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2023年12月21日

2023.12.21 発行

HEADLINE

◆電子材料:三井化学とimecがEUV露光用CNTペリクル技術の事業化に向けた戦略的パートナーシップ契約を締結
 (12月15日)
◆非鉄金属:三菱マテリアルのインドネシア子会社が銅精鉱の処理能力拡張を完工(12月15日)
◆電子材料:藤森工業が偏光板用プロテクトフィルムの生産能力を増強(12月14日)
◆樹脂等:ポリプラ・エボニックが新工場の起工式を開催(12月14日)
◆電子材料:トクヤマが半導体用多結晶シリコン事業の合弁契約を締結(12月13日)
◆脱水膜:旭化成が有機溶媒を非加熱・非加圧で脱水できる新規の脱水膜システムを開発(12月13日)
◆有機化合物:花王が発酵生産によるバイオ芳香族化合物「没食子酸」の販売を開始(12月13日)
◆電子材料:三井金属がパッケージ基板用キャリア付極薄銅箔の生産体制を増強(12月12日)
◆電子材料:大日本印刷が3ナノメートル相当のEUVリソグラフィ向けフォトマス区製造プロセスを開発(12月12日)
◆CO2対策:住友化学がCO2からメタノールを高効率に製造する実証に向けたパイロット設備の運転を開始(12月12日)
◆電子材料:三井化学が新たな研究開発拠点を開設(12月11日)
◆電子材料:三井化学がARグラス向けの光学樹脂ウエハを開発(12月11日)
◆価格改定
・東レがポリオレフィン発泡体「トーレペフ」を1月5日出荷分から値上げ
・レゾナックが不飽和ポリエステル樹脂「リゴラックBMC」を1月16日納入分より値上げ
   
   

WEEKLY NEWS

◆電子材料:三井化学とimecがEUV露光用CNTペリクル技術の事業化に向けた戦略的パートナーシップ契約を締結(12月15日)
 三井化学とベルギーのナノエレクトロニクス・デジタル技術の最先端研究開発機関であるimecは、極端紫外線(EUV)露光用のカーボンナノチューブ(CNT)膜を使用した次世代ペリクルの事業化に向けた戦略的パートナーシップ契約を締結したことを発表した。
 本パートナーシップ契約は、CNT膜とペリクルを共同開発するもので、imecは三井化学での事業化に向けたコンサルテーションとEUV露光機での評価を行う。同ペリクルは、EUV露光中の汚染からフォトマスクを保護するよう設計され、高いEUV透過率(≧94%)、非常に低いEUV反射率等の優れた光学特性、先端半導体製造における高い歩留まりとスループットに不可欠な特性を有する。また、CNTペリクルは1kWを超えるEUV露光出力にも耐えられることから、ASML社の露光機革新のロードマップにある次世代EUV露光機(>600W)に対応している。
 本提携により、三井化学は自社のCNTペリクル技術にimecの持つCNTペリクルの基盤技術を融合させ、2025年から2026年をターゲットに高出力EUV露光向け製品の導入を目指すとしている。

◆非鉄金属:三菱マテリアルのインドネシア子会社が銅精鉱の処理能力拡張を完工(12月15日)
 三菱マテリアルの連結子会社であるインドネシア・カパー・スメルティング社(以下PTS)は、同社グレシック製錬所において、銅精鉱の処理能力拡張を進め、当初の予定通り年内に拡張を完工し、2024年初めから増産体制に移行すると発表した。
 拡張完工により、グレシック製錬所における年間銅精鉱処理量1.3百dmt(現行1.0百万dmt)に増強され、年間電気銅生産能力も342千mt(現行300千mt)に向上する。
 PTSのグレシック製錬所は、同社が特許を有する連続製錬プロセスである「三菱連続製銅法」を用いた、日本国外の銅製錬所の一つである。同社は、インドネシアで最初の銅製錬プロジェクトであるPTSに1990年代より参画してきた。
 今回の増産体制移行後も、インドネシアの銅のサプライチェーンにおいて重要な役割を担うPTSの操業を引き続き支援するとしている。

◆電子材料:藤森工業が偏光板用プロテクトフィルムの生産能力を増強(12月14日)
 藤森工業は、液晶ディスプレイ製品の大画面化と世界的な需要増に対応するために、偏光板用プロテクトフィルムの設備投資を行うと発表した。
 投資額は沼田事業所(群馬県)が135億円、ZACROS TAIWAN(台湾)が10億円の合計145億円となっており、それぞれ2026年度下期、ならびに2025年度上期に生産開始を予定している。
 今回の投資で、ZACROS TAIWANにおける既存塗工機の改造(1,700mm幅対応)と沼田事業所に最大3,000mm幅に対応する塗工機を新設することで、生産能力を面積ベースで約1.3 倍まで引き上げるとしている。

◆樹脂等:ポリプラ・エボニックが新工場の起工式を開催(12月14日)
 ポリプラ・エボニックは、兵庫県姫路市のダイセル姫路製造所網干工場内で、新工場の起工式を開催したと発表した。
 現在、ポリプラ・エボニック社の網干工場はダイセル網干工場敷地内に位置しているが、今後の製造能力増強のため、同工場内の異なる場所に2025年中の完成を目指して新工場の工事が進められる。また、工事完了後、製造設備は順次新工場に移設するが、既存の製造設備および製造工程に変更はないとしている。

◆電子材料:トクヤマが半導体用多結晶シリコン事業の合弁契約を締結(12月13日)
 トクヤマは、取締役会において、OCI Company(韓国、以下「OCI」)とのマレーシアにおける半導体用多結晶シリコンの半製品の共同生産に関する合弁契約を締結し、合弁会社を設立することを決議したと発表した。
 同合弁事業は半導体用多結晶シリコンの半製品の共同生産に関する合弁会社(生産能力:年間約8,000トン、投資額:約300百万USドル、生産能力は将来的に年間約10,000トンにする計画)を設立するものであり、製品化と販売については各社が独自に行う。
 合弁会社の資本金は168百万USドルであり、設立は2024年4月の予定としている。

◆脱水膜:旭化成が有機溶媒を非加熱・非加圧で脱水できる新規の脱水膜システムを開発(12月13日)
 旭化成は、医薬品原薬等を含む有機溶媒を、非加熱・非加圧で脱水するための独自の脱水膜システムを開発し、本脱水膜システムの医薬品製造プロセスへの適用に向けた検証のため、小野薬品工業との共同評価を開始したことを発表した。
 医薬品製造プロセスでは、禁水反応や晶析等を行うために、医薬品原薬やその中間体を含む有機溶媒を脱水し、溶媒中の水分量を管理する必要がある。しかし、従来の脱水技術である減圧蒸留法は加熱を必要とするため、「熱に弱い医薬品中間体等の品質が低下する」「所要時間が長い」「エネルギー消費量が大きい」といった課題があった。
 今回、医薬品製造プロセス用途の「有機溶媒の脱水」に適した中空糸膜を用いた脱水膜システムを新たに開発した。同脱水膜システムは、有機溶媒にも使用可能であり、非加熱・非加圧の状態で、熱に弱い医薬品中間体等の品質低下を抑制して有機溶媒から脱水できる。
 今後、同脱水膜システムの特長を活かしたさらなる適用場面を見出し、2027年の販売開始を目指すとしている。

◆有機化合物:花王が発酵生産によるバイオ芳香族化合物「没食子酸」の販売を開始(12月13日)
 花王は、微生物を利用した発酵生産によって糖からバイオ没食子酸を製造することに成功し、2023年12月から日本での販売を開始すると発表した。
 没食子酸は、植物ポリフェノールのひとつで、ボイラー用防サビ剤や半導体の回路形成の原料などに幅広く利用されている工業的に重要な芳香族化合物である。しかし、現在、没食子酸はウルシ科植物にフシムシが寄生してできる虫こぶ(五倍子)から抽出して製造するため、収量が天候に左右されやすく、生産地も限定されている。また、没食子酸をはじめとする芳香族化合物の人工的な製造についても、複雑な工程が必要なため、これまで商業的な製造例は限られていた。しかし、同社は発酵生産技術により、没食子酸を高効率で生産することに成功し、国内の販売を開始することとした。
 今後はバイオ没食子酸のアジアや欧州など海外での販売も予定している。また、将来的には没食子酸以外の芳香族化合物の発酵生産も行う予定としている。

◆電子材料:三井金属がパッケージ基板用キャリア付極薄銅箔の生産体制を増強(12月12日)
 三井金属は、パッケージ基板用キャリア付極薄銅箔について、上尾事業所の生産能力を50万㎡増強し月産250万㎡としたことを発表した。
 同社のキャリア付極薄銅箔「MicroThin」は、微細回路形成に適した1.5μm~5μmの銅箔厚みと複数種類の微細な粗化処理を組み合わせた製品であり、主にパッケージ基板、スマートフォン用マザーボード(HDI プリント基板)に使用されている。
 パッケージ基板用「MicroThin」は、スマートフォンでは 5G 対応などの高機能化に伴い採用される搭載部品が増加しており、またスマートフォン以外でもデータセンターや車載向けメモリー基板用途等の採用拡大により需要が伸長していくと考えられている。
 生産能力を月産200万㎡から250万㎡へと大幅な増強を実現したことにより現在のマレーシア工場の生産能力の月産240万㎡と合わせた同社トータルの生産能力は、月産490万㎡となり需要増に対して十分対応可能な体制が整ったとしている。

◆電子材料:大日本印刷が3ナノメートル相当のEUVリソグラフィ向けフォトマスク製造プロセスを開発(12月12日)
 大日本印刷(以下、DNP)は、半導体製造の最先端プロセスのEUVリソグラフィに対応した、3nm相当のフォトマスク製造プロセスを開発したことを発表した。
 近年、EUV光源を用いるEUVリソグラフィの技術が確立し、最先端のロジック半導体ではEUVリソグラフィによる生産が進んでいる。2023年には3nmのロジック半導体を採用した製品が提供されるなど、半導体の回路線幅の微細化は今後も進むと予想されている。また、メモリ半導体においてもEUVリソグラフィの採用が進んでおり、最先端半導体の供給にEUV対応が欠かせないものとなってきている。
 DNPは、今回開発した3nm相当のEUVリソグラフィ向けフォトマスクを世界中の半導体メーカーのほか、半導体開発コンソーシアム、製造装置メーカー、材料メーカー等へ提供するとともに、EUVリソグラフィの周辺技術開発も支援し、2030年には年間100億円の売上を目指す。またDNPは、imecをはじめとしたパートナーとの共同開発を通じて、3nmより微細な2nm以降のプロセス開発も進めていくとしている。

◆CO2対策:住友化学がCO2からメタノールを高効率に製造する実証に向けたパイロット設備の運転を開始(12月12日)
 住友化学は、CO2からメタノールを高効率に製造する実証に向けたパイロット設備を愛媛工場に新設し、運転を開始したと発表した。
 CO2を回収利用する技術(以下、CCU)は、近年、開発と普及が期待されており、特に、プラスチックや接着剤、薬品、塗料など、多様な製品の原料であるメタノールをCO2から製造する技術は、CCUの代表的な存在である。しかし、従来のCO2からのメタノール製造には、可逆反応であることによる収率の低さや、副生する水による触媒劣化といった課題があった。
 同社は、島根大学 総合理工学部が研究を進めてきた内部凝縮型反応器(以下、ICR)に着目し、共同開発を進めることで、これらの問題を解決した。ICRでは、既存技術では難しかった反応器内でのメタノールや水の凝縮分離が可能であり、これにより、収率の向上、設備の小型化、省エネルギー化につながるとともに、触媒劣化の抑制も期待できる。
 同社は、2028年までには実証を完了し、2030年代の事業化、および、他社へのライセンス供与を目指すとしている。

◆電子材料:三井化学が新たな研究開発拠点を開設(12月11日)
 三井化学は、半導体・実装領域における顧客との共創によるソリューション提案力を強化するため、名古屋工場内に新たな研究開発拠点となるクリエイティブインテグレーションラボを開設することを決定したと発表した。
 名古屋工場では、半導体・実装領域のコア製品であるイクロステープ(三井化学東セロ製造・販売)を軸に、継続的な情報収集活動と、顧客との共創によるソリューションを提供してきた。新研究開発拠点ではこの実績を元に半導体・実装領域の研究環境および関連評価設備を集約することによって、顧客との共創が更に促進し、課題解決に貢献するソリューションの提案力強化を図っていく。
 本拠点の竣工は2024年5月を予定しており、投資額は約30億円の予定としている。

◆電子材料:三井化学がARグラス向けの光学樹脂ウエハを開発(12月11日)
 三井化学は、AR/VR市場の拡大に向け、ARグラスに用いられるWaveguide(光導波路)向け樹脂ウエハDiffrar(ディフラ)を開発したことを発表した。
 同品は、1.67以上の高屈折率、高平坦性など優れた光学特性を備え、ARグラスユーザーへ広い視野角を提供する。加えて、樹脂製のため、デバイスの安全性(耐衝撃性)や軽量化にも寄与する。
 同素材のウエハサイズは、3インチから8インチまでラインナップを実現するが、8インチサイズのARグラス向け光学樹脂ウエハは、世界初となる。ARデバイスなどのモジュール製造工程に関して様々な選択肢の提供が可能になるとしている。

◆価格改定
・東レがポリオレフィン発泡体「トーレペフ」を1月5日出荷分から値上げ
 値上げ幅は、15%以上
・レゾナックが不飽和ポリエステル樹脂「リゴラックBMC」を1月16日納入分より値上げ
 値上げ幅は、50円/kg

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