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2024年2月15日

2024.02.15 発行

HEADLINE

◆CO2対策:積水化学工業がCO2→CO変換ケミカルルーピング技術のスケールアップとCCUへの適用に向けた実証要件適合
 性等調査を開始(2月9日)
◆炭素繊維:三井化学とマイクロ波化学が三井化学名古屋工場内にマイクロ波を活用した炭素繊維(CF)製造技術に関する
 実証設備を完工(2月8日)
◆リサイクル:王子ホールディングスが日本テトラパックと共同で液体紙容器から段ボールへのリサイクルシステムを構築
 (2月8日)
◆電子材料:トッパンフォトマスクがIBMとEUVフォトマスクの共同開発を開始(2月7日)
◆電池材料:旭化成が会社分割によるリチウムイオン電池用セパレータ事業の承継を発表(2月7日)
◆電池材料:トーヨーカラーのLiB用CNT分散体がプライムアースEVエナジーに採用(2月6日)
◆樹脂:三菱ケミカルが発泡性ポリブチレンテレフタレート樹脂を開発(2月7日)
◆燃料電池:千代田化工とトヨタ自動車が大規模水電解システムを共同開発(2月5日)
◆価格改定
・エア・ウォーターが産業・医療ガスを4月1日出荷分より値上げ
・ENEOSが水素を4月1日より値上げ
・DICが顔料製品のサーチャージ制に基づいて4月1日出荷分より価格を改訂
   
  

WEEKLY NEWS

◆CO2対策:積水化学工業がCO2→CO変換ケミカルルーピング技術のスケールアップとCCUへの適用に向けた実証要件適合性等調査を開始(2月9日)
 積水化学工業は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受け、「実証要件適合性等調査/鉄鋼分野のカーボンニュートラルを実現するためのCO2→CO変換ケミカルルーピング技術実証研究(EU)」を、2023年11月から開始したと発表した。
 同社はこれまで、CO2を高い転化率でCOに変換する独自のCO2→CO変換ケミカルルーピング技術の開発を進めてきた。2021年よりアルセロール・ミタルのスペイン・アストゥリアス工場で、製鉄の際に排出される実ガスを用いた試験を進め、昨年6月にはCO2転化率90%および水素転化率75%という成果を収めた。
 同プロジェクトは、アルセロール・ミタルの製鉄所から排出されるCO2を、同社のCO2→CO変換ケミカルルーピング技術を用いてCOに変換し、高炉での還元剤としての直接活用、および国内外のパートナーが保有する技術も活用したCOのさらなる変換など、さまざまなCOの用途展開(CCU)について技術の実現性および経済性の検討を進め、CO2から、有望なCOの用途展開までの一連の技術実証を行う。
 なお、実証におけるCO2変換量のスケールは、これまでのスペイン・アストゥリアス工場における試験時の1kg/日から10トン/日にスケールアップをする予定としている。

◆炭素繊維:三井化学とマイクロ波化学が三井化学名古屋工場内にマイクロ波を活用した炭素繊維(CF)製造技術に関する実証設備を完工(2月8日)
 三井化学とマイクロ波化学は、マイクロ波を活用した環境負荷の低い革新的な炭素繊維(CF)製造に関する実証設備を2023年12月に三井化学名古屋工場内に完工したことを発表した。
 実証設備導入にあたり、マイクロ波化学はCF製造工程における耐炎化プロセスと炭化プロセスの両工程を一貫してマイクロ波で焼成する「Carbon-MX」技術による焼成ラインの機器一式を三井化学に供給し、三井化学は当該技術を含む全体プロセスを構築した。
 本技術は、対象を内部から加熱できるマイクロ波の特性を生かすことにより、無駄な加熱を徹底的に排除した革新的なプロセスである。従来法と比較し、加熱処理時間が大幅に短縮されるため、焼成プロセスのラインが短くなり、設備をコンパクトにすることが可能となる。また、装置自体の温度が高温にならないため、装置コスト、エネルギー消費、さらには安全面でもメリットが見込まれる。
 既に2024年1月より試運転を開始しており、引き続き、両社で量産化技術の確立に向けた検討を進め、2024年度内を目標にCFサンプルの供給開始を目指すとしている。

◆リサイクル:王子ホールディングスが日本テトラパックと共同で液体紙容器から段ボールへのリサイクルシステムを構築(2月8日)
 王子ホールディングスは、日本テトラパックと共同で課題であったアルミ付き紙容器を回収し、段ボールへ再生する国内初のリサイクルシステムを構築し、循環型経済の実現に向けた取り組みを本格的に開始したことを発表した。
 現在、日本国内におけるアルミ付き紙容器のほとんどは可燃物として焼却処分(サーマルリサイクル)され、紙製品への再利用(マテリアルリサイクル)される割合は3.4%と非常に低い水準に止まっており、各所に課題が残っている。今回、使用後のアルミ付き紙容器を紙繊維、ポリエチレン・アルミ層へ分離することで、紙繊維部分を段ボールとしてマテリアルリサイクルするシステムを国内で初めて確立した。
 既に2023年7月から一部エリアに実証試験を行っており、今後は順次エリアを拡大し、全国規模でのシステム構築に向けて取り組みを本格化させるとしている。

◆電子材料:トッパンフォトマスクがIBMとEUVフォトマスクの共同開発を開始(2月7日)
 TOPPANホールディングスのグループ会社であるトッパンフォトマスクは、次世代半導体向けの高NA EUVを含む、EUVリソグラフィを使用した2nmロジック半導体プロセスノード対応のフォトマスクに関する共同研究開発契約をIBMと締結したことを発表した。
 今回の契約に基づき、2024年2月から5年間、アルバニー・ナノテク・コンプレックスとトッパンフォトマスクの朝霞工場(埼玉県)で、フォトマスク開発を共同で行う。
 2nmノード以細の半導体の量産には、これまで主流であった「ArFエキシマレーザー」を光源とする露光技術をはるかに超える、高度な材料選択とプロセス制御の知識が必要となる。今回のトッパンフォトマスクとIBMの合意により、両社の持つ材料技術と製造プロセス制御技術を融合し、2nmノード以細の半導体量産に向けたソリューションの提供を目指すとしている。

◆電池材料:旭化成が会社分割によるリチウムイオン電池用セパレータ事業の承継を発表(2月7日)
 旭化成は、リチウムイオン電池用セパレータ「ハイポア」事業を吸収分割の方法により、同社の完全子会社である旭コミュニケーション(効力発生日までに旭化成バッテリーセパレータに商号変更予定)に承継させること等を内容とする吸収分割契約の締結を決定したことを発表した。
 リチウムイオン電池用セパレータ「ハイポア」(湿式膜)は、民生用電子機器用途から車載用途に販売を拡大してきたが、昨今、米国インフレ抑制法(IRA)の施行などにより、北米における電気自動車等の車載用途向け湿式セパレータの急速な需要拡大が見込まれている。そのような流れを踏まえ、同社は北米・日本をターゲットとする事業戦略を定め、同地域での車載市場における成長を実現する施策として、昨年10月に米国、日本および韓国における「ハイポア」の塗工製造能力増強を決定した。今後さらなる成長戦略を進めていくにあたり、経営の意思決定の迅速化、組織の自立性・独立性の向上を目的に、本件事業を同社から分割し、同事業専業の子会社とした。
 本吸収分割の契約締結は、2024年6月頃となる見込みであり、効力発生日は2024年10月1日の予定としている。

◆電池材料:トーヨーカラーのLiB用CNT分散体がプライムアースEVエナジーに採用(2月6日)
 artienceグループのトーヨーカラーは、自社製リチウムイオン電池正極材用導電カーボンナノチューブ(以下、CNT)分散体LIOACCUM(リオアキュム)がリチウムイオン電池用導電助剤としてプライムアースEVエナジー(以下、PEVE社)に採用されたと発表した。
 CNT分散体がリチウムイオン電池正極材用導電助剤として採用されるのは、日本国内製の量産車種向けとしては初となる。
 今回、PEVE社を通じてトヨタ製ハイブリッド車に採用が決まったリチウムイオン電池正極材用導電CNT分散体LIOACCUMは、高導電タイプのCNTを用いることで、従来のカーボンブラックよりも少量の導電助剤で高い導電性を付与、これによりリチウムイオン電池の高容量化・高出力化を可能にするキーマテリアルである。
 本採用に伴い、トーヨーカラーは分散体生産拠点である富士製造所の設備を増設し、生産能力を強化する。また、トヨタ社車載バッテリーの北米現地生産化に伴う北米エリアでの需要増加を見据え、artienceグループの北米製造拠点であるLioChemからの供給にむけた準備を開始するとしている。

◆樹脂:三菱ケミカルが発泡性ポリブチレンテレフタレート樹脂を開発(2月7日)
 三菱ケミカルグループは、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)NOVADURAN(ノバデュラン)について、超低比重化が実現可能な発泡性グレード「ZRシリーズ」を開発し、2024年1月よりサンプルワークを開始したことを発表した。
 部材軽量化を可能とする技術として射出発泡成形は広く認知されているが、化学発泡剤による発泡は分解残渣の影響や作業性に問題があり、また超臨界流体を用いた物理発泡についても、特殊な成形機が必要となるなどの制約があった。ZRシリーズはこれらの課題を解消し、煩雑な作業や特殊な成形機を用いることなく、比重1.0を下回る超低比重の成形品が得られるグレードである。
 同シリーズは、PBT樹脂が持つ高い耐薬品性や耐熱性などは維持しており、軽量化による燃費向上やCO2排出量の削減、運動性能の向上といったニーズの高い自動車分野のほか、産業資材・電気電子関連分野など多岐にわたる展開が可能としている。

◆燃料電池:千代田化工とトヨタ自動車が大規模水電解システムを共同開発(2月5日)
 千代田化工とトヨタ自動車は、大規模水電解システムの共同開発及び戦略的パートナーシップを構築していくことで同意し、協業基本合意書を締結したこと発表した。
 本製品は、水素の使用量や設置面積の制約など、顧客の様々なニーズに対応できるよう、5MW級を原単位(設置面積:2.5m×6m、水素製造能力:約100kg時間)として開発し、それらを組み合わせて標準パッケージとすることで、大規模な水電解システムを構築する。一般的な設備の約半分の設置面積におさまり、メンテナンス性も確保しながら、輸送性や現地工事期間の短縮、土木・建築工事のコストダウン効果が得られる。
 2025年度からトヨタ本社工場の水素パーク内に水電解システムの導入を始め、将来的には10MW級まで拡大し、実証や開発に活用していくとしている。

◆価格改定
・エア・ウォーターが産業・医療ガスを4月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、エアセパレートガス(酸素、窒素、アルゴン、エルナックス)等:10%以上
 炭酸ガス、ドライアイス、ヘリウムガス、レアガス、水素ガス、ダイサイド等:20~30%以上
・ENEOSが水素を4月1日より値上げ
 販売価格は現行の1,650円/kg(税込)から改定後は2,200円/kg(税込)となる。
・DICが顔料製品のサーチャージ制に基づいて4月1日出荷分より価格を改訂
 サーチャージ額:15円~45円/Kg

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