2020.12.17 発行
◆接着剤:積水化学工業が電子機器組み立て工程の簡素化を可能にするUV+湿気硬化型接着剤を開発(12月11日)
◆フィルム:東レが環境配慮型ポリエステルフィルム「Ecouse」シリーズの販売を開始(12月10日)
◆インキ:大日本印刷が軟包装用グラビアインキをバイオマスインキに切り替えを発表(12月10日)
◆複合材料:帝人がマルチマテリアルによるバッテリーボックスを開発(12月10日)
◆樹脂原料:三菱ケミカルが米国におけるMMAモノマープラント新設の土地を取得(12月9日)
◆細胞培養技術:堺化学工業が微粒子酸化亜鉛による高度細胞培養技術を開発(12月9日)
◆産業用ガス:昭和電工が電子材料用高純度ガス事業で中国西安市に分公司を設立し営業活動を開始(12月9日)
◆ナノインク:ダイセルが銀ナノインクを用いた低温プロセスでの超細線描画に成功(12月8日)
◆インキ:東洋インキがPTP包装シート向け高性能製品群を開発(12月8日)
◆価格改定
・石原産業がアジアパシフィック地域(日本を除く)向け酸化チタン製品を1月1日出荷分より値上げ
◆接着剤:積水化学工業が電子機器組み立て工程の簡素化を可能にするUV+湿気硬化型接着剤を開発(12月11日)
積水化学工業は、電子機器の組み立て工程に使用するUV+湿気硬化型接着剤「フォトレックB」の性能を改良したことを発表した。
フォトレックBは、主にスマートフォンの外装部(筐体とカバーパネル)の接合や、タッチパネルとカバーパネルやディスプレイの額縁部の接合に使用されている。今回、原料配合設計を工夫したことで、UV硬化後の初期接着力を改善し、接着力の短時間化につなげた。
同社によると、既に一部スマートフォンメーカーに採用されたとしており、今後はスマートフォンメーカー各社への提案活動を強化し、2022年度までにスマートフォン部品接合用接着剤のシェア15%獲得を目指す。また海外をメインに他デバイスへの展開を加速するとしている。
◆フィルム:東レが環境配慮型ポリエステルフィルム「Ecouse」シリーズの販売を開始(12月10日)
東レは、電子部品用途における使用済みポリエステル(PET)フィルムを回収し再利用するリサイクルシステムを構築し、サステナブルな社会の実現に貢献する環境配慮型PETフィルム「Ecouse」(エコユース)シリーズを開発したと発表した。
サプライチェーン各社と協力して、電子部品用途における使用済みPETフィルムを回収し再利用するリサイクルシステムを構築し、運用を開始した。フィルム表面の塗材、樹脂を除去するメカニカルリサイクル処理技術と、各製造工程における異物除去を組み合わせることで機械特性、信頼性を損ねることなくフィルムに再利用することを可能にした。今回開発した環境配慮型PETフィルム「Ecouse」シリーズは、化石由来原料及び廃プラスチックの削減に加え、CO2排出量を同社従来品比30%~最大50%削減することが可能となる。同社では年産2,500t規模の生産体制を整え、本格販売を開始する。
今後、電子部品用途だけでなく、各用途でリサイクルフィルムの拡大を目指していく。また、PET以外のフィルムやフィルム加工品においてもEcouseの展開を拡充するとしている。
◆インキ:大日本印刷が軟包装用グラビアインキをバイオマスインキに切り替えを発表(12月10日)
大日本印刷(DNP)は、食品や日用品などの軟包装のフィルム印刷に使用する主要なラミネート用グラビアインキについて、植物由来の原料を一部に使用したバイオマスインキへの切り替えを、2021年1月に開始すると発表した。
DNPが使用するバイオマスインキは、植物に由来する再生可能原料を使用しているため、CO2の削減と持続可能な原料調達による自然環境の保全を実現する。また、DNPが切り替える植物由来原料を一部に使用したバイオマスインキは、石油由来のインキと同等の物性を有しており、高い機能を必要とするレトルト、ボイル、電子レンジなどの食品用途や、詰替えパウチなどの日用品用途のパッケージの印刷インキとして使用できる。
DNPでは、今後主要なインキだけでなく、その他のインキや紙器分野へのバイオマスインキ切り替えを進め、これら「GREEN PACKAGING」全体で2025年度に年間500億円の売上を目指すとしている。
◆複合材料:帝人がマルチマテリアルによるバッテリーボックスを開発(12月10日)
帝人は、グループとして電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)に求められるバッテリーの環境効率や安全性の向上に貢献することを目指し、マルチマテリアルによるコンポジット製バッテリーボックスを開発したことを発表した。
開発したバッテリーボックスは、複合材料(FRP)と金属材料を最適条件で組み合わせて設計したものとなっており、顧客の求める特性に応じて、炭素繊維またはガラス繊維を使用することができる。また、FRPをプレス成形することで、バッテリーボックスを形成するトレイやカバーなどの複雑な形状を一体成形できるため、容易にシール性を確保して安全性を担保できる他、製造コストの最適化も実現することができる。
今後は2025年からの量産開始を目指し、2030年近傍には自動車向け複合材料製品事業で売上2,000百万米ドル規模を目指すとしている。
◆樹脂原料:三菱ケミカルが米国におけるMMAモノマープラント新設の土地を取得(12月9日)
三菱ケミカルは、米国において三菱グループの独自技術「新エチレン法(アルファ法)」によるMMA(メタクリル酸メチル)モノマーのプラントの建設を前提にルイジアナ州の土地を取得したと発表した。
MMAモノマーは自動車のランプカバー、看板、水族館の水槽、塗料、建材などに用いられるアクリル樹脂の原料である。
今回のプロジェクトでは、2022年半ばを目途に投資の最終判断を行い、2025年中に35万トンのMMAモノマー生産設備の稼働を目指すとしている。
◆細胞培養技術:堺化学工業が微粒子酸化亜鉛による高度細胞培養技術を開発(12月9日)
堺化学工業は、大阪府立大学大学院および大阪府立大学工業高等専門学校らの研究グループと共同で、酸化亜鉛ナノ粒子を利用し、低暴露量での投与により植物細胞の成長を促進させる手法を開発したと発表した。
植物の施設栽培では粉末無機塩類を溶解した溶液を供給するのが一般的だが、流路における雑菌・藻類の繁殖により無機塩類が浪費され、目的作物における無機塩類の吸収効率低下によるコストの上昇が課題とされていた。今回、酸化亜鉛ナノ粒子に表面処理を施すことにより、少ない供給量で高濃度のミネラル成分を細胞に運搬し、植物の成長促進に成功した。
本研究で得られたミネラルナノ粒子による細胞培養技術は、植物工場における栽培作物の価値向上と低リスク化に貢献すると考えられる。また、ミネラル成分を適切な場所に適切な量で届ける技術は、ドラッグデリバリーシステムなどの分野への応用も期待されるとしている。
◆産業用ガス:昭和電工が電子材料用高純度ガス事業で中国西安市に分公司を設立し営業活動を開始(12月9日)
昭和電工は、中国における電子材料用高純度ガス事業強化のため、西安市に「上海昭和化学品有限公司」の分公司を設立し、2020年12月から営業を開始したことを発表した。
現在、第5世代移動通信(5G)やクラウドサービスの普及、動画コンテンツの増加等によるデータ量の増大により半導体需要は増加を続けているが、なかでも中国半導体市場は政府による産業育成策などもあり急速に拡大し、同社の中国での高純度ガス事業も市場拡大に合わせ急成長を続けている。
同社の中国における電子材料用高純度ガスの営業・物流拠点としては上海、武漢に続き3拠点目になるとしている。
◆ナノインク:ダイセルが銀ナノインクを用いた低温プロセスでの超細線描画に成功(12月8日)
ダイセルは、銀ナノインク「Picosil」を用いた低温プロセス(摂氏 120 度)での超細線描画に、2種類の描画方法で成功したことを発表した。
ダイセルの銀ナノインク「Picosil」は、低温かつ短時間での焼成が可能であるとともに、形成される銀導電膜の体積抵抗率が低く、通常は難しいプラスチック基板への描画ができることが特長である。
今回同社は、SIJテクノロジ社の装置を利用した線幅1.5μmレベルの超細線描画と、OA機器や産業用途で広く用いられるピエゾタイプヘッドのインクジェット装置を用いた線幅30μm以下の描画の二種類に成功した。
タッチパネルや有機ELの電極で用いられる透明導電層では、抵抗を低くすることが求められており、今回の超細線描画により、線幅1.5μmレベルでの配線付与が可能になることで、透明性を保ったまま、透明導電層のさらなる低抵抗化が可能となる。
2018年にダイセルは、新井工場(新潟県妙高市)に年間数トン規模の生産能力を有する銀ナノインク量産設備を設置しており、今後、透明ヒーターの熱線への活用など、「Picosil」のさらなる用途拡大につなげていくとしている。
◆インキ:東洋インキがPTP包装シート向け高性能製品群を開発(12月8日)
東洋インキは、錠剤やカプセル包装に使用するPTP包装シート向け高性能製品群の販売を開始したことを発表した。
PTP包装シートは、錠剤やカプセルをプラスチックとアルミで挟んだシート状の包装材である。
今回、PTP包装シート向け高性能製品群として、グラビアインキ「MFユニNT M1シリーズ」、OPニス「M394MF PTPクリアOPワニス」「M394MF PTPマットOPワニス」、およびヒートシール剤「M367MF PTP HS D2 Sワニス」を開発し、販売を開始した。
開発品は、ホルムアルデヒドフリーで、人と環境にやさしい製品設計としている。
◆価格改定
・石原産業がアジアパシフィック地域(日本を除く)向け酸化チタン製品を1月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、US$150/トン