メールマガジン

2023年5月11日号

2023.05.11 発行

HEADLINE

◆電子材料:富士フイルムが欧州の半導体材料工場の製造設備を増強(4月28日)
◆化粧品材料:大日精化工業が高ソフトフォーカス性/高乳化安定性を持つセルロースパウダーを開発(4月28日)
◆ゴム製品:三ツ星ベルトがインドの新工場を稼働開始(4月28日)
◆電子材料:AGCエレクトロニクスがEUV露光用フォトマスクブランクスの生産能力を増強(4月27日)
◆ナノファイバー:日本製紙がTEMPO酸化CNFの粉体品を開発、サンプル提供を開始(4月27日)
◆リサイクル:旭化成とマイクロ波化学がマイクロ波を用いたポリアミド66のケミカルリサイクルの共同実証試験を開始
 (4月27日)
◆CO2回収:日揮がLNG未利用冷熱を活用した大気中のCO2を直接回収するDACの技術確立に向けパイロット装置の開発に
 着手(4月26日)
◆半導体:凸版印刷がパワー半導体向けの受託製造ハンドリングサービスを2023年4月より提供開始(4月28日)
◆セメント:トクヤマがセメントキルン1系列停止の検討を開始(4月28日)
◆電子材料:ADEKAが先端半導体メモリ向け高誘電材料の生産設備を増強(4月27日)
◆CO2回収:東ソーが南陽事業所にCO2回収および原料化設備を新設(4月27日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
・ユニチカがスパンレース不織布を6月1日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆電子材料:富士フイルムが欧州の半導体材料工場の製造設備を増強(4月28日)
 富士フイルムは、電子材料事業をさらに拡大するため、欧州の半導体材料工場の製造設備を増強すると発表した。
 半導体は、5G/6Gによる通信の高速・大容量化、自動運転の拡大、メタバースの普及などを背景に、年率約10%の市場成長と高性能化の進展が見込まれている。同社の中期経営計画では、電子材料事業において研究開発と設備投資をあわせて1,100億円(3年間累計)の成長投資を計画している。
 今回、伸張する欧州の半導体市場などに対して製品供給能力を拡大するため、ベルギーにある半導体材料工場に約45億円の設備投資を行う。製造タンクや品質評価機器を導入し、最先端半導体材料の生産能力を大幅に増強する。
 また、クリーンルームを増設するなど、研究開発や品質保証を行う設備を拡張する。半導体製造の前工程のみならず後工程でも需要が高まるポリイミドなどの新規開発を加速するとともに、品質保証体制をより強化する。いずれの設備も、2025年に稼働する予定としている。

◆化粧品材料:大日精化工業が高ソフトフォーカス性/高乳化安定性を持つセルロースパウダーを開発(4月28日)
 大日精化工業は、2021年の「RUBLALEAF KCX-1500」、「同 KCX-5000」、「同 KCX-6000」に続き、天然素材系の化粧品用セルロースパウダー「RUBLALEAF KCX-7000」及び「同 KCX-5000L1」を開発したことを発表した。
 両品とも天然素材でありながらさらに、真球状で平滑な表面を実現しており、ファンデーションなどに使用した場合、無機粒子にはない滑らかでしっとりとした感触を付与することができる。
 RUBLALEAF KCX-7000は、セルロースを原料とした天然素材系ビーズで、アルミナを内包することにより、「高いソフトフォーカス性」を実現する。
 RUBLALEAF KCX-5000L1 は、親水性の高いセルロースを水添レシチンで処理することにより、親水・親油バランスを良くし、乳化安定に寄与する。処理剤を含め天然系でありながら、エステルオイルや炭化水素系のオイルへの分散性の向上を達成している。また卵アレルギー反応の懸念もない。
 同社は今後、欧州、日本、アメリカをはじめ、世界の化粧品・OEM メーカーに提案し、順次ラインナップ拡充を進めるとしている。

◆ゴム製品:三ツ星ベルトがインドの新工場を稼働開始(4月28日)
 三ツ星ベルトは、インドの関係会社であるMITSUBOSHI BELTING-INDIAの新工場が竣工し、稼働を開始したと発表した。
 インド市場での自動車や二輪車向けベルトの需要拡大へ対応するために、生産能力は旧工場に比べて約3倍に拡大しており、将来的には約5倍に増やす計画である。また、新工場を輸出拠点とすることも視野に入れているとしている。

◆電子材料:AGCエレクトロニクスがEUV露光用フォトマスクブランクスの生産能力を増強(4月27日)
 AGCの100%子会社であるAGCエレクトロニクスは、EUV露光用フォトマスクブランクス(以下、EUVマスクブランクス)の生産能力を増強すると発表した。
 EUVマスクブランクスは、微細な半導体の製造工程であるEUV露光工程に必要とされるものであり、今後、高性能半導体の生産拡大に伴い、EUVマスクブランクスの需要は大幅な拡大が見込まれている。
 2024年1月より稼働を開始し、段階的に生産能力を増強することで、AGCグループのEUVマスクブランクス生産能力は2025年に現在の約30%増となる。
 AGCは、「ガラス材料」から「コーティング」までを一貫して手掛けることができるEUVマスクブランクスメーカーとして、今後も大きな需要が見込まれるEUVマスクブランクス事業への積極的な設備投資を実施し、2025年には売上高40億円以上を目指すとしている。

◆ナノファイバー:日本製紙がTEMPO酸化CNFの粉体品を開発、サンプル提供を開始(4月27日)
 日本製紙は、約3nmの完全に均一な繊維幅にナノ分散した超極細繊維であるTEMPO酸化CNFシリーズにおいて、水分散タイプのTC-02Xの乾燥粉体品で、水への再分散性に優れ、CNF100%である「CellenpiaTD-02X」を開発し、サンプル提供を開始すると発表した。
 同品は、水に再分散した時に、シングルナノファイバー水分散液として、高透明度、高アスペクト比、チキソ性等のユニークなレオロジー挙動、および懸濁安定性を発揮し、水分散体で提供しているTC-02Xと同様の特性を示す。今回、粉体での提供となることで、物流費を大幅に削減できるとともに、保管・保存が容易となり、海外市場への展開も含めて適用範囲が大きく広がることが期待される。
 日本製紙では各工場でCNFを生産しており、今後も新素材・CNFの市場創出を加速し、減プラスチックの構築や地球温暖化対策に貢献するとしている。

◆リサイクル:旭化成とマイクロ波化学がマイクロ波を用いたポリアミド66のケミカルリサイクルの共同実証試験を開始(4月27日)
 旭化成およびマイクロ波化学は、マイクロ波技術を用いて、自動車向けエアバッグ、自動車部品等に使用されるポリアミド66の製造工程で発生する端材、使用済み廃材をマイクロ波を用いて解重合し、直接モノマーに戻すケミカルリサイクル技術の実用化を目指した共同実証試験を開始したと発表した。
 ポリアミド66は、自動車や電子製品向けの樹脂部品、エアバッグ向けの基布などの幅広い用途において使用されており、今後も世界的な需要は増加すると予想されている。
 同社らは今後、小型実証試験の結果をもとに詳細検討を進め、2025年度までに事業化の可能性を判断するとしている。またそれと並行してポリアミド66のケミカルリサイクルにおいて、バリューチェーン全体を巻き込んだビジネスモデル構築を行い、サーキュラーエコノミーの実現を目指すとしている。

◆CO2回収:日揮がLNG未利用冷熱を活用した大気中のCO2を直接回収するDACの技術確立に向けパイロット装置の開発に着手(4月26日)
 日揮ホールディングスの国内EPC事業会社である日揮は、液化天然ガス(LNG)未利用冷熱を活用した大気中のCO2分離回収:DAC(Direct Air Capture)の技術確立に向けたベンチスケール(試験装置)の詳細設計を完了し、パイロット装置の開発に着手することを発表した。
 日揮は、名古屋大学などの提案が2020年8月にNEDOの委託事業「ムーンショット型研究開発事業に採択されたことを受け、名古屋大学の再委託先として2021年11月から本事業に参画し、DACの技術開発に取り組んでいる。本事業では、LNGの未利用冷熱をDACに活用することにより、先行技術を凌駕するエネルギー効率で高純度かつ高圧CO2の回収を可能とする技術「Cryo-DAC」の確立を目指している。
 将来的には、装置を一層スケールアップし、2029年度末に商用プラントの概念設計を完了させる予定としている。

◆半導体:凸版印刷がパワー半導体向けの受託製造ハンドリングサービスを2023年4月より提供開始(4月28日)
 凸版印刷は、パワー半導体の安定供給を支援する受託製造ハンドリングサービスを2023年4月より提供開始したと発表した。
 同サービスでは、ウェハ製造キャパシティの確保が困難な車載・産業機器・ファクトリーオートメーション向けをはじめとするパワー半導体を対象として、デバイスメーカーが保有するウェハ製造プロセスのポーティングとウェハ製造を凸版印刷が受託する。
 同社では、まずは6インチウェハプロセスのポーティングおよび製造代行からサービスを開始し、ウェハ製造に関わる部分的な加工のみにも対応する。その後、2024年度内には8インチウェハプロセスにも拡大させると同時に、半導体設計の子会社であるトッパン・テクニカル・デザインセンターによる、パワー半導体の設計から製造までを請け負うターンキーサービスの提供も開始する予定である。こうしたサービスの関連受注を含め、2027年度に30億円の売り上げを目指すとしている。

◆セメント:トクヤマがセメントキルン1系列停止の検討を開始(4月28日)
 トクヤマは、国内のセメント需要の漸減傾向という外部環境の下、セメント事業の収益力強化のための施策として、キルン(セメント焼成に用いる筒状の窯)1系列停止の検討を開始したことを発表した。
 同社は現在、徳山製造所南陽工場(山口県)にて3系列のキルンを保有している。生産能力は合わせて 454万トン/年(クリンカ製造能力として)である。国内のセメント需要の漸減や原燃料価格の高止まり等、外部環境の変化に応じた収益力強化のため、同社として適正なセメントの生産体制を構築することが求められている。そのため、今後の国内需要動向を鑑み、同社のセメント事業の収益力強化の観点で、外部への影響等を総合的に勘案し、生産体制の最適化に向けキルン1系列の停止について検討していく。
 今後の見通しとして、現時点で決定した事実はないものの、検討の結果については、決定次第、速やかに公表するとしている。

◆電子材料:ADEKAが先端半導体メモリ向け高誘電材料の生産設備を増強
(4月27日)
 ADEKAは、連結子会社ADEKA KOREAにて、先端半導体メモリ向け高誘電材料「アデカオルセラ」シリーズの生産設備増強を決定したことを発表した。
同品は、半導体の微細化に欠かせない製品群として現行世代からさらに数世代にわたって使用される見通しであるため、積極投資を実行している。
 今回、半導体材料の新たな需要に応えるため、「アデカオルセラ」シリーズのラインナップ拡充を目的として生産設備を増強する。今回の投資額は21億円、営業運転開始は2023年度中の予定としている。

◆CO2回収:東ソーが南陽事業所にCO2回収および原料化設備を新設(4月27日)
 東ソーは、CO2を回収し、原料として使用する設備を南陽事業所(山口県)に設置することを発表した。
 同社は、イソシアネート製品(ポリウレタンの原料となるMDI等)の原料としてナフサ由来の一酸化炭素(CO)を製造している。今回設置する設備では、同社技術によるCO2回収プロセスを用いて年間約4万tのCO2を燃焼ガスから回収し、CO製造原料として有効利用する。本設備では、回収したCO2を同社主力製品であるイソシアネート製品の原料として使用する計画で、2024年秋頃の運転開始を予定している。
 また、CO2回収プロセスでは、回収剤として同社が自社開発した高耐久性CO2回収アミン液を採用している。2022年夏より自社実証試験設備での検証を行ってきており、今後は商業スケール設備での運用によりCO2の削減と有効利用を達成すると同時に、更なる性能向上を図り、CO2回収アミン液の外販に向けた取り組みも推進していくとしている。

◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
 5月契約価格は、975$/t(前月比±0$/t)
 国内価格換算想定値は136.8円/kg
・ユニチカがスパンレース不織布を6月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、40円/kg

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