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2024年2月8日

2024.02.08 発行

HEADLINE

◆自動車部品:ニフコが独自のNV低減技術を用いた遮蔽板の量産を開始(2月1日)
◆ウレタンフォーム:アキレスがリサイクル液化炭酸ガス発泡のウレタンフォームの新生産ラインを増設(1月31日)
◆発泡シート:古河電工が植物由来のポリエチレン使用比率100%の環境配慮型発泡シートを開発(1月31日)
◆電子材料:デクセリアルズが鹿沼事業所の拡張に向けた工場用地取得(1月31日)
◆電極:三菱マテリアルが3Dプリンタ技術を用いた2層構造を有する新たなチタン製電極を開発(1月31日)
◆リサイクル:JNCエンジニアリングと出光興産が油化ケミカルリサイクル装置建設時に発生する使用済みプラスチックの
 再資源化に向けた取り組みを開始(1月31日)
◆CO2対策:千代田化工建設が日本郵船らと二酸化炭素の液化・一時貯蔵・輸送の定量的な比較検討を実施(1月31日)
◆水素関連:AGCがグリーン水素製造に適したフッ素系イオン交換膜の製造設備を北九州市に新設(1月30日)
◆潤滑油関連:DICがPFASフリーと高性能を両立した自動車(EV)向け潤滑油用消泡剤を開発(2月6日)
◆めっき:日本化学産業がPTFE複合めっきに代わる無電解複合めっきを開発 (1月29日)
◆CO2対策:コスモ石油とアイ’エムセップが、溶融塩電解技術を用いたCO2の有価物変換(CCU)に向けた共同検討に関する
 基本合意書を締結(1月29日)
◆R&D:出光興産が千葉事業所内に統合研究所を新設(1月29日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
・プライムポリマーがポリエチレン及びポリプロピレンを4月1日納入分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆自動車部品:ニフコが独自のNV低減技術を用いた遮蔽板の量産を開始(2月1日)
 ニフコは、独自のNV(車内で発生し、車内の乗員が感じる 騒音、振動の総称)低減技術を用い、遮音・吸音性能を飛躍的に向上させたリア(後部)遮蔽板を開発し、トヨタ自動車向けに量産を開始したことを発表した。
 最近のEV車の拡大に伴い、これまでエンジン音で隠されていた様々なノイズが乗員の不快感につながるため、これまで以上にノイズの低減と車室内の静粛性確保が求められており、NVを低減する機能を付与した部品の開発が重要になっている。
 リア遮蔽板とは、車両後方のバンパーとボディ(サイドメンバー)の間に取り付けられる部品であり、ベントダクト及びその周辺から車室内に侵入するロードノイズを低減させる効果がある。本製品は、特定の共振周波数を持った独自の波型形状により、狙った周波数のノイズを既存品比40%削減可能である。また、遮蔽板自体に遮音・吸音機能を持たせることにより、部品点数削減とコスト低減の実現も可能になるとしている。

◆ウレタンフォーム:アキレスがリサイクル液化炭酸ガス発泡のウレタンフォームの新生産ラインを増設(1月31日)
 アキレスは、環境負荷低減に配慮した軟質ポリウレタンフォームの新たな生産ラインを、滋賀第二工場に増設したと発表した。
 1月16日に竣工式と試運転式を行い、2月上旬より段階的に製品の生産・販売を開始する。
 近年、SDGsの実現へ向けた取り組みの進展に伴い、発泡剤に産業から排出される液化炭酸ガス等を再利用したリサイクル液化炭酸ガスを使用してCO2やVOCの排出量削減を実現した「CRIIN FOAM」(クリーンフォーム)などの環境対応フォームを開発し展開を図ってきた。
 今回増設した滋賀第二工場の新生産ラインは、同様のリサイクル液化炭酸ガス等を発泡剤に使用し、地球温暖化に配慮した生産システムを採用している。VOCについても、本ラインの稼働により、滋賀第二工場の軟質ポリウレタンフォーム生産に関わる使用量を削減することができるとしている。

◆発泡シート:古河電工が植物由来のポリエチレン使用比率100%の環境配慮型発泡シートを開発(1月31日)
 古河電工は、植物由来のポリエチレン使用比率100%の発泡シートを開発したと発表した。
 同社の組成開発技術等を活かし、植物由来のポリエチレン使用比率100%の環境配慮型発泡シート(Eグレード、発泡倍率30倍品)を開発した。この植物由来のポリエチレンを適用することで、本製品のバイオマス度は75%以上となる。また、本製品は、従来品と比較し、製品単位当たりのCO2排出量を約40%削減する効果が期待されている。
 同社ではこれまでも無架橋低発泡ポリプロピレンシートであるエフセルシリーズにおいて、再生ポリプロピレン使用比率100%のグレードを開発するなど、環境配慮型製品の充実化を進めおり、今後もカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを加速し、バリューチェーン全体での環境負荷軽減を推進していくとしている。

◆電子材料:デクセリアルズが鹿沼事業所の拡張に向けた工場用地取得(1月31日)
 デクセリアルズは、栃木県の鹿沼事業所 第2工場(以下、鹿沼第2工場)を拡張する方針を決め、昨年2月に栃木県企業局と用地取得について予約協定を締結し、2024年2月以降に土地の引渡しを受けた後、工事を開始する予定であることを発表した。
 現在、鹿沼第2工場では、主にICチップなどの電子部品を基板に実装し、回路を形成する際に欠かせないフィルム状の接合材料である異方性導電膜(以下、ACF)を製造している。デクセリアルズのACFは、独自製品である粒子整列型ACFを中心に、スマートフォンや自動車をはじめとするディスプレイ向けで使用されているほか、カメラ・センサーモジュールなどの実装用途でも多く使用されている。
 今後もACFの用途が拡がるなか、将来の生産量増加に対応するため、鹿沼第2工場の隣接地に用地を取得する判断を行った。本用地取得後、工場の建設に向けて拡張工事に着手する。工場の稼働開始は2026年度中の予定としている。

◆電極:三菱マテリアルが3Dプリンタ技術を用いた2層構造を有する新たなチタン製電極を開発(1月31日)
 三菱マテリアル(以下、MMC)は、横浜国立大学との共同研究開発において、高電流密度条件下においても高効率で作動可能なチタン製の水電解電極を新たに開発したと発表した。
 水素製造技術の一つとして、低環境負荷で高効率な水素製造技術である「固体高分子型(PEM)水電解」が注目されている。しかし、同技術のシステムコストは高く、コスト負荷の大きな酸化イリジウムといった貴金属触媒の使用量低減が求められている。
 そのような背景のなか、MMCはバインダージェット方式の3Dプリンタを採用し、2層構造を持つ電極の製造を可能とした。同社は、新開発の水電解電極を利用することで、高電流密度条件下においても、高効率に水電解システムを作動させることができるとしている。さらに、貴金属触媒などの使用量削減による水素製造コストの低減にも寄与するとしており、今後実用化に向けて、最適な電極構造の開発・試作を続けるとしている。

◆リサイクル:JNCエンジニアリングと出光興産が油化ケミカルリサイクル装置建設時に発生する使用済みプラスチックの再資源化に向けた取り組みを開始(1月31日)
 JNCエンジニアリング(以下、JNCE)と出光興産は、出光興産の子会社であるケミカルリサイクル・ジャパン(以下、CRJ)の油化ケミカルリサイクル装置を建設する際に発生する使用済みプラスチックの再資源化(油化ケミカルリサイクル)に向けた取り組みを開始すると発表した。
 CRJでは、出光興産千葉事業所の隣接エリアに油化ケミカルリサイクル装置(商業運転開始予定:2025年度)の建設を予定しており、同装置の設計・建設をJNCEが行う。同取り組みでは、同装置を建設する際に発生する使用済みプラスチックをJNCEが細かく分別・回収する。本使用済みプラスチックを原料とし、CRJが油化ケミカルリサイクル技術により生成油を生産し、出光興産の石油化学製品や燃料油の原料として利用可能かを確認する。
 また、装置完工後には、同取り組みで発生する使用済みプラスチックや、JNCEが他の装置を建設する際に発生する使用済みプラスチック由来の生成油を原料とした「リニューアブル化学品」や「リニューアブル燃料油」の生産を目指すとしている。

◆CO2対策:千代田化工建設が日本郵船らと二酸化炭素の液化・一時貯蔵・輸送の定量的な比較検討を実施(1月31日)
 千代田化工建設は、日本郵船とその関連会社のKnutsen NYK Carbon   Carriers ASと共同で液化二酸化炭素の回収・利用・貯蔵(CCUS)の技術として想定される常温昇圧・中温中圧・低温低圧の3方式について、回収したCO2の液化から一時貯蔵、海上輸送などCCUSバリューチェーンを通じた経済性、さらに陸上設備の環境負荷・工期・敷地面積などの定量評価や実現性検証に関する共同検討を実施したと発表した。
 現在、世界中で多数のCCUSプロジェクトが計画されているが、陸上での大型タンクの設置における工期の長期化が大きな課題の一つになる可能性があると考えられている。
 本共同検討の結果、中温中圧と低温低圧の方式では、Type-Cタンク(ガス貨物の容器・タンクの型式の一つで、耐圧性能を有する)を液化二酸化炭素輸送船に、大型タンクを陸上貯蔵施設に設置することが基本的な手法として想定されている。
 一方、常温昇圧方式では、既存パイプラインの製造原理を応用したシリンダータンクを液化二酸化炭素輸送船だけではなく陸上貯蔵設備にも活用することが想定されている。本シリンダータンクを陸上設備に用いた場合、工期の大幅な短縮につながり、なおかつ、用地の有効活用、投資額や運営費用の節減、そして運営に要するエネルギー効率の向上も期待できるとしている。

◆水素関連:AGCがグリーン水素製造に適したフッ素系イオン交換膜の製造設備を北九州市に新設(1月30日)
 AGCは、北九州事業所において、グリーン水素製造に適したフッ素系イオン交換膜FORBLUE Sシリーズの製造設備新設を決定したことを発表した。
 現在実用化されている水電解装置は、アルカリ型と呼ばれる方式が主で、水力発電など電圧変動の少ない電源に適している一方、太陽光発電など電圧が変動し易い電源には不向きなため、これらの電源を効率的に活用可能なPEM(プロトン交換膜)型への関心が高まっている。またPEM型に使用するイオン交換膜の長寿命化を実現する材料として着目されているのがフッ素ポリマーである。
 同社は、世界的に急拡大するグリーン水素需要に対応するため、独自の高機能フッ素ポリマーを原料としたPEM型水電解装置向けフッ素系イオン交換膜FORBLUE Sシリーズの量産設備の新設を決定した。
 投資金額は約150億円、稼働開始は2026年6月を予定しており、さらなる能力増強を経て、2030年度に売上高約300億円を目指すとしている。

◆潤滑油関連:DICがPFASフリーと高性能を両立した自動車(EV)向け潤滑油用消泡剤を開発(2月6日)
 DICは、PFASフリーと高性能を両立した自動車(EV)向け潤滑油用消泡剤を開発したことを発表した。
 PFASは、近年、その使用にあたり環境への潜在的リスクから欧米を中心に規制の議論が進行している。同社は、2023年8月にPFASフリーでかつPFAS系と同等レベルの高性能な界面活性剤「MEGAFACE EFSシリーズ」の開発に成功しており、これに続く第二弾のPFASフリー製品として、自動車(EV)向け潤滑油用消泡剤の開発に着手した。
 同開発品は、これまでPFASフリー製品では困難であった高い消泡性と熱安定性、優れた耐久性(せん断安定性)を持つことが特徴である。今後、製品ラインアップを拡充し、日本や米国、欧州地域における自動車(EV)用潤滑油メーカーへの拡販を進め、2030年には売上高20億円を目指すとしている。

◆めっき:日本化学産業がPTFE複合めっきに代わる無電解複合めっきを開発 (1月29日)
 日本化学産業は、PTFE複合めっきに代わる、PFASフリーの無電解複合めっきを開発したと発表した。
 一般的にPTFE複合めっきは、摩擦係数が低く、耐久性に優れていることから、広く、摺動性部品等に使用されている。一方で、PTFEをはじめとするPFASは化学安定性が高いため、長期間、自然界で分解されずに環境中に残留・蓄積することから、人体や環境への影響が懸念され、世界的にPFASへの規制の検討が進められている。
 こうした状況を踏まえ、同社では、独自の表面処理技術に関する研究を進化させ、新規樹脂パウダーを採用して、PFASを使用しない、無電解複合めっきを開発した。
 この新技術は、PTFE複合めっきと同程度の撥水性および摺動性があるため、過酷な摺動環境下やメンテナンスが困難な環境においても使用が可能である。また、撥油性は弱いため、これまでPTFE複合めっきが適さなかった、潤滑油やグリスなどが存在する環境下でも、摺動性が期待できるとしている。

◆CO2対策:コスモ石油とアイ’エムセップが、溶融塩電解技術を用いたCO2の有価物変換(CCU)に向けた共同検討に関する基本合意書を締結(1月29日)
 コスモ石油とアイ’エムセップは、アイ’エムセップが持つ溶融塩電気化学プロセス技術(以下「溶融塩電解技術」)を用いたCO2の有価物変換(以下、CCU) 技術について、プロセスの基礎評価を共同検討する旨の基本合意書を締結したと発表した。
 溶融塩電解技術は、熱分解よりも低い温度で、電気エネルギーだけでCO2を固体炭素材料(C)に変換することができる。従来、固体炭素材料は主に石炭などの化石燃料から作られてきたが、CO2を資源化し、代替原料として利用することでよりクリーンな炭素材料を提供できることに加え、大気に排出されるCO2を炭素として固定化することでCO2削減にも繋がる。
 社会実装に向けては、製造プロセス面での開発も不可欠であることから、コスモ石油は、溶融塩電気化学プロセスを基盤とした基礎研究から量産技術開発まで取り組む、アイ’エムセップと連携し、CO2溶融塩電解技術のプロセス基礎検討を進めることで、技術の実用化に向けた検討を加速するとしている。

◆R&D:出光興産が千葉事業所内に統合研究所を新設(1月29日)
 出光興産は、千葉事業所(市原市)内に新たな統合研究所「イノベーションセンター(仮称)」を新設することを発表した。
 同社グループの複数拠点にまたがる生産技術、開発技術等の研究所の内、主にGHG削減・資源循環に資する中長期的なテーマを扱うコーポレート研究部門、高付加価値の独自素材を扱う高機能材事業の研究部門を中心に、イノベーションセンターに集約する。イノベーションセンターでは、事業を横断した研究開発体制の構築と社外連携の強化を図ることで、研究開発から分析・解析、実証、プロセスエンジニアリング、商業生産までの一気通貫体制の構築と、中期経営計画で掲げる事業構造改革に向けた技術開発の加速を実現する。
 イノベーションセンターの総投資額は約500億円超、完工は2027年度の予定としている。

◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
 2月契約価格は、1,010$/t(前月比+100$/t)
 国内価格換算想定値は154.8円/kg
・プライムポリマーがポリエチレン及びポリプロピレンを4月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、8 円/kg以上(一部製品については、副資材コストの上昇、採算是正のため追加価格改定を実施)

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