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2023年9月7日

2023.09.07 発行

HEADLINE

◆電子材料:石原産業、富士チタン工業、村田製作所がチタン酸バリウムの製造・販売を行う合弁会社を設立(9月1日)
◆電材料:レゾナックが冷蔵不要の半導体モールディング金型用クリーニングシートを開発(9月1日)
◆エンジニアリング:東洋エンジニアリングの関連会社がインドネシアで排ガスを利用する火力発電所追加設備プロジェクトを
 受注(9月1日)
◆電池材料:日本ゼオンが米国初のリチウムイオン電池用バインダー生産設備の詳細設計を開始(9月1日)
◆CO2対策:AGCと三菱ガス化学がガラス製造時に発生するCO2を原料とした環境循環型メタノールの製造販売の検討を開始(8月31日)
◆CO2対策:三井物産、三井化学など4社が大阪の臨海工業地帯を拠点とした水素・アンモニアサプライチェーン構築に向けた
 共同検討を開始(8月30日)
◆マイクロ波技術:日本ゼオンとマイクロ波化学がエラストマー製造事業におけるマイクロ波プロセス適用の実証開発に着手
 (8月30日)
◆建材:アイカ工業が茨城工場内に高級人造石の加工ラインの増設を決定(8月29日)
◆水素関連:大阪ガスとENEOSが大阪港湾部におけるグリーン水素を活用した国産e-メタンの大規模製造に関する共同検討を
 開始(8月29日)
◆無機:住友化学が超微粒アルミナ(NXAシリーズ)の製品化を発表(8月28日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
・日本ゼオンが合成ラテックスを9月15日納入分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆電子材料:石原産業、富士チタン工業、村田製作所がチタン酸バリウムの製造・販売を行う合弁会社を設立(9月1日)
 石原産業、富士チタン工業、村田製作所は、チタン酸バリウムの製造・販売ならびに関連する原料調達、品質保証、品質および生産性改善業務を行う合弁会社MFマテリアルを設立したと発表した。
 MFマテリアルは、富士チタンから延岡工場と日向工場が移管され始動しており、延岡工場内に村田製作所の積層セラミックコンデンサ向けチタン酸バリウムの生産能力増強を進めるため、第2工場を建設する。
 延岡第2工場は、2026年秋に竣工、2027年に稼働を予定しており、延床面積は従来比約2倍となる。新工場の稼働後、2028年度までに社員を70人増員し、300人体制とする計画であり、その後も生産増強を図っていくとしている。

◆電材料:レゾナックが冷蔵不要の半導体モールディング金型用クリーニングシートを開発(9月1日)
 レゾナックは、常温で保管可能な、半導体パッケージのモールド金型を洗浄するクリーニングシートを開発したと発表した。
 半導体は通常、ICチップや内部配線を一括でモールド封止した半導体パッケージと呼ばれる形態で使用される。半導体をモールド封止した後の金型はモールド樹脂材料が付着して残るため洗浄し、その後、次のモールド材注入に備えてコンディショニングが行われる。
 レゾナックはモールド金型の洗浄用、およびコンディショニング用のクリーニングシートシリーズをラインアップしている。従来品の保管や輸送は要冷蔵であったが、今回、構成材料を見直し、カーボンニュートラル実現に貢献する常温保管可能のN-CS-7500(洗浄用)およびN-CS-3700(コンディショニング用)を開発した。これらの製品を使用することで、一般的なメラミンクリーニング樹脂を使用したときに比べて工程を少なくでき、クリーニング時間が約1/3に短縮することが可能になるとしている

◆エンジニアリング:東洋エンジニアリングの関連会社がインドネシアで排ガスを利用する火力発電所追加設備プロジェクトを受注(9月1日)
 東洋エンジニアリングは、インドネシアのPT Energi Listrik Batam(以下、ELB)が計画する排ガスを利用する火力発電所追加設備プロジェクトを、関連会社であるPT Inti Karya Persada Tehnik(以下、IKPT)が受注したと発表した。
 ELBは、バタム島タンジュン・ウンチャンガス火力発電所にて35MW(2機)のシンプルサイクルガス火力発電所(以下、SCPP)を2016年から商業運転している。今回のプロジェクトは、既存のSCPPからの排ガスを利用するコンバインドサイクル発電プラント(CCPP)を建設し、39MWの能力を増強するものである。完成は2025年の予定としている。

◆電池材料:日本ゼオンが米国初のリチウムイオン電池用バインダー生産設備の詳細設計を開始(9月1日)
 日本ゼオンは、米国子会社であるZeon Chemicalsのテキサス工場において、米国で初となる地産地消をコンセプトにしたリチウムイオン電池用バインダーの生産設備の詳細設計を開始したと発表した。
 同社のリチウムイオン電池用バインダーは、リチウムイオン電池を構成する負極、正極、機能層(セパレーターコーティング用)、及びシーリング用材料として使用されている。同社は、負極用水性SBRバインダーの供給を1995年に開始し、これまでにリチウムイオン電池の性能向上に寄与する数多くのバインダー製品を市場に提供してきている。
 リチウムイオン電池市場は、今後、アジアに続き、欧州、米国での拡大が見込まれており、電池メーカー各社においても地産池消のニーズが高まっている。同工場における水素化ニトリルゴム(HNBR)の量産設備と併せ、グローバル生産拠点の強化により、タイムリーな製品供給体制を構築する。 同設備は2026年に稼働する予定としている。

◆CO2対策:AGCと三菱ガス化学がガラス製造時に発生するCO2を原料とした環境循環型メタノールの製造販売の検討を開始(8月31日)
 AGCと三菱ガス化学は、三菱ガス化学が開発したメタノール製造技術を適用し、AGCの建築用ガラス製造時に発生するCO2を原料として、メタノールの製造・販売を検討開始することに合意したと発表した。
 同検討では、CCU技術を用いて日本最大規模の建築用ガラス製造設備で発生するCO2をメタノールに変換し、製造・販売することを目標としており、AGC鹿島工場にて2030年頃までに事業化することを目指している。
 回収したCO2を原料とした化学製品は、環境負荷低減を実現できる一方、従来製法に対しCO2の回収・変換に伴うコスト増が課題となる。この課題に取り組むため、三菱ガス化学は、既存の販売網を通じ、環境循環型メタノールの社会的価値を訴求し、需要家の開拓を行う。また、AGCは同検討に加え、自社化学品事業の原料として使用しているメタンガスを環境循環型メタノールに置き換える検討を進め、カーボンリサイクルを前提とした化学製品の事業化も視野に入れているとしている。

◆CO2対策:三井物産、三井化学など4社が大阪の臨海工業地帯を拠点とした水素・アンモニアサプライチェーン構築に向けた共同検討を開始(8月30日)
 三井物産、三井化学、IHI、関西電力の4社は、大阪の臨海工業地帯を拠点とした水素・アンモニアのサプライチェーン構築に向けた共同検討に関する覚書を締結したことを発表した。
 水素・アンモニアは、燃焼時にCO2を排出しないなど、カーボンニュートラルの実現に向けたエネルギーの一つである。また、アンモニアは、肥料・工業用途向けに既に生産・輸送・貯蔵の技術が確立していることから、発電分野での燃料利用や産業分野での熱利用など幅広い分野において、活用が期待されている。
 今後、覚書に基づき、大阪の臨海工業地帯でのアンモニアの受入、貯蔵、供給拠点の整備などに関する検討や、関西・瀬戸内地域での利活用先の拡大に向けた調査などに取り組み、利活用先候補の一社である神戸製鋼所とも協議を開始するとしている。

◆マイクロ波技術:日本ゼオンとマイクロ波化学がエラストマー製造事業におけるマイクロ波プロセス適用の実証開発に着手(8月30日)
 日本ゼオンとマイクロ波化学は、カーボンニュートラルの実現に向けて、マイクロ波プロセスを適用したエラストマー製造事業の実証開発契約を締結したことを発表した。
 エラストマーをはじめとした化学製品の製造における主たるエネルギー源は、化石燃料の燃焼によるものであるため、カーボンニュートラルの取り組みのひとつとして再生可能エネルギー由来の電気を使う電化プロセスへの転換が求められている。しかし、従来プロセスのままエネルギー源を電化することは、経済性に課題があった。 そのような中、両者は目的物に直接エネルギーを伝達可能なマイクロ波プロセスを適用することで、経済性だけでなく、生産性も改善できる可能性を見出した。
 本事業では、エラストマー製造プロセスの一部にマイクロ波技術を適用することで、エネルギー源の電化に加え、従来プロセスの革新を実現する。2027年度の社会実装を目指すとしている。

◆建材:アイカ工業が茨城工場内に高級人造石の加工ラインの増設を決定(8月29日)
 アイカ工業は、約7.7億円を投じて茨城工場内に新工場棟を建設し、高級人造石「フィオレストーン」の加工ラインを増設すると発表した。
 同品は、天然石の風合いを保ちながらももろさや吸水性といった石の弱点を克服し、メンテナンス性や加工性に優れる点が評価され、高級マンションのキッチン天板用途を中心にオフィス・商業施設・ホテル・駅・空港などの洗面カウンター用途や受付カウンター用途などに採用されている。
 新工場棟の稼働開始は2024年秋を予定しており、生産能力は現状の約1.5倍に向上する。なお、新工場棟建設の背景には、世界的に良質な大理石が入手困難となる中、インテリア業界で天然水晶に樹脂などを配合して成形した高級人造石の需要が拡大していることがある。
同社は、生産能力増強によって需要に対応し、フィオレストーンを含むストーン事業全体で2026年度に売上高約100億円(2022年度比約1.4倍)を目指すとしている。

◆水素関連:大阪ガスとENEOSが大阪港湾部におけるグリーン水素を活用した国産e-メタンの大規模製造に関する共同検討を開始(8月29日)
 大阪ガスとENEOSは、大阪港湾部におけるグリーン水素を活用した国内初となる国産e-メタンの大規模製造に関する共同検討を開始したと発表した。
 本検討は、海外で製造したグリーン水素を、効率的な水素の貯蔵・輸送手段の一種であるメチルシクロヘキサン(MCH)に変換して輸送し、国内で回収したCO2と組み合わせて、国産e-メタンを大規模に製造するもので、2030年までに大阪港湾部にて6,000万m3/年(一般家庭約25万戸相当)規模での製造設備構築および製造開始を目指す。
 水素をe-メタンに変換することは、発電分野、モビリティ分野等の用途における水素利用に関する検討が進んでいる中、水素の普及を拡大させ、水素社会の実現に寄与する。また、e-メタンは、都市ガスの脱炭素化につながることに加え、既存の都市ガスインフラや消費機器をそのまま活用することができるため、民生・産業分野の幅広い熱需要のカーボンニュートラルへの移行を円滑に実現することができるとしている。

◆無機:住友化学が超微粒アルミナ(NXAシリーズ)の製品化を発表(8月28日)
 住友化学は、超微粒αアルミナの量産技術の開発に成功し、愛媛工場に新設した製造設備で、2023年9月から量産を開始することを発表した。
 アルミナは水酸化アルミニウムを高温で焼いて作られる物質で、中でも純度99.99%以上のものを高純度アルミナと呼ぶ。同社が量産を開始するのは、主に工業製品に用いられるαアルミナの超微粒グレード「NXAシリーズ」で、粒子径が150nm(0.15μm)以下の均質な超微粒子という特徴を有している。
 同社の高純度アルミナは、これまでリチウムイオン二次電池用のセパレータ部材などのエネルギー分野のほか、LED基板向けのサファイア、半導体用放熱材料など、幅広い用途で活用されてきた。新グレードは、次世代半導体向けの研磨材用途のほか、高強度・耐薬品性が必要な半導体製造装置用部材などの先端分野や、高強度・審美性が求められる人工関節や歯科材料といったライフサイエンス分野など、新たな領域での利用が見込まれている。
 同社では高純度アルミナ事業の売上高を2025年度に23年度比3割増にすることを目指すとしている。

◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
 9月契約価格は、950$/t(前月比+55$/t)
 国内価格換算想定値は144.9円/kg
・日本ゼオンが合成ラテックスを9月15日納入分より値上げ
 値上げ幅は、アクリレート系ラテックス:50~100円/kg
 ソープフリーラテックス:500~800円/㎏
 NBR系ラテックス:50~100円/㎏
 SBR系ラテックス:50~100円/kg

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