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2020年6月25日号

2020.06.25 発行

HEADLINE

 

◆蓄熱材:カネカがシート状の潜熱蓄熱建材を販売開始(6月18日)

◆蓄熱材:住友化学の樹脂製蓄熱材が建材メーカーのシート状潜熱蓄熱建材に採用(6月18日)

◆生分解性:BASFがRed Avenue New Materialsと中国における堆肥化可能な生分解性コポリエステル(PBAT)の生産で協力(6月16日)

◆IoT:住友ベークライトがNECと共創し、AI、IoT活用で生産効率を向上(6月16日)

◆ウイルス対策:クラレがマスクフィルター用不織布の国内向け生産体制を強化(6月15日)

◆樹脂:昭和電工が上海でVE・EMの生産ライン増設を完了(6月15日)

◆塗料関連:DICが速乾性能に優れた塗料、印刷インキ向け乾燥促進剤を開発(6月15日)

◆3Dプリンター:三菱ケミカルが3Dプリンティング用PBTパウダーにおいて独AM Polymers社と業務提携(6月15日)

◆低炭素:JXTGホールディングスとCHITOSE BIO EVOLUTIONが光合成を活用した低炭素社会実現に向けた協業の開始を発表(6月15日)

◆燃料電池:トクヤマとトヨタ自動車が副生水素を利用した定置式FC発電機の実証運転を開始(6月15日)

 

 

WEEKLY NEWS

 

◆蓄熱材:カネカがシート状の潜熱蓄熱建材を販売開始(6月18日)

カネカは、特殊樹脂製潜熱蓄熱材を用いた、シート状の潜熱蓄熱建材「パッサーモシート」を開発し、6月から販売を開始したことを発表した。

「パッサーモ シート」は、特殊樹脂製潜熱蓄熱材を使用し、厚さ約1mmのシート状に押出成形した潜熱蓄熱建材である。屋根部に「パッサーモ シート」と押出法ポリスチレンフォーム断熱材などを組み合わせて使用することで、屋外からの熱を「パッサーモ  シート」が蓄熱し熱の流入を抑え、夏期日中の日射ピーク時の室内への熱流入を削減する。加えて、夜間には蓄熱した熱を屋外に排熱することで、一日を通して冷房負荷を軽減し、省エネに貢献するとしている。

 

◆蓄熱材:住友化学の樹脂製蓄熱材が建材メーカーのシート状潜熱蓄熱建材に採用(6月18日)

住友化学は、樹脂製蓄熱材「ヒートレージ」が建材メーカーのシート状潜熱蓄熱建材に採用されたと発表した。

「ヒートレージ」は相変化を利用して、20~50℃の範囲内の所望の特定温度域で熱の出し入れをするように設計された樹脂で、押出や射出、紡糸などの成形加工を容易に行うことができる。また、成形加工しても蓄熱する温度域で固体の形状を維持できることから、従来の低分子系蓄熱材のように、蓄熱して液化した際に樹脂が漏洩しないようアルミパックなどの容器に封入して使用する必要がない。そのため、蓄熱材成形品の切断や釘打ちといった加工の自由度を高めることができる。

「ヒートレージ」は夏期日射ピーク時には室内侵入熱を大幅に削減する効果があり、建材用途以外でも自動車のルーフや服飾などさまざまな分野で省エネルギー化や人々の暮らしの快適性向上に寄与するとしている。

 

◆生分解性:BASFがRed Avenue New Materialsと中国における堆肥化可能な生分解性コポリエステル(PBAT)の生産で協力(6月16日)

BASFは、認証済の生分解性脂肪族-芳香族コポリエステル(PBAT)に関して同社の品質基準に準拠した方法で生産および販売するライセンスを、Red Avenue New Materials Group(本社、中国)に供与する共同契約に署名したことを発表した。

Red Avenue New Materials Groupは年間生産能力6万トンのPBAT工場を上海に建設し、BASFがecoflex(エコフレックス)として販売している原料を生産する。

生分解性樹脂ecoflexはコンパウンド材料としても活用され、同社の生分解性コンパウンド樹脂であるecovioにも配合されている。ecovioは一部が植物由来の生分解性樹脂であり、有機性廃棄物袋、ラップフィルム、青果用袋、農業用マルチフィルム、食品包装など、幅広い用途での使用が可能である。

Red Avenue New Materials GroupのPBATの新工場は2022年に稼働し、バイオポリマー市場に供給を開始する予定としている。

 

◆IoT:住友ベークライトがNECと共創し、AI、IoT活用で生産効率を向上(6月16日)

住友ベークライトは、NECと生産技術のデジタル化に向けて共創し、製造工程にAI、IoT等の最先端のテクノロジーを導入することで、製造工程の自律制御を実現したことを発表した。

住友ベークライトでは、NECと共創し、静岡工場等の国内主力4工場内の装置の稼働情報等をIoTを用いて可視化するとともに、AIが各工程における制御ルールを分析することで、従来難しかった機能性化学品のバッチ連続型生産ラインにおけるデジタル化を実現した。

住友ベークライトは、国内基幹工場の主力生産ラインで、デジタル化による生産効率20%向上を実現し、国内の他の生産拠点・生産ラインへの展開を図る。さらには、今後海外拠点への導入に向けた環境整備も進めていくとしている。

 

◆ウイルス対策:クラレがマスクフィルター用不織布の国内向け生産体制を強化(6月15日)

クラレは、マスクフィルター用不織布の需要増大に対応するため、不織布および不織布製品の製造・販売会社であるクラレクラフレックスの岡山工場で現在増設中のメルトブローン不織布生産設備をマスクフィルターも生産可能な設備に変更することを決定したことを発表した。

メルトブローン不織布は、バインダーを使わず原料ポリマー100%からなる不織布で、マスク用をはじめ各種フィルターに使用されている。

現在増設工事を行っているメルトブローン不織布設備をマスクフィルターの生産可能な設備にすることで、マスク換算で約3億枚/年の原反の増産体制を整える。増設後のメルトブローン不織布の生産能力は年産2,700トンとなり、稼働時期は2020年11月末の予定としている。

 

◆樹脂:昭和電工が上海でVE・EMの生産ライン増設を完了(6月15日)

昭和電工は、中国での機能性樹脂事業の拡大を図るため、昭和電工グループの中国法人である上海昭和高分子(SSHP)において、ビニルエステル樹脂(VE)、合成樹脂エマルジョン(EM)の生産ラインの増設を実施し、生産を開始したと発表した。

第5世代移動通信(5G)の進展など情報通信分野の発展による液晶ディスプレイなどの電子材料市場の拡大に伴い、これらの部材の生産に使用されるVEの中国国内の需要も急速に拡大している。さらに、VEは大気汚染防止のために導入が進んでいる火力発電所の排煙脱硫装置、電子材料工場の排水処理設備、ごみ処理設備や化学品貯蔵タンク等の腐食防止内面ライニング用としても需要拡大が続いている。また中国では、2015年からVOC規制が始まり、水系の塗料や接着剤への切り替えが進んでいることから、それらに使用されるEMの需要も拡大している。

SSHPでは、VE・EMともに生産能力を約2倍に引き上げたとしている。

 

◆塗料関連:DICが速乾性能に優れた塗料、印刷インキ向け乾燥促進剤を開発(6月15日)

DICは、塗料や印刷インキなどに用いられる速乾性能に優れた酸化重合型樹脂の乾燥促進剤(ドライヤー)を開発したと発表した。

塗料や印刷インキの硬化や乾燥促進には、ドライヤーと呼ばれる金属石鹸が用いられる。金属石鹸は、金属塩と脂肪酸が結合したものであり、一般的に水には溶けず有機溶剤に溶ける特性を有している。また、硬化や乾燥性能を高める場合は、一般的にコバルト(Co)の金属塩が用いられるが、コバルトは環境への負荷やコストの観点などで課題を抱えている。

今回、DICはコバルトドライヤーと同等以上の速乾性能を有する非コバルトのドライヤーを開発した。同製品は、『DICNATE(ディックネート)』シリーズとして上市し、既にサンプルワークを開始している。DICは今後アジアや中東、欧米地域などの塗料や印刷インキ業界への販売を視野に、2025年までに売上高10億円を目指すとしている。

 

◆3Dプリンター:三菱ケミカルが3Dプリンティング用PBTパウダーにおいて独AM Polymers社と業務提携(6月15日)

三菱ケミカルは、3Dプリンティング用樹脂パウダーを製造販売するAM Polymers(以下「AMP社」)とPBT(ポリブチレンテレフタレート)パウダーにおける共同開発および販売に関する独占的な業務提携に合意したと発表した。

AMP社は、3Dプリンティングの製法の一つである粉末造形法に使用される樹脂パウダーを専門に取り扱っており、3Dプリンターの市場が拡大している欧州を中心に顧客基盤を確立している。同社はポリプロピレンやポリエチレン等の樹脂を粉末化する過程で、3Dプリンティング用に造形性・物性を強化する技術に優れている。

今回の提携により、PBTを組成段階から3Dプリンティング用にカスタマイズし、難燃性等の物性を付与できるパウダーを共同開発した。近日中に顧客評価のための試作品を欧州にて順次提供していく予定としている。

 

◆低炭素:JXTGホールディングスとCHITOSE BIO EVOLUTIONが光合成を活用した低炭素社会実現に向けた協業の開始を発表(6月15日)

JXTGホールディングスとCHITOSE BIO EVOLUTION(以下、ちとせ)は、藻類バイオマスを広く活用する社会の構築に向けて、藻類バイオマスの培養規模拡大と藻由来の製品開発について協業に関する契約を締結したと発表した。

ちとせグループは、太陽エネルギーの光合成利用を最大限活用した藻類の大規模培養技術をはじめ、微生物、藻類、動物細胞などの微細な生き物を活用する技術に強みを持ち、 日本、マレーシア、シンガポール等の東南アジアで農業や食品、エネルギーなどの幅広い分野で事業を展開するバイオベンチャーである。

藻類バイオマスを広く活用する社会の構築に向けた最も大きな課題は、藻類バイオマスを大規模に安定的に生産すること、生産したバイオマスを有効活用するための製品を開発することである。

本協業においては、その課題解決に向け、太陽エネルギーが豊富なマレーシアにおいて、藻類培養の規模拡大に取り組むとともに、そこで生産した藻類を由来とする燃料、ケミカル、飼料、機能性素材などの多様な製品の開発に取り組み、事業化を目指すとしてる。

 

◆燃料電池:トクヤマとトヨタ自動車が副生水素を利用した定置式FC発電機の実証運転を開始(6月15日)

トクヤマとトヨタ自動車は、燃料電池自動車 (FCV) MIRAI に搭載されている燃料電池システム(FCシステム)を活用した定置式の燃料電池発電機 (以下、FC発電機)を山口県のトクヤマ徳山製造所内に設置して、副生水素を利用した実証運転を開始したことを発表した。

今回導入した FC発電機は、2019年9月より、トヨタ本社工場内で実証運転中の定格出力100kWのFC発電機をベースに、定格出力を50kWに変更し、部品レイアウトの見直しなどによりメンテナンス性向上などの改良を加えたものである。

今回の実証運転の特徴は、トクヤマが食塩電解法で苛性ソーダを製造する時に副次的に発生する副生水素をFC発電機の燃料として活用することである。実証運転は、2022年3月末までの予定としている。

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