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2020年9月3日号

2020.09.03 発行

HEADLINE

 

◆複合材料:東ソーの「伝動ベルトをターゲットとした CNF複合化クロロプレンゴムの低コスト製造技術開発」がNEDO助成事業として採択(8月28日)

◆メディカル:積水化学工業が岩手工場及び英国工場で生産設備を増強(8月28日)

◆樹脂関連:住友ベークライトが植物由来のリグニン変性フェノール樹脂を開発(8月28日)

◆二次電池関連:ノリタケが世界初のガス燃焼式リチウムイオン電池電極材用連続焼成炉を開発(8月27日)

◆ウイルス対策:アイカ工業が表面に抗菌・抗ウイルス性能を付与したハードコートフィルムを開発(8月26日)

◆電子材料:日本電気硝子が5G対応で業界最小の誘電正接を有するLTCC用材料を開発(8月26日)

◆エンプラ:BASFが最適な摺動特性を持つエンジニアリングプラスチックを上市(8月24日)

◆ウイルス対策:日本製紙が抗ウイルス性能を持つ変性セルロースを開発(8月18日)

 

 

WEEKLY NEWS

 

◆複合材料:東ソーの「伝動ベルトをターゲットとした CNF複合化クロロプレンゴムの低コスト製造技術開発」がNEDO助成事業として採択(8月28日)

東ソーは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー(CNF)関連技術開発」における研究開発項目「革新的 CNF 製造プロセス技術の開発」の実施予定先として採択されたことを発表した。

同社が共同提案先のバンドー化学と連携して研究開発に着手する採択テーマは「伝動ベルトをターゲットとした CNF複合化クロロプレンゴム(CR)の低コスト製造技術開発」であり、製造コストを大幅に低減させるための製造プロセス技術の開発や、用途開発の促進、安全性評価などを行い、これにより CNF を利用した製品社会実装・市場拡大を早期に実現することで、CO2の排出量を削減し、エネルギー転換・脱炭素化社会を目指す。

実施期間は2020年度~2024年度(予定)としている。

 

◆メディカル:積水化学工業が岩手工場及び英国工場で生産設備を増強(8月28日)

積水化学工業は、メディカル事業の国内外主力2工場に総額約60億円を投じ、生産設備を増強すると発表した。

世界の医薬品市場は毎年5%前後の市場拡大を続けており、医薬品に対するニーズの多様化により、従来の低分子医薬品に加え、ペプチド(中分子)・タンパク質医薬(高分子)・細胞医薬・再生医療と医薬品による治療手段の多様化が急速に進んでいる。

今回の生産設備投資によって、岩手工場では低分子医薬品向け原薬・中間体の現在比25%増産が可能となり、同時にペプチド(中分子)医薬品原料の生産体制増強を進めている。投資額は約40億円、稼働時期は2023年3月を予定している。

英国工場では微生物タンパク質培養・精製施設の新設により、タンパク質医薬(高分子)向け原料のCDMO(医薬品における研究開発・製造受託)に向けた体制が整う。投資額は約20億円、稼働時期は2022年9月を予定している。

両工場は共に医薬品の製造および品質管理基準であるGMPに準拠した生産設備となり、医薬品原料・原薬の開発・製造が可能になるとしている。

 

◆樹脂関連:住友ベークライトが植物由来のリグニン変性フェノール樹脂を開発(8月28日)

住友ベークライトは、植物の主要成分である「リグニン」を活用した固形ノボラック型フェノール樹脂を開発し、課題であった製造技術を確立して量産機での生産を実証したと発表した。

液状レゾール型のリグニン変性樹脂については古くから研究がされており、近年、欧州を中心に木材接着剤等への適用が進んでいる。同社ではこれら液状レゾール型樹脂に加えて、製造プロセス面で難易度が高い固形ノボラック型のリグニン変性樹脂を開発し量産技術を確立した。

今回ノボラック型リグニン変性フェノール樹脂を開発したことにより、環境対応への需要が一層高まっている自動車や航空機関連部材をはじめ、様々な産業分野で用いられているフェノール樹脂材料への適用・実績化を目指し、国内外の各種産業分野への利用展開を図るとしている。

 

◆二次電池関連:ノリタケが世界初のガス燃焼式リチウムイオン電池電極材用連続焼成炉を開発(8月27日)

ノリタケカンパニーリミテドは、東京ガスおよび東京ガスエンジニアリングソリューションズ(TGES)と、特殊セラミックラジアントチューブバーナを採用した世界初のガス燃焼式リチウムイオン電池(LiB)電極材用連続焼成炉「C-SERT-RHK」を開発し、販売を開始したと発表した。

同製品は、近年需要が高まっているLiB 電極材の製造工程で求められる高温度(1,000℃以上)での安定した熱処理を行い、最大40%のエネルギーコスト削減を実現する高効率な加熱装置である。

ガス燃焼式による高温での焼成は、電気式よりエネルギーコストが低減できる一方、炉内温度・酸素濃度のバラツキ、耐久性などに課題があり、従来は電気式が用いられてきたが、3社の技術を合わせることによりこの課題を解決し、商品化を実現した。

同製品の高効率な加熱技術を、LiB電極材に限らず、高温度での安定した熱処理が求められる自動車(ホットスタンプ等)や 5G向け電子部品などの用途にも応用するとしている。

 

◆ウイルス対策:アイカ工業が表面に抗菌・抗ウイルス性能を付与したハードコートフィルムを開発(8月26日)

アイカ工業は、表面に抗菌・抗ウイルス性能を付与したハードコートフィルム「ルミアート 抗菌・抗ウイルスフィルム」を開発したと発表した。

同品は、既存のディスプレイなどにフィルムを貼るだけで、表面を抗菌・抗ウイルス仕様にすることが可能である。また、防曇性、防汚性、防眩性などの各性能と抗菌・抗ウイルス性能を両立することができる。

各種ディスプレイや自動車内装加飾、建材などでの使用を想定しており、今後は、各種デジタルサイネージや公共施設のタッチパネルの他、フェイスシールド、教育用タブレット、建材の表面、ウィンドウフィルムなどの用途で提案・サンプルワークを進めるとともに、3次元加飾フィルムなど他の機能材料製品への抗ウイルス性能付与も視野に入れ、製品ラインナップを拡充する予定である。年間の販売目標は1.2億円としている。

 

◆電子材料:日本電気硝子が5G対応で業界最小の誘電正接を有するLTCC用材料を開発(8月26日)

日本電気硝子は、5G通信に用いられる部品やデバイスに適した誘電正接の低いLTCC用材料を開発し、製品ラインナップを拡充したと発表した。

5G通信では、ミリ波領域といわれる28~40GHzの高い周波数が利用されており、回路基板、フィルターといった信号を処理する部品やデバイスには様々なLTCC基板が使われる。それらにおいては、周波数、誘電正接に比例して信号が減衰し通信品質が低下するため、特にミリ波のような高周波数の場合、より効率的な通信を実現するには低誘電正接の材料を用いて信号減衰を抑制することが必要になる。

今回開発・販売開始したLTCC用材料は、低誘電正接を特徴とする3タイプ(低誘電率、高膨張、高強度)である。誘電正接はいずれも従来材料の1/4~1/2に抑えられ、信号減衰の低減に寄与する。これらの製品は、5Gの急激な進展により市場ニーズが高まっていた材料であり、さらに、より高い周波数を利用するミリ波レーダー部品や60GHz帯WiFiにも有効としている。

 

◆エンプラ:BASFが最適な摺動特性を持つエンジニアリングプラスチックを上市(8月24日)

BASFは、高温のオイルと接する自動車部品に特に適したエンジニアリングプラスチックUltrason E0510C2TRを上市すると発表した。

新たなポリエーテルスルホン (PESU)である同品は、卓越した摩擦特性、高耐油性、優れた寸法安定性を持ち、広範囲の温度変化にも対応できる。また、10%の炭素繊維強化材を使用した射出成形グレードであるため、-30℃から+180℃までの幅広い温度範囲で使用可能であり、熱膨張係数が10.4 [10-6/K] と低いため、寸法安定性を維持し、低温から高温への急激な温度変化にも耐えうる部品として利用可能である。国際規格であるASTM G137に準拠したテストでは、摩擦学的に最適化された他の高性能熱可塑性樹脂の性能を上回る摺動性能が示され、機械的安定性と耐薬品性においても、ほとんど変化はなかった。

同品により、オイルと接する様々な自動車部品の製造が可能になるほか、代替駆動システム向けの新しい用途にも使用できるとしている。

 

◆ウイルス対策:日本製紙が抗ウイルス性能を持つ変性セルロースを開発(8月18日)

日本製紙は、抗ウイルス及び抗菌・消臭性能を持つ変性セルロース(開発品)を開発したと発表した。

開発品は、セルロースナノファイバー(CNF)製造の中間体である変性セルロースを原料としている。化学処理した変性セルロースの表面に金属イオンを担持させる技術を施すことで、高い抗ウイルス性能、抗菌・消臭効果を発現する。

セルロースであるため、不織布、紙などへの加工が容易であり、不織布をベースとする衛生材料、フィルターなど日用雑貨・工業用途への採用が期待される。また、不織布用途以外では、9月上旬に抗ウイルス及び抗菌・消臭性能を持つ紙製品(印刷用紙他)を上市する予定としている。

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