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2025年7月31日

2025.07.31 発行

HEADLINE

◆トナー用レジン:三菱ケミカルがトナー用ポリエステルレジン事業の撤退を発表(7月25日)
◆バイオマス:ENEOSとTOPPANホールディングスが古紙バイオエタノール実証事業を日本製紙富士工場で実施(7月24日)
◆電子材料:JX金属が結晶材料の増産に向けた設備投資を発表(7月23日)
◆医薬品:ジャパン・ティッシュエンジニアリングと帝人リジェネットが再生医療CDMOに関する補助金に採択(7月23日)
◆リサイクル:日本ポリプロ、中部日本プラスチック、三菱ケミカルがマテリアルサイクルポリプロピレンの品質安定化に向け
 たトレーサビリティ実証検討を開始(7月23日)
◆樹脂:住友ベークライトがAGCグループのポリカーボネート事業を譲受(7月22日)
◆LNG:JGC Franceがアフリカにおける浮体式液化天然ガス(FLNG)プロジェクトの先行業務契約を受注(7月22日)
◆価格改定
・日本触媒が高吸水性樹脂の欧州地域向け価格を次期契約分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆トナー用レジン:三菱ケミカルがトナー用ポリエステルレジン事業の撤退を発表(7月25日)
 三菱ケミカルは、トナー用ポリエステルレジン事業から撤退することを発表した。
 撤退事業の対象製品は、トナー用ポリエステルレジン「ダイヤクロン」、製造拠点は東海事業所 愛知地区(豊橋市)である。
 同社は、1989年からトナー用ポリエステルレジン事業を展開していたが、ペーパーレス化やコロナ禍以降の働き方変容に伴う印刷需要の縮小に加え、近年の原料価格高騰や人件費の増加などにより事業の採算は極めて厳しい状況となった。このような状況の中、合理化や固定費の削減などに取り組んだが、取り巻く事業環境を鋭意検討した結果、収益性の改善および将来的な成長は困難であると判断し、事業から撤退することを決定した。
 生産終了は2026年3月末、販売終了は2026年6月末の予定としている。

◆バイオマス:ENEOSとTOPPANホールディングスが古紙バイオエタノール実証事業を日本製紙富士工場で実施(7月24日)
 ENEOSとTOPPANホールディングスは、両社が進める古紙バイオエタノール実証事業について、日本製紙の富士工場内において、パイロットプラントの建設に向けた工事に着手すると発表した。
 バイオエタノールは、カーボンニュートラルの実現に向けて、自動車燃料や化学品用の原料など様々な用途での利用が期待されており、バイオエタノールを原料にSAF(持続可能な航空燃料)を製造することも注目されている。
 本実証では、TOPPANホールディングスが開発した、防水加工された紙やノーカーボン紙等の難再生古紙から不要部分を取り除き繊維分が豊富な原料にする前処理プロセスと、ENEOSが開発しているエタノールの連続生産技術を組み合わせて、スケールアップ検討を行う。日本製紙は、富士工場の一部敷地の提供およびパイロットプラントの一部(糖化発酵プロセス)の運転を担当する。パイロットプラントの規模は古紙の投入量として約1~3t/日、バイオエタノールの生産量としては約300L/日を予定している。
 2027年前半に稼働を開始し、この本実証を通じて得られる知見を活かし、2030年度以降の本事業の商用化を目指すとしている。

◆電子材料:JX金属が結晶材料の増産に向けた設備投資を発表(7月23日)
 JX金属は、光通信に欠かせない結晶材料であるInP(インジウムリン)基板の増産に向けた設備投資を行うことを発表した。
 InP基板は、光通信の受発光素子、ウェアラブル端末における近接センサ、産業用イメージセンサなど幅広い分野で用いられてきた化合物半導体材料である。同材料は、光通信においては電気信号を光に変換する発光素子、光ファイバーを通し受信した光信号を電気信号に変える受光素子に使われており、高速インターネットなど基幹光通信網に不可欠な材料として利用されている。
 同品の需要拡大の要因は、近年の生成AIの発展に伴う、ハイパースケールデータセンターの世界的な建設ラッシュである。センター内のデータのやりとりには光通信が多く用いられており、同社のInP基板の需要も増加している。また、リアルタイム性が求められるアプリケーションでは、現在よりも高速・大容量のデータ処理とそれに伴う電力増加への対応が求められており、その解決策として現在開発が進む光電融合技術にも、同材料の採用が見込まれる。
 今回、増加しているInP基板のニーズに対応すべく、同製品の生産拠点である磯原工場(茨城県)で設備投資を決定した。投資額は約15億円、生産能力は現行から約2割アップさせる。稼働開始は2026年度を予定している。今後は将来的な需要の増大を見据え、さらなる投資についても検討するとしている。

◆医薬品:ジャパン・ティッシュエンジニアリングと帝人リジェネットが再生医療CDMOに関する補助金に採択(7月23日)
 帝人において再生医療事業を展開するジャパン・ティッシュエンジニアリング(以下、J-TEC)および帝人リジェネットは、経済産業省が実施する「再生 CDMO補助金」に共同で採択されたことを発表した。
 「再生CDMO補助金」は、今後の市場拡大が見込まれる再生・細胞医療・遺伝子治療製品に関するCDMO事業を日本の輸出産業とするため、受託製造拠点の整備、自動化装置や品質管理システムの導入に加え、製造人材の育成を経済産業省が支援する事業である。
 今回採択された補助金をもとに、J-TECは、2027年度までに、研究施設の一部を再生医療等製品の製造や品質管理に関する国の基準(GCTP)に準拠した製造施設として改築し、製造や品質管理の工程にAIを導入することで設備の自動化やスキルレス化を図っていく。また、帝人リジェネットは、「柏の葉ファシリティ」で実験室の増設、「岩国ファクトリー」で細胞加工設備(CPC)および実験室を増設する。
 帝人は、 J-TECおよび帝人リジェネットの事業基盤拡大と連携強化を通じて国内外の開発案件を獲得し、2030年度における再生医療事業の売上高目標200億円の達成を目指すとしている。

◆リサイクル:日本ポリプロ、中部日本プラスチック、三菱ケミカルがマテリアルサイクルポリプロピレンの品質安定化に向けたトレーサビリティ実証検討を開始(7月23日)
 日本ポリプロ、中部日本プラスチック、三菱ケミカルの3社は、マテリアルリサイクルポリプロピレンの品質安定化を目的に、透明性・信頼性が高いトレーサビリティシステムの実証検討を開始することを発表した。
 マテリアルリサイクルは、石油化学資源の使用削減やCO2など温室効果ガス排出量の削減、廃棄物削減に貢献する手段として注目される一方、マテリアルリサイクルにより得られるプラスチックは、従来のプラスチックと対比すると、品質面において様々な課題がある。
 今回導入されるトレーサビリティシステムでは、原材料の回収元から製造・加工・最終製品への使用までの情報をデジタルで一元管理し、リサイクル材の透明性・信頼性を向上させる。製品に使用されるリサイクル材の出所や品質情報を明示することで、顧客や消費者への安心と信頼を提供する。
 本検討では、マテリアルリサイクルポリプロピレンの品質向上を目的に、マテリアルリサイクル時のプロセス要因や廃プラスチック原料管理にフォーカスし検討していくとしている。

◆樹脂:住友ベークライトがAGCグループのポリカーボネート事業を譲受(7月22日)
 住友ベークライトは、AGCとその子会社であるAGCポリカーボネートが運営するポリカーボネート事業を譲受することを発表した。
 本譲受は、住友ベークライトグループが戦略領域と定めたモビリティ領域で使用されるポリカーボネート製品の競争力強化に寄与するものである。特に成長が期待される運転支援分野では、同社とAGCが持つそれぞれ固有の光学シート技術を融合し、シナジーを生み出すことが可能になる。
 住友ベークライトは、AGCのポリカーボネート製品を引継ぎ、建材や産業・電子用途のポリカーボネート製品を製造・販売する。その商品力を強化することで、競争優位性を高めていく。また、ブランド力のある「ツインカーボ」ではデータセンター向けの販売を強化し、業界トップシェアを目指すとしている。

◆LNG:JGC Franceがアフリカにおける浮体式液化天然ガス(FLNG)プロジェクトの先行業務契約を受注(7月22日)
 日揮ホールディングスは、同社グループの現地法人であるJGC Franceが、アフリカ地域における浮体式液化天然ガス(FLNG)設備に関する先行業務契約を受注したことを発表した。
 同契約は、JGC Franceが参画するジョイントベンチャーの一員として遂行され、本業務に係る受注金額はジョイントベンチャー全体で約5億5千万ドル相当である。また、同契約は、FLNG設備の設計・調達・建設にかかる先行業務を対象としており、今後のプロジェクトの展開に応じて、より大規模なEPCIC契約(設計、機材調達、建設工事、据付および試運転)の締結が見込まれている。
 JGC Franceは、同プロジェクトの成功を通じて、アフリカ地域の更なる産業発展および生活基盤の向上を目指すとしている。

◆価格改定
・日本触媒が高吸水性樹脂の欧州地域向け価格を次期契約分より値上げ
 値上げ幅は、EUR150/MT

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