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2020年12月3日号

2020.12.03 発行

HEADLINE

 

◆電子材料:巴川製紙所がミリ波帯域ノイズに対応するグリースを開発(11月30日)

◆メディカル:王子ホールディングスがレクメドとの資本業務提携を発表(11月27日)

◆セルロース:東亞合成がCO2負荷の少ないシングルナノセルロースを開発(11月25日)

◆印刷技術:三井化学ファインが超微細スクリーン印刷技術を大阪ケミカルらと共同開発(11月25日)

◆再エネ:ENEOSが北九州の再生可能エネルギーを有効活用したCO2フリー水素サプライチェーン実証事業を受託(11月24日)

◆合金:JX金属が高機能銅合金および圧延銅箔のサンプル出荷を開始(11月24日)

◆電子材料:JNCが有機EL材料の開発、販売を行う子会社の設立・事業譲渡及び合弁会社の設立を発表(11月24日)

◆ウイルス対策:JNCと東京農工大学が新型コロナウイルスの迅速-高感度検出に成功(11月24日)

◆合成ゴム:豊田合成が東京大学と共同でゴムの強靭性を高める架橋技術を開発(11月20日)

 

 

WEEKLY NEWS

 

◆電子材料:巴川製紙所がミリ波帯域ノイズに対応するグリースを開発(11月30日)

巴川製紙所は、ミリ波帯域(20~110GHz)での電磁波及び熱対策の技術を生かし、放熱性を維持しながら電磁波吸収特性を付与した熱伝導性電磁波吸収グリースを開発したことを発表した。

今回の開発品は、グリース状にミリ波帯域での電磁波吸収と熱伝導の両性能を持たせ、発熱体と筐体・冷却部材の間に充填することにより、優れた電磁波吸収特性と熱伝導性を発揮することや、複雑な形状にも対応できることが特長となっている。

また、開発品は磁波を吸収する目安である誘電正接において0.4以上を達成しており、高抵抗を維持しながら、ミリ波帯域の誘電正接を高めることに成功したとしている。

 

◆メディカル:王子ホールディングスがレクメドとの資本業務提携を発表(11月27日)

王子ホールディングス(以下「王子HD」)は、取締役会において、レクメドとの共同開発及びレクメドの第三者割当による新株式発行に対して出資する業務提携を決議したことを発表した。

王子HDは、木質資源からつくられる「硫酸化ヘミセルロース」を医薬品として製品化するため、2020年に王子ファーマを設立している。レクメドは、希少疾病用医薬品をはじめ、治療法が見つかっていない疾患領域の医薬品を開発・製造販売している。木質資源由来の医薬品有効成分である「ポリ硫酸ペントサンナトリウム」による医薬品開発では、ムコ多糖症、変形性膝関節症、HTLV-1 関連脊髄症(HAM)等を適応症として臨床開発を進めている。

王子ファーマが開発する「硫酸化ヘミセルロース」とレクメドが開発する「ポリ硫酸ペントサンナトリウム」はどちらも木質資源由来の物質である共通点から、研究開発に関する共同のパートナーシップを構築することにより、両社の医薬品研究開発が合理的に進展することで認識が一致し、提携を実現させることに合意したとしている。

 

◆セルロース:東亞合成がCO2負荷の少ないシングルナノセルロースを開発(11月25日)

東亞合成は、東京大学大学院 農学生命科学研究科のもと、低コストかつ分散や乳化などの工程においてシングルナノセルロースにまで容易に解繊することが可能な酸化セルロースを開発したと発表した。

木材等から得られるセルロース繊維をシングルナノセルロースまで解繊するには多大なエネルギーが必要であり、また製造コストが嵩むという課題がある。

東亞合成は、パルプ等を原料とし、高濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いた酸化反応において、非常に緩やかな撹拌混合エネルギーによってシングルナノセルロースにまで解繊される酸化セルロースを開発した。これにより、製造時および使用時にかかるエネルギーを大幅に抑え、コストの削減とCO2削減を同時に達成した。

東亞合成では、シングルナノセルロースまたは酸化セルロースとしての提供を予定しており、既存のCNFと比べて5分の1程度の販売価格を目指したコストダウンと量産化を進め、早期事業化を図るとしている。

 

◆印刷技術:三井化学ファインが超微細スクリーン印刷技術を大阪ケミカルらと共同開発(11月25日)

三井化学ファインは、高硬度2層ウレタンスキージーのメーカーである大阪ケミカル、ムラカミ、アサヒ化学研究所、セリアコーポレーションと共同で、スクリーン印刷法による超微細印刷技術を世界で初めて開発したことを発表した。

近年、タッチパネル(静電容量方式)には、高い検出感度を実現するため、センサとなる電極に狭ピッチ化・超微細化が求められている。これまではライン&スペース(L/S)=50μm以下の超微細印刷には微細配線化に優位性のあるフォトエッチング法が主流であり、フォトエッチング法と比較してコスト競争力を有するスクリーン印刷法では、L/S=50/50μmレベルが限界とされ、超微細印刷には使用が限定されてきた。

今回、上記課題に対し、5社は共同でスクリーン印刷法でL/S=20/20μmを可能とする超微細印刷技術を開発した。本技術は、既存のスクリーン印刷ラインに導入可能であり、競争力のある超微細印刷が実現可能になる。

今後、本技術を普及させるべく2020年度末より顧客への紹介を開始し、2021年度中の実用化を目指すとしている。

 

◆再エネ:ENEOSが北九州の再生可能エネルギーを有効活用したCO2フリー水素サプライチェーン実証事業を受託(11月24日)

ENEOSは、北九州パワー社、IHI社、福岡酸素社、北九州市、福岡県とともに北九州市にて、地域の再生可能エネルギーを有効活用したCO2フリー水素製造・供給実証事業を環境省からの委託を受けて実施すると発表した。

同事業は、複数の再エネを同時に制御可能な「水電解活用型エネルギーマネジメントシステム」を実装する国内初の実証であり、CO2フリー水素サプライチェーンの構築を目指す点では九州初となるものである。

具体的には、太陽光や風力、ごみ発電(バイオマス)など多様な再エネ電源の中から、エネルギーマネジメントシステム(EMS)により余剰な電力を選択的に調達することにより、低コストなCO2フリー水素を製造する。このCO2フリー水素は、福岡県内各地に輸送し、水素ステーションや燃料電池フォークリフトを所有する物流施設、北九州水素タウンのパイプラインなどにおいて利用する。

ENEOSは同社の八幡東田水素ステーションにおけるCO2フリー水素の活用に加え、北九州水素タウン内の実証住宅等につながる水素パイプラインへのCO2フリー水素供給を担当するとしている。

 

◆合金:JX金属が高機能銅合金および圧延銅箔のサンプル出荷を開始(11月24日)

JX金属は、新たに『超高強度チタン銅』、『強度と導電率を高い次元で両立させたコルソン合金』、『高い耐熱性を持つリチウムイオン電池向け圧延銅箔』を開発し、サンプル出荷を開始したと発表した。

超高強度チタン銅「C1995」は、銅合金最高レベルの1,500メガパスカルの引張強度を持つ超高強度のチタン銅である。スマートフォンのカメラモジュールのばね材向けを想定している。

強度と導電率を高い次元で両立させたコルソン合金「NKC8738」は、コルソン合金では最高レベルとなる、引張強度1,000メガパスカルと高い導電性の両方を兼ね備えている。CPUソケットやスマートフォンなどに使用されるマイクロコネクタ向けを想定している。

高い耐熱性を持つリチウムイオン電池向け圧延銅箔は、高出力化の技術開発が進んでいるリチウムイオン電池の、出力密度を向上させるための負極活物質を塗工する際に、高温・長時間の熱処理にも耐えられるとしている。

 

◆電子材料:JNCが有機EL材料の開発、販売を行う子会社の設立・事業譲渡及び合弁会社の設立を発表(11月24日)

JNCは、取締役会において、有機EL材料の開発、販売を行う子会社の設立及び同子会社への有機EL材料事業(製造機能を除く)の移管、設備のリース、並びに韓国のSK Materials(以下「SKM」)との出資による有機EL材料の販売を行う合弁会社設立に関する契約の締結について決議したと発表した。

JNCは技術優位性を有している青色ドーパント及びその周辺材料の開発を進めているが、急成長を続ける有機ELディスプレイ市場の要求に応えるため、意思決定と材料開発のスピードアップを図り、有機EL材料の事業拡大を目的に有機EL材料事業に特化した子会社を設立する。JNCが保有する有機EL材料事業(製造機能を除く)を同子会社へ移管し、同社グループが所有する当該事業で使用する設備をリースすることとした。

なお、JNCは、当該子会社についてはSKMとの合弁会社の傘下に入り、韓国パネルメーカーへの対応を強化していくとしている。

 

◆ウイルス対策:JNCと東京農工大学が新型コロナウイルスの迅速-高感度検出に成功(11月24日)

JNCと東京農工大学は、共同開発した迅速-高感度免疫診断技術(アプティア(AptIa)法)を用いて新型コロナウイルス(S 抗原タンパク質)の迅速-高感度検出に成功したことを発表した。

共同開発したAptIa法では、安価(抗体利用時の1/2~1/10 程度)で短時間(ELISA 法の1/2~1/3 程度)、かつ高感度(ELISA 法の1~10 倍程度)に抗原を検出することが可能となった。

従来の抗原検査キットでは抗原認識試薬(抗体)が2種類必要であったが、AptIa法では1種類のDNAアプタマーで抗原を検出できる。また、インフルエンザウイルスに結合するDNAアプタマーを併用することで、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの同時検出が可能となる。さらに、AptIa 法とJNCの特許技術であるペーパークロマト法を組み合わせることで、唾液を用いた新型コロナウイルスの簡易抗原検査キット(目視判定)への応用も期待できる。

今後は、実用化に向けて診断薬メーカーをはじめとする共同研究先を広く募集し、商品化を目指していくとしている。

 

◆合成ゴム:豊田合成が東京大学と共同でゴムの強靭性を高める架橋技術を開発(11月20日)

豊田合成は、東京大学大学院 新領域創成科学研究科と共同で合成ゴムの強靭性を高める架橋技術を開発したと発表した。

この技術は、特殊な分子構造を持ち伸縮性に優れる高分子材料(ポリロタキサン)を合成ゴム(エチレンプロピレンジエンゴム:EPDM)に化学的に結合する技術で、合成ゴムの強靭性を約6倍に向上できるものである。今後、様々な用途での活用に向けて開発を進めていくとしている。

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