メールマガジン

2020年2月13日号

2020.02.13 発行

HEADLINE

 

◆リサイクル:JX金属が車載用リチウムイオン電池リサイクルのためのベンチスケール設備の稼働を開始(2月7日)

◆酸化防止剤:BASFがイタリアでIrganox1520Lの生産能力拡大を発表(2月7日)

◆電子材料:日本製紙パピリアが勇払事業所における機能性特殊素材事業会社を設立(2月7日)

◆非鉄金属:三菱マテリアルがチリ国Mantoverde銅鉱山の権益を取得(2月7日)

◆住設関連:デンカが住設事業のソリューションカンパニーを設立し、スペシャリティー化を加速(2月7日)

◆電子材料:太陽ホールディングスがベトナムに子会社を設立(2月5日)

◆電極:昭和電工が黒鉛電極事業の欧州生産拠点を見直し(2月5日)

◆3Dプリンター材料:日本電気硝子がガラスビーズで透光性のある3Dプリンター造形品を開発(2月4日)

◆電子材料:信越化学工業がマイクロLEDディスプレイ製造用材料を上市(2月4日)

◆樹脂:BASFがSolvayのポリアミド事業買収を完了(2月3日)

◆価格改定

・JXTGエネルギーがベンゼンの契約価格を改定

 

 

WEEKLY NEWS

 

◆リサイクル:JX金属が車載用リチウムイオン電池リサイクルのためのベンチスケール設備の稼働を開始(2月7日)

JX金属は、車載用リチウムイオン電池リサイクルのためのベンチスケール設備を日立事業所内に設置し、稼働を開始したことを発表した。

今後の使用済み車載用リチウムイオン電池の大量発生に備え、使用済み電池に含まれるレアメタルを再び車載用電池の原料として使用する「クローズドループ・リサイクル」の実現に向けた技術開発を加速する方針である。

この設備では、自動車メーカーや電池メーカー各社から提供された原料を元にリサイクル品サンプルを生産し、適切なコストでの処理が可能な量産プロセスを確立することを目的としている。JX金属によると、液、塩、メタルなど、様々な形状の作り込みができる自由度の高い設計となっている点が特徴であり、コバルト、ニッケル、リチウムを金属ごとに分離し、電池グレードの品質で回収することが可能としている。

 

◆酸化防止剤:BASFがイタリアでIrganox1520Lの生産能力拡大を発表(2月7日)

BASFは、イタリアのポンテッキオ・マルコーニサイトの酸化防止剤Irganox(イルガノックス)1520Lの生産能力を20%拡大する計画を発表した。

Irganox1520Lは、溶液重合、乳化重合、熱可塑性エラストマー、プラスチック、接着剤、シーラント、オイル、潤滑剤といった、幅広い用途に有効な酸化防止剤である。単独、少量、あるいは、補助安定剤なしで使用され、加工時や長期の熱老化安定性の両方に寄与するとしている。また、必要に応じて、Irganox1520Lを二次酸化防止剤、ベンゾフラノン、光安定剤、機能安定剤など、他の添加剤と併用することもできる。

稼働開始は、2021年の第1四半期の計画としている。

 

◆電子材料:日本製紙パピリアが勇払事業所における機能性特殊素材事業会社を設立(2月7日)

日本製紙グループの日本製紙パピリアは、米国デュポン社の100%子会社であるデュポン・スペシャルティ・プロダクツと共同で、デュポン日本製紙パピリア合同会社(DPNP)を設立し、高機能材料であるノーメックス紙を生産すると発表した。

ノーメックス紙は、優れた電気絶縁性・耐薬品性・機械特性と素材本来の難燃性を有しており、幅広い電気絶縁用途に適している。今後も世界中で広がる自動車の電動化においては、電気駆動モーターを搭載した xEV(電気自動車・プラグインハイブリッド自動車・ハイブリッド自動車・燃料電池自動車)を支える重要な技術である。パワーエレクトロニクスやバッテリーシステムにおいても耐熱特性により重要な部品を保護している。また、航空機の内外装の構造材としても、ノーメックス紙製のハニカムが重要な役割を果たしている。

DPNPは、日本製紙北海道工場勇払事業所の敷地・建物の一部を利用して生産設備を設置する計画で、2021年度中の営業運転開始を予定している。

 

◆非鉄金属:三菱マテリアルがチリ国Mantoverde銅鉱山の権益を取得(2月7日)

三菱マテリアルは、Mantos Copper社との間で、チリ国Mantoverde銅鉱山の権益の30%を同社が取得し、同鉱山が計画している拡張プロジェクトに参画することについて合意したことを発表した。

Mantoverde社は、731百万US$(約800億円)を投じ、深部の硫化鉱を対象に選鉱場や尾鉱ダム等の建設を計画しており、新規パートナーによる同鉱山への出資を希望していた。一方、三菱マテリアルは不純物の少ない高品質な銅精鉱の生産に加えて、Mantoverde銅鉱山の既存のインフラ設備を活用できること等により投資費用が抑えられる見込みであること等から、同社はMantos    Copper社と合意に至り、本プロジェクトに参画することを決定した。

三菱マテリアルは、Mantoverde社の株式の30%を増資引受により取得することで、Mantoverde銅鉱山の権益の30%を取得する。

同社は、2020年10月末までに権益取得を完了し、2023年以降生産を開始するとしている。

 

◆住設関連:デンカが住設事業のソリューションカンパニーを設立し、スペシャリティー化を加速(2月7日)

デンカは、2018年4月よりスタートした経営計画において、基盤事業のスペシャリティー化を成長戦略のひとつに位置付け、外部環境の影響を受けにくいスペシャリティーグレードの比率拡大やソリューションビジネスへのシフトを進めていることを発表した。

本取り組みの一環として、同社のプラスチック製雨どいを始めとした住設事業と、金属雨どいの製造・販売会社である100%連結子会社の中川テクノを統合し、2021年4月1日付けで住設事業のソリューションカンパニーを設立する。今後、この新会社にグループの経営資源を集約し、省施工、軽労化、環境対応をキーワードとした新製品開発および新規事業の創出により、スペシャリティー化を加速するとしている。

 

◆電子材料:太陽ホールディングスがベトナムに子会社を設立(2月5日)

太陽ホールディングスは、ベトナムに同社の100%出資子会社「TAIYO INK VIETNAM」を設立することを取締役会で決議したと発表した。

ベトナム新会社の事業内容はプリント配線板ソルダーレジスト等の製造販売であり、資本金は10万USD、設立は2020年5月を予定している。

太陽ホールディングスは、今後市場拡大の可能性が見込まれるベトナム市場へ進出し、電子機器用部材事業の強化を目指すとしている。

 

◆電極:昭和電工が黒鉛電極事業の欧州生産拠点を見直し(2月5日)

昭和電工は、同社の連結子会社で黒鉛電極事業を行うドイツ・マイティンゲンの生産拠点の閉鎖について、労使協議を開始したと発表した。

同社の黒鉛電極事業は、高品質UHP市場においてグローバルトップのシェアを有する事業であるが、昨年下半期より、顧客である電炉鋼メーカーにおける黒鉛電極の在庫調整が継続し、特に景気減速が目立つ欧州市場においては稼働率の低下が生じている。

閉鎖する拠点は現在、黒鉛電極のロッド同士を継ぎ足す際の接合部である継手を生産しているが、閉鎖後の継手の生産は、大町事業所に集約されることになる。マイティンゲンの生産を停止した場合、昭和電工の黒鉛電極のグローバルでの生産能力は、4万トン減の21万トン/年になる。

また、同連結子会社のオーストリア・スティーグの生産拠点においては、既に期間を限定した一時帰休に向け、労使協議も開始しており、ドイツ拠点と併せて欧州での稼働調整を図っていくとしている。

 

◆3Dプリンター材料:日本電気硝子がガラスビーズで透光性のある3Dプリンター造形品を開発(2月4日)

日本電気硝子は、3Dプリンター使用材料として、造形品の透光性を調整できるガラスビーズの開発に成功したと発表した。

3Dプリンターは、型を用いることなくデジタルデータから複雑な3次元性形状を作り出せる。特にレーザー光を用いて光硬化性樹脂を硬化させる光造形方式は、他の方式(粉末造形、熱溶解造形など)に比べて寸法精度が高く、自動車部品や医療などの多くの分野で利用されている。従来、造形品の耐熱性や強度向上が求められる場合、樹脂中へガラスやセラミックビーズが添加されていたが、これらの添加材では樹脂との屈折率の整合は考慮されていないため、屈折率差で光が散乱し、透光性を有する造形品へのニーズには応えることができなかった。

今回、3Dプリンターに用いる樹脂と屈折率を整合させた微小ガラスビーズの開発に成功した。このガラスビーズを用いることで耐熱性と強度に加え、透光性を持った3D造形品は世界初となる。

日本電気硝子では、2020年1月より一部で販売を開始しており、顧客のニーズに合ったガラスビーズを提供していくとしている。

 

◆電子材料:信越化学工業がマイクロLEDディスプレイ製造用材料を上市(2月4日)

信越化学工業は、マイクロLEDを用いたディスプレイの製造工程で使われる材料を新たに開発・上市したと発表した。

マイクロLEDディスプレイは、微小なLED素子を各画素に配置した自発光ディスプレイで、その高いコントラストと明るさ、信頼性に加えて省エネルギーも期待される。一方、その製造において、テレビやスマートフォンなどのディスプレイへの適用を実現するためには、工程の効率化、プロセス時間の短縮や歩留りの向上などが課題とされている。

今回信越化学が新たに開発し上市した材料は、①超平坦な基板上に、粘着剤フリーでドライな接着層を形成したマイクロLED移送用スタンプ、②基板を保持したまま洗浄工程や移送など種々プロセスを可能にする仮支持基板である。

信越化学工業では、マイクロLEDディスプレイメーカーの生産性と競争力の向上に資する材料で、引き続き顧客の要望に応えるべく、製品展開を行っていくとしている。

 

◆樹脂:BASFがSolvayのポリアミド事業買収を完了(2月3日)

BASF(本社:ドイツ)は、Solvay(本社:ベルギー)のポリアミド(PA 6.6)事業の買収を完了したと発表した。

今回の取引には、ドイツ、フランス、中国、インド、韓国、ブラジル、メキシコの8つの生産拠点のほか、アジア、北米、南米の研究開発拠点および技術サポート拠点が含まれる。さらにフランスの2つの合弁会社も含まれ、SolvayがInvista社と共同でアジポニトリル(ADN)とヘキサメチレンジアミン(HMD)を生産する合弁事業の50%のシェア、また、BASFとDOMO Chemicals社が共同でアジピン酸を生産する新しい合弁事業の51%のシェアをBASFが取得する。

この取引によって、より優れたエンジニアリングプラスチックスソリューションを提供できるようになり、アジアや北米、南米の成長市場へのアクセスも強化される。また、主要原料であるアジポニトリル(ADN)からの一貫生産により、ポリアミド6.6のバリューチェーン全体を強化し、供給信頼性を向上することができる。

今回BASFが取得したポリアミド事業の購入価格は、現金および負債を含めない状態で13億ユーロである。同事業の2018年の売上高は約10億ユーロであり、この事業はBASFのパフォーマンスマテリアルズおよびモノマー事業本部に統合するとしている。

 

◆価格改定

・JXTGエネルギーがベンゼンの契約価格を改定

2月契約価格は、710$/t(前月比▲25$/t)、国内価格換算想定値は82.5円/kg

関連記事

 

素材・工業材料

TOPへ戻る