2025.09.04 発行
◆コーティング:大日本塗料がAGCコーテックの子会社化を目的とした株式譲渡契約書の締結を発表(8月29日)
◆ポリマー:日本ゼオンがシクロオレフィンポリマー新プラント建設への投資総額の変更を発表(8月29日)
◆LNG:日揮ホールディングスがINPEXマセラ社向けインドネシアでの陸上LNGプラントと洋上生産出荷施設の基本設計
役務等を受注(8月27日)
◆電池材料:日東紡と東北大学がリサイクル容易な水系電池用電極材料を開発(8月26日)
◆有機:花王が三級アミンの生産工場を米国テキサス州に新設(8月25日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの9月の契約価格を改定
◆コーティング:大日本塗料がAGCコーテックの子会社化を目的とした株式譲渡契約書の締結を発表(8月29日)
大日本塗料は、AGCが保有するAGCコーテックの全株式を2025年12月下旬(予定)に取得し、子会社化することを目的とする株式譲渡契約書を締結したことを発表した。
現在、AGCコーテックは、AGCが90%、 大日本塗料が10%の株式を所有している。AGCコーテックは、ふっ素樹脂塗料分野において高い技術力を有しており、一方、大日本塗料は塗料事業の基盤拡大及び抜本的効率化に取り組んでいる。大日本塗料の既存技術とAGCコーテックの技術の融合・昇華により一層技術優位性の高い製品開発が可能となり、ふっ素樹脂塗料市場におけるプレゼンスの向上が期待されるとしている。
◆ポリマー:日本ゼオンがシクロオレフィンポリマー新プラント建設への投資総額の変更を発表(8月29日)
日本ゼオンは、2028年度上期の竣工に向け、計画を進めているシクロオレフィンポリマーの新プラント建設の投資総額を約700億円から約780億円に変更したことを発表した。
変更の理由は、労務費および材料費や物品費などの上昇により、建設費用の上振れが見込まれたためである。変更後の投資総額は、現時点で確定している費用の上昇分と、今後の上昇が予想される費用の見積額を織り込んだ金額としてる。
同社のシクロオレフィンポリマーは、優れた光学特性、低吸水性、更には不純物が非常に少ないという特長から、光学フィルム、光学レンズ用途だけでなく、医療用途、半導体用途での採用も拡大しており、今後も更なる需要拡大が見込まれる。なお、新プラントの竣工は2028年度上期の予定としている。
◆LNG:日揮ホールディングスがINPEXマセラ社向けインドネシアでの陸上LNGプラントと洋上生産出荷施設の基本設計役務等を受注(8月27日)
日揮ホールディングスは、インドネシア法人のJGCインドネシアと仏テクニップエナジーのインドネシア法人がコンソーシアムを組成し、INPEXマセラがインドネシアで計画しているアラフラ海マセラ鉱区アバディLNGプロジェクトのうち、陸上液化天然ガス(LNG)プラントと洋上生産出荷施設(FPSO)に係る基本設計役務、および設計・調達・建設工事等に係る見積役務を受注したことを発表した。
本プロジェクトは年産950万トンのLNG生産を想定し、その量は日本の年間LNG輸入量の1割強に相当する。加えて、アバディガス田は世界有数の良好なガス田性状および埋蔵量を有するため効率的な開発が可能であり、CO2回収・貯留(CCS)を取り入れることで、長期のクリーンなエネルギー安定供給を目指す。本プロジェクトに係るFEED役務は、同社コンソーシアムが受注した陸上LNGプラントやFPSOのほか、海底生産施設および海底パイプラインの4つのパッケージに分けて実施される。
このうち陸上LNGプラントとFPSOのFEED役務については、同社コンソーシアムを含む2つの企業連合が並行して実施する「デュアルFEED」方式が採用されており、技術・価格面で最も優れた提案を行った企業連合が、最終的にコントラクターとして選定される予定としている。
◆電池材料:日東紡と東北大学がリサイクル容易な水系電池用電極材料を開発(8月26日)
日東紡は、東北大学多元物質科学研究所と共同で、リサイクルが容易な水系電池の電極材料を開発したと発表した。
親水性ポリアミンに電荷貯蔵を担うp-ジヒドロキシベンゼンを導入することで、電解質が水溶液である水系電池の電極材料への展開を可能にした。
有機レドックス高分子は、電池の電極材料として注目されており、特に最近は、安全で環境に優しい水系電池への応用に向けた研究が進められている。しかし、同高分子の多くは疎水性であり、水系電池へと応用するには、親水性を付与する必要がある他、それらの分解は他の高分子材料と同様に簡単ではない。
今回、水に溶かすとプラス電荷を帯びることで高い親水性を示すポリアミンに、簡便な縮合反応を用いて、高い電荷貯蔵能を持つp-ジヒドロキシベンゼンを導入した。これにより、高い親水性を維持したまま、水系電池の電極材料として常温で活用できる有機レドックス高分子を開発した。また、同高分子が、100℃以下の温和な条件で原料に分解できることを実証した。
今回の研究により、リサイクルが簡単な水系電池の開発ができるようになり、脱炭素社会の実現に貢献することが期待されるとしている。
◆有機:花王が三級アミンの生産工場を米国テキサス州に新設(8月25日)
花王は、需要拡大に応えるため米国テキサス州パサデナ市に新たな三級アミン生産工場を構築したことを発表した。
新工場は、年間20,000トンの生産能力を有し、中長期的な成長が期待される米国市場への安定供給のさらなる強化を目指すものである。
三級アミンは、殺菌剤や洗浄剤などの界面活性剤に使用される重要な化学原料である。これまで同社は、日本、フィリピン、ドイツの拠点で、独自技術を活かした高品質な三級アミンを生産し、自社製品に活用するとともに、ケミカル事業を通じて国内外の産業界に広く供給してきた。今回の新工場竣工により、米州・欧州・アジアの三極生産体制が確立され、グローバル市場へのより安定的かつ迅速な供給が実現する。
本工場のあるパサデナ拠点は約45ヘクタールという広大な敷地を有しており、三級アミンだけでなく、その誘導体の製造を通じて社外パートナーとの共創を推進するプラットフォームとしての活用も検討している。このプラットフォームを活用することにより、エコシステム全体のバリューチェーン強化につながるとしている。
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの9月の契約価格を改定
9月契約価格は、760$/t(前月比▲10$/t)
国内価格換算想定値は117.0円/kg