メールマガジン

2023年3月9日号

2023.03.09 発行

HEADLINE

◆サスティナブル:日揮グループがマレーシアにおけるパームオイル産業のサスティナブル開発に向けた共同スタディ覚書を
 締結(3月3日)
◆ゴム:信越化学が車載向け高圧ケーブルの被覆材に最適な成形用シリコーンゴムを開発(3月2日)
◆二次電池:日本電気硝子が結晶化ガラス固体電解質を用いたオール結晶化ガラス全固体ナトリウムイオン二次電池を開発
 (3月2日)
◆電子材料:レゾナックがハイグレードSiCエピウェハー第3世代品を開発および量産の開始を発表(3月1日)
◆分離膜:エボニックがオーストリアでガス分離膜の新工場を稼働(3月1日)
◆電材材料:エア・ウォーターがエレクトロニクス関連事業のグループ複合拠点を新設(2月28日)
◆水素:BASFが高圧再生型CO2回収技術をINPEX社のCCUSプロジェクトに提供(2月28日)
◆フィルム:リケンテクノスがPVCフィルムを用いた二次元物質の新規加工方法を東京大学との共同研究により開発
 (2月28日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
・住友化学がMMAモノマーを3月15日出荷分より値上げ
・クレハが塩酸を3月20日出荷分より値上げ
・信越化学工業が合成塩酸を3月21日出荷分より値上げ
・東ソーが塩化カルシウム液を3月21日出荷分より値上げ
・日本製紙が新聞用紙を4月1日納入分より値上げ
・大日精化工業がオフセットインキを4月1日出荷分より値上げ
・東洋インキが油性オフセットインキ・UVインキ・スクリーンインキを4月1日出荷分より値上げ
・日本ペイントが塗料およびシンナー類全般の価格と運賃を5月22日より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆サスティナブル:日揮グループがマレーシアにおけるパームオイル産業のサスティナブル開発に向けた共同スタディ覚書を締結(3月3日)
 日揮ホールディングスと日本エヌ・ユー・エスは、マレーシアの天然ガス流通・販売会社Gas Malaysiaと、マレーシアにおけるパームオイルの搾油工程で生じる未利用資源の有効活用を通じた「パームオイル産業のサスティナブル開発に向けた共同スタディ」(以下、本事業)の実施に関する覚書を締結したと発表した。
 パームオイルは生産過程でメタンガスを大量発生させる廃液(以下、POME)および空果房(以下、EFB)残渣を排出し、同国のカーボンニュートラル化を妨げる環境課題となっている。また、パームオイル産業では、バイオ原油やバイオ化成品の原料に活用できる資源が未活用のまま廃棄されているという課題もある。
 本事業では、メタンガスの発生源であるPOMEおよびEFBの回収・加工を通じてバイオメタン燃料やペレット燃料への変換、ならびに間伐材や廃木原料のバイオ原油、バイオ化成品への変換を想定し、その実現可能性を調査する。ひいては、パームオイル産業のサステナビリティに貢献するとともに、エネルギー需要家やバイオ原料需要家によるスコープ1のCO2排出量の削減に寄与することを目指すとしている。

◆ゴム:信越化学が車載向け高圧ケーブルの被覆材に最適な成形用シリコーンゴムを開発(3月2日)
 信越化学は、車載向け高圧ケーブルの被覆材に最適な成形用シリコーンゴム「KE-5641-U」を開発したと発表した。
 駆動システムの高電圧・大電流化が進む電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HEV)の高圧ケーブルには高い耐電圧特性が求められる。「KE-5641-U」は、高い耐電圧特性(40kV/mm)を持ち、高圧ケーブルの被覆層を薄くしても絶縁性能を確保できるほか、被覆層の薄さにより、ケーブルの柔軟性向上、細径化、軽量化を実現する。また、シリコーンゴム製のため、耐熱性、耐寒性、耐候性、難燃性などの優れた特性を持ち、非シリコーン系の被覆材料と比較して、長期信頼性に優れている。
 新製品は、車載以外にも、産業機械、鉄道設備、エネルギープラントなどに用いられる高圧ケーブルの被覆材として使用でき、高性能化や信頼性の向上に貢献するとしている。

◆二次電池:日本電気硝子が結晶化ガラス固体電解質を用いたオール結晶化ガラス全固体ナトリウムイオン二次電池を開発(3月2日)
 日本電気硝子は、有機系電解液を超えるナトリウム(Na)イオン伝導性と広い作動温度域を持つ結晶化ガラス製の固体電解質を開発し、現行のβアルミナから置き換えることで、電池の主要部材のすべてに結晶化ガラスを用いたオール結晶化ガラスの酸化物全固体Naイオン二次電池を世界で初めて実現したと発表した。
 主要部材(正極、負極、固体電解質)をすべて結晶化ガラスに統一することで、同社の独自技術であるガラスの軟化流動を用いた強固な一体化を実現し、良好なイオン伝導パスをもつ蓄電素子を形成することに成功した。また、1つの電池内に蓄電素子を容易に集積することができ、電池設計の自由度向上にも寄与する。
 資源枯渇の心配がないナトリウムを使用するメリットに加え、発火や爆発のリスクがないなど、現行の優れた特性は維持しつつ性能を向上させた。
今後は、安全かつ大容量の蓄電デバイスの実用化に向けて引き続き積極的に開発を進めるとしている。

◆電子材料:レゾナックがハイグレードSiCエピウェハー第3世代品を開発および量産の開始を発表(3月1日)
 レゾナックは、パワー半導体の材料である炭化ケイ素(以下、SiC)エピタキシャルウェハー(以下、エピウェハー)において、現在量産中の第2世代ハイグレードエピウェハーの品質をさらに改善した第3世代ハイグレードエピウェハーを開発し、量産を開始したと発表した。
 SiCパワー半導体は、従来のシリコンウェハーを用いたパワー半導体と比べ省エネルギー化に貢献するデバイスとして注目されている。一方で、高価格帯のEVや鉄道向けなどで使われるハイエンド向けのパワー半導体は、SiC基板中に存在する欠陥が拡張することを防げるかどうかが技術的な課題であった。
 今回レゾナックは新構造のエピタキシャル技術を用いることでこの課題を解決し、第3世代のハイグレードエピウェハーとして量産を開始した。同製品は、高電流密度においても高い信頼性を誇り、ハイエンド向けのパワーモジュールの実用化に貢献するとしている。

◆分離膜:エボニックがオーストリアでガス分離膜の新工場を稼働(3月1日)
 エボニックは、持続可能なガス経済に向けてオーストリアでガス分離膜用の新しい中空糸製造工場を立ち上げたことを発表した。
 新しい生産能力により、バイオガス、窒素、水素および天然ガス用途におけるSEPURAN膜の継続需要に応えることが可能である。同生産工場では、高機能樹脂がいくつかのプロセス工程を経て微細な中空糸に加工される。同社は、高分子化学における長年の専門知識を活用し、基材である高機能樹脂の開発段階で、すでに主要な膜特性を調整し、極端な圧力と温度に耐えることができ、ガス分離性能に優れた堅牢な膜を製造している。
 同社は新工場に数千万ユーロ台の投資を行い、新工場で約30人の新規雇用を創出したとしている。

◆電材材料:エア・ウォーターがエレクトロニクス関連事業のグループ複合拠点を新設(2月28日)
 エア・ウォーターは、熊本県菊池郡にエレクトロニクス関連事業に特化したグループ複合事業所を新設することを決定したと発表した。
 現在、熊本県菊池郡では、世界最大の半導体受託製造会社であるTSMC社(台湾)の半導体製造工場(運営会社:JASM)の建設が進められており、今後も国内外の半導体関連企業が集積することが見込まれている。こうした背景のもと、近隣地にエレクトロニクス関連事業に特化した複合事業所を新設し、伸長する半導体材料需要の獲得を進めている。
 同拠点には、主にJASM向けに、半導体製造に不可欠な特殊ガス、特殊ケミカルや基礎化学品などを保管する倉庫を設け、将来的には、窒素ガスなどの産業ガス製造プラントを建設し、近隣の半導体製造工場等に供給することも視野に入れている。同拠点の敷地面積は21,000㎡、着工は23年6月、完工は24年夏ごろの予定としている。

◆水素:BASFが高圧再生型CO2回収技術をINPEX社のCCUSプロジェクトに提供(2月28日)
 BASFジャパンは、日揮グローバルと共同開発したCO2回収技術HiPACT(ハイパクト)を、INPEXの「ブルー水素・アンモニア製造・利用一貫実証試験」に提供することを発表した。
 HiPACTは、天然ガスを原料とする水素製造設備より発生するCO2を高効率で分離回収するために適用される。回収したCO2は枯渇ガス田の貯留層に圧入されCCUS(CO2回収・利用・貯留)に寄与すると同時に、HiPACTの優れた高温耐久性とCO2吸収性能により、従来技術と比べてCO2回収・圧縮コストを最大35%削減することが期待される。さらに省エネルギーでのCO2地中貯留が可能となるため、CO2回収・貯留(CCS)において最大の効果が見込まれる。
 水素製造設備は新潟県柏崎市で日揮が建設し、2025年に操業を開始する予定としている。

◆フィルム:リケンテクノスがPVCフィルムを用いた二次元物質の新規加工方法を東京大学との共同研究により開発(2月28日)
 リケンテクノスは、東京大学生産技術研究所との共同研究によりPVCフィルムを用いた先端材料の可能性をもつ二次元物質の新規加工方法を開発したことを発表した。
 グラフェン片を加工するための工程として様々な素材を検討していた大学研究室より、同社製品「リケンラップ」を用いると加工の成功率が高くなる傾向があるという相談をきっかけに、理由解明と加工方法確立の共同研究を開始した。同社の基盤技術であるPVC配合加工技術と製膜加工技術を用いてフィルムの処方検討・検証を行いつつ、グラフェン片の剥離挙動を解析した結果、加工時の温度条件等を調整することにより、容易にグラフェン片を取り扱えることが確認できた。
 リケンテクノスは、今回の共同研究成果で得られた知見を今後の製品開発や実用化に向けて活かしていくとともに、次世代を担う先端材料の開発に貢献できるよう技術の強みをさらに拡大していくとしている。

◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
 3月契約価格は、950$/t(前月比▲30$/t)
 国内価格換算想定値は135.4円/kg
・住友化学がMMAモノマーを3月15日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、27円/kg
・クレハが塩酸を3月20日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、8円/kg以上
・信越化学工業が合成塩酸を3月21日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、8円/kg以上
・東ソーが塩化カルシウム液を3月21日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、12円/kg以上(固形換算)
・日本製紙が新聞用紙を4月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、300円/連
・大日精化工業がオフセットインキを4月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、オフセット輪転プロセスインキ:20%
 オフセット枚葉プロセスインキ:15%
 UVインキ、メタリックインキ、特色、中間色、OPニス、その他特殊品については個別に案内
・東洋インキが油性オフセットインキ・UVインキ・スクリーンインキを4月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、オフセット輪転インキ:100円/kg以上
 オフセット枚葉インキ:150円/kg以上
 オフセット新聞インキ:100円/kg以上
 UVインキ:200/kg円以上
 スクリーンインキ:15%以上
・日本ペイントが塗料およびシンナー類全般の価格と運賃を5月22日より値上げ
 製品の値上げ幅は、10~25%
 運賃は地域によって異なる為、詳細については個別に案内

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