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2025年6月5日

2025.06.05 発行

HEADLINE

◆石油化学:三井化学がベーシック&グリーン・マテリアルズ事業における提携の推進及び統合・再編に向けた分社化の検討
 を開始(5月30日)
◆有機:丸善石油化学がパラオクチルフェノールの生産・販売を終了(5月28日)
◆CO2利用:住友大阪セメントがCO2再資源化人工石灰石を使用したゴム製品を開発(5月28日)
◆電子材料:JX金属がひたちなか新工場(仮称)に隣接する工業用地の新規取得を決定(5月27日)
◆診断薬:東洋紡が敦賀バイオ工場にPCR検査試薬・遺伝子診断薬原料の新製造設備を竣工(5月27日)
◆アクリル:旭化成がMMAなど4事業から撤退 川崎製造所の閉鎖を発表(5月27日)
◆電子材料:旭化成が最先端半導体パッケージ用の新規感光性ドライフィルムを開発(5月26日)
◆フッ素:三井化学が三フッ化窒素事業から撤退を発表(5月26日)
◆価格改定
・デンカがカーバイドを7月1日納入分より値上げ
・東洋紡エムシーが超高強力ポリエチレン繊維を8月1日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆石油化学:三井化学がベーシック&グリーン・マテリアルズ事業における提携の推進及び統合・再編に向けた分社化の検討を開始(5月30日)
 三井化学は、石油化学事業を主体とするベーシック&グリーン・マテリアルズ事業(以下、B&GM)について、より強靭な事業構造に転換しグリーン化を推進するため、他社との提携推進及び統合・再編に向けて、分社化の検討を開始したことを発表した。
 B&GMは、サプライチェーンの川上においては石油精製等エネルギーの安定化、川下においては自動車・半導体等他産業へのエッセンシャル素材の供給を通じ、日本の産業競争力・経済安全保障・カーボンニュートラル等の面で重要な役割を持つ事業領域である。
 一方、B&GMを取り巻く事業環境は、海外での大型プラント新増設が続く一方、国内では需要漸減等により、厳しい収益状況にあり、今後数年間この状況が継続する見通しである。現在、ナフサクラッカーのダウンサイジング、フェノールやポリオレフィンを始めとした誘導品の再構築・高機能化等に取り組んでいるものの、更なる構造改善を進める必要があるとしており、今後、同じ事業・方向性を有する他社と提携を推進し、さらには経営資源を統合することにより、ともに強靭な事業体を実現して行く必要があると判断した。
 2027年近傍にはB&GMを分社化し、統合・再編の核となる事業体を設立する予定としている。

◆有機:丸善石油化学がパラオクチルフェノールの生産・販売を終了(5月28日)
 丸善石油化学、レゾナック、ならびに両社が出資する五井化成の3社は、パラオクチルフェノールの事業について、2026年4月を目途に生産および販売を終了することを決定したと発表した。
 パラオクチルフェノールは1973年より製造・販売開始以来、長年にわたり国内外で利用されてきた。しかし、近年は中国での新設備稼働に伴う供給過多、国内需要の縮小、設備の老朽化とそれに伴う補修コストの増加など、事業環境は著しく悪化している。合理化を含めたあらゆる対応策を検討していたが、安定的な供給体制の維持が困難と判断し、生産・販売を終了するに至った。
 またパラオクチルフェノールの生産・販売終了に伴い、五井化成および株主である丸善石油化学、レゾナックの三社は、五井化成の清算を含めた今後の事業方針に関する検討を開始した。仮に、清算が決定した場合には、パラオクチルフェノール以外のアルファメチルスチレンダイマー(AMSD)、パラターシャリーアミルフェノール(PTAP)、2,4-ジターシャリーアミルフェノール(2,4-DTAP)についても、順次生産・販売を終了するとしている。

◆CO2利用:住友大阪セメントがCO2再資源化人工石灰石を使用したゴム製品を開発(5月28日)
 住友大阪セメントは、住友ゴム工業と共に、CO2再資源化人工石灰石を使用したOA機器用ゴムローラーの開発に成功したと発表した。
 石灰石の主成分である炭酸カルシウムは、多くの産業分野で物性改善などを目的に充填材として幅広く使用されており、ゴム製品においても一般的に使用されている充填剤である。本製品ではこれをCO2再資源化人工石灰石に置き換え、既存製品と同等の性能を持つことを確認したことで、CO2再資源化材料のゴム分野での有効活用が可能となる。
 本製品で使用するCO2 再資源化人工石灰石には1kgあたり約420gのCO2を鉱物固定しており、住友ゴム工業が生産しているOA機器用ゴムローラーすべてに適用された場合、年間で約36トンのCO2削減が見込まれる。また、本製品に用いられるCO2 再資源化人工石灰石は、原料にカルシウムを含む廃棄物を再利用しており、廃棄物を減らすことで埋立処分場の延命に貢献できる。
 今後、両社は、自動車タイヤ用のゴムをはじめとする様々なゴムへのCO2再資源化人工石灰石適用に向けた開発を進め、2050年のカーボンニュートラル実現を目指すとしている。

◆電子材料:JX金属がひたちなか新工場(仮称)に隣接する工業用地の新規取得を決定(5月27日)
 JX金属は、現在建設工事を進めている茨城県ひたちなか市の新工場に隣接する用地約9.4万㎡を取得することを決定したと発表した。
 同社は、2022年に先端素材分野の新たな中核拠点とするべく、茨城県ひたちなか市において大規模用地を取得した。同地では現在、主力製品であり、将来的な需要の拡大が見込まれる半導体用スパッタリングターゲットの生産に関わる建屋の建設工事等を進めている。
 今回、同社は既存事業の能力増強や新規事業の創出、事業化のためのスペース確保を目的に、新工場の北側に隣接する工業用地9.4万㎡を新たに取得することとした。これにより新工場のスペースは、既存の敷地である約22.4万㎡と合わせて合計約31.8万㎡となる見通しである。
 また、同社グループは新工場の他に茨城県内に複数の拠点を有しており、今後は県内拠点の管理間接部門を統合した茨城事業所の新設や、本社機能の茨城県内への一部移転も行うなど、県内各拠点を一体として運営することによる事業体制の強化を進めていくとしている。

◆診断薬:東洋紡が敦賀バイオ工場にPCR検査試薬・遺伝子診断薬原料の新製造設備を竣工(5月27日)
 東洋紡は、敦賀バイオ工場(福井県)において、遺伝子検査に用いられるPCR検査試薬および酵素や抗体などの遺伝子診断薬原料を製造する新設備が竣工したことを発表した。
 新型コロナウイルスをはじめとする感染症の診断において、ウイルスの微量なDNAなどを検出可能なPCR検査に代表される遺伝子検査が広く活用されている。サル痘や鳥インフルエンザ、デング熱といったさまざまな感染症の発生が世界各地で確認されており、早期発見や予防対策のニーズに対応可能なPCR検査試薬が求められている。PCR検査試薬は新しい診断方法や治療法の開発を目的とした研究用途でも幅広く利用されており、PCR関連製品の世界市場は2032年まで年率7.2%の規模で拡大が見込まれている。
 敦賀バイオ工場には、高濃度DNAの取り扱いに適したクリーンルームや研究試薬を効率的に分析・製造できる環境などを備えた施設を新たに建設し、PCR検査試薬および遺伝子診断薬原料を合わせた生産能力を約3倍に増強した。国内における生産・供給体制を強化することで、将来的に起こりうる感染症の拡大防止に貢献するとしている。

◆アクリル:旭化成がMMAなど4事業から撤退 川崎製造所の閉鎖を発表(5月27日)
 旭化成は、メタクリル酸メチル(MMA)モノマー、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、アクリル樹脂、SBラテックスの4事業から撤退し、川崎製造所の閉鎖とアセトニトリルの供給体制再構築を決定したと発表した。
 撤退対象の製品は、1963年から50年以上にわたり操業を続けてきたアクリル樹脂、SBラテックス、アセトニトリルに加え、1974年開始のMMAモノマーなどで、2026年から2027年にかけて順次生産・販売を終了する予定である。これらの製品群は、近年の経済低迷や中国における石油化学製品の供給拡大により競争力を失い、稼働率も低水準が続いていた。こうした状況は構造的かつ不可逆的であると判断し、撤退を決断した。なお、アセトニトリルについては、今後は韓国の子会社・東西石油化学で製造した製品を日本国内に供給する体制へ移行する。
 同社は今回の構造転換を通じて、川崎製造所をイオン交換膜法食塩電解や水素関連事業の最重要拠点とし、エナジー&インフラ事業へ経営資源を集中させていくとしている。

◆電子材料:旭化成が最先端半導体パッケージ用の新規感光性ドライフィルムを開発(5月26日)
 旭化成は、AIサーバー用などの先端半導体パッケージの製造工程で使用される新規感光性ドライフィルム「サンフォートTAシリーズ」(以下、TAシリーズ)を開発したことを発表した。
 AIサーバー用などの先端半導体パッケージに適用されるインターポーザー(半導体チップや電子部品を接続するための中間基板)やパッケージ基板には、大面積・高多層化に加えて高密度な微細配線形成技術の高度化が求められている。こうした微細配線が形成される再配線層(RDL)用のフォトレジスト材料には、液状レジストが主流となっていた。一方で、感光性ドライフィルムは解像度の不足によりこれまではRDL形成には適用されていなかった。
 TAシリーズは、RDL形成に求められる4µmピッチデザインにおいてLDI露光でのレジスト幅1.0µmのパターンが形成可能であり、パネルレベルパッケージなどの微細配線形成に適した感光性フィルム材料である。
 また、TAシリーズは、従来のステッパー露光機に加え、LDI(レーザーダイレクトイメージング)露光機にも対応し、いずれの露光方式においても極めて高い解像性を実現し、パッケージング工程において基板への微細回路パターンの形成性能力の向上に貢献するとしている。

◆フッ素:三井化学が三フッ化窒素事業から撤退を発表(5月26日)
 三井化学は、100%子会社である下関三井化学で製造している三フッ化窒素(NF3)事業から撤退することを発表した。
 同社はICTソリューション事業本部において、半導体・液晶製造装置のクリーニングガスとして使用されるNF3事業を展開しているが、海外品との価格競争の激化、原料およびユーティリティ費用の増加、修繕費等のコスト上昇により、事業採算は極めて厳しい状況となっている。こうした状況に対応し、あらゆる合理化・コストダウン等に取り組んできたが、事業を継続するための収益確保が困難と判断し、撤退することを決定した。
 2026年3月末に生産を停止し、同年内に販売を終了する予定としている。

◆価格改定
・デンカがカーバイドを7月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、10,000円/トン
・東洋紡エムシーが超高強力ポリエチレン繊維を8月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、5~10%

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