メールマガジン

2025年9月18日

2025.09.18 発行

HEADLINE

◆電子材料:ノリタケが半導体向け回路形成用銅ナノペースト、スラリーの販売を開始(9月11日)
◆蓄熱材料:日本触媒の蓄熱マイクロカプセル(h-MEPCM)の量産技術開発事業がNEDOに採択(9月11日)
◆樹脂:三井化学、出光興産、住友化学が国内ポリオレフィン事業の競争力強化に向けた3社基本合意を発表(9月10日)
◆吸熱材:DICがバッテリー発火の延焼を防ぐ吸熱パッド「GELRAMIC」を開発(9月11日)
◆繊維:帝人フロンティアがタイで高強力リサイクルポリエステル長繊維を増産(9月8日)
◆リサイクル:パナソニックとJX金属が使用済み家電からの銅資源循環スキームを共創(9月8日)
  
  

WEEKLY NEWS

◆電子材料:ノリタケが半導体向け回路形成用銅ナノペースト、スラリーの販売を開始(9月11日)
 ノリタケは、200℃以下かつ窒素雰囲気下で焼結が可能な銅ナノ粒子を含むペースト、スラリーの販売を開始すると発表した。
 プリント基板の製造において、フォトリソグラフィを用いた電子回路形成では、基板全体に銅膜を形成した後、不要な部分を薬品で除去することで回路パターンを形成する。これに対し、近年研究が進んでいる銅ペーストの印刷による電子回路形成では、薬品を使用せず、必要な箇所のみ印刷するため、材料の使用量を削減できる。しかし、配線形成時には、300℃以上で焼結する必要があり、熱によってプリント基板に反りや劣化が起こる可能性がある。特に先端半導体においては、基板の反りや劣化を極力抑えることが必要である。こうした背景から、焼結温度が低い銅ナノ粒子を用いたペーストの開発が試みられている。
 今回販売を開始するペーストは、200℃以下かつ窒素雰囲気下で焼結が可能なため、プリント基板の積層化や薄型化に対応でき、半導体モジュールの性能向上に貢献する。また、電子回路形成にペースト印刷を採用することで、フォトリソグラフィによる方法と比べて、銅の使用量が削減できる。
 ノリタケは、三菱商事グループとともに、これらを半導体モジュール向け回路形成用途として販売を進めていくとしている。

◆蓄熱材料:日本触媒の蓄熱マイクロカプセル(h-MEPCM)の量産技術開発事業がNEDOに採択(9月11日)
 日本触媒は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム」において、「革新的潜熱蓄熱マイクロカプセル(MEPCM)・成型体の量産技術開発」事業が採択されたことを発表した。
 本事業では、東洋アルミニウムの合金製造技術を活用し量産されたアルミニウム合金を原料に、北海道大学の能村教授が開発したh-MEPCMを日本触媒の触媒成型技術により成型体化・量産化し、用途に応じた蓄熱成型体として社会に提供することを目指す。
 地球温暖化対策として、再生可能エネルギーの導入が進められているが、安定した電力供給には蓄エネルギー技術の活用が不可欠である。畜エネルギーの方法としては、電池が一般的であるが、熱としてエネルギーを蓄える「蓄熱」は比較的安価な手段として注目されている。
 h-MEPCMは、約600℃で融解する金属核を、融点2,000℃以上のアルミナで封じ込めた蓄熱粒子である。金属核の融解時に潜熱として大量の熱を蓄えることができ、従来の顕熱蓄熱材に比べて高い蓄熱密度を特徴とする。また、h-MEPCMは、アルミナの殻により外観を固体のまま維持できるため、ハンドリング性に優れ、用途に適合する成型体に加工できる。さらに、内部の熱を効率的に外部へ伝達でき、安定した温度維持と高出力での熱放出が可能である。
 これらの特長からh-MEPCM成型体は高温排熱の回収、工業プロセスの熱管理、再生可能エネルギーの蓄熱など、幅広い分野での応用が期待される。本事業では、MEPCMの実用化に即した蓄熱成型体の量産技術の確立とコスト低減を実現し、社会実装を加速していくとしている。

◆樹脂:三井化学、出光興産、住友化学が国内ポリオレフィン事業の競争力強化に向けた3社基本合意を発表(9月10日)
 三井化学、出光興産、住友化学の3社は、三井化学と出光興産の合弁会社であるプライムポリマー(以下、PRM)が行うポリオレフィン(PO)事業と住友化学の国内のポリプロピレン(PP)事業およびLLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)事業の統合を行うことを基本合意したと発表した。
 国内における合成樹脂需要の約5割を占めるPOは、自動車、電子材料、医療機器など様々な用途に使用される素材であるが、人口減少や生活習慣の変化による内需の縮小により、今後の需要は減少する見込みである。
 PRMは2005年に三井化学と出光興産の合弁会社として設立され、PP、ポリエチレン(PE)を主な製品としている。PRMと住友化学は、それぞれ京葉地域に拠点を有しており、住友化学のPPとLLDPEの事業をPRMに統合することは、国内のPO事業強化のみならず輸入品に対する水際競争力につながる。
 PRMの国内生産能力は、統合前のPP:126万トン/年、PE:55万トン/年から、統合後はPP:159万トン/年、PE:72万トン/年となり、売上高は3,873億円(2024年度量産合算)となる。統合時期は2026年4月を予定しており、本事業統合により、三井、出光、住友の3社協力のもと80億円/年以上の合理化を目標として生産体制などを最適化するとしている。

◆吸熱材:DICがバッテリー発火の延焼を防ぐ吸熱パッド「GELRAMIC」を開発(9月11日)
 DICは、リチウムイオン電池(LIB)の熱暴走による発火の延焼リスクに対応する延焼防止吸熱パッド「GELRAMIC(ゲラミック)」を開発したと発表した。
 近年、廃棄物処理施設やごみ収集車などでLIBに起因する火災が全国で発生しており、その多くが不適切な廃棄が原因とされている。また、経済産業省は2026年4月からモバイルバッテリーなどの回収・リサイクルを事業者に義務付ける方針を決定しているが、回収ボックス内でLIBが発火した場合の延焼リスクを最小化する対策も重要な課題となっている。
 本製品は、発火に至る熱暴走時に発生する高温を強力に吸収(吸熱)する特殊ゲルを内包し、熱エネルギーを効率的に制御することで温度上昇を抑制、LIB外部への延焼を防止する。さらに、高温下でゲルがセラミック化することで、断熱性・耐破片性を発揮し、延焼と熱伝播を物理的に遮断する。
 現在、複数の顧客・パートナーと評価を進めており、短期的には使用済みLIBの回収・リサイクル分野(LIB回収ボックスなど)への導入を、中長期的には電動アシスト自転車や電気自動車(EV)など車載用LIBへの展開を視野に入れている。2030年までに約10億円の売上を目指すとしている。

◆繊維:帝人フロンティアがタイで高強力リサイクルポリエステル長繊維を増産(9月8日)
 帝人フロンティアは、タイヤコードやゴム製品補強材、シートベルトなどに使用される工業繊維向けの高強力リサイクルポリエステル長繊維の需要増に対応するため、ポリエステル繊維の製造・販売を展開するグループ会社のテイジン・ポリエステル(タイランド)(以下、TPL)における、同繊維の生産能力増強を決定したと発表した。
 近年、資源循環に向けて、工業繊維用途でのリサイクルポリエステル長繊維の需要が高まっている。また、自動車などの工業製品の安全性向上のため、高強力や難燃性などより機能性の高い産業資材向けポリエステル長繊維のニーズも拡大している。
 これらのニーズに対応する原糸をTPLで生産しているが、原糸生産の前工程設備の制約により、同じ設備で生産する工業繊維向けリサイクルポリエステル長繊維および産業資材向け機能性ポリエステル長繊維の増産が困難な状況であった。今回は、前工程設備を改良し、これらの原糸を増産することを決定した。増産開始時期は2025年11月を予定しており、2025年度に工業繊維向け高強力リサイクルポリエステル長繊維などを620t/y生産する予定としている。

◆リサイクル:パナソニックとJX金属が使用済み家電からの銅資源循環スキームを共創(9月8日)
 パナソニックとJX金属は、使用済み家電から回収した銅スクラップを再資源化し、パナソニックグループの製品に再び活用する循環スキームを共創し、2025年9月から運用を開始することを発表した。
 パナソニックグループでは、家電リサイクル法における使用済み家電4品目から回収した銅スクラップについては、従来より製錬業者等に売却することで、銅箔や銅線、銅管など各種銅製部品の原料となる電気銅への再資源化を行っていたが、再生電気銅の自社製品への再活用の量は正確には把握できていなかった。そこで、パナソニックは、JX金属が新たに採用した銅製錬プロセスにおける原料から製品までの物量管理の仕組みを活用し、供給した銅スクラップ相当分の電気銅を確実かつ正確に製品へ使用することを目指す。
 この電気銅は、「スクラップのみを原料としている」と見なすことができ、鉱石の採掘等にかかる多量の燃料や電力などが不要なため、従来に比べ地球温暖化ガスの排出量が大幅に削減された電気銅と考えることができる。
 今後、パナソニックは家電リサイクルを中心に銅スクラップの回収体制の強化、JX金属はリサイクル技術と管理体制の高度化を通じて、電気銅リサイクル比率の向上を推進するとしている。

TOPへ戻る