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2020年10月8日号

2020.10.08 発行

HEADLINE

 

◆有機:BASFとSINOPECの合弁会社が中国でネオペンチルグリコールの生産能力を拡大(10月2日)

◆非鉄金属:パンパシフィック・カッパーが2020年度下期における金属製品等の委託生産予定を発表(10月2日)

◆非鉄金属:三井金属が2020年度下期地金生産計画を発表(10月1日)

◆非鉄金属:三菱マテリアルが2020年度下期の地金生産計画を発表(10月1日)

◆電池材料:日本触媒がリチウムイオン電池用電解質イオネル(LiFSI)の設備を増強(10月1日)

◆電池材料:住友金属鉱山が二次電池用正極材・ニッケル酸リチウムを増産、電池研究所を拡張(9月30日)

◆放熱材料:積水化学工業の子会社が欧州新工場で放熱材料の量産を開始(9月30日)

◆アミノ酸:長瀬産業が希少アミノ酸「エルゴチオネイン」の生産性を約1000倍に向上(9月30日)

◆リサイクル:BASFがPyrum社への投資により廃タイヤ由来の熱分解油の生産能力増強を支援(9月29日)

◆ゴム:信越化学が二次加硫を必要としない画期的な成形用シリコーンゴムを開発(9月28日)

◆電子材料:デクセリアルズがインクジェット塗布に対応した光学弾性樹脂を開発(9月28日)

◆印刷技術:東レが100%VOCフリー水なしEBオフセット印刷技術の実証に成功(9月28日)

◆価格改定

・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定

 

 

WEEKLY NEWS

 

◆有機:BASFとSINOPECの合弁会社が中国でネオペンチルグリコールの生産能力を拡大(10月2日)

BASFは、同社とSINOPECの合弁会社であるBASF-YPCが、中国・南京市のフェアブントサイト(統合生産拠点)に、ネオペンチルグリコール(NPG)の生産能力を拡大したと発表した。

NPGは、化学的および熱的安定性が高いため、主に各種塗料やプラスチックの原料として使用されている。BASFは、現在、ルートヴィヒスハーフェン(ドイツ)、フリーポート(米国)、南京(中国)、吉林(中国)にNPGの生産拠点を有している。

2015年に設立された南京の工場の年産能力は4万トンで、今回の拡張工事の完了によって同8万トンに達したとしている。

 

◆非鉄金属:パンパシフィック・カッパーが2020年度下期における金属製品等の委託生産予定を発表(10月2日)

パンパシフィック・カッパーは、2020年度下期における金属製品等の委託生産予定を発表した。

2020年度下期の委託生産予定としては、銅は305,200t/期(前年同期:295,700t/期)であり、内JX金属精錬へ211,100t/期、日比共同製錬へ94,100t/期を委託する。硫酸は876,100t/期(前年同期:750,000t/期)であり、内JX金属精錬へ683,400t/期、日比共同製錬へ192,700t/期を委託する。また、金は18,700㎏/期(前年同期:20,100kg/期)、銀は143,800㎏/期(前年同期:168,200㎏/期)を生産委託する予定としている。

 

◆非鉄金属:三井金属が2020年度下期地金生産計画を発表(10月1日)

三井金属は、2020年度下期における地金生産計画を発表した。

2020年度下期の生産計画としては、亜鉛は118.6千t/期(前年同期:107.8千t/期)、鉛は35.9千t/期(前年同期:34.1千t/期)、金は2.7t/期(前年同期:2.7t/期)、銀は110.4t/期(前年同期:85.9t/期)の生産予定としている。

三井金属では、亜鉛、鉛の2019年度下期実績と2020年度上期見込は、2020年3月~4月に実施した八戸製錬における大規模な定期修理等の影響によるものであり、金、銀については、原料品位の高低の影響によるものとしている。

 

◆非鉄金属:三菱マテリアルが2020年度下期の地金生産計画を発表(10月1日)

三菱マテリアルは、2020年下期における地金生産計画を発表した。

2020年度下期の生産計画としては、銅は26,681t/月(前年同期:29,133t/月)、鉛は2,005t/月(前年同期:2,398t/月)、金は3,200kg/月(前年同期:4,037kg/月)、銀は27,333kg/月(前年同期:29,763kg/月)の生産を計画している。

前年同期実績と比較すると、銅については、直島製錬所は約14%減、小名浜製錬所は約2%増、全体では約8%減となる計画である。金・銀の生産減については、主にE-Scrapの集荷減および本年度下期に予定している直島製錬所ならびにPTS社の定期炉修によるものとしている。

 

◆電池材料:日本触媒がリチウムイオン電池用電解質イオネル(LiFSI)の設備を増強(10月1日)

日本触媒は、リチウムイオン電池用の新規電解質「イオネル~リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド〈LiFSI〉」の増大する需要に対して、既存設備の年間生産能力300トンでは不足するため、年間生産能力2千トンの新規製造設備の建設に向け、設備設計に入ることを決定したと発表した。

イオネルを電気自動車向けリチウムイオン電池の電解質に使用することにより、低温から高温まで広い温度範囲で、電池のサイクル特性、レート特性、保存安定性の向上に著しい効果を発揮することから、アジアを中心に需要が拡大している。また、イオネルは、全固体電池などの次世代革新電池の電解質としても性能向上に効果を発揮することから、需要のさらなる拡大が期待されている。

日本触媒は新規製造設備の商業生産の開始を2023年春目途に予定しており、2024年には100億円超の売上高を目指すとしている。また、LiFSI市場は世界的に拡大することが想定され、2025年以降の需要に対応する為、欧州における新規設備投資計画も検討するとしている。

 

◆電池材料:住友金属鉱山が二次電池用正極材・ニッケル酸リチウムを増産、電池研究所を拡張(9月30日)

住友金属鉱山は、車載用二次電池の需要拡大に対応するために、二次電池用正極材であるニッケル酸リチウムの増産を行うとともに、次世代電池材料の開発強化のために、研究所の拡張を実施すると発表した。

同社では磯浦工場(愛媛県)のニッケル酸リチウムの設備を増強することとし、これにより同社のニッケル酸リチウムの生産能力は、2022年半ばより4,550t/月から 4,850t/月にとなる。

また、次世代の高性能ニッケル正極材や全固体電池用正極材料の開発を目的とした電池研究所(愛媛県)の拡張・設備拡充を2022年7月完成を目途に実施する。

住友金属鉱山では今後、電池正極材の月産1万トン体制の構築を目指すとしている。

 

◆放熱材料:積水化学工業の子会社が欧州新工場で放熱材料の量産を開始(9月30日)

積水化学工業の連結子会社である積水ポリマテックは、2020年10月よりオランダ新工場においてEV(電気自動車)等環境対応車向け放熱材料の量産を開始すると発表した。

欧州では、各車輌メーカーにおいてEV・PHV(プラグインハイブリッド自動車)など環境対応車の開発が盛んになっており、動力源として搭載されるLiB(リチウムイオンバッテリー)の熱対策ニーズが急速に拡大している。

新工場では独自の製造プロセス設計によるグリス製品の自動化生産を実現し、約50万台分のEVへの搭載量に相当する約100万リットル/年のグリス状放熱製品の生産能力となる。また今回の稼働により、従来の日本・タイ・中国と合わせグローバル4拠点での放熱材料生産体制が整ったことから、この体制をベースに2022年度に積水ポリマテックの放熱材料事業の売上高100億円を目指すとしている。

 

◆アミノ酸:長瀬産業が希少アミノ酸「エルゴチオネイン」の生産性を約1000倍に向上(9月30日)

長瀬産業は、NEDOのスマートセルプロジェクトで開発された革新的なバイオ技術を活用し、エルゴチオネイン(EGT)の生産性を研究開始時の約1000倍に向上させ、微生物を用いた世界最高レベルの生産効率を達成したと発表した。

EGTは、キノコなどに微量含まれる抗酸化能に優れた天然アミノ酸で、食品・化粧品・医薬品等の幅広い分野での利用が期待されている。

長瀬産業は2015年より微生物を用いた発酵法でEGTを安定供給できる環境配慮型バイオ生産プロセスの開発を開始しており、2019年度からNEDOの「希少アミノ酸エルゴチオネイン高生産スマートセルの開発」研究プロジェクトを産業技術総合研究所、奈良先端科学技術大学院大学、神戸大学、東北大学と共に開始した。「酵素改変設計技術」「代謝経路設計技術」「HTP微生物構築・評価技術」「輸送体探索技術」という4種類のスマートセル基盤技術を活用し微生物細胞のEGT生産能力向上を目指した結果、細胞内の生産反応の最適化に成功したことで、飛躍的な生産性の向上が可能になった。

長瀬産業は、今後、開発した生産菌株を活用し早期の事業化を目指すとしている。

 

◆リサイクル:BASFがPyrum社への投資により廃タイヤ由来の熱分解油の生産能力増強を支援(9月29日)

BASFは、廃タイヤの熱分解を専門とするテクノロジー企業Pyrum社に1,600万ユーロを投資し、Pyrumの熱分解工場の拡張とその技術の発展を支援することを発表した。

Pyrumは現在、廃タイヤの熱分解工場を稼働させており、年間1万トンのタイヤの処理能力を有している。2022年末までに、2つの生産ラインが既存の工場に加わる予定である。BASFは、その熱分解油の大半を入手し、マスバランス方式を用いて新しい化学品の製造に使用する。

Pyrumは、パートナーとともに、タイヤの熱分解工場のさらなる建設を予定しており、BASFとPyrumは、廃タイヤ由来の熱分解油の生産能力を今後数年以内に年間最大10万トンに増強できるとしている。

 

◆ゴム:信越化学が二次加硫を必要としない画期的な成形用シリコーンゴムを開発(9月28日)

信越化学は、上市済みの液状型に加え、ミラブル型(ロールミルと呼ばれる混合機で可塑化・混合されるゴム材料)でも二次加硫を必要としない成形用シリコーンゴムの開発に成功したと発表した。

ミラブル型シリコーンゴムは、従来の成形方法では、一次加硫を行って成形した後、成形品に残存している低分子シロキサンと、ゴム成形に使用する加硫剤の分解物を除去するための二次加硫を行っていたが、新製品では従来品に比べ低分子シロキサンの含有量を大幅に低減し、一次加硫時に副生成物が発生しない付加反応型にしたことにより二次加硫の工程が不要となった。

新製品は、押し出し成形、トランスファー成形、カレンダー成形、プレス成形、インジェクション成形などのさまざまな成形方法に対応可能であり、成形メーカーの生産性の向上と省エネルギーに貢献するとしている。

 

◆電子材料:デクセリアルズがインクジェット塗布に対応した光学弾性樹脂を開発(9月28日)

デクセリアルズは、インクジェット装置による塗布に対応した光学弾性樹脂「Jettable SVR」を開発したことを発表した。

同社の光学弾性樹脂「SVR」は、ディスプレイパネル表示部とトッププレートの間にあるエアギャップを埋めるアクリル樹脂であり、トッププレートの材質に近い光学特性を付与することでエアギャップの界面での光の反射を防ぎ、視認性向上を実現するとともに、衝撃吸収性をもたらす液状接着剤である。

本開発品は、インクジェット塗布に対応することで、光学特性はそのままに取り扱いやすさを向上させ、さらに任意の形状に塗布、貼合が可能となる。

今後同社は、本開発品を光学透明粘着シート(OCA)の代替や、従来の光学弾性樹脂では使用が難しい、複雑な形状や厚みの変化が求められる新しいデザインのディスプレイにおける採用を目指し、事業を拡大していくとしている。

 

◆印刷技術:東レが100%VOCフリー水なしEBオフセット印刷技術の実証に成功(9月28日)

東レは、欧州の食品軟包装印刷会社であるスペインのSP Group社と世界で初めて軟包装印刷分野での100%VOCフリー水なしEB(電子線)オフセット印刷技術の実証に成功したことを発表した。

軟包装材は、食品やシャンプー・洗剤の詰め替え品用など幅広い商品の包装に使われている。軟包装用印刷には、アジアを中心にグラビア(凹版)印刷方式が採用されているが、有機溶剤を含むインキを大量に使うことから、大気汚染および印刷オペレーターへの健康被害の原因となるVOCを多く排出することが問題となっており、欧州でもこれらの問題に関心が高まっている。

今後は更に実証を進め、2020年度内の実用化を目指すとしている。

 

◆価格改定

・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定

10月契約価格は、425$/t(前月比▲20$/t)、国内価格換算想定値は50.1円/kg

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素材・工業材料

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