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2020年9月17日号

2020.09.17 発行

HEADLINE

 

◆バイオ関連:宇部興産の「データ駆動型統合バイオ生産マネジメントシステム」がNEDOの研究開発委託事業として採択(9月11日)

◆リサイクル:花王とライオンがプラスチック包装容器資源循環の推進に向けてリサイクリエーション活動の協働を開始(9月10日)

◆CO2回収:島根大学と住友化学が二酸化炭素からメタノールを合成する共同研究を推進(9月10日)

◆リサイクル:東北大学、宇部興産、東ソー、凸版印刷などの「多層プラスチックフィルムの液相ハイブリッドリサイクル技術の開発」がNEDOの先導研究委託事業として採択(9月9日)

◆CO2回収:東京大学、大阪大学、宇部興産などの「電気化学プロセスを主体とする革新的CO2大量資源化システムの開発」プロジェクトがNEDOのムーンショット型研究開発事業に採択(9月9日)

◆電子材料:長瀬産業のグループ会社が拡張現実コンポーネント開発用設備に投資(9月8日)

◆電子材料:住友電気工業がミリ波帯において優れた伝送特性を発揮するフッ素樹脂FPCの量産化に成功(9月7日)

◆電子材料:三菱マテリアルが環境調和型の次世代鉛フリー快削黄銅を開発(9月7日)

◆接着剤:ヘンケルジャパンが低温塗工タイプの包装用ホットメルト接着剤を本格展開(9月7日)

 

 

WEEKLY NEWS

 

◆バイオ関連:宇部興産の「データ駆動型統合バイオ生産マネジメントシステム」がNEDOの研究開発委託事業として採択(9月11日)

宇部興産は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」プロジェクトに係る研究開発委託事業の公募に対し、7年間の計画からなる「データ駆動型統合バイオ生産マネジメントシステム(Data-driven iBMS)の研究開発」を共同提案し、採択されたことを発表した。

本事業において宇部興産は、NEDOスマートセルプロジェクトで確立された微生物育種技術・代謝設計技術や代謝計測技術などを最大限に活用することで、培養情報をデジタル化・標準化し、新たに資源化できるバイオマスの拡充や工業化に向けたポリマー原料のバイオ生産プロセスを開発するとしている。

 

◆リサイクル:花王とライオンがプラスチック包装容器資源循環の推進に向けてリサイクリエーション活動の協働を開始(9月10日)

花王とライオンは、プラスチック包装容器資源循環型社会の実現に向けて、フィルム容器のリサイクルに協働して取り組むことを決定したと発表した。

両社は、1)消費者、行政、流通との連携による、フィルム容器の分別回収のしくみを検討、2)幅広い製品への利用や消費者の分別回収のしやすさに配慮し、かつ企業間あるいは業界の垣根を越えて共通利用が可能なリサイクル材料・容器の品質設計への取り組み、3)共同で回収・再生したリサイクル材料の活用方法を検討、4)リサイクルに対する消費者の理解・協力を深めるため、普及促進・啓発活動への取り組み、の4つの活動を通じて、回収・リサイクル全体の経済性の改善に取り組んでいく。まずは、地域と協力してフィルム容器の分別回収と啓発を行なうリサイクリエーションの協働を開始し、フィルム容器リサイクルの技術的課題を共有化する。

将来は、リサイクリエーション活動を継続しながら、フィルム容器から再度フィルム容器に再生する水平リサイクルをめざし、フィルム容器リサイクルの社会実装を進めるとしている。

 

◆CO2回収:島根大学と住友化学が二酸化炭素からメタノールを合成する共同研究を推進(9月10日)

島根大学と住友化学は、二酸化炭素からメタノールを実用化に見合うレベルで高効率に合成する共同研究を推進すると発表した。

メタノールは、化学品の基礎原料であり、化石資源である天然ガスや石炭ガスを主原料に生産されている。また、ごみの焼却処理により発生する二酸化炭素と再生可能エネルギー由来の水素を原料として製造することもできるが、実用化に向けた課題として、メタノールの収率が低いことや反応で副生する水蒸気による触媒劣化があげられる。

島根大学は反応収率を向上させるプロセス技術を開発しており、本共同研究では、島根大学は、引き続き触媒とプロセスの基礎技術の開発を進め、住友化学は、その基礎技術をもとに触媒とプロセスの工業化に取り組み、高効率なメタノールの合成反応の確立を目指すとしている。

 

◆リサイクル:東北大学、宇部興産、東ソー、凸版印刷などの「多層プラスチックフィルムの液相ハイブリッドリサイクル技術の開発」がNEDOの先導研究委託事業として採択(9月9日)

東北大学、産業技術総合研究所、宇部興産、恵和興業、東西化学産業、東ソー、凸版印刷、三菱エンジニアリングプラスチックスは、共同で新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム」における「廃プラスチックを効率的に化学品原料として活用するためのケミカルリサイクル技術の開発」委託事業の公募に対し、「多層プラスチックフィルムの液相ハイブリッドリサイクル技術の開発」が採択されたことを発表した。本事業の委託期間は2020年6月から2021年3月である。

採択された技術は、包装・容器に多く使用されている多層プラスチックを高温高圧水中で処理することにより、特定のプラスチック成分のみを原料にまで分解して、得られた原料と単離されたプラスチックの双方を再利用する。本技術は、食品等で汚染されたプラスチックごみをそのまま処理できる可能性を有しており、一般ごみのリサイクル率向上に寄与することが期待されるとしている。

 

◆CO2回収:東京大学、大阪大学、宇部興産などの「電気化学プロセスを主体とする革新的CO2大量資源化システムの開発」プロジェクトがNEDOのムーンショット型研究開発事業に採択(9月9日)

宇部興産、東京大学、大阪大学、理化学研究所、清水建設、千代田化工建設、古河電気工業は、共同で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ムーンショット型研究開発事業/2050年までに地球再生に向けた持続可能な資源循環実現」に係る公募に対し、「電気化学プロセスを主体とする革新的CO2大量資源化システムの開発」プロジェクトを提案し、採択されたと発表した。

本事業の委託期間は2020年度から2029年度の最大10年間の計画である。

本事業では、電気化学技術を主体とし、400ppm~15%程度の幅広い濃度範囲の気体中CO2濃度に対応し、かつ分散配置が可能なCO2回収・有用化学原料への還元資源化プロセスの開発を目指す。

具体的には、大気中に放散された希薄なCO2および放散される前のCO2を回収し、再生可能エネルギーを駆動力として、電気化学的に富化/還元し、有用化学原料を生成するプロセスまでの統合システムを開発し、カーボンリサイクルの基盤を構築するとしている。

 

◆電子材料:長瀬産業のグループ会社が拡張現実コンポーネント開発用設備に投資(9月8日)

長瀬産業グループのInkron社は、ナノインプリント(NIL)材料・コンポーネント開発用設備への戦略的投資を実施すると発表した。

今回の投資の柱となるのが、半導体装置メーカーであるEV Group社(以下、EVG社)の自動UV NILシステム「EVG7200」の購入・設置である。

「EVG7200」は、EVG社が強みを持つNIL技術であるSmartNIL技術と、材料に関する専門知識により、高品質のマイクロ/ナノスケール構造体用材料の大量生産が可能になる。また同システムを利用することで、低圧コンフォーマル・インプリントや高速・高出力露光、滑らかなスタンプ剥離、スループットと低コストを実現することができる。

「EVG7200」システムは、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)光導波路、回折光学素子(DOE)などの次世代型光素子の大量生産に適しており、Inkron社による高性能光学材料の開発を大幅に加速させるとしている。

 

◆電子材料:住友電気工業がミリ波帯において優れた伝送特性を発揮するフッ素樹脂FPCの量産化に成功(9月 7日)

住友電気工業は、5G通信などで活用が期待されるミリ波帯において、低伝送損失で柔軟性の高いフッ素樹脂のフレキシブルプリント基板(FPC)「FLUOROCUIT(フロロキット)」の量産化に成功したと発表した。

フッ素樹脂は、高周波基板に用いられ始めた液晶ポリマー(LCP)に比べ、誘電率、誘電正接が低いという特性を有しているため、伝送損失がさらに抑えられる(40GHz帯で40%程度)。その特性は周波数が高くなればなるほど大きく発揮される傾向にある。また、柔軟性に優れるというFPCの特徴はそのまま有しているため、曲面など柔軟性が必要な配線部分での利用に適している。

住友電気工業は、これらの特性を活かし、データセンターでの配線、5G基地局や端末機器のアンテナや配線材、レーダー、センサーなどでの採用に向けた活動を本格化するとしている。

 

◆電子材料:三菱マテリアルが環境調和型の次世代鉛フリー快削黄銅を開発(9月7日)

三菱マテリアルは、従来品よりも経済性、導電性、熱間加工性を向上させた次世代鉛フリー快削黄銅「グローブラス(GloBrass)」 を開発したと発表した。

人体や環境に有害な鉛の環境規制は、欧州におけるRoHS指令、ELV指令など世界的に拡大・強化されつつある。

今回の新製品は、従来品の快削性・高強度は維持しつつ、銅と亜鉛の配合比率を見直すことでメタルコストを抑制した鉛フリーの黄銅である。従来品と比べ約2倍の導電率16%を達成し、熱間加工性が向上したことにより、導電性が求められる電気・電子部品など、幅広い市場・用途で使用できるとしている。

 

◆接着剤:ヘンケルジャパンが低温塗工タイプの包装用ホットメルト接着剤を本格展開(9月7日)

ヘンケルジャパンは、昨年販売を開始していた低温塗工タイプの包装用ホットメルト接着剤「TECHNOMELT SUPRA COOLシリーズ」を9月より国内において本格展開すると発表した。

同品は、130~150℃の温度領域での使用が可能(一般的な塗工温度は180℃)、ノズル詰まりの原因である炭化物の発生が抑制され、エネルギーコスト、メンテナンスコストの大幅な削減が可能である。代表的な使用用途としては、段ボールケース組立用、小箱組立用としている。

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