2026.03.05 発行
◆スチレン事業:デンカがスチレン関連事業における分社化の検討開始を発表(2月27日)
◆樹脂:住友ベークライトが高密着性特殊フェノール樹脂シリーズを新たに展開(2月26日)
◆断熱材料:デンカエラストリューションが熱暴走抑制に寄与するLiB向けセル間断熱材を開発(2月25日)
◆3Dプリンタ材料:東レが3Dプリンタ向けポリアミド(PA)12真球粒子を開発(2月25日)
◆新技術:ポーラ化成工業と三菱ケミカルがプラスチック分離型化粧品容器技術を開発(2月24日)
◆バイオ:東レがポリアミド4のバイオ原料化技術を創出(2月24日)
◆熱マネジメント:サカタインクスが温度応答型の次世代熱マネジメント材料を開発(2月24日)
◆スチレン事業:デンカがスチレン関連事業における分社化の検討開始を発表(2月27日)
デンカは、ポリマーソリューション部門に属するスチレン関連事業について、2027年4月を目途に分社化の検討を開始することを発表した。
スチレン関連事業を取り巻く事業環境は、グローバルでの生産設備の増強や需給バランスの変容に伴い市況変動が大きく、国際競争下では価格決定力も低下している。また、中長期的には炭素排出に伴うコスト等の負担増が見込まれ、装置産業として固定費比率が高い構造にある本対象事業は、稼働率の低下が収益性・キャッシュ創出力の低下に直結する。
分社化によって対象事業の独立性・採算性を高めることは、デンカ本体内での改善にとどまらない構造改革の推進力強化に繋げるとともに、外部パートナーとの協業や資本提携など、多様な戦略的選択肢を取り得る体制の整備にもつながる。
分社化を検討する対象事業は、スチレン関連事業に属するスチレンモノマー、機能樹脂及びシート製品の製造・販売並びに当該事業に付随するその他の機能を含む一連の事業群である。対象事業には国内拠点に加え海外拠点を含み、具体的な対象範囲については、今後の検討及び必要な手続を踏まえて決定するとしている。
◆樹脂:住友ベークライトが高密着性特殊フェノール樹脂シリーズを新たに展開(2月26日)
住友ベークライトは、多様化する複合材料の開発ニーズに対応すべく、各種素材への高い密着性を追求した特殊変性フェノール樹脂製品群を新たにシリーズ化したことを発表した。
金属密着用フェノール樹脂「スミライトレジンPR-56464」は、バインダーとして配合することで、金属基材に対して高い密着強度を発揮する。
カーボン密着用「スミライトレジンPR-56091」および「スミライトレジンAQNOA PR-56542」は、カーボン系複合材料のバインダーとして使用することで、カーボン素材との親和性が向上し、密着性や耐久性が改善する。また、炭化焼成させることによって、カーボンバインダーとしても機能を発揮する。
この他にも、無機フィラー、アラミド繊維、鋼板、水性塗料配合用など、様々な素材に特化した高密着性フェノール樹脂をラインナップしている。
今後、高密着性特殊変性フェノール樹脂の販売を通じて、多様化する材料設計ニーズを的確に把握し、同社の強みである樹脂開発力を最大限に活かした高機能なポリマー新製品の開発を積極的に進め、半導体、モビリティ、エネルギーといった重点分野において、2030年度までにグローバルでの年間売上収益20億円に向けて取り組んでいくとしている。
◆断熱材料:デンカエラストリューションが熱暴走抑制に寄与するLiB向けセル間断熱材を開発(2月25日)
デンカエラストリューションは、デンカが開発した断熱・延焼防止材「Profy Guard」に、同社のゴム製品製造技術を応用したクッション性材料を組み合わせたリチウムイオンバッテリー(LiB)向けセル間断熱材を開発したことを発表した。
セル間断熱材は、LiBセル同士の間に配置し、熱暴走時に発生する高温が隣接セルへ伝播するのを抑制するための断熱材で、電気自動車を中心とする車載用バッテリーに幅広く採用されている。先行材料としては「エアロゲル」などが知られている。
「ProfyGuard」は、加熱時に発生する化学反応による吸熱効果と、発泡による多孔質化によって熱伝導率を低減することで熱の伝播を遅らせるLiB向け断熱・延焼防止材である。車載用LiBを用いた類焼試験では、同じ厚みのエアロゲルと比較して同等以上の性能を確認している。
また、今回開発した新型セル間断熱材は、クッション性材料の高い追従性を組み合わせた製品である。クッション性材料は、充放電や劣化によるセルの膨張・収縮に追従し、バッテリーを保護する。さらに、同品の吸熱・発泡による多孔質化に最適化した配合を採用しており、断熱性能を損なうことなく、熱暴走の連鎖的な拡大抑制に寄与するとしている。
◆3Dプリンタ材料:東レが3Dプリンタ向けポリアミド(PA)12真球粒子を開発(2月25日)
東レは、独自のポリアミド(PA)粒子化技術を用いて、パウダーベッドフュージョン(粉末床溶融結合)方式の3Dプリンタに対応したPA12の真球粒子「トレパールPA12」を開発したことを発表した。
樹脂粒子を用いるパウダーベッドフュージョン方式3Dプリンタには、高い寸法精度と強度の3D造形物を効率良く造形できる特徴がある。3Dプリンタ市場における樹脂粒子の素材としては、低温造形が可能なPA12が幅広く用いられている。一方、PA12粒子は不定形状で粒子が均質に並ばないことが多く、3D造形物に表面粗さが残ってしまうことから、PA12粒子を使用した造形物の表面研磨など、後加工処理を行う必要がある。また、造形中の粒子間の隙間により、造形物内部に微細な空孔が生じやすくなり、密度が低下することによって、樹脂本来の機械特性(衝撃強度など)を発揮できなかった。
今回開発した材料は、従来の3Dプリンタ装置に幅広く適用できるとともに、PA12粒子が均質に並び高密度化することによって、造形物表面の平滑化や衝撃強度の向上を実現した。
同品は本年1月より一部顧客向けに同品のサンプルワークを開始している。耐久性や気密性が要求される用途において、3D造形物のさらなる高品質化に寄与することができ、試作品や実用部品での適用範囲の拡大が期待できるとしている。
◆新技術:ポーラ化成工業と三菱ケミカルがプラスチック分離型化粧品容器技術を開発(2月24日)
ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業は、異なるプラスチック材質を分離する化粧品容器技術を開発したと発表した。
ポーラ・オルビスホールディングスでは、2029年までに化粧品プラスチック容器・包材の100%サステナブル設計(4R:Reduce/Reuse/Replace/Recycle)の実現を目指し、プラスチック使用量の削減とリサイクルの促進に取り組んでいる。
化粧品容器は、紫外線や酸素などから内容物を守る機能に加え、使用性やデザイン性を兼ね備える必要があるため、容器の種類によっては複数のプラスチックを積層構造で使用することが一般的である。しかし、異なる材質が強固に接着されていることで、材質ごとの分離が困難となり、高品質なマテリアルリサイクルが難しいという課題があった。
この課題に対し、ポーラ化成工業は、三菱ケミカルが製造する水溶性材料「ニチゴーGポリマー」(ビニルアルコール系樹脂)を中間層に用いることで、使用済み容器を粉砕後、水中で攪拌するだけで材質ごとに分離可能となる技術を開発した。これにより、積層構造容器でも、簡便かつ低コストで高品質なリサイクル材の回収が可能となり、マテリアルリサイクルの推進に大きく貢献する。
同技術は、リサイクルに課題があるとされていたチューブ容器で実現したが、今後はチューブ容器にとどまらず幅広い用途への展開が期待されるとしている。
◆バイオ:東レがポリアミド4のバイオ原料化技術を創出(2月24日)
東レは、マイクロプラスチック課題の対策に寄与する海洋生分解性に優れたポリアミド4に使用する原料である2-ピロリドンをバイオ由来原料から製造する独自の合成技術を創出したと発表した。
近年、マイクロプラスチックの海洋流出による環境問題が課題視され、各国で排出規制が始まっている。東レはその課題に対して生分解性および海洋生分解性を有するポリアミド4を開発し、主に化粧品に使用される微粒子として市場展開を進めてきた。
従来、ポリアミド4の原料である2-ピロリドンは、石油由来の原料から製造されてきたが、今回同社は、糖などの主要バイオマスを起点とした2-ピロリドン合成法の研究開発に取り組み、合成に成功した。本技術で製造される2-ピロリドンを重合・加工したポリアミド4微粒子は、従来品と変わらない粒径、形状を実現でき、最終製品への影響を与えることなくバイオ原料化することが可能である。また、本技術で製造される2-ピロリドンは、ポリアミド4以外にもN-メチルピロリドン、N-ビニルピロリドンの原料としても広く利用されており、多用途への応用展開の可能性も有している。
同社は今後、バイオ由来原料から作られるポリアミド4のスケールアップ検証を進め、2028年度を目途に主に化粧品向け微粒子としての市場展開を目指すとしている。
◆熱マネジメント:サカタインクスが温度応答型の次世代熱マネジメント材料を開発(2月24日)
サカタインクスは、シンガポールのスタートアップ企業Matwerkz Technologies と共同で、次世代熱マネジメント材料「Thermorphous FX25(開発品)」を開発したことを発表した。
同品は、EVや電動モビリティ、静置型電源装置や無停電電源装置向けのバッテリーパックに最適な、温度応答型の熱マネジメント材料である。通常稼働温度では高い熱伝導率を発揮し、バッテリーセル間の熱拡散によりバッテリーの出力性能と高寿命化が期待できる。一方で、セルの熱暴走が発生する温度域に達すると熱伝導率が急激に低下し、遮熱機能を発揮する。これにより、熱暴走が発生したセルの周りを断熱、遮熱し、隣り合うセルへの類焼を防止する。この性能により、従来は両立が困難だった「安全性と出力性能」を、単一材料で実現し、構造の簡素化とトータルコスト低減にも貢献する。
また、同品は2液硬化型のポッティング剤として機能するため、円筒形、角形、パウチ型それぞれの設計に柔軟に対応し、金型を利用することにより、セルホルダーなどの立体形状、シートへの加工も期待される。1mm以下の間隙にも充填できるため、複雑な立体構造内への対応が可能であることが特長である。
現在、国内大手1社との共同評価も進行中であり、2027年の量産化を目指すとしている。