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2025年12月25日

2025.12.25 発行

HEADLINE

◆エチレン:出光興産と三井化学が「千葉地区エチレン装置集約による生産最適化」について最終合意を発表(12月19日)
◆半導体材料:東レが微細・高密度配線用感光性ポリイミドシートを開発(12月19日)
◆半導体パッケージ:TOPPANが新潟工場に新たなFC-BGA基板用の製造ラインを構築(12月17日)
◆半導体パッケージ:TOPPANが石川工場に次世代半導体パッケージのパイロットラインを導入(12月16日)
◆ガラス:日本電気硝子が世界初となる全電気溶融炉による医薬品容器用管ガラスの量産を開始(12月16日)
◆炭素繊維:三菱ケミカルが日本および米国における高性能炭素繊維の生産能力増強を発表(12月15日)
◆機能性材料:三井金属が負熱膨張材料のパイロット生産体制を構築(12月15日)
◆設備増強:三井化学が錦湖三井化学のMDI生産設備の増強を決定(12月15日)
◆価格改定
・AGCがミラー製品の販売価格を2026年3月1日納品分より値上げ
・東レが炭素繊維トレカの価格を2026年1月出荷分から値上げ
  
   

WEEKLY NEWS

◆エチレン:出光興産と三井化学が「千葉地区エチレン装置集約による生産最適化」について最終合意を発表(12月19日)
 出光興産と三井化学は、既存事業の競争力を強化することを目的に、両社の千葉地区のエチレン装置を三井側の装置1基に集約することで最終合意したことを発表した。
 出光・三井の両社は、2010年にLLP制度の活用による千葉ケミカル製造有限責任事業組合(以下、CCM)を設立し、生産最適化を目的として千葉地区で両社が保有するエチレン装置の運営を行っていた。
 近年、中国を中心とした大型の石油化学装置の新増設が進み、国内におけるエチレン需要が減衰していることから、国内石油化学の事業環境は今後さらに厳しさを増すと予想される。こうした環境変化に対応するため、両社は、千葉地区でそれぞれが保有するエチレン装置を1基に集約するための検討を進めてきた。
 集約時期は2027年7月(出光千葉事業所の定修後)、集約方法は出光装置を停止し、三井装置に集約する。対象製品はエチレン、プロピレン、C4を代表とする全留分とし、集約後の事業形態はCCMにて三井装置を共同運営するとしている。

◆半導体材料:東レが微細・高密度配線用感光性ポリイミドシートを開発(12月19日)
 東レは、半導体製造工程で使用されるガラスコア基板において、再配線層の微細加工と、貫通ビア電極(TGV)の樹脂充填を同時に実現するネガ型感光性ポリイミドシートを開発したことを発表した。
 従来の半導体パッケージは、ガラエポ基板上に、微細配線を形成した中継基板(シリコンインターポーザー)を介して複数チップを搭載する構造が主流であるが、チップの高集積化に伴い、サイズの自由度、平坦性、電気特性に優れるガラスを用いたガラスコア基板が注目され、インターポーザーとパッケージ基板を一体化するニーズが高まっている。
 しかし、ガラスコア基板には課題があり、従来のエポキシ樹脂層などをレーザーで加工する方法では再配線層の微細加工が難しく、熱応力によるガラスの割れが問題となっている。更に、ガラスコア基板の微細なビア(50μm以下)に銅を充填するには低電流めっきを長時間行うため、プロセスコストが増加する。
 今回開発したポリイミドシートは、フォトリソグラフィー加工による微細配線形成を可能にし、さらにTGVを樹脂で充填することで銅めっきプロセスコストを大幅に削減した。また、独自のポリイミド設計と光架橋反応制御技術により、弾性率を従来比約2/3に低減し、熱応力によるガラス割れを抑制した。
 現在、サンプル提供を開始しており、2026年度の量産開始を目指して基板メーカーで評価を進めていくとしている。

◆半導体パッケージ:TOPPANが新潟工場に新たなFC-BGA基板用の製造ラインを構築(12月17日)
 TOPPANは、高密度半導体パッケージのFC-BGA(Flip Chip Ball Grid Array)基板の生産拠点である新潟工場に新たな製造ラインを導入し、2026年1月より稼働を開始すると発表した。
 今回稼働を開始する新製造ラインでは、AI・データセンター向け先端半導体に求められる高速伝送や大型・高多層のハイエンド製品への対応を強化する。
 新製造ラインの特長としては、低誘電率・低誘電正接材料に対応したプロセスを構築し、高速信号伝送時の表皮効果を考慮した銅配線の表面処理技術を採用する。また、大型・多層基板への対応として、搬送可能な基板厚の拡大や大型サイズが生産可能なライン設計を行う。加えて、スマートファクトリー対応として、一部工程間の搬送に自律走行搬送ロボットを採用する。
 新製造ラインの稼働により、新潟工場におけるFC-BGA基板の生産能力は、2022年度前半期対比で2倍となる。さらに、現在建設中のシンガポール工場(2026年末稼働予定)との2拠点での生産体制を確立することで、事業継続性を向上させるとともに、FC-BGAのグローバルな供給体制を構築するとしている。

◆半導体パッケージ:TOPPANが石川工場に次世代半導体パッケージのパイロットラインを導入(12月16日)
 TOPPANは、2023年に買収した石川工場(石川県)において、次世代半導
体パッケージの研究開発を進めるためのパイロットラインを導入すると発表した。
 生成AIや自動運転向け半導体では高密度化に伴い、パッケージ基板の大型化やチップレット化が進展している。チップレット構造の実現には、チップとパッケージ基板を接続する中間基板(インターポーザー)が不可欠であるが、現在主流のシリコンインターポーザーは大型化に課題があるため、シリコンに代わる材料として大型ガラス基板をベースとしたインターポーザー技術の確立が期待されている。
 今回導入するパイロットラインでは、大型ガラス基板を用いたインターポーザーの研究開発に加え、ガラスコアや有機RDLインターポーザーなど、次世代半導体パッケージに求められる部材の研究開発を行い、将来の量産化に向けた技術検証を進める。
 稼働開始は2026年7月を目指しており、今後の技術検証では、有機RDLインターポーザーのサブミクロン配線製造技術を開発し、大容量データ伝送と低消費電力化の同時実現を目指すとしている。

◆ガラス:日本電気硝子が世界初となる全電気溶融炉による医薬品容器用管ガラスの量産を開始(12月16日)
 日本電気硝子(NEG)は、2025年12月よりグループ会社Nippon Electric Glass (Malaysia) において、世界で初めて全電気溶融炉による医薬品容器用管ガラスの量産を開始することを発表した。
 NEGは、高い化学的耐久性を持つホウケイ酸ガラスで製造された医薬品容器用管ガラスの主要サプライヤーとして、世界の医薬業界にガラス製品を供している。同社の医薬品容器用管ガラスは、バイアル・アンプル用途をはじめ、GLP-1製剤などのバイオ医薬品を中心に需要が拡大するシリンジ・カートリッジ用途にも広く使用されている。GLP-1は小腸から分泌されるホルモンで、血糖値が高い時にインスリン分泌を促し、食欲を抑える作用もある。糖尿病や肥満症治療薬として注目されている。
 GLP-1製剤市場は年間約33%の成長を遂げており、それに伴ってシリンジ・カートリッジの需要も急速に増加し、欧米、インド、中国などの新興市場でも拡大が見込まれている。
 現在、ガラス溶融は化石燃料を使用した燃焼による加熱が主流で、溶融時のCO2排出が課題になっている。NEGは、全電気溶融炉を活用した高品位かつ環境に優しい生産体制を構築することで、グローバルな医療分野のニーズに応えさらなる事業拡大に繋げていくとしている。

◆炭素繊維:三菱ケミカルが日本および米国における高性能炭素繊維の生産能力増強を発表(12月15日)
 三菱ケミカルは、スポーツ・レジャー、航空宇宙、ハイパーカー分野等に使用される高性能炭素繊維について、日本および米国において生産能力を増強することを決定したと発表した。
 近年、スポーツ・レジャー、航空宇宙、ハイパーカー分野では製品の軽量化や高性能化ニーズを背景に高性能炭素繊維の需要が増加している。
 こうした需要に応えるべく、日本(東海事業所・愛知地区)、米国(サクラメント工場)の既存の設備を有効活用することで、高性能炭素繊維の生産能力を2027年にかけて段階的に増強(現状の生産能力の約2倍)するとしている。

◆機能性材料:三井金属が負熱膨張材料のパイロット生産体制を構築(12月15日)
 三井金属は2026年度までに負熱膨張材料のパイロット規模の生産体制を構築することを発表した。
 負熱膨張材料は、温度の上昇に伴い収縮する特性を持ち、樹脂、金属、ガラス等へ添加することで熱膨張の抑制や熱膨張係数の調整が可能となり、半導体やセンサーなどの様々な産業分野での応用が期待されている。特に、AIデータセンターでは発熱量の増大や半導体パッケージの大型化に伴い、異種材料間の熱膨張差に起因する反りなどの不具合が顕在化している。そのため、負熱膨張材料は熱マネジメント関連市場における有望な成長分野の一つとして中長期的な拡大が見込まれている。
 これまでに同社は名古屋大学および東京科学大学と特許実施許諾契約を締結し、50 社を超える企業でサンプル評価を実施してきた。そうした中、市場ニーズの高まりや顧客評価の進展を受け、福岡県大牟田市にてパイロット規模の生産体制を構築することとした。
 今後もさらなる需要拡大に応じた増強も視野に入れ、市場ニーズに十分対応するとともに、本事業の早期立ち上げと事業化の本格推進に向けて、取り組みを一層加速していくとしている。

◆設備増強:三井化学が錦湖三井化学のMDI生産設備の増強を決定(12月15日)
 三井化学は、関係会社である錦湖三井化学(本社:韓国)においてMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)の生産設備を増強することを発表した。
 MDIは自動車部品や家具寝具、住宅や冷蔵庫の断熱材、弾性繊維や各種接着剤用原料など、多くの分野で使用されている代表的なポリウレタン主原料である。MDIの需要は住宅建築の断熱性能向上政策の影響などから年率5%で増加していくと見込まれている。
 錦湖三井化学は、自動車部品や弾性繊維、高難燃断熱材等に使用される高機能MDI(モノメリック系、変性MDIおよび高粘度ポリメリック系)と、住宅や家電の断熱材等に使用される汎用MDI(ポリメリック系)を生産している。今回の増強により、自動車材の需要伸長はもとより、高難燃断熱材に使用される高機能MDIの更なる需要拡大にも対応可能となる。
 設備増強のスケジュールは2026年2月着工、27年5月完工を予定しており、錦湖三井化学のMDIの生産能力は年産61万トンから71万トンに増強する予定としている。

◆価格改定
・AGCがミラー製品の販売価格を2026年3月1日納品分より値上げ
 値上げ幅は、15%~20%
・東レが炭素繊維トレカの価格を2026年1月出荷分から値上げ
 対象製品は、炭素繊維、炭素繊維プリプレグ、クロス、ラミネートなどの中間加工品、値上げ幅は、10~20%

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