2021.10.21 発行
◆インク:東洋インキが高バイオマス・LED硬化型フレキソインキを開発(10月15日)
◆電子材料:日本パイオニクスが半導体製造プロセス用ガス精製装置製作棟を建設(10月15日)
◆ウイルス対策:日本触媒が水で洗っても落ちない抗菌・抗ウイルス酸化グラフェン複合膜を開発(10月14日)
◆無機:東亞合成がカセイカリの生産能力を増強(10月13日)
◆ウイルス対策:戸田工業が優れた吸湿性と抗ウイルス性を持つ新素材を開発(10月13日)
◆電子材料:デンカが大牟田工場に次世代の高機能球状フィラー製造設備の増強を決定(10月13日)
◆化粧品原料:大日精化工業が高い疎水性を持つセルロースパウダーを開発(10月11日)
◆コート剤:三井化学が新素材「溶剤系 特殊ポリオレフィンコート剤」の市場開発を開始(10月11日)
◆有機:三菱ガス化学が四日市工場におけるホルマリン生産停止を発表(10月11日)
◆価格改定
・クラレがポリビニルアルコール樹脂及びポリビニルアルコール系樹脂を10月15日出荷分より値上げ
・デンカがポリビニルアルコールを10月18日出荷分より値上げ
・デンカがカーバイドを11月1日納入分より値上げ
・デンカが球状シリカを11月1日納入分より値上げ
・東ソーがポリエチレン樹脂を11月1日納入分より値上げ
・JNCがオキソ誘導品を11月1日出荷分より値上げ
・日本軽金属がアルミニウム板製品を11月1日出荷分より値上げ
・信越化学工業が苛性ソーダを11月15日出荷分より値上げ
・デンカがデンカセメント、デンカソイルパックを1月1日出荷分より値上げ
◆インク:東洋インキが高バイオマス・LED硬化型フレキソインキを開発(10月15日)
東洋インキは、シール・ラベル用途に適した、バイオマス度20%の高バイオマスLED硬化型フレキソインキを開発したと発表した。
東洋インキは2020年にバイオマス度10%のUV硬化型フレキソインキを発売しているが、今回開発した高バイオマスLED硬化型フレキソインキは、印刷用インキでは数少ないバイオマス度20%を実現した。通常バイオマス度を上げると硬化性および物性が低下するが、本製品はUVランプよりもさらに省エネルギーなLEDランプでも硬化し、かつ従来品同等の物性を発揮する。また一部バイオマス原料には廃機される廃植物油を再利用したものを採用している。
東洋インキでは、「高バイオマス」と「LED硬化」の組み合わせにより、従来のUVフレキソインキと比較し、原料調達からインキ燃焼時までのCO2排出量を約18%削減することができるとしている。
◆電子材料:日本パイオニクスが半導体製造プロセス用ガス精製装置製作棟を建設(10月15日)
日本パイオニクスは、半導体メーカーの生産能力増強と製造設備の大型化に対応するため、同社の平塚工場内にガス精製装置を製作するための新棟を建設することを決定したことを発表した。
昨今、全世界的に半導体工場の新設や拡張が相次いで計画され、同時に製造設備の大型化も進んでいる。これに伴い、同社が製作するガス精製装置においても、大型装置の需要が急速に高まっているため、それに対応した新棟を建設し、より効率的なガス精製装置の製作体制を構築する。なお、新棟の稼働により、ガス精製装置の製作能力は現行比1.6倍を見込んでいる。
新棟建設における投資額は約4億円(製作設備を含む)で、着工は2022年4月、完工は2022年11月の予定としている。
◆ウイルス対策:日本触媒が水で洗っても落ちない抗菌・抗ウイルス酸化グラフェン複合膜を開発(10月14日)
日本触媒と北海道大学病院歯周・歯内療法科は、新規ナノカーボン材料である酸化グラフェンと抗菌・抗ウイルス剤を組み合わせることで、水に濡れる環境等でも種々の菌や新型コロナウイルスの不活化効果を発揮する酸化グラフェン複合膜を開発したと発表した。
酸化グラフェンは、各種基材へ高い付着性を持ち、様々な分子、ポリマーなどと強く相互作用することが可能である。単独では基材への付着性が低い物質であっても、酸化グラフェンと複合化させることで基材密着性(耐水性や長期安定性)を向上させることができる。
今回開発した酸化グラフェン複合膜は、抗菌・抗ウイルス剤を基材上に定着させ、水に濡れる環境等でも抗菌・抗ウイルス効果を発揮できることから、耐水性が求められる環境であっても、長期に抗菌・抗ウイルス効果の維持が期待できるとしている。
◆無機:東亞合成がカセイカリの生産能力を増強(10月13日)
東亞合成は、カセイカリの生産能力増強を決定したことを発表した。
カセイカリは、液体洗剤、医薬品、化粧品、電子部品などの原材料として幅広く使用されている。東亞合成は、今後の需要拡大を見据え、安定供給のために生産能力を増強する。
生産能力を増強する工場は名古屋工場、対象製品は液体カセイカリ、フレークカセイカリであり、投資額は約14億円、完成は2022年春を予定している。東亞合成は、本計画にあわせ、充填設備などの合理化投資も行うことで、事業規模の拡大と収益力の強化を図っていくとしている。
◆ウイルス対策:戸田工業が優れた吸湿性と抗ウイルス性を持つ新素材を開発(10月13日)
戸田工業は、酸化鉄合成で培った微粒子合成技術を用いた開発品の1つであるレスピセラに、抗ウイルス性を付加させた新素材を開発したことを発表した。
レスピセラは多孔質ナノ粒子状の物質で、単位重量当たりの吸湿性能が高く、また常温でも湿度の変化だけで吸着した水分を脱離することができる吸脱着性も兼ね備えた素材である。このレスピセラに抗ウイルス性元素(銅、銀等)を同社の湿式合成技術により均一に含有させることで、水蒸気吸着性能を損なうことなく、十分な抗ウイルス性を付加させることを実現した。
今後は病院、高齢者介護施設、学童保育施設やコンサートホール等の壁紙をはじめとした製品展開及び開発を検討するとしている。
◆電子材料:デンカが大牟田工場に次世代の高機能球状フィラー製造設備の増強を決定(10月13日)
デンカは、大牟田工場(福岡県)において、50億円の戦略投資による次世代の高機能球状フィラー製造設備の増強を決定したと発表した。
半導体を含む高速・大容量データ通信(5G)・自動車の電動化(xEV)における高信頼製品の需要増を見込んで、球状シリカや球状アルミナ、球状マグネシアの高機能グレードの生産能力を増強するために製造設備を新設する。
今回の戦略投資により、5Gの伝送損失低減に対応する低誘電正接シリカ、微細化する先端半導体に適応した球状シリカ、更には深刻化する電子機器の熱対策を球状アルミナとともに強力にサポートする球状マグネシアなど、中長期的な高機能フィラーの需要に対応すべく、高度なフィラー制御技術を集約し、設備を増強する。さらにBeyond 5G(6G)や xEV等の更なる進化に伴うニーズにもスピード対応できるよう、当該設備を活用するとしている。
◆化粧品原料:大日精化工業が高い疎水性を持つセルロースパウダーを開発(10月11日)
大日精化工業は、天然素材系の化粧品用セルロースパウダー「KCX-6000」を開発し、サンプル出荷を開始したことを発表した。
近年、化粧品業界においても環境に対応した製品の需要が高まっており、従来の合成樹脂ビーズの代替品が求められている。
本製品は、セルロースを原料とする天然素材系パウダーであり、高生分解性を有し、従来製品よりも高い疎水性を特徴としている。真球状で平滑な表面により、滑らかな感触をファンデーションなどの化粧品に付与できるとしている。
◆コート剤:三井化学が新素材「溶剤系 特殊ポリオレフィンコート剤」の市場開発を開始(10月11日)
三井化学は、自己密着性・ガス透過性を発現できる新素材「溶剤系 特殊ポリオレフィンコート剤」(開発品)の市場開発を開始したと発表した。
本コート剤は基材に塗布して乾燥成膜後、コート面同士を重ねて人の力で数秒押すと、コート剤同士がくっつく「自己密着性」を有しており、また、PMP(ポリメチルペンテン)フィルムとの組み合わせによって「ガス透過性」を維持しつつヒートシール性を付加できるなどの特性がある。
上記の特性から、衣料への用途展開や細胞培養キットの保護用途、医療用器具のパッケージ、特定ガスの分離膜といった産業分野等の用途が想定されるとしている。
◆有機:三菱ガス化学が四日市工場におけるホルマリン生産停止を発表(10月11日)
三菱ガス化学は、2022年8月末を目途として、四日市工場(三重県)におけるホルマリンの生産を停止することを発表した。
ホルマリンは、メタノールから作られる化学品で、住宅建材、樹脂原料等の多種多様な用途に幅広く使用されている。同社では現在、四日市工場の他、新潟工場、水島工場、合弁会社、関係協力先を含め8ヵ所に生産拠点を有している。
四日市工場では、50年以上にわたってホルマリンを生産してきたが、設備の老朽化が進み、生産拠点の集約を図るために生産終了を決定した。なお、四日市工場品を使用している顧客に対しては、同社他拠点で生産されたホルマリンへの切替えを求めていくとしている。
◆価格改定
・クラレがポリビニルアルコール樹脂及びポリビニルアルコール系樹脂を10月15日出荷分より値上げ
値上げ幅は、日本:30円/kg、ヨーロッパ:0.50ユーロ/kg、アジアパシフィック、北米、南米、中東、アフリカ:0.30US$/kg
・デンカがポリビニルアルコールを10月18日出荷分より値上げ
値上げ幅は、45円/kg
・デンカがカーバイドを11月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、30,000円/トン
・デンカが球状シリカを11月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、10~15%
・東ソーがポリエチレン樹脂を11月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、16円/kg以上
・JNCがオキソ誘導品を11月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、15円/kg以上
・日本軽金属がアルミニウム板製品を11月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、アルミニウム板製品、ロールマージン価格(加工費):20%以上
別途、不採算品種の価格改訂を個別に実施
・信越化学工業が苛性ソーダを11月15日出荷分より値上げ
値上げ幅は、20円/kg
・デンカがデンカセメント、デンカソイルパックを1月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、2,300円/t