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2019年10月31日号

2019.10.31 発行

HEADLINE

 

◆セラミックス:NGKセラミックデバイスが多治見工場の操業を開始(10月25日)

◆3Dプリント:三菱ケミカルが蘭Atum3D社と3Dプリンティング向け紫外線硬化樹脂を共同開発(10月25日)

◆フッ素関連:日華化学が韓国子会社ニッカコリアの新工場の竣工を発表(10月25日)

◆カーボンナノファイバー:日本製紙のCNF「セレンピア」が世界で初めてタイヤに採用(10月25日)

◆建材:JSPとデンカが建築構造物向け軽量・不燃ボードを共同開発(10月24日)

◆消泡剤:BASFが主要な食品接触材料規則に準拠した消泡剤を発売(10月23日)

◆バイオプラ:王子ホールディングスがパルプを原料とした国産プラスチック製造を検討(10 月 21 日)

◆リサイクル:BASFがQuantafuelに出資し、プラスチック廃棄物のケミカルリサイクルを共同推進(10月7日)

◆リサイクル:旭化成が再生プラスチック素材の製品に適用する革新的な技術開発を開始(10月16日)

◆無機:デンカが大牟田工場におけるアセチレンブラック生産継続を決定(10月15日)

◆フィルム:東レが革新的な伸縮性フィルムを創出(10月15日)

◆バイオプラ:東洋紡が業界初のバイオマス原料を使用した包装用ナイロンフィルムを開発、製品化(10月15日)

◆食品原料:住友化学が次世代ステビア甘味料を事業化した米国のスタートアップ企業に出資(10月15日)

◆価格改定

・住友化学が硝酸アンモニウムを2020年1月1日出荷分より値上げ

 

WEEKLY NEWS

 

◆セラミックス:NGKセラミックデバイスが多治見工場の操業を開始(10月25日)

日本ガイシの製造子会社であるNGKセラミックデバイスは、多治見工場が本格操業を開始したと発表した。

NGKセラミックデバイス多治見工場は、半導体製造装置の内部で半導体材料のシリコンウエハーを支持するセラミック製の機能部品(サセプター)の新たな生産拠点となる。日本ガイシは知多事業所と小牧事業所で半導体製造装置用セラミックスを生産しているが、拡大基調にある半導体市場に対応するため、多治見市に約199,800㎡の土地を取得し、新工場を建設した。

新工場での量産により、2020年度中に同社全体での年間生産能力が現状の約1.5倍に増強される。設備投資額は約320億円としている。

 

◆3Dプリント:三菱ケミカルが蘭Atum3D社と3Dプリンティング向け紫外線硬化樹脂を共同開発(10月25日)

三菱ケミカルは、3DプリンターメーカーであるAtum3Dと、同社の光造形3Dプリンターで造形可能な紫外線硬化樹脂「ダイヤビーム」の共同開発に成功したことを発表した。

Atum社は、光硬化タイプの液体樹脂に紫外線を当てることで樹脂を硬化させて造形するDLP方式のオープン材料型3Dプリンターにおいて、欧州で確立された顧客基盤と技術を保有している。

ダイヤビームは、紫外線硬化樹脂では両立することが難しい耐熱性と耐衝撃性をバランス良く持ち合わせ、さらに耐摩耗性にも優れる。この特性と光造形3Dプリントにより複雑な形状品の製造が可能なことから自動車の内装材などへの採用が期待される。

三菱ケミカルグループは、今回の共同開発を含めて欧米市場とのネットワークを拡大することで3Dプリンティング用素材にかかわる戦略を進化させ、積極的な事業展開を図っていくとしている。

 

◆フッ素関連:日華化学が韓国子会社ニッカコリアの新工場の竣工を発表(10月25日)

日華化学は韓国子会社であるニッカKOREA(以下「NKR」)において、新工場が竣工したことを発表した。新工場の建築面積は902㎡、投資額は約200億ウォン(約18億45百万円)である。

同社は1971年に、韓国に合弁会社 三慶日華化学株式会社を設立、大邱(テグ)工場を建設し、以降同社グループの重要拠点のひとつとして業容拡大を行っている。特に同社グループの長期ビジョンでも重要戦略製品のひとつとするフッ素化学品については、NKRをその製造販売のメイン工場としている。今回、韓国内にてより厳格化した「化学物質管理法」に遵守した操業体制を確立し、また撥水・撥油原体はもとより、需要の高まる高付加価値なフッ素化学品等の増産体制構築を目的として建設した。

新工場の生産能力は現在11,000t/年から竣工後14,000t/年となり、売上計画は2025年に658億ウォン(約60億円)としている。

 

◆カーボンナノファイバー:日本製紙のCNF「セレンピア」が世界で初めてタイヤに採用(10月25日)

日本製紙は、同社のTEMPO酸化カーボンナノファイバー(CNF)「セレンピア」が、住友ゴム工業が新発売する高性能タイヤ「エナセーブNEXTⅢ」で、世界で初めてタイヤに採用されたと発表した。

住友ゴム工業は、よりクリーンでより便利な自動車が増加する新しいモビリティ社会に対応すべく、これまでとは一線を画した新しいタイヤを開発するための技術開発コンセプトとして、「SMART TYRE CONCEPT」を掲げている。

「エナセーブNEXTⅢ」は、原材料や製品使用時など、商品ライフサイクル全体の環境性能をより高めた高性能タイヤとして開発され、再生可能資源である「木」から生まれた同社の「セレンピア」は、そのコンセプトが共通していることから、性能試験を経て採用となったとしている。

 

◆建材:JSPとデンカが建築構造物向け軽量・不燃ボードを共同開発(10月24日)

JSPとデンカは、JSPのビーズ法発泡ポリスチレン技術とデンカの無機材料設計技術との融合により、不燃性・遮熱性・断熱性を併せ持ち、軽量化を実現させた木造多層建築や他の構造物等でも使用可能な軽量・不燃ボードを共同開発したと発表した。

近年、大規模火災による被害の拡大や木質系構造部材を用いた多層建築の登場、また、建築基準法の規制緩和による防火地域内の木造住宅の増加など、建築市場を取り巻く環境は変化しつつある。JSPとデンカはこうした市場環境の変化を受け、従来にない新しい技術で建物の不燃化を実現するとともに、建物自身の軽量化によって期待される、耐震性の向上、構造物構築の省力化、工期短縮、コストダウン等を可能とし、さらに断熱性の付与による建物の省エネルギー化にも貢献するとしている。

JSPとデンカは、本開発品の早期製品化を目指すとともに、今後も最先端の高付加価値インフラソリューションを提案していくとしている。

 

◆消泡剤:BASFが主要な食品接触材料規則に準拠した消泡剤を発売(10月23日)

BASFは、新しい消泡剤「Foamaster(フォーマスター) WO 2360」を発売したことを発表した。

本製品は、接着剤に関する中国の食品接触材料規則GB 9685-2016、連邦規則集タイトル21、食品に接触する素材および製品に関する規則、ドイツ連邦リスク評価研究所および、包装材の食品接触材料に関するスイス条例など主要な食品接触材料規則に準拠している。

今回新たに発売する消泡剤は、持続性に優れた消泡効果を発揮し、アクリル系PSAシステム全般への適合性、また、接着剤配合の保管中に高い耐油性を示す。

Foamaster WO 2360は汎用性があり、食品と接触する紙コーティング剤処方、バリアコーティング、紙や板紙向けなど広く適用することが可能としている。

 

◆バイオプラ:王子ホールディングスがパルプを原料とした国産プラスチック製造を検討(10 月 21 日)

王子ホールディングスは、同社のバイオプラスチック(ポリ乳酸、ポリエチレン)開発事業が、双日プラネットと共に、環境省が行なう CO2排出抑制及びプラスチック資源循環システムの構築を目的とする委託事業「脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」に採択されたと発表した。

本事業は環境省の「プラスチック資源循環戦略」の一環として、従来の石油由来プラスチックを再生可能な資源由来のプラスチックへと転換することを目的として、社会実装にかかる技術開発やリサイクルプロセス構築の実証を行う取組である。

双日プラネットでは、既に2012年より Braskem社(ブラジル)製のグリーンポリエチレン(サトウキビ由来)の販売・普及活動を行っている。

今後、王子ホールディングスではパルプからのポリ乳酸、ポリエチレンの製造検討を、双日プラネットでは既存のバイオプラスチック販売網を活かし、本実証事業で製造したバイオプラスチックのユーザー側での利用性やリサイクル性の確認、LCA解析、マーケティングなどを行う予定としている。

 

◆リサイクル:BASFがQuantafuelに出資し、プラスチック廃棄物のケミカルリサイクルを共同推進(10月7日) 

BASFは、プラスチック廃棄物の熱分解および熱分解油の精製を専門とするQuantafuel社に2,000万ユーロを出資すると発表した。

両社は協業により、熱分解と精製の統合プロセスからなるQuantafuelのケミカルリサイクル技術をさらに発展させ、化学品製造の原料として使用できるよう生産量を最大化することを目指す。また、Quantafuelは第2段階として、共同で開発した技術を他社にライセンス供与することも計画している。

Quantafuelは2019年第4四半期にデンマークに年間約16,000トンの生産能力をもつ熱分解・精製工場の操業開始を予定している。BASFは投資契約の一環として、Quantafuel のデンマーク工場でケミカルリサイクルされた熱分解油および精製された炭化水素に対し優先買取権を保有する。

BASFは、今回の出資により、買い取った二次原材料を「ChemCycling」プロジェクトに活用し、ケミカルリサイクルされたプラスチックの市場を開拓していく。再生原料はドイツにあるBASFの統合生産拠点において、一部化石資源の代替として投入される。また、BASFは、デンマークのQuantafuel工場が本格稼働した段階で、プラスチック廃棄物をケミカルリサイクルして製造したCcycled製品を、商業的な規模で供給することを目指すとしている。

 

◆リサイクル:旭化成が再生プラスチック素材の製品に適用する革新的な技術開発を開始(10月16日)

旭化成は、同社とライオンの両社が参加するプラスチックの高度資源循環を実現する「マテリアルリサイクルプロセスの研究開発プロジェクト」が、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公募する2019年度「NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム」に採択されたと発表した。

研究では、一般家庭等から廃棄・回収される容器・包装プラスチックなどを再生した原料を配合したペレット製品の開発から、当該ペレットを使用した容器の成形性評価、最終製品としての品質評価までを、各工程を専門とするメーカーと共同して実施する。本検討を通じて、両社は、プラスチックのリサイクルシステムを構築する技術を開発する。

リサイクル素材を活用した技術開発により、バージン(未使用)素材と同等の物性を示す材料に再生する革新的な技術開発を行う。さらに、当該技術を社会実装して再生材料の利用拡大を図り、新産業の創出を目指していくとしている。

 

◆無機:デンカが大牟田工場におけるアセチレンブラック生産継続を決定(10月15日)

デンカは2017年11月に発表した同社大牟田工場(福岡県)におけるカーバイド系製品生産停止計画の一部を変更することを決定したと発表した。

2017年の発表では、同工場でのアセチレンブラックの生産を2019年12月末までに停止するとしていたが、今回、2020年1月以降も、大牟田工場におけるアセチレンブラック(一部グレード)の生産を継続することを決定した。

継続決定の理由は、主要用途のリチウムイオンバッテリー需要が大きく伸長し、同用途向けへの安定供給及び今後の生産体制を引き続き強化するためとしている。

 

◆フィルム:東レが革新的な伸縮性フィルムを創出(10月15日)

東レは、容易に変形できる優れた柔軟性と変形させても元通りに戻る高い復元性を両立した伸縮性フィルムを開発したことを発表した。

近年、折り畳みや巻き取りが可能なディスプレイやウェアラブルデバイスが実用化されている。これらのデバイスは、様々な環境下で繰り返し変形した時の復元性、衝撃吸収性などを必要とするため、容易に変形できる優れた柔軟性と変形させても元通りに戻る高い復元性を両立するフィルムが求められている。しかし、従来の技術では柔軟にしようとすると、復元性に必要な分子構造上の”つなぎ止める部分”が不足し、柔軟性と復元性がトレードオフの関係になるため、両立させることは困難だった。

東レは、独自のポリマー設計と製膜技術を用いることで、非常に柔軟で変形させても元通りに復元する伸縮性フィルムを開発した。さらに、低温から高温の幅広い温度範囲でこの特性を維持することも確認している。

現在東レは量産技術確立を進めており、今後は2020年を目処に本格展開を行うとしている。

 

◆バイオプラ:東洋紡が業界初のバイオマス原料を使用した包装用ナイロンフィルムを開発、製品化(10月15日)

東洋紡は、原料の一部にバイオマス由来のナイロン樹脂を使用した業界初の包装用フィルムとして、「バイオプラーナ二軸延伸ナイロンフィルム(ONY)」を開発したと発表した。

二軸延伸ナイロンフィルムは、優れた耐ピンホール性や耐衝撃性が特長で、液体包装、詰め替えパウチ、レトルト包材などさまざまな用途で使用されている。近年ますます環境意識が高まる中、同社はバイオマス由来の樹脂を使用した包装用の二軸延伸ナイロンフィルムを新たに開発し、石油由来原料のみを使用したナイロンフィルムと同等の性能を実現した。

今月中にサンプル出荷を開始し、2019年度中の量産開始を目指すとしている。

 

◆食品原料:住友化学が次世代ステビア甘味料を事業化した米国のスタートアップ企業に出資(10月15日)

住友化学は、コナジェン社を中核とする米国のスタートアップ企業グループの一社で、機能性食品素材である次世代ステビア甘味料を事業化したスィージェン社に10百万USドルを出資したことを発表した。

スィージェン社は、コナジェン社からの技術ライセンスに基づき、次世代ステビア甘味料を事業化している。この製品の特長は、自然物由来の原料を用いて生産され、Non-GMO、ノンカロリー、かつ従来型のステビア甘味料と比較して砂糖により近いおいしさであることで、飲料・食品業界からも注目されている。

住友化学は、スィージェン社への出資を契機とし、これまで進めてきた両社との協業を深化、拡大させる。将来的には、スィージェン社の工場を実証実験の場として活用することにより、ダウンストリームプロセス(精製、廃液処理)に関する革新的技術開発や、それを適用して新設する自社プラントでの高機能素材などの生産を目指すとしている。

 

◆価格改定

・住友化学が硝酸アンモニウムを2020年1月1日出荷分より値上げ

値上げ幅は、30円/kg

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