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2025年9月25日

2025.09.25 発行

HEADLINE

◆水素関連:エア・ウォーターと戸田工業が建設を進めていた未利用天然ガスを活用したDMR水素製造プラントが完成
 (9月19日)
◆電子材料:住友金属鉱山が粒径100nmの耐酸化ナノ銅粉を開発(9月18日)
◆ガラス:日本電気硝子が「微細凹凸技術」を適用したカバーガラスの量産プロセスを確立(9月18日)
◆繊維:東レがMASホールディングス社との合弁でインドに衣料用縫製品製造会社を設立(9月17日)
◆トイレタリー:ミヨシ油脂がトイレタリー・コスメティックス事業の安定した供給体制の確立を目指し、新工場を建設
 (9月17日)
◆電子材料:レゾナックが山形にSiCエピタキシャルウェハー生産建屋の完成を発表(9月16日)
◆電子材料:JSRがLam Researchと次世代半導体製造に向けたクロスライセンス契約および協業に合意(9月16日)
◆電子材料:JX金属が静岡大学に共同研究部門を設置(9月16日)
◆価格改定
・AGCが国内建築用ガラス関連製品を12月1日納品分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆水素関連:エア・ウォーターと戸田工業が建設を進めていた未利用天然ガスを活用したDMR水素製造プラントが完成 (9月19日)
 エア・ウォーターと戸田工業は、北海道天塩郡豊富町において建設を進めていた未利用天然ガスを活用したDMR(メタン直接改質)法による水素製造プラントが完成し、竣工式を行ったことを発表した。
 両社は、2021年より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)委託事業として、天然ガスやバイオガス等の主成分であるメタン原料から高活性鉄系触媒を用いたDMR法によるCO2フリー水素の製造プロセスおよびシステム開発に取り組んでいた。一方、豊富町では温泉に付随してメタンの含有率が95%の良質な天然ガスが産出されているが、多くは未利用のままとなっていた。
 本事業では、DMR法による商用規模の水素製造プラントを豊富町内に設置し、未利用天然ガスからCO2を直接排出することなく高純度水素を製造するとともに、近隣の需要家へ供給し品質実証を行う。また、副生成物の炭素は、多層カーボンナノチューブ(CNT)として市場展開を目指し用途探索と性能評価を進める。プラントの生産能力は、水素:40Nm3/h、CNT:100t/年である。
 今後は、2026年3月末までに、DMR法による水素製造システムを確立し、水素製造コストを日本政府が2030年の目標としている30円/Nm3以下に低減するとともに需要家での品質実証を行い、社会実装を目指すとしている。

◆電子材料:住友金属鉱山が粒径100nmの耐酸化ナノ銅粉を開発(9月18日)
 住友金属鉱山は、粒径100ナノメートル(nm)の耐酸化ナノ銅粉を開発したことを発表した。
 耐酸化ナノ銅粉は、パワー半導体関連材料である接合材などでの活用が見込まれている。接合材は、半導体の基板同士やチップと基板を接合する材料で、現在、銀粉と溶媒を混合したものが主に使用される。近年の銀価格上昇を受けて、銀粉に代わる銅粉ニーズも高まっているが、銅粉は銀粉に比べて酸化しやすく、取り扱いが難しいという課題があった。
 今回開発された耐酸化ナノ銅粉は、優れた耐酸化性と低温焼結性、均一な粒度分布が特長で、シリコンカーバイド(SiC)などのパワー半導体向け用途での相性の良さが高く評価されている。
 今後、より低温焼結が可能な粒径100nm品をラインアップすることにより、当初の用途として想定していた接合材に加えて、半導体関連材料、電子基板や太陽電池での配線用材料など様々な用途での展開も加速させる。
 また、開発済みである粒径200nmの品種についても、顧客認定に向けて複数のサンプルワークを加速するとともに、2026年度の量産開始に向けた検討を行っていくとしている。

◆ガラス:日本電気硝子が「微細凹凸技術」を適用したカバーガラスの量産プロセスを確立(9月18日)
 日本電気硝子は、ガラス表面にナノメートル単位のテクスチャーを形成する独自技術「微細凹凸技術」を適用したカバーガラスの量産プロセスを確立したと発表した。
 従来のガラス画面はペン先が滑りやすく、紙のような自然な書き心地を再現できないという課題があった。専用フィルムも利用されているが、透明性や耐久性に劣るほか、ペン先が削れやすいといった問題がある。
 微細凹凸技術は、ガラスにナノレベルの凹凸加工を施すことで、ペン先の滑りを適度に抑え、紙にボールペンで書くような自然な感覚を実現する。凹凸がナノレベルのためペン先の摩耗を抑え、ペン先の寿命の向上にも寄与する。また、従来の専用フィルムと比べ、本技術を用いたカバーガラスは品質と耐久性の両面で優位性を発揮する。最大加工サイズは510mm×600mmで、ガラスだけでなく金属・セラミックス・樹脂への加工も可能である。
 量産プロセスを確立したことにより、同技術を搭載した製品を安定的に提供できるようになり、タブレット端末をはじめとする幅広い市場への展開が可能になるとしている。

◆繊維:東レがMASホールディングス社との合弁でインドに衣料用縫製品製造会社を設立(9月17日)
 東レは、衣料用縫製品製造販売事業を行うスリランカのMASホールディングス社との合弁会社をインドに設立したことを発表した。
 新会社(社名:Toray MAS Apparel India Private、以下、TOMA社)は、インドに製造設備を新設し、2026年後半に操業を開始する予定である。出資比率は東レグループが60%、MAS社が40%である。
 MAS社は、衣料用縫製品製造会社として世界13か国で事業を展開するグローバル企業であり、インドにおいても縫製品製造で26年の実績がある。東レグループはこれまで、中国やベトナム、インドネシア、バングラデシュといった地域を拠点として縫製品事業を進めてきた。
 TOMA社は、MAS社の広範なアパレル製造ノウハウや長年に渡るインドでの製造経験と、東レの有する原糸から縫製品までの一貫設計と高次加工技術との融合により、インド市場での事業拡大およびグローバルな供給体制を構築する。なお、TOMA社は、東レが戦略的パートナーシップを締結しているユニクロの南アジアにおける縫製品事業の拠点として、インド市場でのサプライチェーン高度化を推し進めていくとしている。

◆トイレタリー:ミヨシ油脂がトイレタリー・コスメティックス事業の安定した供給体制の確立を目指し、新工場を建設(9月17日)
 ミヨシ油脂はクラシエとの合弁会社で、クラシエのトイレタリー・コスメティックス事業の主力製品であるシャンプーやボディソープといった洗浄製剤を生産するセキセイT&Cの生産拠点となる新工場を建設することを発表した。
 クラシエのトイレタリー・コスメティックス事業の生産拠点は、愛知県にある津島工場とミヨシ油脂名古屋工場内にあるセキセイT&Cの工場である。今回、ミヨシ油脂は、セキセイT&Cの工場の老朽化対応と生産能力の増強を目的に、ミヨシ油脂名古屋工場内に新工場を建設する。なお、新工場の生産能力は33,000t、2026年秋に竣工、2027年春に稼働開始の予定としている。

◆電子材料:レゾナックが山形にSiCエピタキシャルウェハー生産建屋の完成を発表(9月16日)
 レゾナックは、レゾナック・ハードディスクの山形工場にて、SiC(炭化ケイ素)エピタキシャルウェハー(以下、SiCエピウェハー)の生産建屋竣工式を開催したことを発表した。
 本施設は、パワー半導体向けSiCエピウェハーの生産体制強化を目的として、2024年9月より建設を進めてきたものである。今回の新設は、経済産業省から2023年6月に認定を受けた、経済安全保障推進法に基づく特定重要物資である半導体部素材(SiCウェハー)の供給確保計画の実現に向けた取り組みの一環である。
 レゾナックグループは、エネルギー効率化を実現するSiCエピタキシャルウェハーをコア成長事業と位置付けて注力している。
 今後、各種設備を導入し、生産に向けた準備を進めていく。稼働開始は2026年の予定としている。
 
◆電子材料:JSRがLam Researchと次世代半導体製造に向けたクロスライセンス契約および協業に合意(9月16日)
 JSRとその子会社であるInpriaは、Lam Research社(以下、Lam)と次世代半導体製造に向けた非独占的なクロスライセンス契約および協業に合意したことを発表した。
 両社は、JSRとInpriaのMOR(Metal Oxide Resist)を含む最先端リソグラフィー材料と、Lamのエッチング・ドライレジスト成膜技術で協業し、先端EUV材料や次世代パターニング材料を共同開発する。あわせて、CVD(Chemical Vapor Deposition)/ALD(Atomic Layer Deposition)向け高純度プリカーサーについて、JSR子会社のヤマナカヒューテックとのシナジーを活かした探索・プロセス開発を推進する。
 これにより、人工知能や高性能コンピューティングに求められる複雑パターンのコスト・プロセス複雑性低減と、先端ノードでの歩留まり・スループット向上を目指すとしている。

◆電子材料:JX金属が静岡大学に共同研究部門を設置(9月16日)
 JX金属は、静岡大学との連携を強化し、結晶材料の技術開発を加速するため同大学電子工学研究所内に共同研究部門を新たに設置したと発表した。
 同社は、半導体材料・情報通信材料セグメントを成長戦略のコアと位置付け、研究開発に注力している。新規事業創出では、次世代半導体材料やフォトニクス材料を中心にポートフォリオ拡充を進めている。なかでも、InP(インジウムリン)基板やCdZnTe(カドミウムジンクテルル)基板などの結晶材料は、生成AI、次々世代通信、自動運転、防衛、航空宇宙、医療などの光学分野に必要不可欠であり、同社は次世代の柱とすべく技術開発を推進している。
 一方でこれら分野の進展により更なる高性能結晶材料のニーズが見込まれることから、技術開発を加速させるため今回の共同研究部門設置に至った。
 JX金属は静岡大学の先進技術や学術的知見の融合により、新規結晶成長技術の開発でニーズに応える技術開発を加速できると考えている。また人材育成にも資することが期待できるとしている。

◆価格改定
・AGCが国内建築用ガラス関連製品を12月1日納品分より値上げ
 値上げ幅は、フロートガラス:約10%
 型板ガラス・網入型板ガラス・網入磨き板ガラス:約15%
 建築用加工ガラス:15~20%
 一部の製品については20%以上の引き上げを予定

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