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2023年5月25日号

2023.05.25 発行

HEADLINE

◆複合材料:古河電工がセルロース繊維強化樹脂「CELRe」を開発(5月19日)
◆バイオマス:出光興産、錦湖石油化学、住友商事がバイオマス製品のサプライチェーン構築に関する基本合意書を締結
 (5月17日)
◆紙添加剤:ハリマ化成が米国、ドイツ、中国の食品包装材料規制に準拠するポリアクリルアミド系紙力増強剤を開発
 (5月17日)
◆バイオマス:三菱ケミカルが植物由来のバイオエンプラ「DURABIO」のバイオマスプラスチック度を高めた新グレードの
 サンプル提供を開始(5月17日)
◆電池材料:三菱ケミカルが北米におけるリチウムイオン電池用電解液サプライチェーンの強化について米国の原料メーカーと
 協業検討を開始(5月16日)
◆樹脂:積水化学工業がポリビニルアセタール樹脂の生産能力を増強(5月16日)
◆電子材料:富士フイルムが台湾に最先端半導体材料の工場を新設(5月16日)
◆電池材料:BASFがリチウムイオン電池業界向けに負極用バインダー生産設備へ投資(5月16日)
◆樹脂添加剤:ユニチカがノンハロゲン系難燃PETマスターバッチを市場投入(5月15日)
◆電子材料:三井金属が次世代半導体実装用特殊キャリアの設備増強を発表(5月15日)
◆価格改定
・住友ベークライトが熱硬化性樹脂成形材料を5月21日出荷分より値上げ
・日本触媒が無水マレイン酸および有機酸類を6月1日出荷分より値上げ
・レゾナックがエチレン-酢酸ビニル系エマルジョンを6月1日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆複合材料:古河電工がセルロース繊維強化樹脂「CELRe」を開発(5月19日)
 古河電気工業は、強度と耐衝撃性を両立したセルロース繊維強化樹脂「CELRe(セルレ)」を開発したことを発表した。
 セルロース繊維のナノ化や疎水化を経由せず、熱可塑性樹脂にセルロース繊維を直接分散する独自プロセスを採用することで、必要とするエネルギーが少なく、低コストで製造が可能となる。マイクロオーダーのセルロース繊維(約300~700μm)を分散したCELReは、ベース樹脂(ポリプロピレン)より弾性率が向上し、熱膨張率が低下する。また、粉砕・成形を繰り返しても強度低下が少なく(4回で10%未満)マテリアルリサイクルが可能となる。従来のプラスチック成形機・金型で射出成形が可能である。
 セルロース繊維を51%含有するCELRe KCPグレードの他、強度と耐衝撃性を両立したCELRe DFグレードを展開し、従来のセルロース繊維強化樹脂が適用できなかった製品への適用が見込まれるとしている。

◆バイオマス:出光興産、錦湖石油化学、住友商事がバイオマス製品のサプライチェーン構築に関する基本合意書を締結(5月17日)
 出光興産、錦湖石油化学、住友商事の3社は、アジア市場におけるバイオマス化学製品のサプライチェーン構築と発展を目指し、バイオマスナフサ由来のスチレンモノマー(以下、バイオマスSM)の製造ならびにバイオマスSMを原料としたソリューションスチレンブタジエンゴム(以下、バイオマスSSBR)の製造に関する基本合意書を締結したと発表した。
 本事業では、出光興産がマスバランス方式で製造・供給するバイオマスSMを原料として、錦湖石油化学が高機能タイヤの原料となるバイオマスSSBRを製造する。住友商事は全体のマネジメントを実施するとともに、バイオマス製品のマーケティングを担う。バイオマスSSBRは2024年中に生産開始の予定としている。

◆紙添加剤:ハリマ化成が米国、ドイツ、中国の食品包装材料規制に準拠するポリアクリルアミド系紙力増強剤を開発(5月17日)
 ハリマ化成は、米国・FDA、ドイツ・BfR、中国・GB9685の三法規制に準拠する、新たなポリアクリルアミド(以下、PAM)系紙力増強剤「ハーマイドT2」を開発したと発表した。
 水溶性合成樹脂の一種であるPAMは、主に製紙用の乾燥紙力増強剤、原油の三次回収助剤、廃水処理用の凝集剤、濾水剤として用いられている。中でもPAM系紙力増強剤は、パルプを抄紙する工程において、段ボールの素材となる板紙や印刷用紙や食品包装用紙に必要となる乾燥紙力を向上させる薬品である。これは、古紙のリサイクル時に損なわれるパルプ繊維間の結合力を補い、再生された紙の強度を保つのに利用されている。
 今回開発されたハーマイドT2は、高分子量且つ両イオン性を有するPAM系紙力増強剤として世界で初めて三法規制に対応する間接食品添加物としての認証を取得したとしている。

◆バイオマス:三菱ケミカルが植物由来のバイオエンプラ「DURABIO」のバイオマスプラスチック度を高めた新グレードのサンプル提供を開始(5月17日)
 三菱ケミカルは、植物由来のバイオエンジニアリングプラスチック「DURABIO」について、バイオマスプラスチック度を高めた新グレード「D93シリーズ(開発品)」のサンプル提供を5月より開始したと発表した。
 今回サンプル提供を開始するD93シリーズ(開発品)のバイオマスプラスチック度は約74%であり、従来品で最も高かった「D73シリーズ」の約58%から15%以上向上している。
 DURABIOの特長である透明性、耐傷付き性、発色性などを保ちながら、従来品よりも高い耐熱性(荷重たわみ温度:131℃)や、アクリル樹脂に匹敵する表面硬度も有しており、情報電子機器、自動車部品、日用雑貨など幅広い分野への展開が可能である。
 三菱ケミカルは、今後もDURABIOのさらなる高機能化やコンパウンド品の技術開発を進め、高付加価値な機能商品を供給するとしている。

◆電池材料:三菱ケミカルが北米におけるリチウムイオン電池用電解液サプライチェーンの強化について米国の原料メーカーと協業検討を開始(5月16日)
 三菱ケミカルは、フッ素ケミカルメーカーのKoura社(米国)と、北米におけるリチウムイオン電池(LIB)用電解液のサプライチェーン強化などに向けた協業検討を実施する覚書を締結したと発表した。
 三菱ケミカルのLIB用電解液は、高い出力性を持ち、耐久性と安全性に優れていることから、車載用途への採用が拡大している。また、2022年に米国でインフレ抑制法が成立したことで、自動車メーカーと電池セルメーカーが車載用途電池の北米域内での現地製造や、部材・主原料の現地調達を進める動きが活発化している。同社ではその需要に応えるため、Koura社との協業による電解液のサプライチェーンの強化と技術の進化を図る。
 Koura社は米国初の電解液原料の六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の製造設備を建設し、2025年後半に稼働する予定としている。

◆樹脂:積水化学工業がポリビニルアセタール樹脂の生産能力を増強(5月16日)
 積水化学工業は、滋賀水口工場において、ポリビニルアセタール樹脂の生産能力を増強することを決定したと発表した。
 同社では、ポリビニルアセタール樹脂事業をグローバルに展開しており、各種バインダー、接着剤、インク、塗料など幅広い用途で使用されている。同社独自の生産技術により、品種の幅広いラインアップとロット間の高い安定性を実現し、特に電子部品向けセラミックバインダー用途では高いシェアを誇っている。
 近年、パソコン、スマートフォンなどの電子機器用途に加えEVなどの車載電子部品の増加に伴い、その需要は急速に拡大している。今後も、エレクトロニクス産業のみならず自動車産業においても市場伸長が継続的に見込まれていることから、同社は安定的な供給体制の構築を目指している。
 今回の投資金額は約20億円、生産能力は現状の約2割増強される。増産の開始は2025年度第4四半期(2026年1~3月)の予定としている。

◆電子材料:富士フイルムが台湾に最先端半導体材料の工場を新設(5月16日)
 富士フイルムは、電子材料事業をさらに拡大する為、台湾に最先端半導体材料の工場を新設すると発表した。
 半導体材料の台湾現地法人であるFUJIFILM Electronic Materials Taiwanが、台湾新竹市に新たな土地を取得し、CMPスラリーやフォトリソ周辺材料を生産する新工場を建設する。新工場の稼働は2026年春を予定している。また、台南市にある既存工場においても設備増強を実施し、建設中の新棟にCMPスラリーの製造設備などを導入し、2024年春に稼働させる計画である。新工場の建設と既存工場への設備増強をあわせた設備投資額は約150億円となる。
 半導体は、5G/6Gによる通信の高速・大容量化、自動運転の拡大、メタバースの普及などを背景に、年率約10%の市場成長と高性能化の進展が見込まている。同社は積極的な設備投資などにより事業成長を加速させ、2030年度には電子材料事業で5,000億円の売上を目指すとしている。

◆電池材料:BASFがリチウムイオン電池業界向けに負極用バインダー生産設備へ投資(5月16日)
 BASFは、電動自動車(EV)分野をはじめとするリチウムイオン電池市場の需要拡大を受け、負極用水系バインダーの生産に投資することを発表した。
 負極用バインダーは、小さいながらも電池の性能と安定性に大きく影響する重要な部品である。BASFの革新的なバインダーは電池の容量を高め、サイクル安定性を向上させ、電池の充電時間を短縮する点に特徴を有している。中国江蘇省と広東省にある既存のディスパージョン工場の改修により、高性能な負極用バインダーLicityとBasonal Powerの製品群を拡大することが可能となる。
 同社は、改修により年産10万トン超の負極用バインダーの生産能力を確保し、新たな製品群について2023年半ばから販売する予定としている。

◆樹脂添加剤:ユニチカがノンハロゲン系難燃PETマスターバッチを市場投入(5月15日)
 ユニチカと三光は、各種樹脂に難燃性を付与するノンハロゲン系難燃PETマスターバッチを開発したことを発表した。
 難燃製品の世界市場は繊維製品、電子部品、建築製品、自動車分野での需要の高まりを受けて、2030年まで年5%以上の成長が予測されている。ユニチカと三光はこの状況に対応するために、ノンハロゲン系難燃PETマスターバッチを市場投入するとともに、国内外に向けた積極的な販売体制を整えることにより、新規顧客開拓を進めていく。
 今後、ノンハロゲン系難燃PETマスターバッチは、衣料用繊維、インテリア関係、産業用資材、フィルム、シート、成形用途に対し採用拡大を進めていく。また、国内のみならず、アジア圏、欧州、北米を中心に海外顧客開拓を進めることで、3年後には売上高10億円を目指すとしている。

◆電子材料:三井金属が次世代半導体実装用特殊キャリアの設備増強を発表(5月15日)
 三井金属は、L/S=2/2μm以下の超高密度設計を実現できる次世代半導体実装用特殊キャリア「HRDP」について、ジオマテックの赤穂工場内に第2ライン導入の生産能力増強およびDOE設備(顧客デザインを検証することで、様々な課題を事前に把握し解決する為の開発設備)の拡充に関わる投資を決定したと発表した。
 現在、主要な大手半導体メーカー複数社において、HRDPを適用した次世代半導体パッケージ開発が本格的に開始されているが、さらなる品質向上と生産能力増強のため、2025年稼働予定で本設備増強を決定した。なお、第2ラインの成膜工程部分については、協働しているジオマテックが同社と同時期に設備投資を実施するとしている。

◆価格改定
・住友ベークライトが熱硬化性樹脂成形材料を5月21日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、スミコンPM、スミコンEM:25円/kg以上
スミコンTM:30円/kg以上
・日本触媒が無水マレイン酸および有機酸類を6月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、無水マレイン酸:20円/kg以上、コハク酸:40円/kg以上
 コハク酸二ナトリウム:50円/kg以上、フマル酸一ナトリウム:50円/kg以上
・レゾナックがエチレン-酢酸ビニル系エマルジョンを6月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、18円/kg

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