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2021年3月18日号

2021.03.18 発行

HEADLINE

 

◆電子部品:凸版印刷が曲率半径1mmで100万回屈曲可能なフレキシブルTFTを開発 (3月12日)

◆界面活性剤:BASFがパーソナルケア、ホームケアおよび工業用の糖脂質バイオサーファクタントの供給を強化(3月11日)

◆電池材料:APB、三洋化成工業、グンゼが全樹脂電池向け樹脂集電体の量産化に向けて合意(3月9日)

◆電子材料:三井化学が有機半導体レーザーデバイス向け有機色素の共同研究開発を開始(3月9日)

◆電子材料:東レが高流動性と高導電性を両立した極薄グラフェン分散液を創出(3月8日)

◆繊維:クラレトレーディングが衝撃吸収性繊維スパンドールを開発(3月18日)

◆価格改定

・住友化学がポリエチレン、ポリプロピレンを4月1日納入分より値上げ

・住友化学がプロピレンオキサイドを4月1日出荷分より値上げ

・東ソーがポリエチレン樹脂を4月1日納入分より値上げ

 

 

WEEKLY NEWS

 

◆電子部品:凸版印刷が曲率半径1mmで100万回屈曲可能なフレキシブルTFTを開発 (3月12日)

凸版印刷は、高可撓性(弾性変形のしやすさ)/高耐久性と高キャリア移動度を兼ね備える新規構造フレキシブル薄膜トランジスタ(TFT)の開発に世界で初めて成功したと発表した。

近年、折り畳み式スマートフォンなどに利用されているフレキシブルエレクトロニクスは、ウエアラブルセンサや遠隔患者モニタリングをはじめとする医療機器、スマートパッケージ、電子テキスタイルといった消費者向け製品などの幅広い用途で、その開発が期待されている。凸版印刷は、シャープペンシルの芯に巻き付けられるような高可撓性(曲率半径1mmで100万回屈曲可能)、フレキシブルプリント回路基板並みの高耐久性、さらにテレビなどで広く使用されるアモルファスシリコンTFTの10倍以上の高キャリア移動度(10cm2/Vs)を兼ね備える新規構造フレキシブルTFTの開発に成功した。

凸版印刷では、製造技術の開発を進め、新規構造フレキシブルTFTの可撓性や耐久性、キャリア移動度など特性をさらに向上させるとともに、フレキシブルセンサの用途開拓を進めていくとしている。

 

◆界面活性剤:BASFがパーソナルケア、ホームケアおよび工業用の糖脂質バイオサーファクタントの供給を強化(3月11日)

BASFは、バイオサーファクタント製品(微生物が生産する界面活性剤)に関して、二つのパートナーシップを締結したことを発表した。

一つは、アライド・カーボン・ソリューションズ(ACS社)と資本参加を含む戦略的提携であり、持続可能性、生分解性の成分や活性物質に対する消費者の高まるニーズに対応するため、糖脂質の一種であるソホロ脂質の独占的技術協力と商業契約、および製品開発において提携する。

もう一つは、英国を拠点とする新興企業Holiferm社との戦略的技術協力であり、同社とHoliferm社は、パーソナルケア、ホームケアおよび工業用製品に応用可能な新規糖脂質開発のため、持続可能な非化石資源の発酵由来成分の開発・製造に特化した独占契約を締結した。

2社とのパートナーシップの締結により、パーソナルケア、 ホームケアおよび工業用の糖脂質バイオサーファクタントの供給を強化するとしている。

 

◆電池材料:APB、三洋化成工業、グンゼが全樹脂電池向け樹脂集電体の量産化に向けて合意(3月9日)

APB、三洋化成工業、グンゼは、APBおよび三洋化成が開発中の次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」の樹脂集電体の量産化に向け、三社で協議を行い、最適な生産および供給体制の構築を目指すことを覚書にて締結したと発表した。

全樹脂電池は、バイポーラ構造という集電体に対して垂直に電流が流れる構造と、高分子樹脂の基本部材への採用を通じて、高品質、高い異常時信頼性、高エネルギー密度、形状・サイズにおける高いフレキシビリティ、革新的な生産プロセスといった性能・特徴を全て同時に実現した次世代型リチウムイオン電池である。樹脂集電体は、全樹脂電池の高い異常時信頼性の実現に不可欠な電極の構成部材であり、グンゼのフィルム製造技術をベースにしている。

今回の覚書により、樹脂集電体の開発に加え、量産化を見据えた協力体制の継続・強化を確認し、本協業事業は新たなステップに入る。三社は樹脂集電体の最適な生産および供給体制を構築することで全樹脂電池の量産化を促進するとしている。

 

◆電子材料:三井化学が有機半導体レーザーデバイス向け有機色素の共同研究開発を開始(3月9日)

三井化学は、KOALA Tech(以下、KOALA社)と有機半導体レーザーデバイスの実用化に向けた有機色素の開発について、共同研究開発を開始したと発表した。

有機半導体レーザーは、無機半導体レーザーでは実現困難であった「可視~近赤外域の任意の波長での発振」が可能になる。特に、近赤外波長域は、今後、生体認証、光学センサーなどの分野で新たな応用展開が期待されている。また、柔らかい有機材料を使うことで、フレキシブルデバイスへの利用にも適している。

KOALA社は、九州大学最先端有機光エレクトロニクス研究センターで有機半導体レーザーダイオード(OSLD)技術の実用化を目的として設立されたスタートアップ企業である。

両社は、近赤外波長域での高効率なレーザー発振を可能とする革新的な有機色素の研究開発を共同で行い、スマートフォンやウェアラブル機器への実装・導入を目指すとしている。

 

◆電子材料:東レが高流動性と高導電性を両立した極薄グラフェン分散液を創出(3月8日)

東レは、高濃度でありながら流動性に優れた極薄グラフェン分散液を開発したと発表した。

グラフェンは、炭素からなるナノサイズの極薄シート状の二次元材料で、薄いほど塗布した時の被覆性や他材料との混合性が良くなり、特長をより強く発揮することができるが、薄いほど凝集しやすく、高濃度にすると粘土状になり流動性が悪化する。東レは、グラフェン同士の相互作用による凝集を抑えるため、独自の高分子材料を添加して粘度を自在に制御する分散技術を開発し、高濃度の極薄グラフェン分散液の流動性を高めることに成功した。

本開発品は、グラフェンが有する高い導電性などの優れた特長を発揮しやすいことから、電池材料、配線材料、塗料など各種用途への展開が可能である。東レでは早期の実用化を目指し、研究・技術開発を推進していくとしている。

 

◆繊維:クラレトレーディングが衝撃吸収性繊維スパンドールを開発(3月18日)

クラレトレーディング(クラレの100%子会社)は、衝撃吸収性を有する繊維「スパンドール」を開発したことを発表した。

クラレグループのスチレン系熱可塑性エラストマーを独自技術で繊維化したもので、一般的なポリエステル繊維の1.4倍の衝撃吸収性を有する。

近年、陸上競技では高記録を生み出す機能性シューズが人気であり、アスリートの走り心地の向上、疲労やダメージを軽減するシューズ素材が求められている。クラレグループのエラストマーは、柔らかさや弾性などを調整でき、その優れた「制振性能」で伝えられた振動をすばやく減衰させることができ、独自技術で繊維化することによって、軽量で通気性も良く、シューズ素材に好適な衝撃吸収性を実現している。開発品はゴムのような弾性を持つエラストマーを芯(中心)部分に採用し、外側をナイロンで覆った2層構造となっている。

クラレトレーディングでは、同製品の展開用途として、スポーツ製品に加え、インテリア製品、電子部品等への展開も視野に入れており、2021年度中の販売開始の予定としている。

 

◆価格改定

・住友化学がポリエチレン、ポリプロピレンを4月1日納入分より値上げ

値上げ幅は、15円/kg以上

・住友化学がプロピレンオキサイドを4月1日出荷分より値上げ

値上げ幅は、30円/kg

・東ソーがポリエチレン樹脂を4月1日納入分より値上げ

値上げ幅は、20円/kg以上

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素材・工業材料

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