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2020年7月9日号

2020.07.09 発行

HEADLINE

 

◆ウイルス対策:富士フイルムが抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」の開発・製造・販売に関するライセンス契約を海外企業と締結(7月1日)
◆IT:ENEOSホールディングス及びENEOS がCDOオフィスを設置(7月1日)
◆リサイクル:大日本印刷、凸版印刷、東洋紡、岩谷産業など12社が使用済みプラスチックの再資源化事業に取り組む新会社を設立(6月30日)
◆環境対応:出光興産が千葉事業所で重油直接脱硫装置の効率化改造工事を実施(6月30日)
◆電子材料:JX金属が酸化ガリウム結晶の実用化を目指しノベルクリスタルテクノロジーとの協業を発表(6月30日)
◆電子材料:AGCが次世代パワー半導体材料開発のノベルクリスタルテクノロジーに追加出資(6月30日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定

 

 

WEEKLY NEWS

 

◆ウイルス対策:富士フイルムが抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」の開発・製造・販売に関するライセンス契約を海外企業と締結(7月1日)
富士フイルムは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬の海外展開に向けて、インド大手製薬企業Dr. Reddy’s Laboratories Ltd.(以下、ドクター・レディーズ社)および世界的な医療物資・医薬品提供会社Global Response Aid(以下、GRA社) とCOVID-19治療薬として期待されている抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」の開発・製造・販売に関するライセンス契約を締結したと発表した。
今回提携するドクター・レディーズ社は、世界的なジェネリック医薬品の開発・製造・販売会社で、インドのみならず欧米などでも事業を拡大しグローバル展開を加速させている。またGRA社は、ドバイに拠点を置き、医療メーカーとの協力体制の下、医療物資・医薬品や医療サービスなどをワールドワイドに提供する会社である。
本契約の締結により、富士フイルムの子会社である富士フイルム富山化学は、ドクター・レディーズ社およびGRA社に対して「アビガン」の海外での開発権・製造権・販売権などを独占的に付与するとともに、2社より契約一時金や販売ロイヤリティを受領するとしている。

◆IT:ENEOSホールディングス及びENEOS がCDOオフィスを設置 (7月1日)
ENEOSホールディングス及びENEOSは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を目的に、IT戦略部に「CDO(chief digital officer)オフィス」を設置したことを発表した。
同社は、多様なデータとデータ分析プラットフォームを活用し、基盤事業の効率化と画期的な新製品・新サービスの創出に取り組むことを掲げている。
今回のENEOS新体制発足を機に、CDOオフィスを設置することとした。同組織では、DXの取り組みに各部門がスピード感をもって取り進められるよう支援するとしている。

◆リサイクル:大日本印刷、凸版印刷、東洋紡、岩谷産業など12社が使用済みプラスチックの再資源化事業に取り組む新会社を設立(6月30日)
大日本印刷(DNP)、サントリーMONOZUKURIエキスパート、東洋紡、レンゴー、東洋製罐グループホールディングス、J&T環境、アサヒグループホールディングス、岩谷産業、凸版印刷、フジシール、北海製罐、吉野工業所のプラスチックのバリューチェーンを構成する12社は、使用済みプラスチックの再資源化事業に取り組む共同出資会社であるアールプラスジャパン社を設立し、事業を開始したと発表した。
今回設立したアールプラスジャパン社は、米国の研究開発機能をもつバイオ化学ベンチャー企業であるアネロテック社とともに、環境負荷の少ない効率的な使用済みプラスチックの再資源化(ケミカルリサイクル)技術開発を進める。世界で共通となっているプラスチック課題解決に貢献すべく、回収プラスチックの選別処理、モノマー製造、ポリマー製造、包装容器製造、商社、飲料メーカーなど業界を超えた連携により、2027年の実用化を目指すとしている。

◆環境対応:出光興産が千葉事業所で重油直接脱硫装置の効率化改造工事を実施(6月30日)
出光興産は、千葉事業所において、重油直接脱硫装置(RH装置)の効率化改造工事を実施し、5月から稼働を開始したと発表した。この装置効率化により、千葉事業所のHS(高硫黄)C重油生産量を年間600千KL削減すると同時に、LS(低硫黄)C重油を年間500千KL増産することが可能となる。
今回の効率化改造工事は、国際海事機関(以下、IMO)が定める船舶用燃料の硫黄分規制への早期対応を図るもの。IMOは、今年1月から硫黄酸化物排出規制を強化。これにより世界的に高硫黄船舶用燃料を低硫黄化する取り組みが活発化しており、石油精製過程において余剰となるHSC重油への対応が必要となっている。
なお、増産されるLSC重油の供給余力を活用した競争力強化を図るため、流動接触分解装置での重油分解能力向上も実施する予定としている。

◆電子材料:JX金属が酸化ガリウム結晶の実用化を目指しノベルクリスタルテクノロジーとの協業を発表(6月30日)
JX金属は、次々世代パワーデバイスに採用が期待される酸化ガリウム結晶の実用化に向け、ノベルクリスタルテクノロジー(以下:NCT社)が第三者割当増資で発行する株式の取得により資本参画し、協業を開始すると発表した。
現在、パワーデバイスにはシリコンを材料としたものが主流であるが、シリコンの材料物性上、電力損失の低減に限界があることから、大電流・高耐圧の領域ではこれに代わる次世代材料として炭化ケイ素の実用化が進んでいる。一方、酸化ガリウムは、炭化ケイ素と比較し、高品質・大型の単結晶基板を安価に製造できる可能性があり、次々世代のパワーデバイス用材料として期待されている。
今回のNCT社との協業では、JX金属が保有する高純度化や金属酸化物の取り扱いなどの技術と、NCT社が持つ技術・知見を組み合わせ、酸化ガリウム結晶の実用化を目指し、原料の高純度化などの要素技術の育成を進めていくとしている。

◆電子材料:AGCが次世代パワー半導体材料開発のノベルクリスタルテクノロジーに追加出資(6月30日)
AGCは、半導体関連事業の需要の伸びに対応する取り組みの一環として、次世代パワー半導体材料開発会社であるノベルクリスタルテクノロジー(以下:NCT社)への追加出資を決定したことを発表した。
パワー半導体は、サーバーや自動車、産業用機械などあらゆる電気・電子機器に組み込まれている電力制御を担う電子部品である。同部品の性能は電力制御モジュールの省エネ・軽量・小型化に直結するため要求性能が年々上昇している。
酸化ガリウムウェハは、既存材料のシリコンに比べ3,000倍以上のパワー半導体性能指数を有する次世代のパワー半導体材料であり、その他の候補材料よりも高電圧・大電流で使用できる可能性があるため注目されている。
AGCは2018年にNCTへ出資を開始して以来共同開発をしてきたが、今回の追加出資によりさらなる高品質化・ウェハ大型化を目指し、2023年の酸化ガリウムウェハの実用化に向けて開発スピードを加速させていくとしている。

◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
7月契約価格は、425$/t(前月比+10$/t)、国内価格換算想定値は51.0円/kg

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