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2025年5月1日

2025.05.01 発行

HEADLINE

◆電子材料:日本ゼオンが大画面液晶テレビ用位相差フィルムの増設を決定(4月25日)
◆農業資材:日本製紙パピリアが和紙の製造技術を応用した農業用マルチシートの販売を開始(4月25日)
◆リサイクル:AGCが国内初のハイブリッド方式による太陽光パネルカバーガラスの板ガラス向けリサイクルの実用化開始を
 発表(4月25日)
◆複合材料:三菱マテリアルが「金属-セラミックス複合材料」を開発(4月23日)
◆樹脂材料:第一工業製薬がUV硬化樹脂材料「ニューフロンティアMFシリーズ」の高機能化を促進(4月23日)
◆リサイクル:旭化成、Nobian、フルヤ金属、Mastermeltが食塩電解用セル・電極の金属リサイクルに関する実証を開始
 (4月23日)
◆医薬品:フジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズがリジェネロンと30億ドル超のバイオ医薬品製造の契約を
 締結(4月22日)
◆医薬品:トクヤマがJSRの体外診断用医薬品事業および体外診断用医薬品材料事業を取得(4月22日)
◆電池材料:出光興産が全固体電池材料の量産に向け生産能力を拡大(4月21日)
◆価格改定
・クラレがポリビニルアルコール樹脂を4月23日出荷分より値上げ
・デンカがポリビニルアルコールを5月16日納入分より値上げ
・デンカが二軸延伸ポリスチレンシート(BOPS)を6月1日納入分より値上げ
・日本軽金属がアルミニウム板製品の加工賃を6月1日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆電子材料:日本ゼオンが大画面液晶テレビ用位相差フィルムの増設を決定(4月25日)
 日本ゼオンは、氷見二上工場(富山県) において、大画面液晶テレビ用位相差フィルムの新ライン増設を決定したことを発表した。
 同社の光学フィルム(ゼオノアフィルム)は、高い光学特性と優れた寸法安定性を有しており、大型テレビやモバイル機器のディスプレイに視野角補償や反射防止等の機能を持たせる位相差フィルム用途を中心に需要が拡大している。
 今回の増設により、拡大が見込まれる大画面テレビ市場向け製品供給が拡大することに加え、敦賀工場(福井県)と併せた2拠点体制をさらに盤石にすることでBCP強化も図る。増設後のゼオンのテレビ用位相差フィルムの生産能力は約20%増え、年間26,400万㎡に拡大する。新ラインは、 2025年12月に着工、2027年夏の量産開始を目指す。
 2020年以降、同社は液晶パネルの大型化に伴い、2,500mm幅フィルムの生産を敦賀工場にて行っており、現在、同幅2系列の生産設備を有している。今回の投資は、さらに加速する大型化ニーズに応えるもので、最大130インチの液晶パネル生産にも対応可能な世界最大級となる3,000mm幅フィルムを生産するとしている。

◆農業資材:日本製紙パピリアが和紙の製造技術を応用した農業用マルチシートの販売を開始(4月25日)
 日本製紙グループの日本製紙パピリアは、雑草の抑制や地温・土中水分の管理などに用いる農業用マルチシートについて、製紙技術を活かしながら開発を進めており、今回、「和紙マルチ」という製品名で販売を開始すると発表した。
 和紙マルチは、主原料に木材繊維(パルプ)と生分解性プラスチック繊維を使用しており、それぞれの特徴を活かしている。これにより、通気性により地温上昇を抑制できる、使用後に土にすきこむことで回収が不要となるなど、ポリエチレン製マルチシートにはないメリットを有している。さらに、これまでの生分解性プラスチック樹脂のみを用いた生分解性マルチシートでは難しかった長期保管が可能となる。また、軽くて薄いことによる運搬費用の抑制や設営作業の効率化も期待できる。
 現在、同社では、樹脂も天然素材のものを用いるなど、全て天然物で構成した「和紙マルチ」の開発を進めており、将来的な販売を目指している。これにより、これまでは生分解性農業マルチが対応していなかった有機農業においても使用できる。また、紙は多孔質であるため、害虫忌避剤や緩効性肥料を固定させ、付加価値を持たせるなどの技術も検討するとしている。

◆リサイクル:AGCが国内初のハイブリッド方式による太陽光パネルカバーガラスの板ガラス向けリサイクルの実用化開始を発表(4月25日)
 AGCは、陽光パネルカバーガラスの板ガラス向けリサイクルにおいて、国内初となるハイブリッド方式での実用化を開始したことを発表した。
 太陽光パネルの耐用年数は20~30年とされており、2030年代後半には国内で年間数十万トンにのぼる廃棄が見込まれている。このような状況下で、太陽光パネルカバーガラスの水平リサイクルは重要な課題であるが、一方で、板ガラス向けのカレット(ガラス端材)は品質要件が厳しく、これまでに実用性が確認されたカバーガラスの分離方式は、加熱処理方式に限られていた。
 今回、加熱ナイフ方式に浜田社の高圧水噴射技術を組み合わせて、残存する接着部材を完全に除去することで、精製されたカレットの品質基準が板ガラス原料として活用可能であると確認された。このカレット約10トンを原料の一部として、2025年4月にAGC横浜テクニカルセンターにおいて建築用型板ガラスを製造、すでに実用化されている加熱処理方式に加えて、新たな太陽光パネルカバーガラスの水平リサイクル方式が確立された。
 今後は、より多くの太陽光パネルカバーガラスの板ガラス向けリサイクルを推進し、2030年までに年間数千トンのリサイクル体制を構築するとしている。

◆複合材料:三菱マテリアルが「金属-セラミックス複合材料」を開発(4月23日)
 三菱マテリアルは、高熱伝導性・低熱膨張性を持ち、優れた加工性を有する金属-セラミックス複合材料を開発したと発表した。
 近年、xEVなどで使用される半導体の高出力化に伴い発熱量が増大しており、半導体製造装置においても、より高度な熱マネジメントが求められ、金属の高い熱伝導率とセラミックスの優れた機械特性を兼ね備えた金属-セラミックス複合材料が要求されている。なかでもアルミニウムシリコンカーバイド(以下、Al-SiC)は、高い熱伝導率と低い熱膨張係数が求められる部材に利用されているが、その製造方法上の理由から一定以上の特性をバランス良く発揮させることが難しいという課題があった。
 今回、同社は粉末冶金技術を駆使し、高熱伝導性と低熱膨張性を両立させながら、優れた加工性も有する新しい金属-セラミックス複合材料の開発に成功した。新開発したAl-SiCは、アルミニウム合金以上の熱伝導率を持ちながら、極めて低い熱膨張係数を実現している。また、アルミニウムに近い優れた加工性を有し、一般的な金属加工方法が適用可能である。さらにAl-SiC以外の異なる金属とセラミックスの組み合わせや、その配合比率を変えることができるため、熱マネジメント部材の多様な材料特性ニーズに応えることが可能としている。

◆樹脂材料:第一工業製薬がUV硬化樹脂材料「ニューフロンティアMFシリーズ」の高機能化を促進(4月23日)
 第一工業製薬は、溶剤を含まない低粘度な多官能アクリレートモノマー「ニューフロンティアMFシリーズ」の開発促進を行うことを発表した。
 紫外線(UV)硬化樹脂材料は、熱硬化樹脂材料と比べて『省資源、省スペース、廃棄物抑制、室温硬化、高生産性』などの特長を持つ環境に優しい材料であり、この特長を生かして、電子光学部品、印刷インキ、塗料・塗装コーティング剤、その他の特殊分野で利用されている。
UV硬化樹脂材料の中でも光硬化性の高い多官能モノマーは、優れた機械物性を持つ硬化膜が得られるため幅広く使用されているが、汎用的な多官能モノマーは粘度が高いため、有機溶剤や低粘度のモノマーで希釈して使用されることが多く、環境面や性能面での課題がある。
 これに対し、第一工業製薬は、アルキレンオキサイド(AO)付加技術を生かした、無溶剤で低粘度な多官能モノマー『ニューフロンティア MF-001』を製造・販売している。AO付加技術はUV硬化樹脂材料を低粘度にするだけでなく、光反応性、フィラー分散性といった多角的な性能を付与することが可能である。
 同社は今後、電子材料用途や光学用途への開発と拡売を進め、MFシリーズとして2029年度には、現在の5倍の売上数量を目指すとしている。

◆リサイクル:旭化成、Nobian、フルヤ金属、Mastermeltが食塩電解用セル・電極の金属リサイクルに関する実証を開始(4月23日)
 旭化成、Nobian Industrial Chemicals(本社:オランダ、以下、Nobian)、フルヤ金属、Mastermelt(本社:イギリス)は、4社共同で食塩電解用のセル・その内部に組み込まれる電極(以下、セル・電極)に使用される金属リサイクルに関する実証を開始したことを発表した。
 食塩電解セルに組み込まれる電極に使用されているイリジウム・ルテニウムなどの貴金属は、その産出量に限りがある一方で、近年の電池・電子部品需要の拡大や固体高分子(PEM)型水電解装置など特定分野での高耐久部材や触媒用途への期待の高まりにより、需要が年々増加傾向にある。
 本取り組みでは、旭化成がNobianから耐用年数を迎えた電極を回収し、Mastermeltとフルヤ金属が電極からの触媒剥離と剥離物の加工を行い、剥離物から貴金属を抽出・高純度化する。その後、旭化成が貴金属を原材料とした触媒を塗布したリサイクル触媒電極を製造する。このリサイクル触媒電極を使用してNobianが食塩電解を行うことで、苛性ソーダと塩素の製造における資源循環が可能となる。
 旭化成は、本取り組みをクロールアルカリ業界全体へと拡げ、セル・電極の安定供給を通じて、エコシステム構築を目指すとしている。

◆医薬品:フジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズがリジェネロンと30億ドル超のバイオ医薬品製造の契約を締結(4月22日)
 富士フイルムの子会社で、バイオ医薬品の開発・製造受託会社(CDMO)であるフジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ(以下、FDB)は、世界的なバイオ医薬品企業であるリジェネロンと総額30億ドル超にのぼるバイオ医薬品製造契約を締結したことを発表した。
 FDBは、本契約のもと、リジェネロンの抗体医薬品の製造を10年間にわたり受託する。製造は2025年に本格稼働を予定している米国ノースカロライナ州の新拠点で行う。同施設は、デンマーク拠点と共通設計・設備・プロセスを持つ「KojoX」方式を採用し、高い生産性と迅速な技術移管を実現する体制を整備している。
 富士フイルムはライフサイエンス事業において、米国拠点への約40億ドルを含む、日米欧で総額約70億ドルの大規模な設備投資を推進しており、今後も製造能力の強化を図る方針としている。また、FDBは、抗体医薬品の旺盛な製造委託ニーズを受け、原薬製造設備の大幅増強を進めている。米国ノースカロライナ新拠点が今年稼働するほか、デンマーク拠点を含めて今後大型の2万リットルの動物細胞培養タンクが2028年までに36基となる予定としている。

◆医薬品:トクヤマがJSRの体外診断用医薬品事業および体外診断用医薬品材料事業を取得(4月22日)
 トクヤマは、取締役会において、JSRの体外診断用医薬品事業および体外診断用医薬品材料事業を取得することを決議したと発表した。
 トクヤマは、完全子会社であるエイアンドティーにおいて体外診断事業を展開し、新規体外診断薬の創出に向け研究開発を進めているが、今後更に健康分野の成長を加速するためには、新たな事業領域への進出により持続的に高収益を生み出すことが現状の課題と認識している。
 今回、対象事業をグループに迎え、粒子や抗体を用いた免疫試薬を製品化する能力を補完できることで、開発期間の大幅な短縮と基礎技術とのシナジーが期待され、その結果、高収益の試薬ビジネスを早期に構築することができる。加えて、トクヤマおよびエイアンドティーの国内および韓国の既存顧客病院への対象事業製品の販売、ならびに対象事業の中国顧客に対する自社およびエイアンドティーの電解質検査電極・試薬およびその他の製品を提供することによるクロスセルができると考えている。
 当該事業の譲渡予定日は2025年10月1日、取得価額は820億円の予定としている。

◆電池材料:出光興産が全固体電池材料の量産に向け生産能力を拡大(4月21日)
 出光興産は、全固体リチウムイオン二次電池(全固体電池)の材料となる固体電解質の量産に向け、小型実証設備「第1プラント」(千葉事業所内)の能力増強工事を完了したことを発表した。
 同社は、電気自動車(EV)の進化や資源循環型社会の構築に貢献する固体電解質の開発と量産体制の構築を進めている。現在は2基の小型実証設備を稼働させているが、このうち、第1プラントの能力増強工事を完了した。
 今回の能力増強により、固体電解質のサンプル生産能力を従来の年間数トンから十数トン規模に拡大し、量産技術開発のための設備も増強した。今後は、次のステージとなる大型パイロット装置での量産技術確立に向けた技術検証を加速し、2027~28年の全固体電池実用化、その先の固体電解質の事業化を目指している。
 なお、大型パイロット装置は第1プラントと同じく千葉事業所内での建設を予定しており、基本設計を開始している。また、2025年2月には、固体電解質の中間原料である硫化リチウム(Li₂S)の大型製造装置の建設を発表しており、原料から製品までの一貫したバリューチェーンの構築を進め、全固体電池の社会実装への貢献を目指すとしている。

◆価格改定
・クラレがポリビニルアルコール樹脂を4月23日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、日本:30円/kg以上、ヨーロッパ:0.2ユーロ/kg以上
 アジアパシフィック、北米、南米、中東、アフリカ:0.22米ドル/kg以上
・デンカがポリビニルアルコールを5月16日納入分より値上げ
 値上げ幅は、60円/kg
・デンカが二軸延伸ポリスチレンシート(BOPS)を6月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、15円/kg以上
・日本軽金属がアルミニウム板製品の加工賃を6月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、20%以上

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