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2025年9月11日

2025.09.11 発行

HEADLINE

◆電池材料:BASFが中国のウェリオン社に半固体電池向け正極材を初納入(9月4日)
◆食塩電解:旭化成がCAC Engineering社と協業しBondalti社のポルトガル工場にてイオン交換膜法食塩電解プロセスの商業
 運転の開始を発表(9月2日)
◆ガラス:日本板硝子がポーランドに最新鋭の建築用ガラスコーティング設備を新設(9月2日)
◆海外拠点:クラレがシンガポールに技術支援拠点を開設(9月2日)
◆エチレン:旭化成、三井化学、三菱ケミカルが西日本におけるエチレン製造設備に関わる有限責任事業組合(LLP)を設立
 (9月1日)
◆電子材料:日本ガイシが車載レーダーを高精度化する石英ガラス複合ウエハーを応用したアンテナ回路基板の開発を開始
 (9月1日)
◆プラントエンジ:東洋エンジニアリングがトルクメニスタンにて大型ガス化学コンプレックスの大規模改修業務の1stフェー
 ズを受注(9月1日)
◆建設資材:デンカがImerys社との技術・業務提携開始を発表(9月1日)
◆価格改定
・東レが人工皮革を10月出荷分から値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆電池材料:BASFが中国のウェリオン社に半固体電池向け正極材を初納入(9月4日)
 BASFは、中国のウェリオン社との協力により、半固体電池向けの正極材(CAM)の大量生産分の初回ロットを納入しことを発表した。
 近年、新エネルギー産業の急速な発展に伴い、市場では電池に対し、より高いエネルギー密度とさらなる安全性の向上が求められている。半固体電池などの固体電池は、次世代電池テクノロジーとして幅広い注目を集めている。
 BASFとShanshanの合弁会社のBSBMは、正極材の開発と製造の専門知識を有し、固体電池の重要な課題に対処する技術力を備えている。同社はCAMと固体電解質間の界面問題を解決するため、独自の複合コーティング層を備えた超高ニッケルNCM(ニッケル・コバルト・マンガン)正極材を開発した。これは、容量の増加と抵抗の低減によりエネルギー密度を高めるだけでなく、CAMと電解質の界面における副反応を抑制することで、サイクル特性とカレンダー寿命も向上させる。
 BASFは、今回の成果を次世代の先進電池に向けた重要なマイルストーンと位置づけ、今後もウェリオン社との協力により、次世代電池技術の開発と産業化を推進していくとしている。

◆食塩電解:旭化成がCAC Engineering社と協業しBondalti社のポルトガル工場にてイオン交換膜法食塩電解プロセスの商業運転の開始を発表(9月2日)
 旭化成は、イオン交換膜法食塩電解プロセスのサプライヤーとして、本プロセスのエンジニアリングをリードするCAC Engineering(以下、CAC社)と協業し、ポルトガルの大手化学企業であるBondalti Chemicals(以下、Bondalt社)のポルトガル・Estarreja工場において、本プロセスの商業運転を開始したと発表した。
 旭化成、CAC社、Bondalti社の3社は、本プロセスを構成するEstarreja工場に設置した9槽の電解槽のうち1槽を「実証実験槽」として活用し、通常運転と並行して実証試験を実施する。
 旭化成はこれまでの事業実績による経験に加え、2020年に買収したRecherche 2000が提供する運転監視システムやソフトウェア解析サービス、さらに新形状電極の開発技術までを組み合わせた包括的なソリューションを提供する。CAC社およびBondalti社と連携して、欧州のエネルギー戦略に適応した運転条件の調整など、従来では難しいとされてきた新たな運転手法にも挑戦するとしている。

◆ガラス:日本板硝子がポーランドに最新鋭の建築用ガラスコーティング設備を新設(9月2日)
 日本板硝子(以下、NSG)は、ポーランドに最新鋭の建築用ガラスコーティング設備を新設することを決定したと発表した。
 同設備は同社グループのピルキントン・ポルスカ社のサンドミエシュ事業所に新設されるもので、生産開始は2027年1-3月期を予定している。投資額は約62億円を見込んでいる。
 新設される設備は、ガラス表面に透明かつ精密な機能性膜を施す完全自動化のスパッタリングコーティングラインであり、この設備で生産される高品位のコーティングガラスは、エネルギー効率の向上や日射透過率の制御に貢献する。この投資は、省エネ性能に優れたLow-E(低放射)ガラスをはじめとする高機能領域のラインナップを拡充するものであり、ポーランド国内のみならず欧州全域で高まる環境配慮型建築への需要に対応していく予定としている。

◆海外拠点:クラレがシンガポールに技術支援拠点を開設(9月2日)
 クラレは、同社のシンガポール現地法人のKuraray Asia Pacificが、アジア市場を対象とする技術支援拠点「Kuraray Asia Pacific テクニカルセンター」をシンガポール・サイエンスパーク内に開設したことを発表した。
 同センターは、アジア市場で需要が拡大する、ポバール樹脂、EVOH樹脂、活性炭を対象とした技術支援拠点である。同センターは、材料の評価・解析・応用技術の検討に必要な機器を備えており、迅速かつ専門的に地域顧客のニーズに応じたソリューションを提供する。さらに、製品の実演や顧客との共同開発を通じて、新たな価値を創出するオープンイノベーションの場としても機能する。
 今後同社グループは、同センターを通じて、顧客の課題解決と新市場・新用途の開拓を推進し、アジア市場でのさらなる事業拡大とプレゼンスの向上を目指すとしている。

◆エチレン:旭化成、三井化学、三菱ケミカルが西日本におけるエチレン製造設備に関わる有限責任事業組合(LLP)を設立(9月1日)
 旭化成、三井化学、三菱ケミカルは、西日本に各社が保有する全2基のエチレン製造設備について、2030年を目途にグリーン化および生産能力最適化を実現するため、3社で有限責任事業組合(LLP)を設立し、検討を加速することを発表した。
 本LLPの名称は「瀬戸内エチレン有限責任事業組合』で2025年8月19日に設立された。本LLPでは、各社が西日本に保有するエチレン製造設備のグリーン化および将来の能力削減を含めた生産体制最適化の検討と、エチレン製造設備の共同運営のための共同出資会社の設立の検討を行う。
 3社は本LLPを通じて、2030年を目途にグリーン化を実装し、高い競争力を有するエチレン生産体制の実現を目指すとしている。

◆電子材料:日本ガイシが車載レーダーを高精度化する石英ガラス複合ウエハーを応用したアンテナ回路基板の開発を開始(9月1日)
 日本ガイシは、ドイツの研究機関のフラウンホーファー研究機構(FHG-IZM)、Fraunhofer Gesellschaft-FHR(FHG-FHR)と共同で、石英ガラス複合ウエハーを応用した車載レーダー用のアンテナ回路基板の開発を開始したと発表した。
 自動車分野では「CASE」の進展により、搭乗者のバイタル情報などを検知する車載レーダーの需要が高まっている。レーダーの高精度化のため、サブテラヘルツ波の使用が検討されているが、サブテラヘルツ波の送受信では、送受信回路での発熱が大きくなり、センシング精度が低下する課題がある。
 日本ガイシとFHG-IZMは、2024年に、サブテラヘルツ波を利用する6G無線通信用のアンテナ回路基板を開発した。この開発では、キャビティを設けた石英ガラス複合ウエハーを用いることで、サブテラヘルツ波に対応したアンテナ回路基板の基本性能を実証した。キャビティ(空洞)付き石英ガラス複合ウエハーをアンテナ回路基板に適用することで、電波の送受信効率と送受信回路の放熱を改善し、レーダーの高精度化に貢献する。
 今回の開発では、この成果を踏まえ、石英ガラス複合ウエハーを応用し、車載レーダー用に最適化したアンテナ回路基板を開発する。それを用いたレーダーモジュールと専用の高周波集積回路をFHG-FHRで設計試作し、2025年11月までにレーダーの基本性能の検証を完了する予定としている。

◆プラントエンジ:東洋エンジニアリングがトルクメニスタンにて大型ガス化学コンプレックスの大規模改修業務の1stフェーズを受注(9月1日)
 東洋エンジニアリングは、トルコのルネサンス社と共同で、トルクメニスタンで化学品などの生産・販売を担う国営のトルクメンヒミヤ社より、同社の大型ガス化学コンプレックスの大規模な改修業務の1stフェーズを受注したと発表した。
 東洋エンジニアリングは、2024年8月にトルクメンヒミヤ社と将来投資案件実現に向けて協力する内容の協定書を締結している。本案件の受注は、同協定書の第一号案件となる。
 東洋エンジニアリングは、ガス分離設備(年間50億m³)、エチレン製造設備(年産40万トン)、 ポリプロピレン製造設備(年産8.1万トン)を、ルネサンス社は、高密度ポリエチレン製造設備、ユーティリティ設備についてのプラント設備大規模改修詳細計画、設計、機器資材の一部調達を担当する。完了は2028年の予定としている。

◆建設資材:デンカがImerys社との技術・業務提携開始を発表(9月1日)
 デンカは、特殊混和材事業において、Imerys社(本社:フランス)と技術・業務提携に向けた包括的な取り組みを開始したと発表した。
 近年、原燃料コストの上昇や環境規制の強化により欧州市場では低炭素社会への移行が急速に進展している。デンカはこれを成長機会と捉え、カルシウムアルミネート技術における世界トップ企業であるImerys社と、新しい無機系製品の技術開発に向けた取り組みを開始した。
 デンカは本パートナーシップを通じて、欧州域内のインフラ・建材市場における新規顧客開拓や、省力化・低炭素化製品の拡販を進め、事業拡大を目指すとしている。

◆価格改定
・東レが人工皮革を10月出荷分から値上げ
 値上げ幅は10%

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