2020.02.06 発行
◆メディカル:旭化成が他家iPS細胞由来軟骨製品に関するライセンス契約の許諾範囲拡大を発表(1月31日)
◆ガラス:日本板硝子がベトナムにおける太陽電池パネル用ガラス製造設備の改修を完了(1月30日)
◆フィルム:東レが世界初の正面透過・斜め反射フィルム「PICASUS VT」を創出(1月29日)
◆複合材料:帝人がテイジン・オートモーティブ・センター・ヨーロッパを新設(1月28日)
◆3Dプリンター材料:東レがポリアミドの真球粒子化新技術を創出(1月27日)
◆生分解性樹脂:ダイセルが天然由来プラスチックである酢酸セルロースの海洋での生分解性を向上(1月27日)
◆二次電池:JSRが子会社のJMエナジーの株式を譲渡(1月27日)
◆メディカル:旭化成が他家iPS細胞由来軟骨製品に関するライセンス契約の許諾範囲拡大を発表(1月31日)
旭化成は、iPSアカデミアジャパンと、iPSアカデミアジャパンが京都大学より許諾されているiPS細胞技術に関する特許について通常実施権を取得するライセンス契約を2018年10月に締結しているが、その原許諾範囲を拡大する変更契約を締結したことを発表した。
本変更契約により、原許諾範囲である外傷性関節軟骨損傷を適応とする治療用途に加え、全世界における変形性関節症および半月板損傷を適応疾患とする治療用途を対象とした、iPS細胞技術に関する特許の非独占的通常実施権と、軟骨分化誘導技術に関する特許の独占的通常実施権を取得する。
旭化成は引き続き、京都大学iPS細胞研究所との共同研究を推進し、外傷性に限らない関節軟骨損傷を適応とするiPS細胞由来の再生医療等製品の実用化に向けて、製造技術の確立を進めていくとしている。
◆ガラス:日本板硝子がベトナムにおける太陽電池パネル用ガラス製造設備の改修を完了(1月30日)
日本板硝子(NSG)は、ベトナムにおける太陽電池パネル用透明導電膜(TCO)ガラスのフロートラインの改修が完了し、火入れ式を行ったと発表した。
同フロートラインは2018年に発表した「太陽光パネル用ガラスの製造設備を増設」の一環として、ベトナムで休止中のフロートラインを改修したもので、NSGベトナムグラスインダストリー社の2基目のフロートラインとなる。
本ラインで生産のTCOガラスは、既に稼働中のフロートラインとあわせて米国ファーストソーラー社との長期供給契約にもとづき、同社に供給される。
本ラインの生産開始は本年2月を予定しており、NSGでは太陽電池パネル用ガラスや他のVA製品への提供を拡大していくとしている。
◆フィルム:東レが世界初の正面透過・斜め反射フィルム「PICASUS VT」を創出(1月29日)
東レは、正面からの光はガラスのように透過し、斜めからの光は鏡のように反射する世界初の光学機能を備えたフィルム「PICASUS VT」を創出したことを発表した。
今回創出したPICASUS VTは、独自のナノ積層技術を駆使するとともに、新規の光学設計に基づいた樹脂屈折率の高精度制御により、正面からの光を透過し、斜めからの光を反射するという新しい機能を発現させることに成功した。
この「PICASUS VT」をAR(拡張現実)・MR(複合現実)用のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)やHUD(ヘッドアップディスプレイ)に用いた場合、透明ガラスや透明プラスチックと同様に風景の視認性は維持しつつ、従来の透明ガラスやプラスチックに比べて、投影情報をはっきりと表示することができる。また、PCやスマートフォン向けの覗き見防止フィルムや次世代ディスプレイ用光学部材に用いた場合には、透過性の向上や、集光やのぞき見防止に対するマルチアングル性の発現など、ディスプレイの機能向上に貢献することができる。
東レでは、3年後の実用化を目指して研究開発を進めていくとしている。
◆複合材料:帝人がテイジン・オートモーティブ・センター・ヨーロッパを新設(1月28日)
帝人は、欧州において自動車向け複合成形材料のデザイン・設計やプロトタイピング等の機能を担うテクニカルセンターとして、ドイツに「テイジン・オートモーティブ・センター・ヨーロッパ」(TACE)を設立することを発表した。
帝人では、CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)時代に呼応して顧客のニーズを深耕する体制を構築するため、欧州におけるマルチマテリアルでの提案力の強化を図るとともに、欧州各拠点が有する研究開発機能やマーケティング機能を有機的に連携させ、自動車向け複合成形材料のデザイン・設計やプロトタイピング等の機能を担うテクニカルセンター拠点としてTACE設立を決定した。
TACEは、デザイン・設計機能を活用したプロトタイプ試作、及びその評価を行うテクニカルセンターの機能を有し、次世代自動車に向けたマルチマテリアルでのソリューション提案を行う。2030年近傍には、帝人グループの自動車向け複合成形材料事業として売上2,000百万米ドル規模を目指すとしている。
◆3Dプリンター材料:東レがポリアミドの真球粒子化新技術を創出(1月27日)
東レは、従来真球化が困難であった高融点ポリアミド(ポリアミド6、66)を簡便にマイクロレベルの真球粒子にする新しい技術を創出したと発表した。
3Dプリンターの造形用材料として使用されるポリアミド粒子の多くは、低融点ポリアミド(ポリアミド12)を用いた不定形上の粒子である。3Dプリンターの造形物の高品質化のためには、流動性や均質充填性に優れる真球形状の粒子が好適であるが、従来法では、高温での取扱が必要な高融点ポリアミドの真球化は困難で、真球粒子化技術の開発が課題であった。
東レは、ポリアミドの重合技術をベースに研究を重ね、モノマーからポリアミドを重合すると同時に真球粒子を作製する新技術を創出した。本技術により、高い耐熱性、強度を必要とする実用品向けの造形物を3Dプリンターで実現することが期待できる。
今後、自動車などの実用部品への適用を目指して、スケールアップ技術の確立を進めていくとしている。
◆生分解性樹脂:ダイセルが天然由来プラスチックである酢酸セルロースの海洋での生分解性を向上(1月27日)
ダイセルは、近年の環境配慮型製品への需要の高まりを受け、環境にやさしい天然由来のプラスチック「酢酸セルロース」の海洋での生分解性を従来の2倍に向上させ、環境により配慮した新製品を開発したと発表した。
酢酸セルロースは、セルロースと酢酸を原料として製造される生分解性を持った環境性に優れた素材である。使用後の酢酸セルロースは、最終的に水と二酸化炭素に生分解され、土壌や廃棄物中だけでなく、海洋中でも分解される。分解速度は環境によるが、数か月から数年である。ダイセルは、自社技術においてより生分解しやすい分子構造を見出し、従来製品の品質を保ったまま、特に海洋での生分解速度をさらに高めた新製品を開発した。昨今の海洋プラスチックごみ問題に対する有効な解決策として、今後広く提案していく。
同社では酢酸セルロースの生分解性をさらに高めた新製品の販売にも着手し、将来的には年間数千トン以上の生産を目指すとしている。
◆二次電池:JSRが子会社のJMエナジーの株式を譲渡(1月27日)
JSRは、100%子会社であるJMエナジーの株式80%について、武蔵精密工業へ譲渡することで合意に至ったことを発表した。
JMエナジーは、蓄電デバイスであるリチウムイオンキャパシタの開発、製造、販売を事業としている会社であり、大型移動体をはじめとする各種用途で収益拡大を目指してきたが、JSRグループ独自で更なる収益拡大を図る事は難しいと判断し、最終顧客との繋がりが強く、事業シナジーを期待できる企業との資本提携を検討していた。
協議の結果、武蔵精密工業は自動車部品の生産、販売のノウハウを広範囲で保有し、本事業拡大や新規事業の創出など高いシナジー効果が期待できると考え、JMエナジーの株式を譲渡することで合意した。
株式譲渡予定日は、2020年4月1日の予定としている。