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2022年12月8日号

2022.12.08 発行

HEADLINE

◆リサイクル:三菱マテリアルとエンビプロHDがリチウムイオン電池リサイクル技術を共同開発(12月2日)
◆フィルム:王子ホールディングスが環境に配慮した遮熱ウィンドウフィルムを開発(12月1日)
◆肥料:三洋化成工業が非食用米を用いた生分解性樹脂ベースの肥料被覆材を開発(12月1日)
◆リサイクル:帝人、日揮HD、伊藤忠がポリエステルのケミカルリサイクル技術のライセンスを目的とした合弁事業会社を
 設立(12月1日)
◆メディカル:ライオンが一般用医薬品の新工場建設を発表(11月30日)
◆樹脂:住友ベークライトの中国子会社がフェノール樹脂成形材料増産にともなう新工場を建設(11月30日)
◆ゴム:日本ゼオンが米国での水素化ニトリルゴム生産能力増強を決定(11月30日)
◆メディカル:東洋紡がPCR検査試薬・遺伝子診断薬用原料の製造設備を新設(11月28日)
◆水素:千代田化工建設がAxens社と水素サプライチェーンに関する戦略的商業協力契約を締結(11月28日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
・DICがPPS樹脂製品を12月15日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆リサイクル:三菱マテリアルとエンビプロHDがリチウムイオン電池リサイクル技術を共同開発(12月2日)
 三菱マテリアル、エンビプロ・ホールディングス、VOLTAの3社は、共同で事業化を前提とした、リチウムイオン電池(以下、「LIB」)のリサイクル工程で製造されるブラックマス(LIBを放電・乾燥・破砕・選別したリチウム、コバルト、ニッケルの濃縮滓)に含まれるリチウム、コバルト、ニッケルを回収・精製する湿式製錬技術の開発に着手したことを発表した。
 今回の共同開発では、相互に培ってきたノウハウと湿式製錬技術を融合することで開発を加速し、LIBのリサイクル工程で製造されるブラックマスを原料としたレアメタルの回収・精製の事業化に向けた技術開発に取り組む。これらレアメタルを高効率で回収するリサイクル技術の確立により、LIBの処理からリチウムイオン電池材料の安定供給まで一貫したリサイクルシステムの構築に貢献するとしている。

◆フィルム:王子ホールディングスが環境に配慮した遮熱ウィンドウフィルムを開発(12月1日)
 王子ホールディングスとグループ会社の新タック化成は、環境に配慮した遮熱ウィンドウフィルムの開発に成功し、試験販売を開始したと発表した。
 遮熱ウィンドウフィルムは、自動車や建築物の窓ガラスに貼ることで、室内快適性の向上、冷房空調負荷低減や、ガラス飛散防止による安全性付与ができるフィルムとして使用されている。昨年開発した自動車用ウィンドウフィルムに続き、同開発品は、環境負荷低減に向けた取り組みとして、粘着剤を保護する剥離フィルム基材にポストコンシューマリサイクル材料(使用済ペットボトルリサイクル原料)を使用している。
 近年、脱炭素・循環型社会への関心が高まる中、同社は環境に配慮した製品の設計・製造販売を進めるとしている。

◆肥料:三洋化成工業が非食用米を用いた生分解性樹脂ベースの肥料被覆材を開発(12月1日)
 三洋化成工業は、非食用米等を活用した樹脂材料を開発・製造・販売するベンチャー企業であるバイオマスレジンホールディングスの生分解性樹脂「ネオリザ」を用い、肥料成分の溶解速度を制御する機能(徐放性)を付与した生分解性の肥料被覆材を開発したと発表した。
 ネオリザは、お米含有の生分解性プラスチックであるため、環境負荷が低く、海洋プラスチック汚染問題などに対処するための有望な材料である。しかし、肥料成分の表面を被覆加工することで作物の生育に合わせて必要な量の肥料成分が溶出するように制御した肥料(緩効性肥料)の被覆材として展開するには、徐放性を付与して肥料成分の溶出挙動を制御する必要があった。
 今回、界面制御技術を駆使して肥料成分の溶出挙動を制御することにより、「ネオリザ」の高い生分解性を維持したまま緩効性肥料として必要な徐放性を付与した被覆材の開発に成功した。
 今後、本被覆材をベースに実証検証を重ね、2027年の実用化を目指すとしている。

◆リサイクル:帝人、日揮HD、伊藤忠がポリエステルのケミカルリサイクル技術のライセンスを目的とした合弁事業会社を設立(12月1日)
 帝人、日揮ホールディングス、伊藤忠の3社は、合同でポリエステル製品をケミカルリサイクルする技術のライセンスを目的とした合弁事業会社「株式会社RePEaT(リピート)」を設立することとして合弁契約を締結したと発表した。
 RePEaTでライセンスするケミカルリサイクル技術はDMT法と呼ばれ、ポリエステル(PET)をモノマーに分解・変換してから再重合し、再生PETを製造する技術である。DMT法は、そのプロセスの中で、着色されたポリエステル繊維から染料や不純物を除去することができるため、石油由来のPETと変わらない品質の再生PETの製造が可能である。
 RePEaTは、帝人の DMT法をベースに、帝人と日揮HDが共同で効率化・パッケージ化したリサイクル技術をライセンスする。これにより、ポリエステル製品のケミカルリサイクル事業へ参入する国内外の事業者をサポートする。また、RePEaTは、本技術のライセンス提供に加えて、リサイクル原料となる使用済みポリエステル繊維製品の回収を含めたエコシステム構築のコンサルティング事業を通じ、ポリエステル製品のリサイクルも推進するとしている。

◆メディカル:ライオンが一般用医薬品の新工場建設を発表(11月30日)
 ライオンは、小田原工場(神奈川県)の敷地内に新たに一般用医薬品の工場を建設することを発表した。
 同社が『バファリン』シリーズを展開している解熱鎮痛薬市場は、新型コロナウイルス感染症により市場が拡大しており、今後もセルフメディケーションの広がりによって、さらなる成長が見込まれる。
 これら一般用医薬品分野において、将来にわたってより安定的な生産供給体制を確立するために、稼働から一定の年数が経過している現医薬品工場に代わる新工場を建設し、生産を移管することとした。
 なお、新薬品工場の投資規模は約180億円であり、着工時期は2023年3月、稼働開始は2025年中の予定としている。

◆樹脂:住友ベークライトの中国子会社がフェノール樹脂成形材料増産にともなう新工場を建設(11月30日)
 住友ベークライトは、中国子会社である南通住友電木で、同社敷地内に安全安心・省エネ・環境負荷の少ない工場を新規に建設し、生産能力を増強すると発表した。
 南通住友電木は2007年にフェノール樹脂生産工場として南通経済技術開発区に設立された。その後、第二期、第三期工事と工場拡大を進め、現在ではフェノール樹脂生産に加え、フェノール樹脂成形材料、液状エポキシ剤、フィルムシートの生産を行っている。今後、更に拡大が見込まれる中国市場に対応するため、現在の南通工場敷地内に新たに生産能力を約2倍(約25,000t/年)に拡大した工場を建設することを決定した。
 今回の新工場の投資額は約35億円であり、操業は2024年度初頭に開始する予定としている。

◆ゴム:日本ゼオンが米国での水素化ニトリルゴム生産能力増強を決定
(11月30日)
 日本ゼオンは、子会社であるZeon Chemicalsの米国テキサス工場において、水素化ニトリルゴム(製品名:Zetpol)の生産能力の増強を決定したと発表した。
 Zetpolは、耐油性の高いニトリルゴムを水素化することにより耐熱性を高めた特殊ゴムで、同社高岡工場(富山県)とZeon Chemicalsのテキサス工場の2拠点で製造している。同品は高耐熱、高強度が求められる産業領域において需要が拡大していることに加え、フッ素ゴムの代替用途など、今後も安定した需要増が見込まれている。また、水素化ニトリルゴムを主成分とする同社のリチウムイオン電池用正極バインダーは、電気自動車の急速な普及に伴い、国内外における需要が高まっている。
 今回の能力増強により、ゼオングループ全体における水素化ニトリルゴムの年間生産能力は現行比で約25%増加する見込みである。本年11月に着工、2025年1月に生産を開始する予定としている。

◆メディカル:東洋紡がPCR検査試薬・遺伝子診断薬用原料の製造設備を新設(11月28日)
 東洋紡は、敦賀バイオ工場(福井県)に約65億円を投資し、遺伝子検査に用いられるPCR検査試薬および酵素や抗体などの遺伝子診断薬原料を製造する設備を新設すると発表した。
 新型コロナウイルスをはじめとする感染症の診断では、PCR検査に代表される遺伝子検査が広く活用されており、さまざまな感染症が拡大した際に、PCR検査試薬や遺伝子診断薬の原料の需給のひっ迫を避けるため、国内での生産・供給体制の強化が求められている。
 本設備投資では、研究用試薬棟と遺伝子製造/品質試験棟を新設するとともに、一部老朽化した設備を刷新する。これにより、世界的に需要が高まるPCR検査試薬および遺伝子診断薬用原料の生産能力が現在の約3倍に増強され、将来、発生する可能性のある感染症向け検査薬や原料の開発・生産体制の一層の強化を図る。
 今回の投資金額は約65億円、2023年3月に着工し、2024年11月の稼働開始を目指すとしている。

◆水素:千代田化工建設がAxens社と水素サプライチェーンに関する戦略的商業協力契約を締結(11月28日)
 千代田化工建設は、フランスのAxens(以下、アクセンス社)と水素サプライチェーンに関する商業協力契約を締結したことを発表した。
 同契約は、液体有機水素キャリア(以下、LOHC)としてのメチルシクロヘキサン(以下「MCH」)による水素サプライチェーン構築を加速し、同社のSPERA水素技術とアクセンス社のトルエン水素化技術の販売促進を目的としている。
 千代田化工建設のSPERA水素技術は、独自に開発した触媒を用いてLOHCの一つであるMCHから水素とトルエンを高い転化率と選択率で製造する技術である。一方、アクセンス社のトルエン水素化技術は高性能な均一系触媒作用を使用し、最適化されたエネルギー効率でトルエンと水素から高純度のMCHを製造する技術である。
 これらの技術を組み合わせることで、両社は急成長する水素市場に対して、水素輸送と貯蔵における安全性や技術的課題解決と既存のインフラや法令、規格を用いることによる高い競争力を提供していく。今回の契約締結によって、今後大きな水素需要が見込まれる欧州市場を中心に、日本、北米、アジア、オセアニアなどにおける水素案件に、共同で売り込みを図っていくとしている。

◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
 12月契約価格は、810$/t(前月比▲85$/t)
 国内価格換算想定値は117.8円/kg
・DICがPPS樹脂製品を12月15日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、PPSコンパウンド(強化タイプ):90円/kg、PPSコンパウンド(非強化タイプ):130円/kg
 PPSニートポリマー:130円/kg

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