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2024年2月1日

2024.02.01 発行

HEADLINE

◆電池材料:三井金属が全固体電池向け固体電解質の量産試験用設備の第2次生産能力増強投資を決定(1月26日)
◆CO2対策:ENEOSがカーボンオフセット燃料の販売を開始(1月26日)
◆材料分析:UBEと大日本印刷が素材分析における新たな価値創出を目指し、2024年4月より合弁会社にて協業を開始
 (1月26日)
◆自動車部品:豊田合成が米国で自動車用の内外装部品の生産能力の強化を発表(1月26日)
◆電子材料:富士フイルムが半導体製造プロセスの基幹材料の生産設備を本格稼働(1月25日)
◆シート:東洋インキとマルアイが共同でリサイクル可能な導電性シートを開発(1月25日)
◆フィルム:東レがステンレス鋼に匹敵する高強度フィルムを創出(1月24日)
◆R&D:クレハが東京研究所を開設(1月24日)
◆タイヤ:横浜ゴムがフィリピンの乗用車用タイヤ生産販売会社の生産能力を増強(1月24日)
◆バイオマス:日本製紙がバイオマス灰由来肥料の供給体制を確立しサンプルワークを開始(1月23日)
◆電子材料:三洋化成工業が優れた復元性を有する伸縮可能なエレクトロニクス用UV硬化樹脂を開発(1月22日)
◆価格改定
・富士フイルムがコンピューター用磁気テープ製品の一部を3月1日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆電池材料:三井金属が全固体電池向け固体電解質の量産試験用設備の第2次生産能力増強投資を決定(1月26日)
 三井金属は、全固体電池向け固体電解質「A-SOLiD」の量産試験用設備の第2次生産能力増強投資を決定したと発表した。
 全固体電池は、電気自動車(EV)をはじめとした幅広い用途で開発が進んでいる。同社は、長年培った電池材料技術を活かして開発したA-SOLiDをそのキー・マテリアルと位置づけ、全固体電池の実用化に向けた取り組みを進めている。
 第1次生産能力増強(現状の倍増)は3月に完了を予定しているが、国内外の活発な全固体電池開発競争を背景とするA-SOLiDの更なるニーズの高まりに対応すべく、既存の量産試験棟内への第2次生産能力増強投資を決定した。これにより、量産試験用設備の生産能力は現状の3倍程度になるとしている。

◆CO2対策:ENEOSがカーボンオフセット燃料の販売を開始(1月26日)
 ENEOSは、カーボンクレジットを活用したカーボンオフセット燃料の販売開始を発表した。
 カーボンオフセットの対象となる燃料は、ガソリン、灯油、軽油、A重油、C重油、ジェット燃料、バンカー燃料である。採掘から燃焼までのサプライチェーンで排出されるCO2をカーボンクレジットによりオフセットした燃料を、製造業、運輸業などの法人需要家向けに販売する。
 付与するクレジットに関しては、調達、または自社で創出したJ-クレジット、ボランタリークレジットを活用していく。また、信頼性をより高めることを目的として、国際的な第三者機関である日本海事協会による審査を受け、算定・運用システム手順の妥当性は確認され、第三者認証を取得している。
 なお、同社の系列特約販売店での販売については今後検討を進めていくとしている。

◆材料分析:UBEと大日本印刷が素材分析における新たな価値創出を目指し、2024年4月より合弁会社にて協業を開始(1月26日)
 UBEと大日本印刷(以下、DNP)は、素材分析における新たな価値創出を目指し、2024年4月より合弁会社にて協業を開始すると発表した。
 DNPはUBEのグループ会社で有機、無機および高分子化合物の分析を行うUBE科学分析センター(以下:USAL)の発行株式66.625%の株式を取得する。また、UBEは33.375%の株式を引き続き保有することで、USALは両社の合弁会社となる予定である。
 DNPは「デジタルインターフェース関連」、「半導体関連」、「モビリティ・産業用高機能材関連」などを注力事業領域と定めている。それらを支える技術の深耕や技術の掛け合わせによる新しい価値創出、知的財産の戦略的確保を目的に、開発に必要な分析・評価に強みを持ち、高度な分析技術や機器、専門人材を有するUSALをグループ会社とする。
 DNPとUBEは、4月1日より合弁会社としてUSALを運営することを機に、UBEの素材技術やDNPの持つ加工技術などを活かした相乗効果の創出に向けた協業も検討していくとしている。

◆自動車部品:豊田合成が米国で自動車用の内外装部品の生産能力の強化を発表(1月26日)
 豊田合成は、重点市場である北米における自動車用の内外装部品の販売拡大に対応するため、米国の子会社であるTGミズーリ(以下、TGMO)とTGケンタッキー(以下、TGKY)の生産能力を強化すると発表した。
 今後、自動車メーカーが投入する電気自動車(BEV)など多種多様なクルマの進展を見据え、車両のフロント・リア部を構成する各種大型塗装品などにおいて、幅広いバリエーションの製品を供給できる体制を整備する。また、生産能力の強化に際して、同社は工場の建屋を拡張し、省エネ効果の高い電動大型成形機や高効率な塗装設備などを導入する。そのほか、製品の組付け・搬送の自動化や生産工程を一元管理するIoTシステムなど、当社で最新の生産技術を盛り込むとともに、工場内の生産レイアウトを最適化し、生産性の向上を図る。
 今回の投資額は、TGMOが2,100万米ドル(約31億円)、TGKY が3,890万米ドル(約57億円)であり、今回拡張分の稼働時期は、TGMO、TGKYともに2025年12月の予定としている。

◆電子材料:富士フイルムが半導体製造プロセスの基幹材料の生産設備を本格稼働(1月25日)
 富士フイルムは、熊本拠点にて半導体製造プロセスの基幹材料であるCMPスラリーの生産設備を本格稼働させたと発表した。
 同設備は、電子材料事業の中核会社である富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(以下FFEM)が、ディスプレイ材料を生産する富士フイルムマテリアルマニュファクチャリング九州エリア(以下FFMT九州)に約20億円を投資して新設したものである。なお、CMPスラリーの国内生産は、同社として今回が初めてとなる。
 今後、同社は、CMPスラリーの国内生産化により国内の顧客への迅速供給を図るとともに、米国・韓国・台湾の既存生産拠点に日本が加わり生産能力が拡大した世界4拠点のCMPスラリーの生産体制でグローバルの需要増に応えていくとしている。

◆シート:東洋インキとマルアイが共同でリサイクル可能な導電性シートを開発(1月25日)
 東洋インキとマルアイは共同で、プラスチック基材から導電インキを容易に脱墨させ、新たな原料として再利用できる「リサイクル可能な導電性シート」を開発したと発表した。
 導電性シートはプラスチック基材に導電・帯電防止インキをコーティングしたものであり、主に電子部品を静電気から保護する搬送用の導電トレイやキャリアテープに活用されている。このようなプラスチックに施された印刷は、基材からの分離が難しくリサイクル促進を阻害する要因の1つとなっている。
 今回のリサイクル可能な導電性シートは、導電性シートが有する表面抵抗値や真空成型性を損なわずに印刷した導電インキを容易に脱墨することを可能にした業界初の導電性シートである。これにより、従来、プラスチック廃棄物として処理されていた使用後のプラスチック基材をプラスチック原料として再利用できるようになる。また、導電インキはアルカリ溶液に溶解せず膜の状態で脱墨できるため、膜を回収することでアルカリ溶液も繰り返し使用することができるとしている。

◆フィルム:東レがステンレス鋼に匹敵する高強度フィルムを創出(1月24日)
 東レは、ステンレス鋼に匹敵する高強度を有するプラスチックフィルムを創出したことを発表した。
 超高分子量ポリエチレン(以下、UHMWPE)は汎用のポリエチレンと比較して、強度に優れることから高強度繊維の原料として使用されている。しかし、UHMWPEはその分子量の大きさから分子鎖の絡み合いが非常に大きく、成形加工性が低いことから、従来二軸延伸による高強度フィルム化は困難であった。
 この課題に対し、同社は独自の押出・二軸延伸技術により、UHMWPEの分子鎖を二次元方向に高度に配向させたナノ構造を実現することに成功し、ステンレス鋼に匹敵する高強度フィルムを創出した。UHMWPE原料の特性上、耐寒性にも優れていることから、超電導・宇宙環境等の極低温環境でも使用可能である。また、優れた熱伝導特性により、フレキシブルデバイスなど、小型化・軽量性・絶縁性・柔軟性が求められる用途での放熱材料としても使用可能である。さらに、同フィルムはフッ素樹脂同等の耐薬品性・低吸湿性・低誘電性等の特性を有しており、薬品に晒される半導体製造工程での耐薬品保護用途に使用可能としている。

◆R&D:クレハが東京研究所を開設(1月24日)
 クレハは、東京都江東区に新たな研究施設となる「東京研究所」の開設を決定したことを発表した。
 同社は、2023年度より開始したグループ新中長期経営計画の最重要施策の一つとして、技術立社の再興に取り組んでいる。特に新商品、新事業開発においては、優秀な人財の確保、情報収集能力の強化、外部研究機関との協創・協業、およびマーケティングと研究開発の一体化が課題であると捉えている。それら課題を解決する研究開発体制を構築する一つの施策として、東京研究所の開設を決定した。
 東京研究所の開設は2024年7月を予定しており、今後も研究開発体制を充実させ、独自性のある差別化された技術、商品開発を推進していくとしている。

◆タイヤ:横浜ゴムがフィリピンの乗用車用タイヤ生産販売会社の生産能力を増強(1月24日)
 横浜ゴムは、フィリピンの乗用車用タイヤ生産販売会社であるYokohama Tire Philippines(以下、YTPI)の生産能力を増強することを発表した。
 YTPIは1996年に設立した輸出向けタイヤの主力拠点である。現在13~20インチの乗用車用およびSUV用タイヤを生産しており、その大半を欧州、北米、ASEAN諸国に市販用タイヤとして輸出しているほか、北米、アジア諸国の自動車メーカーに新車装着用タイヤとして納入している。
 今回の増強の投資額は約35億ペソ(約84億円)で、1,800本/日を増強し、32,500本/日に引き上げるとともに、新たにハイインチの21、22インチサイズの生産ラインを新設する。拡張工事は2024年第2四半期から開始予定であり、2026年の第2四半期からフル稼働する見込みである。
 今回の増強により、今後予測されるタイヤ需要の増大に迅速に対応するとともに、高付加価値商品であるハイインチサイズの生産力を強化し収益力を高めるとしている。

◆バイオマス:日本製紙がバイオマス灰由来肥料の供給体制を確立しサンプルワークを開始(1月23日)
 日本製紙は、勇払バイオマス発電所と八代工場N1バイオマス発電設備で発生する燃焼灰(以下、「バイオマス灰」)由来肥料の本格的な販売を2024年1月から開始すると発表した。
 木質チップ等を燃料とするバイオマス灰は、カリウム等の肥料成分が含まれていることが知られており、日本は肥料成分の多くを輸入に依存していることから、安定供給できる国産資源として肥料原料への利用が期待されている。
 同社は2018年から試験的に八代工場のバイオマス灰の一部を特殊肥料として販売し、その結果が良好であったことから、2023年7月に300t/年のバイオマス灰の全量を肥料化できる供給体制を確立した。加えて2023年10月に、勇払のバイオマス灰について「肥料の品質の確保等に関する法律(肥料法)」における副産肥料としての登録を受けて5,000t/年の供給体制を確立、八代・勇払合計で5,300t/年の供給体制を基盤として本格的に販売を開始する。
 農林水産省が運営する「国内肥料資源マッチングサイト」を活用し、肥料製造会社や肥料利用者へのサンプルワークを進めていくとしている。

◆電子材料:三洋化成工業が優れた復元性を有する伸縮可能なエレクトロニクス用UV硬化樹脂を開発(1月22日)
 三洋化成工業は、優れた復元性を有する伸縮可能なUV硬化樹脂『ストルテック』を開発したことを発表した。
 同製品は、しなやかな伸縮性と繰り返し伸縮してもすぐにもとに戻る高い復元性を有しており、身体の動きに追随し、違和感なく皮膚に装着できるフレキシブル・ウェアラブルデバイスへの応用が期待できる。
 技術的な特徴としては、同製品は液状からフィルム状まで粘度や性状をカスタマイズでき、各種プロセスに対応可能である。銅や銀など金属との密着性に優れ、スクリーン印刷による印刷法が適用可能である。また、UV 硬化のため熱硬化に比べて短時間で硬化でき、生産工程を短縮できる。硬化に高熱を必要としないため、感熱部材や熱に弱い有機材料も使用できるようになる等、材料の選択の幅が広がる。
 今後フレキシブルデバイスは健康、医療、産業など生活を向上する様々な用途への展開が期待されている。センサや配線材料のさらなるフレキシブル化、無線通信インフラ、省電力化、低コスト化等普及に向けた課題解決のための支援を行うことで、フレキシブル・ウェアラブルデバイスの普及に貢献していくとしている。

◆価格改定
・富士フイルムがコンピューター用磁気テープ製品の一部を3月1日出荷分より値上げ
 対象製品は、FUJIFILM LTO Ultrium4 データカートリッジ、同Ultrium5データカートリッジ、同Ultrium6データカートリッジ
 値上げ幅は、10%-20%

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