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2023年12月14日

2023.12.14 発行

HEADLINE

◆CO2回収:ENEOSがアジア太平洋地域で初となるClimeworks社のCO2回収装置を導入(12月8日)
◆リサイクル:ENEOSがプラスチックを利用したアスファルト舗装技術を開発(12月8日)
◆繊維:帝人フロンティアが、ポリエステルとナイロンの質感および機能を融合した新素材を開発(12月7日)
◆CO2回収:千代田化工建設がJパワー向けCO2分離回収・圧縮液化設備FS調査を受注(12月7日)
◆リサイクル:三菱マテリアルがリチウムイオン電池リサイクル技術の確立に向けたパイロットプラントを建設(12月6日)
◆医薬:富士フイルムが米国の2拠点に総額約2億ドルの設備投資を実施(12月5日)
◆二次電池:日本ゼオンがリチウムイオン電池の新たな電極製造法を確立(12月5日)
◆電子材料:TOPPANが石川県能美市に次世代半導体パッケージの開発・量産ラインを構築(12月5日)
◆フィルム:タキロンシーアイがサンテーラの農業用ポリオレフィンフィルム事業を承継(12月4日)
◆有機:住友化学がシクロヘキサノン事業からの撤退を発表(12月4日)
◆炭素:東洋エンジニアリングがタイでアセチレンブラック製造設備の設計・調達業務を受注(12月4日)
◆R&D:三菱ガス化学がイノベーションセンターの開所を発表(12月4日)
◆価格改定
・DICがポリスチレン製品およびスチレン系製品を1月1日納入分より値上げ
・東洋インキが段ボール、紙袋用フレキソインキを1月1日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆CO2回収:ENEOSがアジア太平洋地域で初となるClimeworks社のCO2回収装置を導入(12月8日)
 ENEOSは、大気中のCO2を回収する、Climeworks社製のCO2回収装置(以下、DAC装置」)をアジア太平洋地域で初めて導入し、実証試験を開始したことを発表した。
 今回の実証試験では、Climeworks社のDAC装置を導入することで、大気中に低濃度(約0.04%)で含まれるCO2を純度100%に近い状態で回収することや、回収したCO2を合成燃料の原料の一部として使用することについて検証を行う。同装置は神奈川県の同社中央技術研究所内に設置し、気温の年較差(一定の場所で1年間に観測された最高気温と最低気温の差)が大きく、高温多湿となる日本固有の環境下でのDAC技術の実証試験を進める。
 なお、本プロジェクトにて導入された装置の設置面積は7m×7m、CO2回収量は約75kg/日で、施工担当は東洋エンジニアリングとしている。

◆リサイクル:ENEOSがプラスチックを利用したアスファルト舗装技術を開発(12月8日)
 ENEOSは、廃プラスチックのみを骨材として利用するアスファルト舗装を、静岡県浜松市にイオンリテールが開店した全館環境配慮型の新店舗に敷設し、実証試験を開始したと発表した。
 廃プラスチックを道路舗装に利用する際、通常の骨材として使用される石や砂の代わりに廃プラスチックを利用することができれば、増加している廃プラスチックリサイクルのニーズに応えることができる。しかし、表面の凹凸がない廃プラスチックの骨材利用は、骨材 同士の噛み合わせが生じないことで舗装強度が大きく低下してしまうことが課題であった。
 今回の実証試験では、粘着力や、変形に耐えられる強度を付与したバインダーを開発して使用するとともに、架橋ポリエチレン廃材を骨材として利用している。
 今回の敷設では、駐車場2台分の舗装に約1トンの架橋ポリエチレン廃材を利用しており、約1.2トンのCO2排出削減効果を見込んでいる。電線業界で発生する年間約5,000トンの架橋ポリエチレン廃材に本技術を適用できれば、約6,000トンのCO2排出削減効果が期待されるとしている。

◆繊維:帝人フロンティアが、ポリエステルとナイロンの質感および機能を融合した新素材を開発(12月7日)
 帝人フロンティアは、ポリエステルとナイロンの長繊維の単糸が均一に混じり合う特殊異型断面マルチフィラメント糸を開発し、この原糸をベースとした次世代型の高質感・高機能素材「ミクセルNP」を開発したと発表した。
 近年、スポーツアパレル市場では、スポーツ・アウトドアとライフスタイルが融合したファッションスタイルが拡大しており、優れた機能性とともに、従来とは異なる新しい外観や風合いをあわせ持つ商品へのニーズが高まっている。
 こうした中、今回開発された「ミクセルNP」は、深みのある色合いや、きめ細やかなシャンブレー外観と嵩高なスパン調風合い、吸汗速乾性や耐摩耗性など、ポリエステルとナイロンの質感および機能をあわせ持つ。
 帝人フロンティアは、同品を2025年春夏のアウトドア・スポーツ向けへ販売を開始する。その後、インナーおよび、ファッション衣料などの機能性衣料向けへと幅広く展開し、2026年度に50万mの販売を目指すとしている。

◆CO2回収:千代田化工建設がJパワー向けCO2分離回収・圧縮液化設備FS調査を受注(12月7日)
 千代田化工建設は、Jパワーより、CO2分離回収・圧縮液化設備FS調査を受注したと発表した。
 本業務は、Jパワーが有する国内火力発電所から排出されるCO2を分離回収し、圧入地点までの輸送に適した圧縮液化を行うための各種装置および付帯設備の検討を行うFeasibility Studyである。
 Jパワーは、JOGMECの令和5年度「先進的CCS事業の実施に係る調査」に関する委託調査業務の公募において、ENEOS、JX石油開発とともに、九州北部沖~西部沖CCS事業に採択される等、CCSに関連して積極的な取組みを行っている。千代田化工建設はCO2分離・回収・圧入液化設備に関する知見を活かし、積極的に協力を行っていくとしている。

◆リサイクル:三菱マテリアルがリチウムイオン電池リサイクル技術の確立に向けたパイロットプラントを建設(12月6日)
 三菱マテリアルは、リチウムイオン電池(以下、LIB)リサイクル技術の確立に向けた次のステップとして、さらなる開発の為にパイロットプラントを建設すると発表した。
 LIBの材料であるリチウム、コバルト、ニッケルなどのレアメタルは近い将来の供給不足が懸念され、材料のリサイクルや代替材料の開発などの対策が行われている。
 同社では、ブラックマス(LIBを放電・乾燥・破砕・選別したリチウム、コバルト、ニッケルの濃縮滓)からレアメタルを回収・精製する事業化に向けて、これまで小規模試験による技術開発を行ってきた。今回、一定の成果が得られたことから、次のステップとして、小名浜製錬(福島県)の敷地内にパイロットプラントを建設して、ブラックマスからのレアメタルの高効率回収の事業化に向けたさらなる技術開発に取り組む。パイロットプラントの稼働開始時期は2025年の予定としている。

◆医薬:富士フイルムが米国の2拠点に総額約2億ドルの設備投資を実施(12月5日)
 富士フイルムは、細胞治療薬のCDMO事業を展開する米国2拠点に総額約2億ドルの設備投資を行うと発表した。
 同投資は、FUJIFILM Cellular Dynamicsのウィスコンシン拠点と、FUJIFILM Diosynth Biotechnologiesのカリフォルニア拠点に対して、細胞治療薬のプロセス開発・製造設備などを増強するものである。
 具体的には、ウィスコンシン拠点では、現拠点の近隣に購入した土地・建物に、生産プロセスを開発するためのラボ設備、GMP製造が可能な設備・クリーンルーム(3室)などを導入する。これにより、細胞治療薬のプロセス開発の受託能力を拡大させるほか、生産能力を現状比倍増させる。
 また、カリフォルニア拠点では、拠点内に生産プロセス開発のスペースを設置する。さらに、GMP製造設備・クリーンルーム(2室)を増設するとともに、既存設備も改造することで、細胞治療薬の生産能力を、ウィスコンシン拠点と同様、現状比倍増させる。
 カリフォルニア拠点は2025年、ウィスコンシン拠点は2026年に新設備を稼働させるとしている。

◆二次電池:日本ゼオンがリチウムイオン電池の新たな電極製造法を確立(12月5日)
 日本ゼオンは、リチウムイオン電池の電極製造方法において、現行法に代わる新たな技術を確立し、関連する材料の商業化に向けた目途付けを行ったと発表した。
 今回技術確立したドライ成形法は、現状のウェット塗工法とは異なり、電極の大規模な乾燥工程が不要となることで、CO2排出量の削減や設備投資額の減少に貢献することが期待されている。また、同技術を活用して製造される電極は、有機フッ素化合物(PFAS)を含まない材料で構成されており、今後厳しくなると予想されるPFASに対する制約にも対応した環境負荷の小さい世界初の技術となっている。
 現在一部においてドライ成形法がすでに実用化されているが、同技術は正極および負極両方の電極に適用可能であり、かつ成形速度もウェット塗工法と同等以上を実現することができるとしている。

◆電子材料:TOPPANが石川県能美市に次世代半導体パッケージの開発・量産ラインを構築(12月5日)
 TOPPANは、有機ELディスプレイ開発・製造のJOLED(ジェイオーレッド)と、JOLED能美事業所の土地・建屋の売買契約を締結したことを発表した。
 社会のデジタル化に伴い、データのトラフィック量は年々増加している。このため2.xDパッケージなど、高速大容量伝送に対応できる次世代半導体パッケージが注目されている。
 TOPPANは現在、新潟工場でFC-BGAの生産能力拡大を進めているが、旺盛な需要に対して将来的には新潟工場のみでは拡張余地がなく、次世代半導体パッケージの製造工程に求められる条件を満たすJOLED能美事業所の売買契約を締結することとなった。
 今後TOPPANは、JOLEDから購入した能美事業所で、主にデータセンターのサーバー向けや生成AI向けの需要増などでさらに伸長が期待できる高密度半導体パッケージであるFC-BGA(Flip Chip-Ball Grid Array)のさらなる高速伝送やチップレットに対応する次世代技術開発および量産ラインの構築を行う。同事業所は、2027年以降の稼働の予定としている。

◆フィルム:タキロンシーアイがサンテーラの農業用ポリオレフィンフィルム事業を承継(12月4日)
 タキロンシーアイは、住友化学の子会社であるサンテーラの農業用ポリオレフィンフィルム(以下、農PO)に関する事業を新設する子会社タキロンシーアイサプライに承継させることで合意し、住友化学、サンテーラと基本契約を締結したことを発表した。
 事業の再構築を加速させる住友化学と事業成長を目指すタキロンシーアイの事業方向性が一致し、サンテーラの農PO事業をベストオーナー視点によりタキロンシーアイグループの中で持続的に発展させつつ、タキロンシーアイの農業用フィルム事業をさらに強化するために、事業承継の合意に至った。
 今後、タキロンシーアイは、サンテーラの販売網やブランド力の活用による販売拡大、サンテーラの千葉工場およびタキロンシーアイの滋賀工場での生産最適化による生産性向上、物流負荷の低減などの経営効率化などを推し進め、サンテーラの培ってきた技術の既存製品への応用による高機能化・高付加価値化や輸出強化を通じた成長市場への進出を図るとしている。

◆有機:住友化学がシクロヘキサノン事業からの撤退を発表(12月4日)
 住友化学は、愛媛工場にあるシクロヘキサノン(別名アノン)の製造設備を、2024年3月末を目途に停止し、同事業から撤退することを発表した。
 停止するシクロヘキサノン製造設備は1973年から操業を開始しており、生産能力は年間10万トンである。
 シクロヘキサノンは、主にナイロンの中間原料として用いられ、国内外で堅調な需要が見込まれていた。しかし、原料価格の高騰や世界経済の回復の遅れに伴う市況の大幅低迷など、事業環境が大きく変化したことにより、中長期的に安定した販売量とマージンを確保していくことが困難と判断したため、同事業から撤退するとしている。

◆炭素:東洋エンジニアリングがタイでアセチレンブラック製造設備の設計・調達業務を受注(12月4日)
 東洋エンジニアリングは、日本のデンカとタイのSCGケミカルズが、合弁会社であるデンカSCGCアドバンスト・マテリアルズを通じて投資するアセチレンブラック製造設備の詳細設計・調達業務を受注したと発表した。
 製造されたアセチレンブラックは優れた導電性を有するカーボンブラックの一種で、主に大手EV(電気自動車) 向け蓄電池メーカーへ供給される他、洋上風力発電の高圧送電線ケーブル用途などでも使用され、脱炭素化に貢献する。
 今回受注したアセチレンブラック製造設備は年産約1.1万トン、完成は2026年上半期の予定としている。

◆R&D:三菱ガス化学がイノベーションセンターの開所を発表(12月4日)
 三菱ガス化学は、イノベーションセンター「MGC Commons」を2023年12月1日に開所したことを発表した。
 本施設は、人材育成、イノベーション創出、情報発信の取組を柱として、三菱ガス化学グループ内外の様々な人材と組織をつなぎ、イノベーションを創出する人材の育成を目指す施設である。
 今後、本施設における様々な取り組みを通じて、グループ各社、研究機関、異業種企業、地域との人材交流や情報交換を図り、クロスバリュー・イノベーションの創出を目指すとしている。

◆価格改定
・DICがポリスチレン製品およびスチレン系製品を1月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、16円/kg以上
・東洋インキが段ボール、紙袋用フレキソインキを1月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、色インキ、白インキ:60~80円/kg
メジウム、OPニス:60円/kg
 ※製品によって上記以上の改定幅となる場合は担当者より案内

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