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2025年7月3日

2025.07.03 発行

HEADLINE

◆フィルム:バンドー化学が屋外用放射冷却フイルム「Silver Arrow」のテスト販売を開始(6月27日)
◆電子材料:レゾナックがPulseForgeと次世代半導体パッケージ向け光剝離プロセスで提携を発表(6月27日)
◆フィルム:クラレが光学用ポバールフィルム生産設備を増設(6月25日)
◆電子材料:三菱マテリアルが結晶粒成長抑制性能を実現した無酸素銅を開発 (6月25日)
◆電子材料:長瀬産業が光学デバイス向け機能性材料開発・製造を行うInkron Oyの譲渡を発表(6月25日)
◆樹脂成型:積水化学がインド・プネに車輌内外装向け射出成型工場を新設(6月28日)
◆電機材料:JX金属が高純度CVD・ALD材料の供給体制を強化(6月23日)
◆有機:BASFがフランスに新たなヘキサメチレンジアミン(HMD)プラントの稼働開始を発表(6月23日)
◆価格改定
・タキロンシーアイがタキロンプレート(樹脂板)を8月1日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆フィルム:バンドー化学が屋外用放射冷却フイルム「Silver Arrow」のテスト販売を開始(6月27日)
 バンドー化学は、独自のフィルム加工技術を応用した屋外用放射冷却フィルム「Silver Arrow」を開発し、2025年7月よりテスト販売を開始すると発表した。
 今回開発した屋外用放射冷却フイルムは、反射層に銀を活用することで、高い近赤外線反射効果を引き出し、熱放射性にも優れているため、建物や機器、貨物室などの内部温度上昇を抑制する。また、同品を使用することで冷却に係るエネルギーを削減できることから、使用前と比較しCO2が削減されカーボンニュートラルにも貢献するとしている。

◆電子材料:レゾナックがPulseForgeと次世代半導体パッケージ向け光剝離プロセスで提携を発表(6月27日)
 レゾナックは、PulseForgeと次世代半導体パッケージ向け光剝離プロセスに関する戦略的提携に合意したことを発表した。
 本技術は、半導体デバイスの製造工程(前工程)や半導体パッケージング工程(後工程)において、ウエハ等をガラスなどのキャリアに一時的に固定するプロセスに関するもので、レゾナックの仮固定フィルムと、PulseForgeの光照射システムを組み合わせることで、半導体パッケージの高い歩留まりと生産性を実現する。
 PulseForgeは、独自の高いエネルギーを出力できる光照射システム、およびガラスキャリアを保有しており、この独自技術は、一般的なレーザー照射による剥離と比較し、高い歩留まりと生産性を実現し、コストの低減に貢献する。
 レゾナックは、このPulseForgeの光照射システムを用いた光剥離プロセスに適した仮固定フィルムを開発した。本フィルムは、膜厚均一性に優れているほか、厚さ20μmの超薄型ウエハにも対応し、ウエハやパッケージから容易に除去できるため、洗浄プロセスを最小限に抑えることができる。
 両社は、2026年内に本技術を量産プロセスへ導入することを目標として本提携を推進し、業界トップレベルのコスト効率を目指すとしている。

◆フィルム:クラレが光学用ポバールフィルム生産設備を増設(6月25日)
 クラレは、液晶ディスプレイ(LCD)の基幹部材である偏光フィルムのベースとなる光学用ポバールフィルムの生産設備を、西条事業所(愛媛県)において増設すると発表した。
 LCD市場はテレビサイズの大型化の進展により、大型LCDパネルの面積は
 今後もさらなる拡大が見込まれている。このような市場環境において、LCDの基幹部材である偏光フィルムのベースとして、広幅タイプの光学用ポバールフィルムの需要は拡大基調にあることから、クラレは市場への安定供給を維持するために、生産設備の増設が必要と判断した。
 今回増設する新系列は、広幅タイプのポバールフィルム生産設備であり、3m幅偏光フィルムにも対応可能な設備となる。稼働時期は2027年12月を予定しており、西城事業所の生産能力は年産3,800万㎡となる。本増設により、現状の年産2億9,600万㎡は、同3億3,400万㎡に拡大するとしている。

◆電子材料:三菱マテリアルが結晶粒成長抑制性能を実現した無酸素銅を開発 (6月25日)
 三菱マテリアルは、高性能無酸素銅MOFC(Mitsubishi Oxygen Free Copper)シリーズの新製品を開発し、ラインアップを拡充したことを発表した。
 新開発のMOFC-GC(Grain Control)は、熱処理時の結晶粒の粗大化が極めて起こりにくい、新しい無酸素銅である。
 自動車の電動化などにより、電子機器部材には、大電流に対応するために、高導電率や高放熱性能が求められている。xEVのパワーモジュールなどでは半導体素子から発生する熱を放熱するためにAMB(Active Metal Brazing)基板などが用いられるが、その多くは回路層に無酸素銅を採用している。
 このAMB基板の製造においては、従来の無酸素銅では、熱処理による銅の結晶粒の粗大化や不均一組織の生成など、AMB基板の品質ばらつきや性能へ影響を及ぼす課題があった。しかし、近年は多様な接合条件に対応できるように、幅広い温度域においても結晶粒の粗大化を起こしにくい、高度な結晶粒成長抑制性能を備えた材料が必要とされている。
 MOFC-GCは、1000℃の加熱に対しても微細で均一な結晶組織を安定的に保つことができる。導電率や熱伝導率についても高い特性を有している。同社は、同製品の供給を通して、各種電子部品・モジュールにおける品質向上と工程安定化に貢献するとしている。

◆電子材料:長瀬産業が光学デバイス向け機能性材料開発・製造を行うInkron Oyの譲渡を発表(6月25日)
 長瀬産業は、経営資源の最適配分を進める一環として、同社の100%子会社であるナガセケムテックスのグループ会社で、光学デバイス向け機能性材料の開発・製造を行うInkron Oy(本社:フィンランド)の全株式を、台湾のエレクトロニクス部品製造会社であるRadiant Opto-Electronics(本社:台湾)に10.35億円で譲渡することを発表した。
 Inkron Oyは2013年に創業し、光学デバイス向け機能性材料を中心とした新材料の開発・製造を行っている。2017年以降、同分野における共同研究および開発を進めてきたが、中期経営計画における事業ポートフォリオ見直しの中で、ベストオーナーの観点から譲渡の検討をはじめた。Radiant社は当該分野において豊富な知見と実績を有しており、Inkron Oyの成長を最大化できるとの結論に至り、譲渡を決定した。2025年8月をめどに譲渡を完了する予定としている。

◆樹脂成型:積水化学がインド・プネに車輌内外装向け射出成型工場を新設(6月28日)
 積水化学工業は、インド西部マハーラーシュトラ州プネに、車輌用射出成型品を手がける合弁会社「セキスイDLJMモールディング」の6番目の工場を新設すると発表した。
 同社は2011年にインドのDipty Lal Judge Mal Private Limitedとの合弁で事業を開始し、モータリゼーションの進展に伴って事業エリアを拡大してきた。今回のプネ工場設立は、自動車メーカーの集積が進む同地での需要取り込みを狙ったものであり、生産能力は約15%拡大される見込みとしている。
 新工場はプネ県チャカン地区に位置し、四輪・二輪向けの射出成型品を生産する。積水化学グループにおける事業主体は、100%子会社である積水テクノ成型が行う。今回の投資額は約5億円で、稼働は2026年1月を予定している。今後、セキスイDLJMモールディングはプネ工場稼働の効果などにより、2030年に売上高200億円を目指すとしている。

◆電機材料:JX金属が高純度CVD・ALD材料の供給体制を強化(6月23日)
 JX金属は、次世代半導体向けCVD・ALD材料の供給体制の強化を進めていたが、今回、同社の投資により進めていた東邦チタニウム茅ヶ崎工場敷地内の生産設備増強が完了し、フル操業を開始したことを発表した。
 近年、生成AIの進化を支える各種ロジック半導体、3D-NANDフラッシュメモリやHBMなどのメモリ半導体は、配線の微細化や多層化により高性能化が図られており、そのような微細かつ複雑構造への配線形成に欠かせないCVD・ALD材料へのニーズが拡大している。一方、次世代半導体の微細化進展に伴い、配線抵抗の増加、ノイズの増大といった課題が生じており、それらの解決策として配線構造の変更に加え、新しい材料採用の動きも高まっている。
 同社が製造を開始したCVD・ALD材料のひとつであるモリブデン化合物は、それら課題の解決手段となるだけでなく、同社保有の高純度化技術により不純物を低減しているため、歩留まり向上への貢献も期待できる材料である。
 また、同社は国内拠点だけでなく、2024年には、グループ会社でドイツに拠点を有するTANIOBIS社において、多様なCVD・ALD材料の開発・生産が可能な設備を稼働している。さらに、JX金属の茨城事業所(日立地区)においても生産設備導入を進めており、今後見込まれる需要増大に対応するとしている。

◆有機:BASFがフランスに新たなヘキサメチレンジアミン(HMD)プラントの稼働開始を発表(6月23日)
 BASF(本社:ドイツ)は、フランスのシャランペで、世界規模のヘキサメチレンジアミン(HMD)新プラントの稼働を開始したことを発表した。
 同プラントの開設により、BASFのHMD生産能力は年間26万トンに拡大する。HMDは、ポリアミド(PA)6.6やコーティング剤の前駆体であり、自動車や繊維産業などにも活用されている。本プラントは、BASFの欧州におけるPA6.6事業の戦略的発展にとって不可欠な要素であり、新HMDプラントの稼働開始に続き、ドイツのフライブルクでのPA6.6生産の拡張も最終段階に入っている。
 シャランペの新たなHMD生産プラントとフライブルクでのPA6.6重合の拡張により、顧客に高品質の製品を安定的に供給するための体制が整ったとしている。

◆価格改定
・タキロンシーアイがタキロンプレート(樹脂板)を8月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、10%以上

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