メールマガジン

2023年4月20日号

2023.04.20 発行

HEADLINE

◆バイオポリマー:BASFが2023年中頃にアジア太平洋地域でのバイオポリマーの生産能力を確立(4月14日)
◆電子材料:東洋炭素がTaC被覆黒鉛製品の生産能力を増強(4月14日)
◆水素:出光興産が廃棄物由来の国産クリーン水素製造の事業化を検討(4月13日)
◆CO2利用:積水化学と地球環境産業技術研究機構(RITE)がNEDOのグリーンイノベーション基金事業に採択(4月13日)
◆電子材料:東レがレアアースレスでの高耐久性ジルコニアボールの量産技術を開発(4月12日)
◆電池材料:住友金属鉱山が次世代正極材料向けパイロット設備導入と電池研究所第2開発棟の建設を決定(4月12日)
◆バイオポリマー:双日プラネットとサンエー化研がバイオマスポリエチレンを配合したポリ塩化ビニルベースの医薬錠剤
 包装PTPシートの販売を開始(4月11日)
◆電池材料:DICがリチウムイオン電池の負極用水系バインダーを開発(4月11日)
◆リサイクル:帝人フロンティアがポリウレタン弾性繊維の除去技術を開発(4月10日)
◆有機:BASFが中国でアクリル酸およびアクリル酸エステルの生産設備の建設に着工(4月10日)
◆価格改定
・東亞合成がアクリルモノマー製品を4月17日出荷分より値上げ
・T&K TOKAがオフセットインキ及び関連製品を5月1日出荷分より値上げ
・デンカがABS樹脂、デンカIP、透明樹脂、クリアレンを5月1日納入分より値上げ
・リケンテクノスが業務用ラップ類、小巻ラップ類(塩ビ製、PO製 等)を5月8日出荷分より値上げ
・大倉工業が合成樹脂製品を5月21日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆バイオポリマー:BASFが2023年中頃にアジア太平洋地域でのバイオポリマーの生産能力を確立(4月14日)
 BASFは、アジアの顧客へのサポートをより充実させるため、バイオポリマーであるecovio(エコバイオ)の生産設備を中国・上海に設置することを発表した。
 同品は、国際規格や各国の規格に基づいて認定された高品質のバイオポリマーであり、工業用コンポストや家庭用コンポストのほか、農地でも微生物によって生分解される。
 評価、検証が順調に完了でき次第、2023年半ば以降にアジア太平洋地域全土での量産販売が可能となる。最初に販売されるコンパウンド製品には、生分解性認証を受けたレジ袋や有機ゴミ袋、生分解されて土に返る農業用マルチフィルム、包装材向けのフィルム用グレードが含まれる予定である。これにより、顧客はBASFの革新的なバイオポリマーとサービスをより短い納期で調達し、現地のプラスチック規制の動きにも速やかに対応可能になるとしている。

◆電子材料:東洋炭素がTaC被覆黒鉛製品の生産能力を増強(4月14日)
 東洋炭素は、SiC半導体市場の需要に対応するため、TaC(炭化タンタル)被覆黒鉛製品の生産能力増強に向けた設備投資を決定したと発表した。
 同社のTaC被覆黒鉛製品は、SiC(炭化ケイ素)コーティング黒鉛製品に比べ、より耐熱性に優れていることから、より高温で使用されるSiCウエハーのエピタシャル製造工程等で使用されており、市場の成長にともない需要が高まっている。現在同社は、大野原生産技術センター内にTaC被覆黒鉛製品の製造設備を保有している
 今回の設備投資により処理能力を2023年度比で約2倍に引き上げる。稼働時期は2025年の予定としている。

◆水素:出光興産が廃棄物由来の国産クリーン水素製造の事業化を検討(4月13日)
 出光興産は、2021年に出資したH-Cycle社(以下 HC社)と協働し、本年4月に都市ごみ等廃棄物を原料とした国産クリーン水素製造の事業化を検討すると発表した。
 出光興産とHC社が、事業化検討を開始した水素製造は、日本国内で排出される都市ごみなどの廃棄物を原料とし、HC社が日本で独占的に展開する権利を持つプラズマによるガス改質を用いたガス化改質炉を使用することで、廃棄物を高効率で水素に変換する。
 製造するクリーン水素は、産業用途や燃料電池車などのモビリティ用途のみならず、合成燃料の原料としての活用も想定している。
 出光興産は今後、各地域の自治体、設備運営・保守等を担うパートナー企業などの協力も得て製造事業の実用化検討を進め、約200~300トン/日の廃棄物を処理して水素を製造する初期プラントを2030年代前半に建設することを目指すとしている。

◆CO2利用:積水化学と地球環境産業技術研究機構(RITE)がNEDOのグリーンイノベーション基金事業に採択(4月13日)
 積水化学とRITEは、NEDOのグリーンイノベーション基金「バイオものづくり技術によるCO2を直接原料としたカーボンリサイクルの推進」に共同で応募し、「バイオものづくり技術によるCO2を原料とした高付加価値化学品の製品化」が実施予定先として採択されたと発表した。
 本プロジェクトでは、茨城県ひたちなかの東海クリーンセンターの最終排ガスからCO2を濃縮し、ケミカルルーピング反応技術を活用してCOを製造する。そのCOから芳香族化合物を生産可能な微生物をCO資化菌の育種により開発し、培養制御し(バイオ生産技術)、芳香族化合物を高効率に生産する技術(バイオプロセス開発)などと融合し、統合生産プロセスを確立する。また、スケールアップ検討を行い、廃棄物処理施設から排出される燃焼排ガスから高機能接着剤の連続製造を可能とするプラントを建設し、実用化を目指す。
 現時点でもバイオ化ニーズが顕在化している高機能接着剤をターゲットに定め、2030年に年間33トンのCO2を利用した事業開始を目指す。また、この技術を用いた芳香族化合物(モノマー)の販売や、さらには多様なポリマーの作製技術につなげ、世界のバイオ化を牽引することを目指すとしている。

◆電子材料:東レがレアアースレスでの高耐久性ジルコニアボールの量産技術を開発(4月12日)
 東レは、世界で初めてレアアースレスを実現する高耐久性ジルコニアボールの量産技術を開発したと発表した。
 近年、スマートフォンの高機能化に伴い、製品を構成する原材料の信頼性・供給安定性向上が求められている。また、EVなどに使用されるLIBの電極材用途では、コストダウン要求が厳しく、劣化に強く摩耗しにくい製品が求められていた。
 東レは、一部組成を再設計することで結晶構造劣化を最小限に抑え、耐久性が大幅に向上したジルコニアボール量産技術の開発に成功した。加えて、従来のジルコニアボールは組成の一部にレアアースのイットリアが採用されていたが、同開発品は産出国が限定されない非レアアースの素材を採用しており、原材料の調達不安の解消にも繋がる。
 同社は2023年度初頭からサンプルワークを開始し、年度内の量産化を目指すとしている。また、高耐久性を活かし、ジルコニアボール表面の再研磨によるリサイクル利用も視野に入れるとしている。

◆電池材料:住友金属鉱山が次世代正極材料向けパイロット設備導入と電池研究所第2開発棟の建設を決定(4月12日)
 住友金属鉱山は、電池材料事業の拡大に資する高性能かつ低コスの正極材料およびその製造プロセスを開発する研究開発基盤を強化するため、パイロット設備の導入とそれらの設備を収容する建屋の建設を決定したと発表した。
 同設備では、全固体電池用正極材料をはじめとする次世代正極材料および新しい製造プロセス開発を目指したパイロット規模での実証試験に取り組む。また、これら新プロセスのパイロット設備を収容するための建屋として、電池研究所第 2開発棟を愛媛県新居浜市に建設する予定である。建屋は、新居浜研究所に隣接する場所に設置され、3階建てで延べ床面積は約3,000㎡を計画している。
 同設備の建設は2023年12月に開始し、2025年12月に完成する予定としている。

◆バイオポリマー:双日プラネットとサンエー化研がバイオマスポリエチレンを配合したポリ塩化ビニルベースの医薬錠剤
包装PTPシートの販売を開始(4月11日)
 双日プラネットとサンエー化研は、世界で初めて医薬錠剤包装用のポリ塩化ビニル(以下、 PVC)ベースPTPシートにバイオマス(サトウキビ廃糖蜜)由来のポリエチレン(以下、PE)を配合した「Medi Green」の販売を開始したと発表した。
 医薬品業界では、医薬品包装資材であるPTPシートに年間約14千トンのプラスチックが使用されており、CO2削減のため、バイオマス由来プラスチックへの代替が課題となっている。
 同製品は、PTPシートの原料のうち最も使用されているPVCベースに世界で初めてバイオマスPEを配合している。これにより、従来通りの高い成型性・生産性を維持しつつ、従来の化石資源由来PVCベースのPTPシートと比較して、20%以上のCO2 削減効果を期待できるとしている。

◆電池材料:DICがリチウムイオン電池の負極用水系バインダーを開発(4月11日)
 DICは、リチウムイオン電池(以下、LIB)の負極用水系バインダー「WATERSOL(ウォーターゾール)-LB」を開発したことを発表した。
 現在、広く使われている負極用バインダーは、高温や低温環境では劣化しやすく、高容量化のためのシリコン系活物質の膨張収縮に対応しにくいなどの課題がある。開発品は、LIBの負極向けアクリル系合成樹脂バインダーであり、溶剤系に比べ製造時の環境負荷が低い水系の製品である。同開発品は従来品と比較し、高温(45℃)および低温下(-10℃)での充放電時の容量維持において、数倍の改善が見られるなど、環境変化への適応性に優れている。また、LIBの内部抵抗の低減を可能にし、低容量から高容量の幅広い容量帯の負極材に適応する。これらの要求性能を満たすことで、LIBの長寿命化に貢献する。
 現在サンプルワークを開始しており、今後、日本、中国、米国、欧州地域での販売を視野にグローバルでの供給体制を確立し、2025年には売上高10億円を目指すとしている。

◆リサイクル:帝人フロンティアがポリウレタン弾性繊維の除去技術を開発(4月10日)
 帝人フロンティアは、ポリエステルのケミカルリサイクルにおいて、前処理工程に新たな処理剤を用いることで、ポリエステル衣料品からポリウレタン弾性繊維(PU弾性繊維)を除去する異素材除去技術を開発したことを発表した。
 今回開発した異素材除去技術では、新たな処理剤によりPU弾性繊維を膨潤させ、化学結合を切断し、溶解することで、ポリエステル繊維へ影響を与えず、PU弾性繊維を除去することが可能となる。この新たな処理剤は同時に染料を含む異物も除去し、脱色工程を兼ねることが可能である。
 このことにより、従来では困難であったPU弾性繊維を含むポリエステル衣料品から、高品質なリサイクルポリエステルを生産することが可能となる。また、この前処理工程では衣料品の脱色も可能となることから、効率的なリサイクル工程を構築することが可能になるとしている。

◆有機:BASFが中国でアクリル酸およびアクリル酸エステルの生産設備の建設に着工(4月10日)
 BASFは、中国の広東省湛江市の新たなフェアブント(統合生産拠点)で、精製アクリル酸(GAA)、アクリル酸ブチル(BA)、およびアクリル酸2エチルヘキシル(2-EHA)の工場を含む、新たな生産設備を着工したと発表した。
 アクリル酸は、高吸水性樹脂を製造するための原料である。アクリル酸エステルの一種であるアクリル酸ブチルは、接着剤や建築用塗料、工業用塗料の製造に使用されている。アクリル酸2エチルヘキシルは、接着剤や塗料の原料となっている。湛江フェアブント拠点での一貫生産により、中国とアジア太平洋地域で急速に成長するアクリル酸のバリューチェーンに対応する。
新たな生産拠点は、2025年までに稼働し、年間生産能力はBAが約40万トン、2-EHAが約10万トンの予定としている。

◆価格改定
・東亞合成がアクリルモノマー製品を4月17日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、
 アクリル酸イソブチル:20円/kg以上
 アクリル酸 2-メトキシエチル(アクリックス C-1):60円/kg 以上
・T&K TOKAがオフセットインキ及び関連製品を5月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、UVインキ:200円/kg以上、枚葉インキ:150円/kg以上
 オフリンインキ:100円/kg以上 (いずれも中間色、OPニス含む)
 ※特殊品(特練含む)、特殊容器使用品については上記改定幅と異なる場合あり
・デンカがABS樹脂、デンカIP、透明樹脂、クリアレンを5月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、30円/kg以上

TOPへ戻る