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2020年9月10日号

2020.09.10 発行

HEADLINE

 

◆フィルター関連:BASFが中空糸膜やフィルターの耐久性を向上させる超高粘度グレードのポリエーテルスルホンを上市(9月3日)

◆水処理関連:DICが米国DuPontと水処理事業で戦略的パートナーシップ契約を締結(9月3日)

◆バイオマス発電:出光興産が石炭と混焼可能なバイオマス発電用植物の植生試験と木質ペレット化試験を開始(9月3日)

◆CO2分離:東ソーの「革新的CO2分離膜による省エネルギーCO2分離回収技術の研究開発」がNEDOの先導研究委託事業として採択(9月3日)

◆断熱材:住友理工が薄膜高断熱材を開発(9月2日)

◆ゴム製品:住友理工がベトナムに自動車用ホース製造新会社を設立(9月1日)

◆樹脂:日本ポリエチレンが高圧法低密度ポリエチレン製造設備の停止及びエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)の生産・販売を終了(9月1日)

◆電子材料:日本触媒とNHKが有機エレクトロニクスデバイスの高機能化に貢献する新たな技術を開発(8月31日)

◆リサイクル:昭和電工がプラスチックケミカルリサイクル事業において産業廃棄物処分業許可を取得(8月31日)

◆価格改定

・日本ポリエチレンがポリエチレン全製品を10月1日納入分より値上げ

・日本ポリプロがポリプロピレン全製品を10月1日納入分より値上げ

・DICがポリスチレン製品およびスチレン系製品を10月1日納入分より値上げ

・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定

 

 

WEEKLY NEWS

 

◆フィルター関連:BASFが中空糸膜やフィルターの耐久性を向上させる超高粘度グレードのポリエーテルスルホンを上市(9月3日)

BASFは、ポリエーテルスルホンの超高粘度グレードであるUltrason E7020Pを日本で上市したことを発表した。

このグレードは、Ultrason Eの優れた機械特性を維持しつつ、分子量をかつてないレベルにまで高めたグレードとしており、食品・飲料分野、医薬品分野で使用される中空糸膜や平膜用途に最適としている。また、この素材は、酸や苛性ソーダなどに対する高い耐薬品性と機械的強度を兼ね備えており、高圧およびその他の厳しい環境下でも長期使用が可能としている。

 

◆水処理関連:DICが米国DuPontと水処理事業で戦略的パートナーシップ契約を締結(9月3日)

DICと同社グループの米国子会社であるSun Chemicalは、水処理用中空糸脱気製品の世界的な拡販を目的にDuPontと戦略的パートナーシップ契約を締結したことを発表した。

今後、工業用の水処理用途で用いられるDICの大型中空糸脱気モジュール(SEPARELシリーズ)のグローバルでの販売独占権をDuPont(DuPont Water  Solutions)に付与することで、アジア、米国、欧州地域の販売を拡大し、2021年には本事業の売上高を2019年比で約2倍の増収を目指すとしている。

今後は、「SEPAREL」シリーズのうち、水処理用途の製品ブランド名DuPontブランド「LIGASEP」へ変更する予定である。なお、DuPont Water Solutionsとの独占的パートナーシップは、水処理市場にのみ適用される。DICグループは、引き続き「SEPAREL」を製造し、独自の脱気技術を活用してインクジェットインキ市場を含む他の産業市場へ販売していくとしている。

 

◆バイオマス発電:出光興産が石炭と混焼可能なバイオマス発電用植物の植生試験と木質ペレット化試験を開始(9月3日)

出光興産は、100%子会社である出光オーストラリアリソーシスを通じ、エンシャム石炭鉱山(クイーンズランド州)での資産(鉱山内遊休地、用役設備等)を活用して、石炭と混焼が可能なバイオマス発電燃料用植物の植生試験及び木質ペレット化試験を開始したと発表した。

本プロジェクトで栽培するのは、バイオマス発電燃料として使用する「ソルガム」で、降雨量が少ない当該エリアでの生育に適しており、7月までに順調な生育が確認され収穫を行った。現在、ソルガムの木質ペレット化試験を行っており、2020年後半には木質ペレットの半炭化(ブラックペレット化)試験を予定している。

木質ペレットを半炭化したブラックペレットは、従来の木質ペレットに比べて耐水性・粉砕性などに優れ、石炭と同様に取り扱うことができるため、石炭火力発電におけるCO2排出量低減が期待できるとしている。

 

◆CO2分離:東ソーの「革新的CO2分離膜による省エネルギーCO2分離回収技術の研究開発」がNEDOの先導研究委託事業として採択(9月3日)

東ソーと九州大学は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「産業部門のCCUS/カーボンリサイクルの抜本的な省エネ化に資するCO2分離・回収技術」委託事業の公募に対し、「革新的CO2分離膜による省エネルギーCO2分離回収技術の研究開発」を共同で提案し、採択されたことを発表した。

本事業の委託期間は2020年6月から2021年3月までである。

採択された技術は、アルカノールアミンを高分子マトリックスに担持した高分子膜を用いたCO2分離中空糸膜モジュールに関するものである。このアルカノールアミンを用いたCO2分離膜は、高いCO2選択性を示すため、高純度のCO2を分離回収することが可能となる。本先導研究委託事業では、産学連携を通して、この中空糸膜モジュールを用いた省エネルギー型の石炭火力発電の排ガス中からのCO2分離回収技術の確立を目指すとしている。

 

◆断熱材:住友理工が薄膜高断熱材を開発(9月2日)

住友理工は、高断熱フィラーを塗料化した塗布型の薄膜高断熱材「ファインシュライト」を開発し、製品化したと発表した。

今回、自社のコアコンピタンスである高分子材料技術を応用し、空気が動けないほど微細な、ナノサイズの細孔を持つ高断熱フィラー(シリカエアロゲル)を塗料化。不織布、成形樹脂などの基材にコーティングすることで、静止空気以上の高断熱性を発揮する薄くて柔軟な断熱材を開発した。

この「ファインシュライト」について、不織布にコーティングしたシートタイプでの供給を開始。狭い隙間や空間にも設置でき、軽量であることから、自動車向けに加え、熱対策が必要な家電、住宅、保冷ボックスなど幅広い用途での断熱対策に寄与する。さらに、不織布以外にもさまざまな基材に応用が可能なため、さらなる製品展開を見据えた開発を進めていくとしている。

 

◆ゴム製品:住友理工がベトナムに自動車用ホース製造新会社を設立(9月1日)

住友理工は、自動車用ホース製造・販売の新会社、SumiRiko Vietnam(仮)をベトナムに設立することを決定したと発表した。

これは同社のベトナムにおける2 拠点目の自動車用ホース製造拠点となる。新会社は、首都・ハノイの中心部から北44 キロに立地するビンフック省に設立し、ベトナム国外向けのゴムホース製造を担う。投資額は計約24億円(~2024年度)、従業員数は560名(2025年度見込み)、2022年秋に操業を開始、2024年度にかけて順次拡大していく予定である。

住友グループは、自動車用ホース事業において、東南アジアではベトナムの他にタイやインドネシアにも製造拠点を有しており、これらに新拠点を加えることにより、より高品質で競争力のある製品の供給を実現するとしている。

 

◆樹脂:日本ポリエチレンが高圧法低密度ポリエチレン製造設備の停止及びエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)の生産・販売を終了(9月1日)

日本ポリエチレンは、高圧法低密度ポリエチレン製造設備1系列の停止及びエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)の生産・販売終了を決定したと発表した。

低密度ポリエチレンを取り巻く諸情勢は、世界的な新増設等による需給環境の悪化や、プラントの経年劣化に伴う修繕費の上昇等により、厳しい状況となっている。こうした状況に対応するため、同社では鹿島工場の低密度ポリエチレン(高圧・チューブラー法)製造設備1系列(6.2万トン/年)を2021年5月(予定)に停止する。また、同製品の生産を川崎工場に集約するとともに、事業再構築の一環として川崎工場で生産しているエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)の生産・販売を終了するとしている。

 

◆電子材料:日本触媒とNHKが有機エレクトロニクスデバイスの高機能化に貢献する新たな技術を開発(8月31日)

日本触媒は、NHKと共同で有機ELの低消費電力化と長寿命化に寄与し、様々な有機エレクトロニクスデバイスの高性能化にも用いることのできる新しい電子注入技術を開発したことを発表した。

本開発では、電極金属と有機材料との間に大きな分極を生じさせる配位結合を用いた電子注入技術により、アルカリ金属のような反応性の高い材料を用いることなく有機ELの低消費電力化と長寿命化を実現できることを見出した。新たな分極型電子注入技術は、有機ELの低消費電力化や長寿命化へ資することに加え、電子の取り出し技術へも応用することで、有機太陽電池のエネルギー変換効率の向上や有機センサーデバイスなどの高感度化などへも寄与できると考えられ、フレキシブルデバイスの早期実現への貢献が期待される。

また、開発中のiOLEDフィルム光源(紙より薄い、0.1mm未満の薄型有機ELフィルム光源)に対しても、既存製造設備への適用が可能となり、製造プロセスの簡略化による大幅なコスト削減が期待できるとしている。

 

◆リサイクル:昭和電工がプラスチックケミカルリサイクル事業において産業廃棄物処分業許可を取得(8月31日)

昭和電工は、産業廃棄物処分業の許可を取得し、破砕成形された状態のプラスチック産業廃棄物の受け入れを開始したことを発表した。

同社の川崎事業所では、2003年から容器包装リサイクル法に基づく使用済プラスチック(以下、容リプラ)を化学原料にリサイクルする事業を行っている。受け入れた容リプラは高温でガス化して分子レベルまで分解し、水素(以下、低炭素水素)と二酸化炭素へ転換、低炭素水素は主にアンモニアの原料に、二酸化炭素はドライアイスや炭酸飲料向けに使用している。

今回の産業廃棄物処分業許可取得により安定的に廃プラスチックを確保することが可能となった。また、原料ソースが多様化され、本事業を安定継続する体制が整ったとしている。

 

◆価格改定

・日本ポリエチレンがポリエチレン全製品を10月1日納入分より値上げ

値上げ幅は、13円/kg以上

・日本ポリプロがポリプロピレン全製品を10月1日納入分より値上げ

値上げ幅は、13円/kg以上

・DICがポリスチレン製品およびスチレン系製品を10月1日納入分より値上げ

値上げ幅は、10円/kg以上

・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定

9月契約価格は、445$/t(前月比+5$/t)、国内価格換算想定値は52.2円/kg

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素材・工業材料

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