挙げられる。車載用バッテリーには高容量化・高出力化を中心に、安全性や長寿命化など幅広い性能の改善・向上が求められている。同じLIBといっても次元の違う技術レベルが要求されている。主要部材メーカー各社は、車載用LIBとしての要求レベルに対応すべく、現在もその製品開発に注力している。

 EVの普及が新聞紙や雑誌などで喧伝されたのは、2000年代中頃から後半にかけてであり、EVが急速に普及するという見方が強かった。当時、2015年頃にLIB搭載のEV、PHEV、HEVが50万台前後(又はそれ以下)を予測するマスコミやシンクタンクなどは殆どいなかった。むしろ、楽観的な予測が大半であり、2015年には100万台程度(又はそれ以上)の需要予測を行うシンクタンクや各メーカーが殆どであった。
 しかし、弊社では20年以上近く、正極材・負極材・セパレータ・電解液などLIB用部材・材料に対する技術情報・マーケット情報を蓄積してきた結果として、EV、PHEV、HEVのマーケットが当時言われたように急速に成長することができないという立場に立っていた。【自動車用LIBの部材動向に関する調査 2009年版】実際の開発現場からの生の声を丹念に拾うと、自動車メーカー側の高すぎる要求レベルと当時の部材開発の技術レベルに大きな隔たりがありすぎ、短期的にこの壁を乗り越え、自動車メーカーの要求に追いつくことが難しいという声が圧倒的であった。“世間で言われている将来予測は楽観的に過ぎる”、“自動車メーカーの要求するレベルにはそう簡単に達することはできない”というのが現場からの意見であった。残念ながら、世の中の期待とは裏腹に、それら部材メーカーの見通しが現実のものになり、2011年12月現在では、EV、PHEV、HEVの普及台数は、全世界でも30,000台程に過ぎなかった。

■日本のLIB用部材メーカーの世界市場における位置づけ
 

 EVの普及を考える時、LIBの正極材・負極材・セパレータ・電解液の技術開発と進展が極めて重要であり、これまでは日系部材メーカーが世界的規模での優位性を保っている。この優位性は日本のものづくりの潜在力が発揮されたものといえる。細かな摺合せ技術の中で、トライアンドエラーを繰り返しながら、ユーザー側の厳しい要求に少しずつ最適解を見つける。この素材技術や加工技術が融合された開発力が日本の強みであり、LIB用部材の開発はそのような技術開発の積み重ねの連続であった。
 しかしながら、国内市場の縮小と輸出競争力の低下によって、それらの部材メーカーが苦境に立たされているのも事実である。自動車メーカーや電池の海外生産の動きは、急速な勢いを見せている。また、残念ながら現在までの国の施策もエコカー補助金に代表されるように環境対応車の普及促進に直接資するものが多く、肝心な要素技術を育成・支援する視点に乏しかった。もちろん、大手企業が市場を分け合うシンプルな構造の自動車市場とは異なり、LIB用部材市場は多数のメーカーが存在し、かつ複雑に絡みあい多様な市場構造を形成しているため、それらを支援するスキームを考察するのは、非常に難しいのも事実である。しかしながら、それらの素材技術や加工技術をもう一度クローズアップさせ、それらの参入企業に対して官民挙げての支援体制を構築することが今まさに求められている。

 (現在、弊社では中国を含む全世界を視野に、環境対応車とバッテリー・各部材のサプライチェーンの実態及び部材開発の動向の情報収集を行っている。【自動車用リチウムイオン電池用部材の世界市場調査 2012年版 4月刊行予定】部材開発動向の実態を正確に把握し、日本の優位性を持続可能なものにするためにそれらの情報がさまざまな企業にとって有益な事業戦略のベースデータとなることを切に望むものである。)

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