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2025年7月10日

2025.07.10 発行

HEADLINE

◆電子材料:東レが膜厚200μmで微細パターン可能な感光性ポリイミド材料を開発(7月4日)
◆リサイクル:ENEOSと三菱ケミカルがプラスチック油化の開始に向けてケミカルリサイクル設備の竣工を発表(7月3日)
◆リサイクル:三井化学の「廃プラスチック分解油の精製技術開発」がNEDOの実用化開発プログラムに採択(7月2日)
◆潤滑油添加剤:三洋化成工業がEV駆動ユニット向け新添加剤「アクルーブNS-100」を開発(7月2日)
◆装置:東洋エンジニアリングがグリーンメタノール製造に最適な小規模プラント向け反応器「MRF-Z Neo」を開発
 (7月2日)
◆水資源:日揮グローバルがJAXAの月面推薬プラント実証事業を受託(7月2日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの7月の契約価格を改定
・アイカ工業株が有機微粒子を8月1日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆電子材料:東レが膜厚200μmで微細パターン可能な感光性ポリイミド材料を開発(7月4日)
 東レは、独自の感光設計技術により、膜厚200μm、線幅30μmの超厚膜・ハイアスペクト微細加工を実現した感光性ポリイミド材料「STF-2000」の開発に成功したことを発表した。
 エレクトロニクス製品は、高性能化の開発が進み続けており、電子部品の小型化・高密度化を目指した微細加工のニーズや、多様な形状を設計できる構造材料のニーズなどが増している。
 STF-2000は、感光材料の厚膜加工の課題であった「硬化物の変形やクラック」「UV硬化不良」「現像不良」「異物・層間剝離」を克服可能な材料である。本材料は、ポリイミド構造に由来する高い耐熱性、耐薬品性、機械強度、絶縁性、X線耐性の特徴を保持しつつ、最大アスペクト比7のハイアスペクト・微細加工性を実現している。また、NMP(N-メチル-2-ピロリドン)フリー・PFASフリーのサステナブル製品仕様であることから、電子部品やMEMSデバイスなどの各種用途の高性能化と環境対応に貢献する。
 本材料の標準形態は、液状タイプであるが、厚膜シートタイプの開発も進めている。2025年度の量産に向け、顧客評価を開始しており、幅広い要望に応えるとしている。

◆リサイクル:ENEOSと三菱ケミカルがプラスチック油化の開始に向けてケミカルリサイクル設備の竣工を発表(7月3日)
 ENEOSおよび三菱ケミカルは、2021年7月より三菱ケミカル茨城事業所において、プラスチック油化事業開始に向けて建設を進めていたケミカルリサイクル設備が完成し、竣工式を開催したことを発表した。
 同設備では、外部から調達した使用済みプラスチックを、英国のMura Technology社の超臨界水熱分解技術によって化学的に分解する油化処理を行う。製造されたリサイクル生成油は、両社の既存設備である石油精製装置およびナフサクラッカーの原料として使用され、石油製品や各種化学品・プラスチックへと再製品化される。また、同設備は持続可能な製品の国際的な認証制度のひとつである ISCC PLUS 認証の取得を予定しており、リサイクル生成油を原料とする環境価値を付与した各種製品の提供も可能となる。
 両社は、今後もプラスチック油化事業を通じて、エネルギー・素材両分野のトランジションおよびサーキュラーエコノミーの推進に取り組んでいくとしている。

◆リサイクル:三井化学の「廃プラスチック分解油の精製技術開発」がNEDOの実用化開発プログラムに採択(7月2日)
 三井化学は、サーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みの一環として推進している「廃プラスチック熱分解油の精製技術の開発」が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム(実用化開発)」に採択されたことを発表した。
 現在、サーマルリサイクル(熱回収)されている廃プラには異種混合・複合プラスチックが多く含まれており、ナフサクラッカーへの投入は困難であるという課題があった。不純物を除去する方法として、水素化精製などが知られているが、高温・高圧を要するため多量のエネルギーが必要となる。
今回採用された技術は、熱分解条件の最適化、常温・常圧で行う化学処理を組み合わせた技術であり、不純物を効率よく取り除くことができるため、従来の方法と比べて、約70%のエネルギーを節約できると期待されている。
 本技術の実用化により、これまでサーマルリサイクルに回されていた異種混合・複合プラスチックを油化ケミカルリサイクルの原料として活用し、持続可能な社会の実現に貢献するとしている。

◆潤滑油添加剤:三洋化成工業がEV駆動ユニット向け新添加剤「アクルーブNS-100」を開発(7月2日)
 三洋化成工業は、電気自動車(EV)の駆動ユニット「E-Axle」向けに、耐摩耗・耐焼き付き性を強化したポリマー添加剤『アクルーブNS-100』を新たに開発したことを発表した。
 近年、モーターの高性能化に伴う冷却性付与および粘性抵抗低減による航続距離向上を目的に、EV向け潤滑油(E-フルード)の低粘度化が進んでいる。しかしその一方で、油膜が薄くなることによる摺動部や機械部品の摩耗・焼き付きによる故障リスクが高まり、新たな技術課題となっている。
 同製品は、E-フルードの低粘度化に伴う油膜の薄化や摩耗・焼き付きリスクの増大といった課題に対応し、優れた耐摩耗性および耐焼き付き性を発揮する。さらに、耐銅腐食性、電気絶縁性、酸化安定性といったE-フルードに求められる多面的な性能も兼ね備えている。
 同製品は、国内外の潤滑油メーカーでの実機評価において高い耐摩耗性と信頼性が認められ、既に一部大手ユーザーでの採用が決定している。今後も高性能化・技術革新に取り組むとともに、電動化が進む各種モビリティや産業機械分野への展開も視野に入れ、持続可能な社会の実現に貢献するとしている。

◆装置:東洋エンジニアリングがグリーンメタノール製造に最適な小規模プラント向け反応器「MRF-Z Neo」を開発(7月2日)
 東洋エンジニアリングは、グリーンメタノール(バイオメタノールおよびe-メタノール)の製造に適した小型メタノール反応器「MRF-Z Neo」を開発したことを発表した。
 近年、脱炭素社会の実現に向けた取り組みが加速する中で、グリーンメタノールは、化石燃料由来メタノールの代替として注目を集めている。グリーンメタノールの製造においては、原料となるバイオマスや再生可能エネルギーが地理的に分散、時間的に変動しているため、大規模な集中型プラントでは安定的な製造が困難である。また世界の再生可能エネルギー発電所の多くは100MW以下の小規模であることから、分散型エネルギーに対応した小型反応器のニーズが高まっている。
 同製品は、大型メタノール反応器「MRF-Z」技術をベースに開発されており、効率性が高く、また、コンパクト・低コストで小規模プラントに最適化している。
 同社は、MRF-Z Neo単体に留まらず、独自の技術や再生可能エネルギー変動に対応するためのデジタルソリューションとの組み合わせにより、グリーンメタノールのコスト低減だけでなく、より柔軟で迅速な導入を可能にするトータルソリューションを提供するとしている。

◆水資源:日揮グローバルがJAXAの月面推薬プラント実証事業を受託(7月2日)
 日揮ホールディングスの海外EPC事業会社である日揮グローバルが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「月面推薬生成プラントの地上実証プラントの基本設計および要素試作試験等」事業に採択されたことを発表した。
 JAXAは、将来的な月面における水資源利用の実現に向けて、2020年代に月面推薬生成プラント全体システムの概念検討や要素技術検討、地上実証等を行い、2030年代にプラント建設地の事前調査(地盤調査、測量)や月面実証プラント建設に着手、2040年までに推薬プラントの本格稼働を開始する計画案を示している。日揮グローバルはこの一環として、地上実証プラントの基本設計と水抽出プロセスに関する要素試験を2026年3月末までに行う予定である。
 日揮グループは、2018年に宇宙事業参画を社内で検討開始し、2020年に「月面プラントユニット」を設立した。2021年にはJAXAと連携協定を締結し、月面推薬生成プラントの構想検討に着手した。2023年以降、実証プラントの概念検討や水抽出実験を実施してきた。本業務遂行にあたっても、これまでの検討や成果をベースに、月面推薬生成プラント実現に向けた検討を進めていくとしている

◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの7月の契約価格を改定
 7月契約価格は、760$/t(前月比+25$/t)
 国内価格換算想定値は115.5円/kg
・アイカ工業株が有機微粒子を8月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、5%以上

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