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2025年6月12日

2025.06.12 発行

HEADLINE

◆電子材料:住友ベークライトが半導体パッケージ用高放熱基板材料の新製品のサンプル出荷を開始(6月3日)
◆バイオマス:東ソーがバイオ原料を活用したクロロスルホン化ポリエチレンを開発(6月3日)
◆電子材料:三井化学がDispelixとARグラス向けの光導波路で協業を開始(6月3日)
◆リサイクル:関西電力、TREホールディングス、トクヤマが3社協定書を締結し使用済太陽光パネルのリユース・リサイクル
 事業モデルの検討開始(6月3日)
◆生産終了:クラレがポリエステル樹脂・長繊維の生産終了を発表(6月3日)
◆合成ゴム:日本ゼオンが低燃費タイヤ向けS-SBR高性能グレードの供給体制を強化(6月2日)
◆低炭素:ENEOSがエタノール20%混合の低炭素ガソリンの開発実証を開始(6月2日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの6月の契約価格を改定
・三洋化成工業がポリプロピレングリコール(PPG)とポリマーポリオール(POP)を6月1日出荷分より値上げ
・大日精化工業が有機・無機顔料及びその加工品を7月1日出荷分より値上げ
・日東紡が複合材事業本部の取り扱うガラス繊維製品を8月1日出荷分より値上げ
・旭ファイバーグラスが一部グラスウール製品を9月1日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆電子材料:住友ベークライトが半導体パッケージ用高放熱基板材料の新製品のサンプル出荷を開始(6月3日)
 住友ベークライトは、半導体パッケージ向け基板材料(LαZ)の新製品として、半導体チップに生じた熱を効果的に放熱する高熱伝導基板材料を開発し、サンプルワークを開始したと発表した。
 近年、先端半導体や出力容量の増加や高周波化が進むパワーデバイスは、チップの高集積化や小型化、伝送損失の低減、省電力化が求められている。一方、チップの発熱抑制や放熱が重要な課題となっている。
 そこで、同社は高い熱伝導率を持つ基板材料を開発した。今回開発した高熱伝導基板材料は、チップで発生した熱を効率よく拡散し、チップの発熱低減に寄与する。特にチップや部品を内蔵した基板では放熱効果がより期待ができる。また、基板の熱伝導率を上げることで、チップを基板に内蔵することが可能になり、さらなるパッケージの小型化を実現する。さらに、高熱伝導性基板材料の使用により、サーマルビアの減少が可能となり、回路設計の自由度がアップする。
 本製品は、プリプレグ材とレジンフィルム材でサンプルワークを開始し、2025年度中の量産化を目指すとしている。

◆バイオマス:東ソーがバイオ原料を活用したクロロスルホン化ポリエチレンを開発(6月3日)
 東ソーは、バイオ原料を活用したクロロスルホン化ポリエチレン(TOSO-CSM)を開発し、量産化技術を確立したと発表した。
 TOSO-CSMは、工業用品、接着剤、ゴム引布、ハンドレールなどの製品に幅広く活用されている。高い耐久性が特徴で、使用製品の長寿命化につながる原料として環境負荷低減に貢献してきた。また、一般的なプラスチックと比べると石油資源の使用量が比較的少ない素材であるが、温室効果ガス排出量削減の観点から、さらなる使用量の低減が必要であった。
 今回開発したバイオ原料を活用したTOSO-CSMは、長年培ってきたポリマー開発の知見とバイオ原料の活用により、石油資源の使用量を大幅に抑え、高い機能性を維持しながら環境負荷の低減を実現した。製品中の炭素原子のうち約90%以上をバイオ由来成分に置き換え、製品の製造から使用・廃棄までのライフサイクルを通して温室効果ガスの排出量が従来比約30%削減されるとしている。

◆電子材料:三井化学がDispelixとARグラス向けの光導波路で協業を開始(6月3日)
 三井化学は、DispelixとAR/VR市場の拡大に向けて、三井化学が開発している樹脂基板Diffrar(ディフラ)を用いたARグラス向け光導波路の開発について協業を開始することを発表した。
 DispelixはフィンランドのAR光導波路ディスプレイ技術のリーディングカンパニーで、ARデバイス向けに、透明な光導波路ディスプレイを開発・提供している。
 今回、三井化学はDispelixが保有するARグラス向けの最先端導波路設計技術を活用して、自社製品のDiffrar X167を使用した単層フルカラー光導波路を製造し、軽量でありながら高い透明性と広い視野角を実現した。光学樹脂基板Diffrarは、高屈折率、高平坦性など優れた光学特性を備えており、ARグラスに広い視野角を与える。加えて、樹脂製のため、デバイスの安全性(耐衝撃性)や軽量化にも効果的である。
 三井化学は今後も樹脂基板の開発を加速し、AR市場の拡大に貢献するとしている。

◆リサイクル:関西電力、TREホールディングス、トクヤマが3社協定書を締結し使用済太陽光パネルのリユース・リサイクル事業モデルの検討開始(6月3日)
 関西電力、TREホールディングス、トクヤマは、使用済太陽光パネルのリユース・リサイクルに関する協定書を締結したことを発表した。
 2030年代後半から太陽光パネルの排出量は顕著に増加し、ピーク時には年間約50万tが廃棄される見込みである。太陽光パネルを構成する素材のうち、ガラスやシリコンのリサイクルは、技術面・経済面で課題があるとされ、特にガラスは太陽光パネルの重量の約6割を占めていることから、リサイクルにより最終処分量の削減効果は大きくなる。
 3社は、高度な資源循環システムの構築を目的に、それぞれの知見・ノウハウ、ネットワーク等を活用し、トクヤマの低温熱分解リサイクル技術を用いた太陽光パネルの水平リサイクルを軸とする事業モデルの構築に向けた検討を行い、太陽光パネルの高度な資源循環システムの社会実装を目指すとしている。

◆生産終了:クラレがポリエステル樹脂・長繊維の生産終了を発表(6月3日)
 クラレは、子会社のクラレ西条におけるポリエステル樹脂およびポリエステル長繊維の生産を、2026年12月末までに終了すると発表した。
対象製品は、繊維用ポリエステル樹脂、成形用ポリエステル樹脂(クラペット)、およびポリエステル長繊維(クラベラ)である。
 同社は1969年に長繊維用ポリエステル樹脂およびクラベラの生産販売を開始し、1987年からは成形用ポリエステル樹脂クラペットの製造も行ってきた。しかし近年、市場環境の変化や設備の老朽化、それに伴う維持更新費用の増加により、事業継続が困難との判断に至った。
 繊維用ポリエステル樹脂は、2026年12月末までに生産を終了(一部銘柄は2025年12月末生産終了)、成形用ポリエステル樹脂(クラペット)は2026年12月までに生産・販売を終了、ポリエステル長繊維クラベラは2026年末で生産を終了する。
 一方で、ポリエステル長繊維関連製品はOEM調達によりクラレトレーディングが販売を継続する(ただし、原糸販売の一部銘柄は販売を終了)。また、倉敷事業所で生産する短繊維関連製品も引き続き販売を行うとしている。

◆合成ゴム:日本ゼオンが低燃費タイヤ向けS-SBR高性能グレードの供給体制を強化(6月2日)
 日本ゼオンは、主に低燃費タイヤに使用されるS-SBR(溶液重合スチレン・ブタジエンゴム)の高性能グレード用生産設備をシンガポールに導入し、徳山工場(山口県)と併せた両極供給体制を強化することを発表した。
 S-SBRは、分子構造を高度にコントロールすることで、自動車の燃費向上に貢献する合成ゴムである。同社のS-SBRの強みは、分子構造を高度にコントロールする技術および卓越した末端変性技術にある。
 日本ゼオンでは徳山工場(山口県)とZeon Chemicals Singapore(以下、ZCS社)の2拠点でS-SBRを生産しており、合計125,000トン/年のS-SBR生産能力を有している。タイヤの「ウェットグリップ性」「転がり抵抗」「耐摩耗性」を高度に改善する高性能グレードの比率を高めることで、同市場におけるベストオーナーを目指している。
 今回、ZCS社にて実施していた高性能グレード用設備の建設工事が完了し、試作期間を経て2026年より市場供給を開始する。すでに高性能グレードを生産している徳山工場に加えて、ZCS社でも生産を開始することで、強固なグローバル供給体制を構築し、S-SBR 事業のさらなる高付加価値化を推進するとしている。

◆低炭素:ENEOSがエタノール20%混合の低炭素ガソリンの開発実証を開始(6月2日)
 ENEOSは、「ENEOSスーパー耐久シリーズ2025」にて、エタノール混合ガソリンの提供および開発実証を開始したことを発表した。
 既存の化石燃料由来のガソリンにバイオエタノールを混合したものがエタノール混合ガソリンであり、自動車分野で注目されている次世代の低炭素ガソリンである。
 植物由来のエタノール(バイオエタノール)は、トウモロコシやサトウキビなどに含まれるグルコースや古紙などを原料とするセルロースを発酵させて製造されている。原料となる植物等が大気中のCO2を吸収することから、化石燃料と比べて炭素排出量が少ない低炭素燃料である。
 ENEOSは、エタノール 20%混合ガソリン(E20) の品質(JIS 規格)が未定義であることや、国内外における技術情報不足という課題に取り組んでいる。
 ENEOSスーパー耐久シリーズでのE20供給を通じて、自動車メーカーと燃料メーカーと協力 し、過酷なレース条件下での開発と実証を目指すとしている。

◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの6月の契約価格を改定
 5月契約価格は、735$/t(前月比▲5$/t)
 国内価格換算想定値は111.1円/kg
・三洋化成工業がポリプロピレングリコール(PPG)とポリマーポリオール(POP)を6月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、15円/kg以上
・大日精化工業が有機・無機顔料及びその加工品を7月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、10%
・日東紡が複合材事業本部の取り扱うガラス繊維製品を8月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、20%
・旭ファイバーグラスが一部グラスウール製品を9月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、35%

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