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2020年12月10日号

2020.12.10 発行

HEADLINE

 

◆ウイルス関連:カネカが新型コロナウイルスに対するDNAワクチン製造の取り組みを強化(12月4日)

◆分散液:ハリマ化成がナノ粒子分散液製造設備の生産能力を増強(12月4日)

◆繊維:帝人のグループ会社がバイオ由来のパラ系アラミド繊維の生産技術を開発(12月3日)

◆ポリマー原料:宇部興産がポリイミド原料モノマー工場の増設を決定(12月2日)

◆化粧品原料:三洋化成工業がフケ・かゆみ低減に効果的なアミノ酸系シャンプー成分を開発(12月2日)

◆電子材料:出光興産が中国の有機EL材料製造工場を稼働(12月2日)

◆リサイクル:出光興産がカーボンリサイクルのビジネスモデル検討を開始(12月2日)

◆医薬品:JSRの米グループ企業が米国内にバイオ医薬品製造施設の新設を発表(12月2日)

◆炭素繊維:帝人のグループ会社がポルトガル拠点にCF-RTM成形設備を新設(12月2日)

◆電子材料:信越化学が5G向けに熱硬化性低誘電樹脂を量産化(12月1日)

◆フィルム:三菱ケミカルがシリコーンゴムフィルムの高耐熱グレードを開発(12月1日)

◆フィルム:住友ベークライトがリサイクル可能な熱成形用モノマテリアルフィルムを開発(12月1日)

◆バイオプラ:積水化成品工業が海洋生分解性バイオマスプラスチック開発のプラットフォームに参画(12月1日)

◆ポリマー原料:産総研と東ソーがCO2とケイ素化合物からポリカーボネートやポリウレタンの原料を合成する技術を開発(11月27日)

◆価格改定

・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定

・DICがポリスチレン製品およびスチレン系製品を1月1日納入分より値上げ

・東洋インキが高感度UV硬化型オフセットインキ製品群を1月5日出荷分より値上げ

 

 

WEEKLY NEWS

 

◆ウイルス関連:カネカが新型コロナウイルスに対するDNAワクチン製造の取り組みを強化(12月4日)

カネカのグループ会社であるKaneka Eurogentec社(本社:ベルギー)は、INOVIO Pharmaceuticals(本社:米国。以下、INOVIO社)が開発を進めている新型コロナウイルスに対するDNAワクチン「INO-4800」の原薬製造の受託が決まったことを発表した。

INOVIO社は、感染症や癌に対するDNA医薬品の市場投入を目指すバイオテクノロジー企業であり、上記ワクチンの開発およびグローバルな製造体制の構築を進めている。

Kaneka Eurogentec社は、プラスミドDNAの世界トップクラスの技術やGMP製造設備を保有していることから、今回、当該ワクチンの原薬であるプラスミドDNAの大量製造を受託することになったとしている。

 

◆分散液:ハリマ化成がナノ粒子分散液製造設備の生産能力を増強(12月4日)

ハリマ化成は、加古川製造所において、ナノ粒子分散液製造設備の生産能力を約3倍に増強することを発表した。

同社のナノ粒子分散液は、金属酸化物等の様々なナノ粒子を独自技術で分散し、透明性かつ分散安定性に優れたものである。また、自社開発のバインダーと組み合わせることで、機能性コート剤としても利用でき、電子機器などに使用される機能性フィルムへの展開も進めている。

今回の増強により、年間生産能力は約45トンから約130トンとなる。投資額は約1.7億円、試運転開始は2020年12月の予定としている。

 

◆繊維:帝人のグループ会社がバイオ由来のパラ系アラミド繊維の生産技術を開発(12月3日)

帝人グループでアラミド事業を展開するテイジン・アラミドB.V.(本社:オランダ)は、バイオ由来の原料を使用したパラ系アラミド繊維「トワロン」の生産技術を開発したと発表した。

テイジン・アラミドは、使用済みの植物油脂由来の成分を使用し、原料の92%がバイオ由来である「トワロン」のパイロット生産に成功した。石油由来原料を使用した従来の「トワロン」が持つ軽量、高強度などの特性を保有しており、一方、「トワロン」の製造プロセスにおけるCO2排出量を、従来に比べて大幅に削減できる。

テイジン・アラミドでは、バイオ由来原料を使用した「トワロン」の 本格生産に向け、今後さらに研究開発を推進するとしている。

 

◆ポリマー原料:宇部興産がポリイミド原料モノマー工場の増設を決定(12月2日)

宇部興産は、宇部ケミカル工場(山口県)内においてポリイミド原料モノマー(BPDA:ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)工場の増設を決定したことを発表した。

ポリイミドフィルム・ワニスは、電子情報関連機器の回路基板材料などに使用されており、スマートフォン、パソコン、デジタル家電などの市場拡大や高機能化に伴い、今後も需要拡大が見込まれている。昨年度は休止中であった堺工場のポリイミドフィルム製造ラインを再稼働させるとともに、宇部ケミカル工場のポリイミドワニス工場の生産能力も増強した。今後更なる需要拡大が見込めることから、原料であるBPDAについても積極的な生産能力増強と安定供給体制の確保が必要であると判断した。

稼働は2023年度下期の予定で、生産能力は現状の60%アップとなる。これにより昨年度に実施したポリイミドフィルムやポリイミドワニスの設備再稼働・増産に加え、ポリイミド原料の外販市場への供給量拡大も図るとしている。

 

◆化粧品原料:三洋化成工業がフケ・かゆみ低減に効果的なアミノ酸系シャンプー成分を開発(12月2日)

三洋化成工業は、アミノ酸系シャンプーの成分として、アミノ酸系アニオン性界面活性剤と併用することでフケ・かゆみを低減させる両性界面活性剤「ピウセリア AMC」を開発したことを発表した。

同製品は、両性界面活性剤の中では立体障害が小さい構造であることが特長である。アミノ酸系アニオン性界面活性剤と併用した場合、すすぎ時に界面活性剤濃度が低くなっても界面活性能を維持し、最後まで汚れを浮かして洗い残しを低減でき、さらに、遊離した単分子の界面活性剤が少ないため、界面活性剤自体の残留も低減できる。また、界面活性剤自体の洗浄力を向上させるのではなく、きめ細かい泡により汚れを浮かせて効率的に除去することで汚れ残りを低減できるといった特徴がある。

今後は、サロン向けシャンプー等の高機能性洗浄剤として用途展開を進めていくとしている。

 

◆電子材料:出光興産が中国の有機EL材料製造工場を稼働(12月2日)

出光興産は、2021年1月からの出荷に向け、アジアで3カ所目の有機EL材料製造工場である出光電子材料(中国)成都工場の本格稼働を開始したと発表した。

成都工場の生産能力は出光興産グループ最大の12トン/年であり、有機ELディスプレイ生産国として成長する中国において、顧客への材料安定供給を目指す。

成都工場の本格稼働開始により、出光興産グループの有機EL材料供給能力は、日本(2トン/年)、韓国(8トン/年)と合わせて22トン/年になるとしている。

 

◆リサイクル:出光興産がカーボンリサイクルのビジネスモデル検討を開始(12月2日)

出光興産は、東芝エネルギーシステムズ、東芝、東洋エンジニアリング、全日本空輸、日本CCS調査と共に、東芝研究開発センターが開発した二酸化炭素(CO2)を一酸化炭素(CO)に電気分解する技術を用いたP2Cプロセスにより排ガスなどからのCO2を「持続可能なジェット燃料(SAF)」に再利用するカーボンリサイクルのビジネスモデル検討を開始することに合意したと発表した。

今後、各社が持つ知見・技術、プラント設備等を活かし、SAFを供給するサプライチェーンにおける課題抽出や将来のビジネスモデルの検討を共同で実施する。具体的には、産業設備の排出ガスなどから分離回収したCO2を原料として、再生可能エネルギーと水素を用いたSAFを製造し、フライトまでの供給サプライチェーンの上流から下流まで、一気通貫した検討を行う。

出光興産は、関係者と共にSAFサプライチェーンの将来ビジネスモデルについて共同で検討を進めるとしている。

 

◆医薬品:JSRの米グループ企業が米国内にバイオ医薬品製造施設の新設を発表(12月2日)

JSRのグループ企業であるJSR Life Sciencesは、バイオ医薬品の開発・製造受託を行うグループ企業のKBI Biopharma(以下、KBI)が、米国に最先端のバイオ医薬品の商用生産施設を建設すると発表した。

新施設には、最大6基の2,000リットルシングルユース培養槽と、それに付随する回収および精製装置が含まれ、年間100以上の商用バッチの製造が可能となる。1億5,000万ドルが投資され、受託製造と品質保証業務において200人以上の技術者を雇用する予定である。稼働開始は2022年第1四半期中を予定している。

新施設は、同大手製薬会社のバイオ医薬品の製造を支援すると同時に、KBIの既存および新規顧客向けの製造拠点としても活用されるとしている。

 

◆炭素繊維:帝人のグループ会社がポルトガル拠点にCF-RTM成形設備を新設(12月2日)

帝人は、同社のグループ会社で軽量複合材料部品の生産・販売を手がけるイナパル・プラスティコ社(本社:ポルトガル)が生産性、外観性、寸法・品質安定性に優れるCF-RTMの成形設備を新設したと発表した。

今回イナパル・プラスティコ社に新設した成形設備では、部品の要求性能に応じて厚みの調整ができ、かつ炭素繊維を50%以上含有する高強度な成形品が製造可能となる。また、射出時間が20秒と短いため生産効率も向上する。さらに、従来のアルミ製部品を約30%軽量化でき、環境負荷低減にも貢献する。

今後はリサイクルされた炭素繊維材料を使用し、3分間で量産に向けた成形を実現すべく開発を強化し、2030年近傍には、自動車向け複合材料製品事業の売上を2,000百万米ドル規模へと拡大するとしている。

 

◆電子材料:信越化学が5G向けに熱硬化性低誘電樹脂を量産化(12月1日)

信越化学工業は、次世代通信規格「5G」の本格的な普及に対応して、新規製品である熱硬化性低誘電樹脂「SLKシリーズ」の量産化投資を行うと発表した。

SLKシリーズは、フッ素樹脂に迫る低誘電特性を持ち高強度かつ低弾性の樹脂である。5Gの高周波帯域で使用される電子デバイスや回路基板、アンテナ、レーダードーム向けに開発し、高周波数帯(10~80GHz)で誘電率2.5以下、誘電正接0.002以下と熱硬化性樹脂としては最低レベルを達成している。低吸湿性で、低粗度の銅箔に対しても高い接着力を有するため、FCCL(フレキシブル銅張積層板)や接着剤などへの使用にも適している。高速通信基板のバインダーや接着フィルムとして顧客での評価も良好で拡販も順調に進んでいる。

今回、設営するSLKシリーズの生産能力は第一期分で年産80トン、設備投資額は約30億円を見込んでおり、2021年中の稼働を目指すとしている。

 

◆フィルム:三菱ケミカルがシリコーンゴムフィルムの高耐熱グレードを開発(12月1日)

三菱ケミカルは、シリコーンゴムフィルム「珪樹」について、従来グレードよりも耐熱性を高めた新グレードを開発したと発表した。

「珪樹」は、フィルム状のシリコーンゴムで、薄膜かつ膜厚精度が高いという特徴を有する。加えてポリエステルフィルムをはじめ異種材料との積層や表面加工が可能であり、産業機器向け部材や工程部材として評価されている。

今回開発した高耐熱グレードは、耐熱性を高めたシリコーンゴムと耐熱基材の2層構造であり、総厚50~500μmの極薄ながら300℃環境下で繰り返し使用することができる。また、シリコーンゴムの特徴である緩衝性、離型性は活かしつつ、耐熱基材を有することにより、ハンドリング性の向上や応力下の横ずれ防止効果が期待でき、従来グレード同様に顧客の要望に応じて厚さやゴム硬度の調整も対応可能としている。

 

◆フィルム:住友ベークライトがリサイクル可能な熱成形用モノマテリアルフィルムを開発(12月1日)

住友ベークライトは、ポリエチレン(PE)を基材とするモノマテリアル構成でリサイクルに適し、熱成形(深絞り包装)が可能な包装用フィルムの開発(特許出願中)に成功したことを発表した。

従来、包装用フィルムは多岐にわたる用途に対応するため、異種材料による積層構成をとっていたが、高機能を発現する一方、各種材料の分離が困難でリサイクルできないことが課題となっていた。

今回、密度・分子量・構造等の異なるPEを積層することにより耐熱性・耐ピンホール性に優れたPEモノマテリアルフィルムを開発した。主要用途として冷凍・チルド食品の個包装用フィルム、医療機器・衛生用品の包装用フィルムなどを想定している。

今後は酸素バリア性を向上したモノマテリアル材料の開発を進め、2025年度に10億円/年の売上を目指すとしている。

 

◆バイオプラ:積水化成品工業が海洋生分解性バイオマスプラスチック開発のプラットフォームに参画(12月1日)

積水化成品工業は、2020年11月に設立された、海洋生分解性バイオマスプラスチック(MBBP)の開発・普及にむけた枠組みに参画することを発表した。

同プラットフォームは、大阪大学大学院工学研究科が設立したもので、熱可塑性プラスチックに海洋生分解機能を搭載する材料設計指針を打ち出し、プラスチック製品の要求性能を満たすブレンド・複合化技術開発に取り組んでいる。民間企業、公的研究機関、大学・公的研究所機関などが参画し、海洋プラスチックごみ問題の解決に向け、2025年までに製品の開発から実用化・社会普及までを目指している。今後は用途に応じた最適な材料設計から量産、並びにMBBPの製品開発に取り組んでいく。

積水化成品工業は、この取り組みの中で実用化に向けた開発に参画し、同技術と発泡技術を融合し、新規環境貢献製品の創出に取り組むとしている。

 

◆ポリマー原料:産総研と東ソーがCO2とケイ素化合物からポリカーボネートやポリウレタンの原料を合成する技術を開発(11月27日)

産業技術総合研究所(産総研)と東ソーは共同で、CO2とケイ素化合物を原料として、ポリカーボネートやポリウレタンの原料となる「ジエチルカーボネート」を効率的に合成する触媒技術を開発したと発表した。

CO2からポリカーボネートやポリウレタンの原料となる含酸素化合物を合成する技術としては、CO2とアルコールを原料とする反応の検討が報告されているが、目的物の生成効率や反応に用いる触媒の寿命に課題があり、実用化に向けて製造プロセスの低コスト化が実現できる技術が求められている。

今回、CO2とケイ素化合物(テトラエトキシシラン)を原料としてジエチルカーボネートを合成する新たな触媒反応を見いだした。この反応は水を副生しないため、触媒が長寿命化し、高い反応効率が実現できる。

今後は、より低コストで省エネルギーな製造方法の確立を目指し、反応条件や触媒のさらなる改良を行う。またスケールアップの検討などを行い2030年頃までの実用化を目指すとしている。

 

◆価格改定

・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定

12月契約価格は、575$/t(前月比+115$/t)、国内価格換算想定値は64.9円/kg

・DICがポリスチレン製品およびスチレン系製品を1月1日納入分より値上げ

値上げ幅は、5円/kg以上

・東洋インキが高感度UV硬化型オフセットインキ製品群を1月5日出荷分より値上げ

値上げ幅は、100~150円/kg

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