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2024年4月18日

2024.04.18 発行

HEADLINE

◆医薬品:富士フイルムが北米拠点の抗体医薬品原薬製造事業に1,800億円の大規模投資を決定(4月12日)
◆ガス:東邦アーステックが水溶性天然ガスの増産およびヨウ素の製造を開始(4月12日)
◆有機:BASFが中国・湛江の統合生産拠点でメチルグリコール工場の建設を開始(4月11日)
◆電子材料:東亞合成が高純度液化塩化水素製造設備を増強(4月11日)
◆複合材料:UBEがリサイクル炭素繊維を活用したコンポジット製品を上市(4月11日)
◆メディカル:東洋紡が「メディカル研究所」を総合研究所に新設、開所式を実施(4月9日)
◆電子材料:三菱ガス化学が北米拠点の超純過酸化水素・超純アンモニア水製造工場を増設(4月10日)
◆包装材料:住友ベークライトが樹脂量を軽減した医薬品包装用高防湿シートを沢井製薬の一部製品に導入することを発表
 (4月10日)
◆粘着剤:artienceグループがインドにおける粘着剤の生産設備を増強(4月9日)
◆リサイクル:デンソー、リバーらが自動車リサイクルにおける再生材利用拡大を目指し、自動車部品解体プロセス等の技術
 実証を開始(4月9日)
◆電子材料:信越化学工業が国内で新拠点を設営(4月9日)
◆価格改定
・三洋化成工業がポリプロピレングリコール(PPG)とポリマーポリオール(POP)を4月1日出荷分より値上げ
・クラレがポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂を4月15日出荷分より値上げ
・積水フーラーが接着剤製品を5月1日出荷分より値上げ
・積水化学工業が塩化ビニル管・建築設備配管製品・プラント製品・強化プラスチック複合管を5月21日出荷分より値上げ
・綜研化学が粘着剤製品及び樹脂製品を6月1日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS 

◆医薬品:富士フイルムが北米拠点の抗体医薬品原薬製造事業に1,800億円の大規模投資を決定(4月12日)
 富士フイルムは、バイオ医薬品の開発・製造受託事業の成長を一段と加速させるため、バイオ医薬品CDMOの中核会社であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologies(以下、FDB)の北米拠点に約1,800億円(12億ドル)の大規模投資を行うことを発表した。
 現在増強中の生産能力を上回る、抗体医薬品の旺盛な製造委託ニーズを受け、現在8基のタンクを建設中のノースカロライナ新拠点に、あらたに20,000リットルの動物細胞培養タンク8基を導入する。これにより、ノースカロライナ新拠点における同サイズのタンク数を16基まで拡大させ、抗体医薬品の原薬の生産能力を大幅に増強させる。また、ノースカロライナ新拠点で使用するすべてのエネルギーを、再生可能天然ガスや敷地内の太陽光発電の利用、バーチャルPPA導入による12.5万MWh/年の再エネ電力証書の購入で相殺し、実質的にCO2排出ゼロを実現していく。
 本設備投資に伴う製造ラインの稼働時期は2028年であり、新規雇用人数は2031年までに680人としている。

◆ガス:東邦アーステックが水溶性天然ガスの増産およびヨウ素の製造を開始(4月12日)
 三菱ガス化学の連結子会社である東邦アーステックは、新潟市西蒲区で進
めていた第2期設備建設工事を終え、西川地区における水溶性天然ガスの産およびヨウ素の製造を開始したことを発表した。
 当初の計画どおり3月に第2期設備建設工事として水溶性天然ガス生産設備(採取22基地・圧入5基地)、およびヨウ素濃縮プラントの建設が完了した。4月より増設した天然ガス生産設備とヨウ素濃縮プラントを稼働し、天然ガスの増産およびヨウ素の製造を開始した。
 2024年度以降も追加設備建設工事を進め、段階的に稼働設備を増やし、2026年度に全ての設備を稼働させるとしている。

◆有機:BASFが中国・湛江の統合生産拠点でメチルグリコール工場の建設を開始(4月11日)
 BASFは、中国の広東省湛江市の統合生産拠点で、メチルグリコール(MG)工場の建設を開始したと発表した。
 今回の工場新設は中国でのブレーキ液の需要増に対応するものであり、同工場は中国で唯一の完全川上統合型メチルグリコール工場である。同工場では、メタノールと精製エチレンオキサイド(PEO)からメチルジグリコール(MDG)、メチルトリグリコール、メチルテトラグリコール(MTEG)を生産する。
 新設工場の生産能力は年間46,000トンであり、2025年末に稼働を開始する予定としている。

◆電子材料:東亞合成が高純度液化塩化水素製造設備を増強(4月11日)
 東亞合成は、横浜工場における高純度液化塩化水素製造設備の増強を決定したと発表した。
 同社の高純度液化塩化水素は、半導体製造に使用する化学品として利用されている。半導体需要は2024年後半からの回復が予想され、その後も長期にわたり持続的な成長が見込まれるため、同社では継続的に設備増強を進めている。
 今回の高純度塩化水素製造設備増強に関する投資額は60億円、完成時期は2025年としている。

◆複合材料:UBEがリサイクル炭素繊維を活用したコンポジット製品を上市(4月11日)
 UBEは、温室効果ガス削減や環境負荷低減を目的とした、新しいコンポジット製品を上市したと発表した。
 同製品は、UBEが長年培ったエンジニアリングプラスチックの技術開発力を用いた、トレーサビリティを有するリサイクル炭素繊維を活用したものであり、製品開発においては、新菱の炭素繊維を含有する部品から高品質な炭素繊維を取り出す技術が採用されている。
 炭素繊維を含む廃棄物は年々増加傾向にあると言われており、その活用方法の確立が大きな課題になっている。UBEはリサイクル炭素繊維を各種ナイロンに添加すると共に様々な機能改良を施すことで、炭素繊維の製造時に発生するGHG排出量の削減だけではなく、部品の軽量化や高機能化によりエネルギー使用の削減に貢献するコンポジット製品を実現し、自動車、スポーツ関連などの市場へ供給するとしている。

◆メディカル:東洋紡が「メディカル研究所」を総合研究所に新設、開所式を実施(4月9日)
 東洋紡は、メディカル製品の開発拠点を統合し、今回総合研究所(滋賀県大津市)に「メディカル研究所」を新設、開所式を実施したことを発表した。
 同社は、メディカル製品の研究開発体制を強化するため、約20億円を投資して「メディカル研究所」を新設し、これまで総合研究所内の機能膜開発センターと医療機器開発センターに分かれていたメディカル関連製品の研究開発機能を統合した。これにより、透析治療に用いられるダイアライザ(人工腎臓)向け中空糸膜などの医療用膜や、抗体医薬品の製造工程でウイルス除去などに利用されるプロセス膜、カテーテルや血液回路チューブなどに抗血栓性や炎症反応の抑制などの特性を付与する生体適合性ポリマー、神経再生誘導チューブやコラーゲン使用人工骨などの医療機器分野において、同社独自製品の開発を加速する。
 新設するメディカル研究所の延床面積は4,100平方メートルで、2024年4月に運用を開始するとしている。

◆電子材料:三菱ガス化学が北米拠点の超純過酸化水素・超純アンモニア水製造工場を増設(4月10日)
 三菱ガス化学は、半導体の製造工程で使用される超純過酸化水素(超純過水)ならびに超純アンモニア水(超純安水)の製造・販売を行う連結子会社、MGC Pure Chemicals America(MPCA)のテキサス工場を増設すること発表した。
 超純過水・超純安水は、主に半導体のウエハーやデバイスの製造工程で、洗浄剤・エッチング剤・研磨剤として使用されるが、半導体の微細化に伴い、より高品質な薬液要求が高まっている。また、5G、IoT、クラウド、AI、車載等での用途拡大により、半導体市場は長期にわたり世界的に成長していくと予想されている。
 今回のテキサス工場の増設分の生産能力は、超純過水:35,000トン/年、超純安水:5,000トン/年、2025年6月の生産開始を予定している。
 なお、MPCAは、今回のテキサス工場の増強に先行し、オレゴン工場の増強を進めている。オレゴン工場の増設分の生産能力は、超純過水35,000トン/年、2024年9月の生産開始の予定としている。

◆包装材料:住友ベークライトが樹脂量を軽減した医薬品包装用高防湿シートを沢井製薬の一部製品に導入することを発表(4月10日)
 住友ベークライトは、沢井製薬と共同で開発した樹脂量を軽減した医薬品包装用高防湿シートが、沢井製薬の一部製品に採用されることが決定したと発表した。
 近年、地球環境問題への取組みのために、GHG(温室効果ガス)排出量削減とともに、より環境にやさしい製品の製造・開発が求められている。そこで同社では、医薬品包装(PTP包装)に用いるシートにおいても、製剤の物性や特性などに応じて要求される機能を保持しつつ、使用する樹脂量を軽減し、環境負荷低減に貢献する製品「スミライトFCL-1145」を開発した。
 同品は、基材となるPVC(ポリ塩化ビニル)に、フッ素樹脂フィルムを複合た、高防湿性を特長とする製品である。本製品では、高防湿性に加え、透明性、成形加工性などの諸機能を維持しつつ、使用する樹脂量を約22%軽減した。また薄肉化することにより、PTP包装における錠剤の取出し性改善も期待できるとしている。

◆粘着剤:artienceグループがインドにおける粘着剤の生産設備を増強(4月9日)
 artienceグループのTOYO INK INDIAは、インド国内で拡大し続ける粘着剤需要に対応するため、グジャラート工場内において溶剤系粘着剤の生産設備を増強することを決定したと発表した。
 対象の設備は2026年4月の稼働開始を予定し、これによりグジャラート工場の生産能力は従来の3.5倍となる。
 インドは昨年GDP世界ランキング5位となり、20年後にも世界ランキング2位に躍進すると言われている。また、都市化・核家族化が進んでいることにより新車販売台数が今後増大すること、家電市場が急成長することから、ますます粘着剤需要が高まることが見込まれている。
 artienceグループでは、こうしたインド国内需要を取り込むほかヘルスケア用途などへの用途拡大も図り、2026年にインド国内での溶剤系粘着剤トップとなるシェア30%を目指すとともに、今後経済成長が期待できる中東、アフリカ諸国への輸出ハブ拠点への転換を進めるとしている。

◆リサイクル:デンソー、リバーらが自動車リサイクルにおける再生材利用拡大を目指し、自動車部品解体プロセス等の技術実証を開始(4月9日)
 デンソー、リバー、DIC、UACJ、金城産業、九州メタル、住友化学、大同特殊鋼、東レ、豊田合成、トヨタ紡織、野村総合研究所、古河電気工業、マテック、三井化学、早稲田大学等は、共同で開始する、「ELV自動精緻解体を起点とした水平サイクルを実現する動静脈一体プロセスの技術実証」が、環境省の令和5年度自動車リサイクルにおける再生材利用拡大に向けた産官学連携推進事業の一つに採択されたことを発表した。
 現在、自動車業界ではELV(使用済み自動車)を破砕し、材料ごとに選別して再生材を作り出す手法を取ることが多いため、高純度の再生材に向けた材料を選別することが極めて難しく、水平サイクル率が低い。また、これまで動静脈の連携が十分ではなかったことから、高品質な自動車部品の材料として再生材を用いるための取り組みが進んでいなかった。
 一方、ELVの解体・破砕を担う業界では、深刻な労働力不足への対応や、全・安心で快適な労働環境の整備などが課題となっており、課題解決とともに、
 再生材の質と量の確保にもつながる、ELVの新たな処理手法への転換が必要となる。
 本実証では、ELVの質と量の確保の両方を実現する新たなELVの処理手法の「自動精緻解体プロセス」を起点としたプロセスを通じて、この動静脈一体のエコシステムを社会実装するうえでの課題の抽出を行い、自動車部品の再生材利用の拡大を目指すとしている。

◆電子材料:信越化学工業が国内で新拠点を設営(4月9日)
 信越化学工業は、半導体露光材料事業で四番目の拠点となる工場を、群馬県伊勢崎市に建設することを発表した。
 同社はこの新工場における投資を段階的に実施する計画で、第一期の投資は2026年までの完工を目指す。投資金額は第一期完工の段階で、事業用地の取得も含め約830億円を見込んでいる。
 同社は、1997年にフォトレジスト事業を立ち上げ、直江津工場(新潟県)で生産を開始した。その後、2016年には同事業の第二の生産拠点を福井県に、2019年には第三の生産拠点を台湾雲林県に設けている。
 半導体露光材料は、先端半導体の製造に不可欠な材料として需要が伸長しており、品質への要求も高度化し続けている。同社はこの地を半導体材料の先進拠点として位置付け、将来は研究開発を含む半導体露光材料ほかの拠点として拡大させていくとしている。

◆価格改定
・三洋化成工業がポリプロピレングリコール(PPG)とポリマーポリオール(POP)を4月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、国産ナフサ価格変動分以外で25円/kg以上
・クラレがポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂を4月15日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、日本:40円/kg、ヨーロッパ:0.3ユーロ/kg
 アジアパシフィック、北米、南米、中東、アフリカ:0.3米ドル/kg
・積水フーラーが接着剤製品を5月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、10%以上
・積水化学工業が塩化ビニル管・建築設備配管製品・プラント製品・強化プラス
チック複合管を5月21日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、塩化ビニル管全般 :15%以上
塩ビ継手、塩ビマス、および関連製品:8%以上
建築設備用塩化ビニル管、継手、および関連製品:10%以上
建築設備用ポリエチレン管、継手、および関連製品:10%以上
硬質塩化ビニルライニング鋼管、継手、および関連製品:10%以上
 プラント配管材、DCプレート、および関連製品:10%以上
 強化プラスチック複合管、および関連製品:5%以上
・綜研化学が粘着剤製品及び樹脂製品を6月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、個別に設定

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