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2021年6月24日号

2021.06.24 発行

HEADLINE

 

◆リサイクル:凸版印刷とENEOSが古紙バイオエタノール事業で協業検討を開始(6月14日)

◆ガラス:AGCが北米建築用ガラス事業を譲渡(6月15日)

◆電子材料:日本ゼオンが高熱伝導放熱材料(TIM)の生産を開始(6月16日)

◆リサイクル:三菱ケミカルが英Mura社とプラスチックケミカルリサイクル技術のライセンス契約を締結(6月16日)

◆複合材料:三菱ケミカルがフェノール樹脂を使用した高耐熱性CFRPを開発(6月17日)

◆リサイクル:NEDO、産総研、ADMAT、日本触媒がカーボンリサイクルによるカルボン酸の合成技術を開発(6月18日)

◆バイオ燃料:東洋エンジニアリングが持続可能な代替航空燃料(SAF)を使用したフライトを実現(6月18日)

◆価格改定

・積水化学工業が合わせガラス用中間膜を6月21日出荷分より値上げ

・信越ポリマーが半導体ウエハー容器を7月1日出荷分より値上げ

・石原産業が酸化チタンのアジアパシフィック地域向け輸出価格を7月1日

出荷分より値上げ

 

 

WEEKLY NEWS

 

◆リサイクル:凸版印刷とENEOSが古紙バイオエタノール事業で協業検討を開始(6月14日)

凸版印刷とENEOSは、エネルギーの低炭素化と循環型社会の実現に向け、古紙を原料としたバイオエタノール事業の立上げを共同で検討すると発表した。

本事業では、通常の再生紙だけでなく、リサイクルが難しいとされる防水加工された紙やノンカーボン紙などの難再生古紙も、凸版印刷がバイオエタノールの原料として最適化し使用する。また、従来のバイオエタノール製造では、全製造工程が完了した際に全ての生成物を製造窯から取り出し新たに原料を投入していたが、本事業では、製造工程で原料をつぎ足しながらエタノールを抽出し、連続的に製造することで、製造効率を上げることができる。

将来的には自治体からの古紙回収も検討し、製造したバイオエタノールは、バイオガソリン、バイオジェット燃料、バイオケミカルの原料として販売することを検討しており、2027年以降の事業化の予定としている。

 

◆ガラス:AGCが北米建築用ガラス事業を譲渡(6月15日)

AGCは、北米建築用ガラス事業を米国Cardinal Glass Industries(以下:Cardinal社)に譲渡することについて決定し、Cardinal社と合意したことを発表した。

同社では、本年2月に発表した中期経営計画において、建築用ガラス事業の収益性および資産効率の改善をグループ経営上の重点課題として取り上げ、様々な施策に取り組んでいる。北米における建築用ガラス事業については、過去に取引実績があり、自社の資産や人材を有効活用できるCardinal社に事業を譲渡することで、更なる事業の発展につながると判断した。

本取引は関係当局への申請を行い、承認を得ることを条件としており、最も早く承認を得られた場合には、2021年7月に譲渡が完了する見込みである。譲渡価格は450百万US$であり、本件に伴い譲渡益約250億円が発生する見込みとしている。

 

◆電子材料:日本ゼオンが高熱伝導放熱材料(TIM)の生産を開始(6月16日)

日本ゼオンは、独自の製造技術にて開発したシート系放熱材料「VBシリーズ」の生産を開始したと発表した。

今回、生産を開始した「VB200」は、VBシリーズの標準グレードである。一般的な放熱材料と較べ、垂直方向(Z 軸=厚み方向)に高い熱伝導率を有すると同時に、同社が得意とする特殊エラストマー技術を応用することにより優れた耐久性を発揮する。放熱材料として一般的に普及しているグリース系材料に比べ、熱伝導率、耐久性、作業性の面において優位性を発揮し、電子部品の熱問題解決に貢献することが期待される。

今後、半導体業界においては、デバイスの小型化、高速化が進むことにより、発熱の問題がクローズアップされることから、同社が開発した放熱シートはこれら半導体の高性能化に伴う課題解決に役立つだけでなく、同じく熱マネージメントを必要とするその他電子機器への適用も期待できるとしている。

 

◆リサイクル:三菱ケミカルが英Mura社とプラスチックケミカルリサイクル技術のライセンス契約を締結(6月16日)

三菱ケミカルは、英Mura Technology社との間で、廃プラスチックから化学製品や燃料油の原料(以下:リサイクル生成油)を製造する技術(HydroPRS)のライセンス契約を締結したと発表した。

HydroPRSは、高温高圧の超臨界水の中でプラスチックを分解し、リサイクル生成油へと再生する革新的な技術である。従来の直接熱分解技術と比べ、高い収率で石油由来原料と同等の品質(既存設備へ前処理無しでの投入可能)を持つリサイクル生成油を得ることができる。この技術により、今までは焼却や埋め立て処理をしていたプラスチックをケミカルリサイクルすることで、プラスチックのライフサイクル全体のCO2排出量と化石燃料の消費を大幅に削減することが可能となる。

三菱ケミカルは、今回のライセンス契約に基づき、プラスチックケミカルリサイクルの事業化に向けた詳細な検討を加速するとしている。

 

◆複合材料:三菱ケミカルがフェノール樹脂を使用した高耐熱性CFRPを開発(6月17日)

三菱ケミカルは、軽量性や剛性と高耐熱性を両立した炭素繊維複合材料(CFRP)を開発したと発表した。

軽さと強度を兼ね備えるCFRPの利用は、軽量化要求が高まる航空機や自動車などのモビリティ用途、また製造工程の高度化・複雑化に加えて効率化への対応を求められる産業機械用途などで今後ますます進むと見込まれている。一方、汎用性が高いエポキシ樹脂をベースにしたCFRPは耐熱性に課題があり、多様化する顧客ニーズを十分に満足できない場面もあった。

開発品は、ベース樹脂としてフェノール樹脂を使用することで、300℃でも物性が低下しない高い耐熱性を実現したものである。CFRPの特長である高熱伝導性、高剛性、軽量性に加えて高耐熱性を付与することで、これまで解決が難しかった顧客課題へのソリューション提供が可能となる。既に一部の顧客での採用も決まり、耐熱部材等での更なる採用に向けて取り組んでいくとしている。

 

◆リサイクル:NEDO、産総研、ADMAT、日本触媒がカーボンリサイクルによるカルボン酸の合成技術を開発(6月18日)

NEDO、産総研、ADMAT(先端素材高速開発技術研究組合、日本触媒は共同で、高効率な触媒を用い、CO2と水素から合成したギ酸とアルケンから様々な化学品の基幹原料となるカルボン酸を合成する技術を開発したことを発表した。

今回開発した技術は、従来技術のような高圧条件を必要とせず、有毒で爆発性の高い一酸化炭素(CO)ガスや環境負荷の大きいトリフェニルホスフィン等の添加剤を使用しないプロセスである。さらに、ギ酸は二酸化炭素と水素から高効率に合成できるため、CO2を利用したクリーンな原料とみなすこともできる。この技術が実用化されれば、CO2を炭素資源として利用するカーボンリサイクル社会実現への貢献が期待できる。

今後は、開発した触媒系の反応効率をさらに向上させるために、ロボティクスを活用したハイスループット実験により触媒のさらなる改良を実施し、フロー合成に使用できる固定化触媒の高速開発を目指すとしている。

 

◆バイオ燃料:東洋エンジニアリングが持続可能な代替航空燃料(SAF)を使用したフライトを実現(6月18日)

東洋エンジニアリングは、NEDO、三菱パワー、JERA、JAXAと共同で、木くず等を原料とした純バイオジェット燃料のガス化FT(Fischer-Tropsch)合成技術の開発に取り組み、生産したバイオジェット燃料を持続可能な代替航空燃料(SAF)として、商用フライトに世界で初めて供給したと発表した。

同社は液体炭化水素製造の心臓部であるFT合成に米国Velocys社が基本技術を保有するマイクロチャンネルFT合成技術を採用した。この技術は、従来型FT反応器から反応容積1/10の小型化を実現し、バイオマスガス化のような中小型プラントに適している上に、スケールアップも容易である。同技術は今回のNEDOパイロットプラントにおいても高効率で安定した性能を発揮し、高品質のSAF、グリーンナフサ、グリーンディーゼルの製造に貢献した。

同社は、今後もFT合成技術を核に据えて、商用規模のバイオジェット燃料製造技術の確立に向けた取り組みを推進するとしている。

 

◆価格改定

・積水化学工業が合わせガラス用中間膜を6月21日出荷分より値上げ

値上げ幅は、8%以上

・信越ポリマーが半導体ウエハー容器を7月1日出荷分より値上げ

値上げ幅は、20%

・石原産業が酸化チタンのアジアパシフィック地域向け輸出価格を7月1日出荷分より値上げ

値上げ幅は、200 US$/トン

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