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2020年8月6日号

2020.08.06 発行

HEADLINE

 

◆電池材料:三菱ケミカルと宇部興産が電解液事業で合弁契約締結及び共同新設分割で合意(7月31日)

◆樹脂:日本ポリプロがポリプロピレン製造設備停止を発表(7月31日)

◆ウイルス対策:東ソーが新型コロナウイルス検査試薬の体外診断用医薬品製造販売承認を取得(7月31日)

◆リサイクル:三菱ケミカルが欧州における炭素繊維リサイクル会社を買収(7月30日)

◆環境対策:住友大阪セメントの「カルシウム含有廃棄物からのCa抽出およびCO2鉱物固定化技術の研究開発」がNEDOの研究開発委託事業に採択(7月30日)

◆エマルジョン:信越化学が新規シリコーンエマルジョンを開発(7月29日)

◆潤滑油:出光興産が中国恵州の潤滑油製造工場の生産を開始(7月29日)

◆電子材料:JCUが工場内で廃液処理ができるプリント基板用DFR剥離薬品を開発(7月28日)

◆電子材料:JCUがパターン埋め込み型基板(ETS)向け配線の寸法変化をなくすエッチング薬品を開発(7月28日)

◆ウイルス対策:JNCがマスク用不織布およびマスク生産を開始(7月28日)

◆ウイルス対策:富士フイルムの子会社が米政府より新型コロナウイルス感染症ワクチン候補の原薬製造を受託(7月28日)

◆フィルム:日東電工が日本電気硝子と共同で世界初の「超薄板ガラス偏光フィルム」を開発(7月28日)

◆電子材料:AGCがEUV露光用フォトマスクブランクスの供給体制を大幅増強(7月27日)

◆インク:サカタインクスが段ボール印刷用環境配慮型UV硬化型インクジェットインクを開発(7月27日)

◆ウイルス対策:富士フィルムの子会社が米国バイオテクノロジー企業より新型コロナウイルス感染症のワクチン候補の原薬製造を受託(7月24日)

◆価格改定

・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定

 

 

WEEKLY NEWS

 

◆電池材料:三菱ケミカルと宇部興産が電解液事業で合弁契約締結及び共同新設分割で合意(7月31日)

三菱ケミカルと宇部興産は、リチウムイオン二次電池用をはじめとする電解液事業を共同新設分割により新設する合弁会社に両社の事業を承継させることで合意したことを発表した。

両社は、2018年より合弁形態で運営している常熟宇菱電池材料を通じて、中国における本事業を共同で行ってきたが、今回、提携をさらに拡大し、国内外における競争力をさらに高め、本事業の長期的な発展を図ることで合意した。

具体的には、日本において合弁新社『MUアイオニックソリューションズ』を本年10月に設立し、日本の製造拠点をはじめとして両社の同事業に関わる資産を合弁新社に承継し、統合・運営する。合弁会社の持株比率は三菱ケミカルが80%、宇部興産が20%となる。なお、常熟宇菱電池材料は合弁新社の100%子会社になるとしている。

 

◆樹脂:日本ポリプロがポリプロピレン製造設備停止を発表(7月31日)

日本ポリプロは、五井工場(千葉県)のポリプロピレン製造設備1系列の停止を決定したことを発表した。

ポリプロピレン樹脂の事業環境は、汎用品を中心とした海外品の流入による国産品需要の低迷によって、厳しい状況の到来が予想されている。

同社は、プラントの競争力強化と機能性ポリプロピレンの拡充により、収益力の強化を進めている。停止する設備はポリプロピレン製造設備第5系列(スラリー法)であり、生産能力7万トン/年、停止時期は2021年1月の予定としている。

 

◆ウイルス対策:東ソーが新型コロナウイルス検査試薬の体外診断用医薬品製造販売承認を取得(7月31日)

東ソーは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)検査試薬の体外診断用医薬品製造販売承認を取得したと発表した。

本検査試薬は、同社既存製品である自動遺伝子検査装置TRCReady-80の専用試薬として、新型コロナウイルスを高感度かつ簡便な操作で、約40分程度で検出することが可能となる。簡単な前処理(約5分)をした生体試料を装置にセットした後は、全自動で新型コロナウイルスRNAの有無が約40分で判定されるため、検査作業の効率化が可能となり、医療・検査従事者の作業負担を大幅に軽減できる。さらに現在、全自動化学発光酵素免疫測定装置AIA-CLシリーズ向けの専用試薬として、新型コロナウイルス抗体検査のための試薬の共同開発も進めている。

東ソーでは、8月中旬より、医療機関や検査施設向けに本製品の販売を開始する予定としている。

 

◆リサイクル:三菱ケミカルが欧州における炭素繊維リサイクル会社を買収(7月30日)

三菱ケミカルは、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の推進に向けた取り組みの一環として、ドイツにある炭素繊維リサイクル事業を手掛けるCFK Valley  Stade Recycling GmbH & Co. KG(CFK)及びcarboNXT GmbH(cNXT)を買収すると発表した。

CFKは炭素繊維を使用したプリプレグなどの中間材を加工する際に発生する端材を、モビリティを中心とした顧客から回収するネットワーク及び回収した端材をリサイクルする技術を保有しており、cNXTはリサイクル製品の販売を行っている。

今回の買収により、欧州において炭素繊維及び炭素繊維コンポジットの製造から製品回収、リサイクルまでのチェーンを確立する。三菱ケミカルでは、本年8月上旬を目途に買収を完了させる予定としている。

 

◆環境対策:住友大阪セメントの「カルシウム含有廃棄物からのCa抽出およびCO2鉱物固定化技術の研究開発」がNEDOの研究開発委託事業に採択(7月30日)

住友大阪セメントは、産学連携で石炭火力発電所・セメント工場などから排出されるCO2のカーボンリサイクル技術開発の検討を進めてきたが、今回、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究開発委託事業に、山口大学と九州大学との共同提案したテーマ「カルシウム含有廃棄物からのCa抽出およびCO2鉱物固定化技術の研究開発」が採択されたことを発表した。

研究期間は2020年度から2022年度までの3年間で、CO2を多様なカルシウム含有廃棄物から抽出したカルシウムとの反応で鉱物固定化し利用する革新的カーボンリサイクルプロセスを構築するための基盤技術を開発する。2030年の実用化を目指し、産学連携で技術開発を進め、CO2排出削減への貢献と共に、カーボンリサイクルという新しい産業の創出に取り組むとしている。

 

◆エマルジョン:信越化学が新規シリコーンエマルジョンを開発(7月29日)

信越化学工業は、新しいタイプのシリコーンエマルジョンを開発したことを発表した。

シリコーンエマルジョンは、シリコーンオイルやシリコーンレジンなどに乳化剤(界面活性剤)を加えて水中に分散させ、他の材料と配合しやすくした製品であり、離型剤、潤滑剤、つや出し剤など、幅広い用途に使用されている。

近年、EUのREACH規則では、一部の用途向けのシリコーン製品に含まれる特定のシロキサンの濃度を0.1%未満までに抑える動きがある。新たに開発したシリコーンエマルジョンは、REACH規則の動きに対応して特定のシロキサンの含有量を低減すると同時に、既存の製品と比較してエマルジョンの安定性が向上している。信越化学工業では、今後も多様化する市場のニーズに応えていくとしている。

 

◆潤滑油:出光興産が中国恵州の潤滑油製造工場の生産を開始(7月29日)

出光興産は、中国において2カ所目の直営潤滑油製造工場「恵州出光潤滑油 恵州工場」(以下、恵州工場)を稼働し、生産を開始したと発表した。

恵州工場の生産能力は12万KL/年であり、生産品目は自動車用(エンジン、変速機他)及び工業用潤滑油全般及び関連商品である。

恵州工場の生産開始により、出光興産グループの中国における潤滑油の供給能力は、天津工場(直営、生産能力12万KL/年)、常州工場(関連会社が運営、生産能力5万KL/年)と合わせて29万KL/年になるとしている。

 

◆電子材料:JCUが工場内で廃液処理ができるプリント基板用DFR剥離薬品を開発(7月28日)

JCUは、プリント基板などのめっきパターン形成に用いる無機アルカリ系のドライフィルムレジスト(以下、DFR)剥離薬品を開発したと発表した。

DFR剥離薬品は、基板上に銅配線(回路)を形成する際に、型枠として使用した樹脂フィルム(DFR)を除去するための薬品である。環境負荷の高い有機系のアミンに代わり、無機系の薬品が使われるようになっているが、剥離性能と廃液の排出基準指標であるCOD(化学的酸素要求量)の高さが課題となっている。

今回、JCUはユーザーの工場内で廃液処理ができ、微細な配線での剥離性能と両立させた無機アルカリ系の剥離薬品を開発した。

本開発品は、廃水規制が厳しくなることが予想される中国をはじめ日本、台湾、ベトナムなどへの拡販を目指し、まず年3億~5億円の売り上げを目標にシェア拡大を図るとしている。

 

◆電子材料:JCUがパターン埋め込み型基板(ETS)向け配線の寸法変化をなくすエッチング薬品を開発(7月28日)

JCUは、微細配線を必要とする半導体パッケージ基板に用いられるパターン埋め込み型基板(ETS)に適したエッチング薬品を開発したと発表した。

エッチング薬品は基板製造において、めっき法による銅配線(回路)形成処理を施した後、不要な下地の銅部分を剥がす(溶かす)工程で使用する。

従来のエッチング薬品では、配線の寸法に変化が生じるサイドエッチングと呼ばれる問題があったが、適切な添加剤を選定することでこれを解決することに成功した。この薬品は、微細配線形成に有利なモディファイドセミアディティブプロセス(MSAP)基板にも適用でき、ETSおよびMSAP基板が混在した基板を一括で適切な形状に処理することが可能になる。これにより、スマートフォンをはじめとする電子機器の一層の小型・薄型・高密度化に貢献していく。

このエッチング薬品は、日本、中国、台湾、韓国中心に拡販を予定している。当初の売り上げ見込みは年2億円。MSAP基板との一括処理を望むユーザー動向次第で、売り上げが拡大するとしている。

 

◆ウイルス対策:JNCがマスク用不織布およびマスク生産を開始(7月28日)

JNCは、全国的に不足している不織布マスクの安定供給に寄与すべく、子会社であるJNCファイバーズ・守山工場、JNC石油化学・ 市原製造所において、それぞれマスク用メルトブロー不織布および不織布マスクの生産を開始することを決定したと発表した。

守山工場では、既存のメルトブロー不織布製造設備を改造し、マスクに必要な捕集性を付与したメルトブロー不織布を製造し、急増したマスク原料需要に対応する。また、市原製造所では、新たに不織布マスク製造設備を導入し、守山工場で生産するメルトブロー不織布を用いて、不織布マスクを生産する。

JNCは不織布マスクに必要な全ての部材を国内で調達するため、高品質な不織布マスクの安定供給に寄与するとしている。

 

◆ウイルス対策:富士フイルムの子会社が米政府より新型コロナウイルス感染症ワクチン候補の原薬製造を受託(7月28日)

富士フイルムの子会社で、バイオ医薬品の開発・製造受託会社(CDMO)であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologies(以下、FDB)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン候補の原薬の製造受託をすでにCOVID-19ワクチン候補の原薬を製造している米国ノースカロライナ拠点に続き、米国テキサス拠点でも同ワクチン候補の原薬製造を開始する計画であることを発表した。

米国政府は、現在COVID-19ワクチン・治療薬の開発を目的として立上げた官民連携プロジェクト「Operation Warp Speed」(以下、OWS)を推進する中で、数々の同ワクチン開発に対する支援など、早期供給を目指した取り組みを加速させている。

今回、FDBは、OWSの一環として、COVID-19ワクチン候補原薬の大量生産ニーズに対応すべく、米国テキサス拠点の一定レベルの製造キャパシティーを米国保健福祉省傘下の生物医学先端研究開発局(以下、BARDA)のために2021年末まで確保する契約を締結した。今後、BARDAより製造設備拡張を含めた約270億円の拠出を受け、ノババックス社を含む、OWSが支援するCOVID-19ワクチン候補の原薬製造を米国テキサス拠点で行っていく計画としている。

 

◆フィルム:日東電工が日本電気硝子と共同で世界初の「超薄板ガラス偏光フィルム」を開発(7月28日)

日東電工(以下、Nitto)は、日本電気硝子と共同で連続生産性に優れたロール・ツー・ロールプロセスによる「超薄板ガラス偏光フィルム」の開発に成功したと発表した。

本製品は、日本電気硝子の100μm厚の超薄板ガラスとNittoの薄型偏光フィルムをロール・ツー・ロールプロセスにより貼り合わせて一体化した世界初の製品である。非常に薄く、軽量なため、ディスプレイパネルのカバーに使用することで、ディスプレイ最表面と画像表示面との視差低減による視認性向上やタッチセンサー感度向上に大きく寄与できる。また、ガラス特有の質感や平面平滑性、硬度を持ち合わせている。

現在ディスプレイ分野への早期対応に向け量産準備を行っているとしている。

 

◆電子材料:AGCがEUV露光用フォトマスクブランクスの供給体制を大幅増強(7月27日)

AGCは、グループ会社であるAGCエレクトロニクスにおいて、EUV露光用フォトマスクブランクス(以下、EUVマスクブランクス)の供給体制を大幅に増強することを決定したと発表した。

AGCは、自社で保有するガラス材料技術、ガラス加工技術、コーティング技術などを融合し技術開発を進め、2017年にEUVマスクブランクスの生産を開始した。これまでも市場のニーズに応じ必要な投資を実施していたが、更なる市場の伸長に対応するため今回供給体制の増強を決定した。

本年10月より建屋拡張を含めた増強工事に着工し、2022年より生産を開始する予定としている。今後も市場成長に合わせた量産体制の構築を行い、2025年には売上高400億円以上、シェア50%を目指すとしている。

 

◆インク:サカタインクスが段ボール印刷用環境配慮型UV硬化型インクジェットインクを開発(7月27日)

サカタインクスは、段ボール印刷用途向けに、植物由来のバイオマス原材料を20‐30%配合した環境配慮型UV硬化型インクジェットインクの「BSR-Bioインク」を開発したことを発表した。

今回開発したインクは、これまで市場で実績のあるBSRインクの特長である低臭気、高耐性、高柔軟性など、段ボール印刷に求められる必要性能を満たしながらも、環境配慮に成功している。また、独自の技術である顔料のナノ分散技術により、インクジェットヘッドへの高い信頼性と高速印刷を実現している。

サカタインクスは、日本国内で展開している同社独自のバイオマスインキブランド「ボタニカルインキ」認証への同インクの登録を完了しており、今後も環境対応製品ラインアップの強化をはかるとしている

 

◆ウイルス対策:富士フィルムの子会社が米国バイオテクノロジー企業より新型コロナウイルス感染症のワクチン候補の原薬製造を受託(7月24日)

富士フイルムの子会社で、バイオ医薬品の開発・製造受託会社(CDMO)であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologies(以下、FDB)は、米国バイオテクノロジー企業Novavax(以下、ノババックス社)より、同社が開発している、新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)のワクチン候補「NVX-CoV2373」の原薬製造を受託したことを発表した。

ノババックス社は、すでに、新型コロナウイルスの遺伝子情報をもとに作りだした抗原を有効成分に用いたCOVID-19ワクチン候補「NVX-CoV2373」の作製に成功。現在、臨床第Ⅰ相試験をオーストラリアで行っている。今後、臨床第II/III相試験の推進、1億人分のワクチン供給を目指している。

FDBは今回、ノババックス社から、2020年秋に計画されている最大30,000人規模の臨床第Ⅲ相試験に向けた「NVX-CoV2373」の原薬製造を受託。米国ノースカロライナ拠点において製造を開始している。FDBは、COVID-19のワクチンや治療薬の開発が進展する中、顧客ニーズに合った高品質なバイオ医薬品を迅速かつグローバルに供給するとしている。

 

◆価格改定

・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定

8月契約価格は、440$/t(前月比+15$/t)、国内価格換算想定値は51.7円/kg

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