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2022年12月22日号

2022.12.22 発行

HEADLINE

◆エマルジョン:三菱ケミカルが中京油脂と共同で植物由来の生分解性エマルジョンを開発(12月16日)
◆車両部品:アキレスが中国・広東省に設立した子会社の稼働開始を発表(12月16日)
◆ゴム製品:住友理工がベトナムの自動車用ホース製造会社で開所式を開催(12月16日)
◆フィルム:東レが環境負荷を低減する印刷・離型・粘着加工用新規PETフィルムを創出(12月15日)
◆電子材料:東レがNMPフリー半導体用コーティング剤の量産・販売を開始(12月14日)
◆リサイクル:旭化成が連続炭素繊維をリサイクルする基礎技術を開発(12月14日)
◆電子材料:富士フイルムが韓国に先端半導体材料の工場を新設(12月13日)
◆結合剤:JSRが高密着性を発現する界面分子結合材を製品化(12月13日)
◆電子材料:AGCが4K高精細ディスプレイ向けのアンチグレアガラスを開発(12月13日)
◆バイオマス:出光興産が徳山事業所に5万kW級のバイオマス発電所を新設(12月13日)
◆リサイクル:岩谷産業、豊田通商、日揮ホールディングスの3社が水素製造事業の協業検討に関する基本合意書を締結
 (12月12日)
◆価格改定
・東亞合成が工業用接着剤を1月1日出荷分より値上げ
・東亞合成が粉体塗料を1月1日出荷分より値上げ
・日本軽金属がアルミニウム線を1月1日出荷分より値上げ
・東ソーがポリ塩化アルミニウム(PAC)を2月1日出荷分より値上げ
・タキロンシーアイが床製品・建装製品・防災製品を3月1日より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆エマルジョン:三菱ケミカルが中京油脂と共同で植物由来の生分解性エマルジョンを開発(12月16日)
 三菱ケミカルは、植物由来の生分解性樹脂「BioPBS」を使用した生分解性エマルジョンを、中京油脂と共同で開発したと発表した。
 BioPBSは、自然環境への負荷が少なく、低温ヒートシール性、柔軟性などで優れた性能を有しているため、食品などの包装材に採用が広がっている。今回、中京油脂の技術により同品を水の中に均一に分散させることで、同樹脂の優れた特性を活かした包装材向けの生分解性エマルジョンを開発した。
 今後は中京油脂の生分解性エマルジョン「RESEM bio」の包装材向けの新グレードとして展開していく。
 また、レンゴー及びレンゴーグループの日本マタイが当エマルジョンを用いた包装材を、植物由来かつ生分解性のあるセロファンや紙をベースにしたブランド「REBIOS」のラインアップとして販売を予定している。日本マタイが紙へのエマルジョン塗工および製袋を行う。今後、ハンバーガーやサンドイッチなどの食品の包装材として採用を見込んでいるとしている。

◆車両部品:アキレスが中国・広東省に設立した子会社の稼働開始を発表(12月16日)
 アキレスは、中国・広東省に設立した子会社である阿基里斯(佛山)新型材料の稼働を開始したと発表した。
 アキレスは、2019年に主力事業である車輌・航空機用内装材の事業拡大を目的に、華南地区(広東省佛山市)に中国で2拠点目となる製造・販売子会社を設立したが、新型コロナの影響によりスケジュール変更を余儀なくされていた。阿基里斯(佛山)新型材料では、表皮材の製造のみならずラミネート加工、裁断、ステッチやパーフォレーション、エンボス、粘着などの後加工までの一貫した生産が可能である。
 中国は、自動車生産台数同様、鉄道車輌においても世界最大の生産地であり、航空機市場も今後高い成長が予想されている。鉄道車輌や航空機の内装材の製造・販売も視野に入れ、今後は東南アジアへの販路拡大も計画する。設立した子会社の売上目標は3億元(2026年予定)としている。

◆ゴム製品:住友理工がベトナムの自動車用ホース製造会社で開所式を開催(12月16日)
 住友理工は、ベトナムで自動車用ホースを製造・販売するグループ会社のSumiRiko Vietnam(以下:SRK-V)で開所式を開催したと発表した。
 同社グループでは、サプライチェーンの多元化・分散化によるリスク回避などの観点から、グローバルで拠点網の再編を進めている。その施策の一環として、同社グループは自動車用ゴムホースの十分な生産能力を確保するために、昨年1月にSRK-Vを設立した。
 SRK-Vは、同社グループへの輸出・供給に特化した製造拠点で、順次生産能力を引き上げ、2025年度のフル稼働を目指す。なお、SRK-Vは計画を前倒して今年5月に量産を開始している。2025年度までの投資予定額は約24億円としている。

◆フィルム:東レが環境負荷を低減する印刷・離型・粘着加工用新規PETフィルムを創出(12月15日)
 東レは、溶媒由来のCO2排出をゼロ化できる水系塗料や無溶媒塗料に対して、優れた塗布性と強固な密着性を両立した新規PETフィルムを創出したことを発表した。
 東レが開発した新規PETフィルムは、水と親和性の高い親水成分と、塗料に含まれる樹脂と親和性の高い疎水成分をナノサイズで分散させた極薄い層を表面に形成させることで、水系塗料に対する良好な塗布性と、水が乾燥した後の塗布膜との密着性を両立している。
 本フィルムは、各塗料メーカーから提案されている多種多様な水系塗料に対して、優れた塗布性と密着性を発現する。また、VOCフリーの無溶媒塗料に対する塗布性と密着性にも優れている。
 今後、製造時の脱炭素化が望まれている離型フィルムや粘着フィルム、印刷用フィルム、包装用フィルム、車載用フィルムなどを中心に、2023年度中の国内工場での生産化を目指すとしている。

◆電子材料:東レがNMPフリー半導体用コーティング剤の量産・販売を開始(12月14日)
 東レは、環境への負荷を低減できるポリイミドのNMP(N-メチルピロリドン)フリー技術を取り入れた新たな感光性ポリイミドコーティング剤PHOTONEECE(フォトニース)を開発し、パワー半導体用途向けを中心に本格販売を開始することを発表した。
 近年欧米ではポリイミド材料の溶媒として使用されている毒性のあるNMPの使用を規制する動きがある。東レはこの動きに対し、NMP以外の溶媒でポリイミドを合成する技術を確立した。本製品は、高い耐熱性と絶縁性を有することから、製造工程で高温処理が行われ、通常の半導体より高電圧を扱うパワー半導体に特に適した材料として、同用途向けに本格販売を開始する。
 また、東レは従来比2倍以上となる15μm以上の厚膜においても従来と同等の高精細なパターン加工が可能となるNMPフリー感光性ポリイミド材料の開発に成功した。本開発品は、絶縁保護膜と接するシリコンや銅などの下地材料に対する高い密着性も有しており、現在大手パワー半導体メーカーでサンプル評価を進めているとしている。

◆リサイクル:旭化成が連続炭素繊維をリサイクルする基礎技術を開発(12月14日)
 旭化成は、北九州工業高等専門学校と東京理科大学と3者で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム」に採択され、「自動車用炭素繊維サーキュラーエコノミー・プログラムの研究開発」(以下、本プロジェクト)において、連続炭素繊維をリサイクルする基礎技術を開発したことを発表した。
 これまでの炭素繊維リサイクル技術は、炭素繊維を細かく切断したチョップド炭素繊維としてリサイクルしていた。しかし、チョップド炭素繊維は本来の連続炭素繊維とは形状が異なるため、個別のコンポジット技術を開発する必要があった。一方、本プロジェクトでは、本来の連続炭素繊維としてリサイクルできるため、既存のコンポジット技術を活用することができ、クローズドループ・リサイクルを実現することができる。
 今後は、実証開発および事業開発を経て、2030年頃の社会実装を目指すとしている。

◆電子材料:富士フイルムが韓国に先端半導体材料の工場を新設(12月13日)
 富士フイルムは、半導体材料の韓国現地法人であるFUJIFILM Electronic Materials Koreaが韓国平澤市にイメージセンサー用カラーフィルター材料を生産する新工場を建設することを発表した。
 イメージセンサーは、光を電気信号に変えて映像化する半導体で、デジタルカメラやスマートフォンなどに搭載されている。近年、自動車やセキュリティ機器などへの用途拡大が進む中、イメージセンサー市場は年率約7%で成長することが見込まれている。
 新工場には、最先端の製造設備や品質評価機器を導入し、高品質・高性能な製品を生産。顧客に近い立地を生かして迅速供給を図り、顧客満足度のさらなる向上と韓国での需要増に対応する。
 2024年春に新工場を稼働させ、イメージセンサー用カラーフィルター材料の現地生産を開始する予定としている。

◆結合剤:JSRが高密着性を発現する界面分子結合材を製品化(12月13日)
 JSRは、異種基板の貼り合わせ及びめっき工程において強固な接合を可能とする界面分子結合材「MOLTIGHT IMB」を新たに製品化したことを発表した。
 従来、低誘電正接基板と配線金属の密着性は基板表面を粗化処理することによるアンカー効果で維持されてきた。しかし、この場合、表皮効果による導体損失が発生し、回路の応答性能が低下する。
 本材料は分子レベルで基板表面を化学的に修飾し、フラットな界面において基板-配線金属間の高い密着性を発現する。また本材料は僅か数nmの薄膜を塗布形成することで、金属に限らず様々な基板同士を強固に貼り合わせられることが期待できる。想定される用途は回路基板だけでなく、自動車や各種機器の筐体、電装部品、バッテリー、センサー等があげられる。
 今後は、引き続き、本材料のマーケティング活動を進めるとともに用途開発を行うとしている。

◆電子材料:AGCが4K高精細ディスプレイ向けのアンチグレアガラスを開発
(12月13日)
 AGCは、4K高精細ディスプレイ用のアンチグレアガラス(以下、新AGガラス)を開発したと発表した。
 AGガラスは、ガラス表面に凹凸形状をつけることにより、反射の映り込みを抑制することで眼の疲労を抑えるガラスで、主にディスプレイ用カバーガラスとして使用されている。製品開発においては、防眩性、鮮明性、ギラツキ防止という3つの光学特性を全て満足させることが難しく、特に高精細ディスプレイでは液晶パネルとの光学的な干渉が強くなり、ギラツキが悪化してしまうという課題があった。
 同社は、特殊な機械的加工により、ガラス表面に形成された凹凸形状がより均一な状態の新AGガラスを開発した。これにより従来品と同等の防眩性は維持しながら、課題であったギラツキを約30%低減でき、高精細ディスプレイ使用時の目の不快感を和らげることが可能となった。
 同製品は2023年前半に発売開始し、4K高精細ディスプレイを搭載したノートPC等への採用を目指すとしている。

◆バイオマス:出光興産が徳山事業所に5万kW級のバイオマス発電所を新設(12月13日)
 出光興産は、徳山事業所に5万kW級のバイオマス発電所を新設・竣工したことを発表した。
 営業運転開始は2023年1月を予定しており、発電した電力は小売電気事業を行う出光グリーンパワーへ供給する。
 同発電所は発電出力5万kW、年間発電規模約10万世帯分の電力に匹敵する3億6千万kWhの大型木質バイオマス発電所である。営業運転を開始したのち、当面の間は輸入木質ペレットとパーム椰子殻(PKS)を使用するが、中長期的には国産の間伐材や製材端材等を使用することを想定している。燃料使用量は年間約23万トンで、約23~30万トン/年のCO2排出量を削減できるとしている。

◆リサイクル:岩谷産業、豊田通商、日揮ホールディングスの3社が水素製造事業の協業検討に関する基本合意書を締結(12月12日)
 岩谷産業、豊田通商、日揮ホールディングスの3社は、廃プラスチックガス化設備を活用した低炭素水素製造に関して、愛知県名古屋港近郊での協業を検討する基本合意書を締結したことを発表した。
 今回の低炭素水素は、天然ガスからの水素製造と比較し、温室効果ガス排出量を85%削減出来ると見込まれている。廃プラスチックの活用により、脱炭素社会の実現に向け水素を安定的かつ安価に供給することができるため、CO2排出量の削減が急務となっている発電所や各種モビリティ、港湾設備などにおける水素の利用促進、工場の脱炭素化が可能となる。なお、水素製造能力は年間1.1 万トン(廃プラ回収量:8万トン/年)となる。
 今回の基本合意書の締結により、早期に基本設計業務を開始し、2020年代中頃での水素製造開始を目標として取り組んでいく予定としている。

◆価格改定
・東亞合成が工業用接着剤を1月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、10%以上
・東亞合成が粉体塗料を1月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、10%以上
・日本軽金属がアルミニウム線を1月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、10%程度
・東ソーがポリ塩化アルミニウム(PAC)を2月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、ローリー納入品:7円/kg以上
 キューブインボックス品:10円/kg以上
・タキロンシーアイが床製品・建装製品・防災製品を3月1日より値上げ
 値上げ幅は、10%~26%

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