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2022年12月15日号

2022.12.15 発行

HEADLINE

◆難燃剤:第一工業製薬が低誘電樹脂用の新規リン系難燃剤の販売を開始(12月9日)
◆環境対策:岩谷産業、宇部マテリアルズ、KHネオケム、コスモ石油、JFEスチール、JNC、デンカ、丸善石油化学、
 UBEエラストマー、横河電機がカーボンニュートラルなコンビナートの実現に向けた共同検討の覚書を締結(12月8日)
◆樹脂:帝人フロンティアが生分解性と実用性を両立するPLA樹脂を開発(12月7日)
◆中空粒子:日本ゼオンが新たに耐熱・耐圧マイクロ中空粒子を開発(12月5日)
◆高周波対応:凸版印刷が軽量・薄膜のマルチバンド対応ミリ波吸収体を開発(12月5日)
◆木材活用:三洋化成工業のグループ会社であるサンノプコが木材を活用した植物性レザーを開発(12月5日)
◆CNF関連:日本製紙がCNF配合天然ゴムを開発・サンプル提供を開始(12月5日)
◆リサイクル:東レが漁網由来のケミカルリサイクル繊維製品の販売を開始(12月5日)
◆価格改定
・住友ベークライトが工業用フェノール樹脂を12月12日出荷分より値上げ
・東ソーがトルエン、キシレンを1月1日納入分より値上げ
・クラレが活性炭及び関連製品を1月1日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆難燃剤:第一工業製薬が低誘電樹脂用の新規リン系難燃剤の販売を開始(12月9日)
 第一工業製薬は、高速通信機器で用いられる低誘電樹脂向けに、ハロゲンフリーの新規リン系難燃剤『PQ-60』の販売を開始したことを発表した。
 5G及びBeyond 5G向けに発展している通信インフラ機器や自動運転で欠かせないミリ波レーダー等で使用される素材には、高周波領域でも利用できる誘電特性に加え、安全性を確保するための難燃性が求められている。また、近年では、環境負荷が問題視されており、ハロゲンフリー難燃剤が求められている。従来では、ハロゲンフリーで難燃機能と誘電特性との両立を達成することが困難であった。
 今回、関係会社である晋一化工(本社:台湾)と連携して開発した新規リン系難燃剤『PQ-60』は、高いリン含有量に加え、低極性で熱膨張性の低い構造を有することからこれらの課題を解決し、5G及びBeyond 5Gの実現に寄与することが期待されるとしている。

◆環境対策:岩谷産業、宇部マテリアルズ、KHネオケム、コスモ石油、JFEスチール、JNC、デンカ、丸善石油化学、UBEエラストマー、横河電機がカーボンニュートラルなコンビナートの実現に向けた共同検討の覚書を締結(12月8日)
 岩谷産業、宇部マテリアルズ、KHネオケム、コスモ石油、JFEスチール、JNC、デンカ、丸善石油化学、UBEエラストマー(以下、企業9社)及び横河電機は、千葉県市原市五井地区及び千葉市蘇我地区のコンビナートにおけるカーボンニュートラルの実現に向けた共同検討を実施するための覚書を締結したと発表した。
 2021年2月より開始した新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の受託事業「コンビナート等における産業間連携を活用したカーボンリサイクル事業の実現可能性調査/千葉県五井地区産業間連携調査」では、産業間連携によるカーボンニュートラルの実現に向けた可能性を調査している。
 本共同検討の覚書に基づき、企業9社と横河電機グループは、2030年頃までに①CO2排出を最小化する産業間連携エネルギーマネジメントシステムの導入、②産業間連携によるCO2回収と有効活用、③既存プロセスからの水素などを含む副生ガスを産業間連携で活用することによるCO2排出量の削減などの3点を事業化し、2050年の同地区コンビナートのカーボンニュートラル実現に必要な施策を検討するとしている。

◆樹脂:帝人フロンティアが生分解性と実用性を両立するPLA樹脂を開発
(12月7日)
 帝人フロンティアは、従来品より海洋・ 河川や土壌中での生分解速度が速く、生分解性と実用性を両立するPLA樹脂を開発したと発表した。
 PLA樹脂は、植物由来成分を原料としており、生分解性素材の中でも高い融点と結晶性を有している。一方で、海洋・河川や土壌中においては生分解速度が遅く、生分解性を向上させると強度が劣るなど実用性を損なう課題があった。
 今回、帝人フロンティアはPLAポリマーに新たな生分解促進剤を添加することで、従来品と比較して海洋・河川や土壌中での生分解速度が速く、結晶性や成形性を損なうことがない、生分解性と実用性を両立するPLA樹脂を開発した。また、生分解促進剤の添加量や条件を調整することで分解期間のコントロールも可能である。
 今後はペレットや射出・押出成形品、テキスタイルおよび不織布の加工品の生産・販売を開始する。2023年度内に素材の生産・販売を開始し、2026年度には、数億円規模の売上を目指すとしている。

◆中空粒子:日本ゼオンが新たに耐熱・耐圧マイクロ中空粒子を開発(12月5日)
 日本ゼオンは、新たに耐熱・耐圧マイクロ中空粒子を開発したと発表した。
 今回開発した中空粒子は、①形状維持が可能、②小粒径でシャープな粒子径分布、③低比重といった三つの特長を有している。
 これらの特長から、各種構造部材の軽量化への貢献に加え、ダクト、ホース、建材等の断熱・保温材としての用途展開が見込まれている。また、熱硬化性樹脂中でも空隙を維持するため、添加樹脂の低誘電化、低誘電正接化が確認できており、低誘電特性が求められる、電子回路基板やミリ波レーダー用基板などへの展開も期待されている。
 なお同製品は現時点では研究開発品であり、同社は2024年度の量産化を目指し、開発を進めているとしている。

◆高周波対応:凸版印刷が軽量・薄膜のマルチバンド対応ミリ波吸収体を開発(12月5日)
 凸版印刷は、周波数28~300GHzのミリ波帯において、複数の電波を選択的に吸収する軽量・薄膜のマルチバンド対応ミリ波吸収体を開発したと発表した。
 同開発品はメタサーフェス構造からなる軽量・薄膜のフレキシブル性のあるシートで、オフィス室内や工場建屋内の天井や壁の装飾に使用できる意匠性付与が可能である。第5世代移動通信システム(5G)で使用する高周波数のミリ波帯において、選択的に複数を吸収することができ、無線通信機器からの電波の干渉や漏洩を低減し、高速・低遅延・多数同時接続を可能にする。5Gだけでなく、将来の第6世代移動通信システム(6G)においても、安全安心な高速通信環境を実現する。
 凸版印刷は今後、軽量・薄膜で意匠性のあるミリ波吸収体開発を推進し、反射板などの電波環境改善部材の開発とともに、電波環境に関する各種実証実験を通じて効果検証を行い、空間設計技術の開発を進める予定としている。

◆木材活用:三洋化成工業のグループ会社であるサンノプコが木材を活用した植物性レザーを開発(12月5日)
 三洋化成工業は、同社子会社であるサンノプコが木材を配合して本革の見た目や質感を再現した植物性レザー「Wood Leather」を開発したと発表した。
 一般的に合成・人工皮革にはポリウレタン樹脂やポリビニルカーボネートといった石油由来原料が用いられているが、さらにエコな素材として植物性バイオマスを主原料とする植物性レザーが注目を集めている。
 Wood Leatherは、木材を使用した植物性レザーで、低比重で、放湿/吸湿性、消臭性、耐摩耗性に優れるといった特長をもち、CO2排出量や廃棄物削減、動物愛護のニーズに対応できる高機能素材である。同社は、建築資材の製材過程で副産物として発生する木屑に注目し、副産物のアップサイクルによる廃棄物の削減、石油由来原料の使用量削減、アニマルフリーにつながる同製品の開発を行った。 
 今後、同社グループでは引き続きバイオマス資源を活用した高性能かつ環境負荷低減に貢献できる製品の開発を進めていくとしている。

◆CNF関連:日本製紙がCNF配合天然ゴムを開発・サンプル提供を開始(12月5日)
 日本製紙は、繊維幅がシングルナノサイズであるTEMPO酸化セルロースナノファイバー(CNF)を、同じく木材成分由来である天然ゴム中に均一分散することで弾性率と燃費性能を両立させたゴムマスターバッチ「Cellenpia Elas(セレンピアエラス)」の開発に成功し、サンプル提供を開始したと発表した。
 ゴムの強度を高めるために、通常、化石燃料由来素材であるカーボンブラック等を配合しているが、近年、カーボンブラックの代わりに、再生可能な天然素材であるCNFをゴム添加材として使用する研究が産官学民で行われている。
 同製品は、直接、各種ゴムとドライ混練することができ、ハンドリングよくゴム製品の物性を向上させることができる。また、一般的にゴム材料に使用されているカーボンブラックを充填材とした天然ゴムに対して、セレンピアエラスは弾性率(硬さの指標)を同等とした場合にtanδ(損失正接)が約20%低下し、タイヤやゴムベルト用途で使用した場合に燃費性能の向上が期待されるとしている。

◆リサイクル:東レが漁網由来のケミカルリサイクル繊維製品の販売を開始(12月5日)
 東レは、再資源化事業者のリファインバースグループが回収漁網から作る再生樹脂などを原料に、東レ独自の解再重合技術を活用したナイロン6ケミカルリサイクル(以下「N6CR」)繊維製品の国内での販売を開始することを発表した。
 今回のN6CR設備導入により、衣料用ナイロン繊維では、これまで技術的に困難であった新たな高機能・高付加価値タイプの商品ラインナップ強化が可能となり、環境配慮型素材・製品へのニーズが高まっているスポーツ・アウトドア向け薄地織物やインナー・レッグアパレル向けなどを中心に販売拡大する計画である。また、産業用ナイロン繊維では、自動車部品やロープ、漁網、カーペットなどの一般産業資材向けに幅広く使用される繊維において、産業分野での環境負荷の低減と持続可能な循環型の資源利用の拡大・促進につながる取り組みとなる。
 N6CR繊維製品(原糸、テキスタイルなど)の販売開始は2023年3月からを予定しており、2023年度で約8億円、2025年度で約12億円の売上を目指し、生産規模は約400トン/年になる見込みとしている。

◆価格改定
・住友ベークライトが工業用フェノール樹脂を12月12日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、28円/㎏以上
・東ソーがトルエン、キシレンを1月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、10円/kg
・クラレが活性炭及び関連製品を1月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、石炭系活性炭:15%
 ヤシ殻系活性炭および関連製品:15%~50%

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