2025.12.11 発行
◆生産終了:旭化成がヘキサメチレンジアミン(HMD)および副生成品のプロピオニトリル(PN)の生産を終了(12月5日)
◆住友金属鉱山が電池研究所の第2開発棟を竣工(12月4日)
◆バイオ燃料:出光興産が国内石油元売り初となる外航船舶向けバイオ混合燃料の供給を開始(12月3日)
◆二次電池:旭化成が鉛蓄電池用セパレータ「Daramic」事業を譲渡(12月2日)
◆脱炭素:千代田化工建設がHeirloom Carbon Technologiesへの投資について発表(12月2日)
◆バイオ:日産化学がブラジルのInnova Agrotecnologia社へ資本参加を発表(12月2日)
◆事業再編:レゾナックが黒鉛電極事業の合理化施策を発表(12月1日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの12月の契約価格を改定
・三井金属鉱業が電気亜鉛建値を改定(12月4日時点)
・クラレが水添スチレン系熱可塑性エラストマー関連製品の価格を2026年1月1日出荷分より改定
・日本製紙が液体用紙容器の価格を2026年4月1日納入分より改定
・日本ゼオンがシクロペンタノンの価格を2026年1月1日出荷分より改定
◆生産終了:旭化成がヘキサメチレンジアミン(HMD)および副生成品のプロピオニトリル(PN)の生産を終了(12月5日)
旭化成は、宮崎県延岡市におけるヘキサメチレンジアミン(HMD)およびその副生成品であるプロピオニトリル(PN)の生産終了を決定したことを発表した。
同社は延岡地区のHMDプラントにおいて主にポリアミド66とヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)向けの主原料の生産および一部販売を行ってきたが、原料および用役コストの上昇による競争力の低下に加え、川下製品の需給環境の悪化により厳しい状況が続いていることから、当該製造工程からの撤収を決断した。
生産終了の対象となるのはHMDおよびPNで、生産終了時期は2027年4月を予定している。なお、HMDを主原料とするポリアミド66(延岡)およびHDI・HDI誘導品(日向)については引き続き生産・販売を継続するとしている。
◆住友金属鉱山が電池研究所の第2開発棟を竣工(12月4日)
住友金属鉱山は、車載用二次電池材料(正極材)の研究開発を行う電池研究所(愛媛県)において第2開発棟の竣工を発表した。
今回完成した第2開発棟には、次世代電池材料、特に全固体電池向けの正極材とその生産プロセス開発を加速するため、中規模の実証試験を行うことが可能なパイロット設備を導入した。第2開発棟にパイロット設備を導入することにより、電池材料を生産する自社の磯浦工場(愛媛県)と同様に、晶析から焼成まで正極材の一貫した開発体制が電池研究所内に整備され、新たに開発する電池材料についても、量産体制と同様の工程を経た材料の特性評価や、顧客へのサンプル提供、量産設備の課題検証などをすることが可能となる。
同社は、第2開発棟の竣工により、市場ニーズに対応した新規電池材料の事業化加速と、量産体制のより円滑な立ち上げに寄与する研究開発体制を構築するとしている。
◆バイオ燃料:出光興産が国内石油元売り初となる外航船舶向けバイオ混合燃料の供給を開始(12月3日)
出光興産は、兼松と協業し、国内石油元売りとして初めて、外航船舶向けに重油とFAME(脂肪酸メチルエステル)を混合したバイオ混合燃料の供給開始を発表した。
FAMEは、使用済み食用油をメタノールと反応させて生成される、軽油と同等の性状を持つバイオディーゼル燃料である。本取り組みでは、兼松油槽の海上出荷設備を活用し、バイオ混合燃料の供給体制を構築する。
同社は既に川崎汽船などの海運会社へ供給を開始しており、2026年3月までに内航船舶向け含め、5,000トンの供給を目指している。
海運業界では排出量の少ない燃料への転換が進んでおり、同社は従来燃料と比較して約20%のCO2排出量削減が見込めるバイオ混合燃料の運航試験を2023~2024年にかけて北海道で実施し、安定運航を確認している。
次のステップとして、兼松油槽の小倉油槽所(福岡県)の海上出荷設備を活用し、内航船舶・外航船舶向けにバイオ混合燃料の供給を開始する。今後は需要を踏まえ供給量増加に対応可能な供給体制への移行を検討し、e-メタノールの国内供給体制構築も目指すとしている。
◆二次電池:旭化成が鉛蓄電池用セパレータ「Daramic」事業を譲渡(12月2日)
旭化成は、連結子会社であるPolypore傘下で運営する鉛蓄電池用セパレータ「Daramic(ダラミック)」事業を、Kingswood Capital Management, LPに譲渡することを発表した。
今回の事業譲渡は、電子材料等のエレクトロニクス事業の強化や、カナダにおける製膜・塗工一貫工場の建設を通じた北米でのリチウムイオン電池用セパレータ事業の拡大などを加速させていく上で重要な一歩としている。
同社のセパレータ事業は、2015年8月のPolypore買収により、鉛蓄電池用セパレータ「ダラミック」とリチウムイオン電池用乾式セパレータ「Celgard」を展開してきた。「ダラミック」は車載用途や産業用途を中心に使用され、安定的な収益貢献が期待できる事業として、コストダウンをはじめとするグローバルでの製造拠点の強化等を進めてきたが、セパレータ事業の中長期的な戦略を踏まえ、同事業の譲渡を決定した。
なお、リチウムイオン電池用湿式セパレータ「ハイポア」事業においては、北米および日韓をターゲット市場とし、同地域での車載市場における成長を実現するための投資を実行していくとしている。
◆脱炭素:千代田化工建設がHeirloom Carbon Technologiesへの投資について発表(12月2日)
千代田化工建設は、石灰石を用いた大気直接CO2回収(Direct Air Capture、以下「DAC」)技術を開発するHeirloom Carbon Technologies(以下、エアルーム社)への出資を決定したと発表した。
エアルーム社は2020年に設立された気候テック企業であり、天然の鉱物反応を加速させることで大気中のCO2を恒久的に除去できる技術を有している。DAC技術とは、大気中に含まれるCO2を直接回収し、恒久的に貯留・利用するための脱炭素技術であり、従来のCO2回収が工場や発電所などの特定排出源を対象とするのに対し、DACは空気中のCO2そのものを対象としているため脱炭素化が困難な航空・セメント・化学等の分野の排出削減にも大きく貢献できる点を特徴としている。
今回の出資により、エアルーム社の低コスト・モジュール型DAC技術と、同社のエンジニアリング力を組み合わせることで、革新的DACソリューションの導入拡大とコスト低減を推進するとしている。
◆バイオ:日産化学がブラジルのInnova Agrotecnologia社へ資本参加を発表(12月2日)
日産化学は、バイオロジカル事業の早期拡大を目的として IHARABRAS (本社:ブラジル、IHARA)が筆頭株主であるInnova Agrotecnologia社(本社:ブラジル、以下、INNOVA)へ12月1日付けで出資したことを発表した。
ブラジルは化学農薬、バイオテクノロジー、作物栄養、持続可能な慣行農法を組み合わせた統合ソリューションにより、食料生産の主要国として成長している。INNOVAはブラジル国内においてバイオ農薬およびバイオ資材の製造・販売を行う有力企業であり、自社培養による製造設備と広範な販売ネットワークを有している。
この提携によって、各社の強みを融合した有機的で強固な体制を築くことが可能となる。バイオロジカル事業の成長著しいブラジルにおいて、生産者のニーズに即した製品開発・製造・販売を一貫して推進していく。さらに、ブラジル周辺の中南米諸国をはじめ、北米、欧州、アジア各国への事業展開も視野に入れ、グローバルな成長を目指すとしている。
◆事業再編:レゾナックが黒鉛電極事業の合理化施策を発表(12月1日)
レゾナック・ホールディングスの連結子会社であるレゾナックは、連結対象孫会社が行う黒鉛電極事業に関して、事業環境悪化の状況を踏まえて、ドイツ国内拠点の人員削減を決定したことを発表した。
黒鉛電極事業に関しては、需要動向が低迷する中、競合他社による低価格販売攻勢等により事業環境が厳しく、グローバルに拠点閉鎖を含む一連の合理化策を推進してきた。
今回、欧州の独拠点においても固定費削減の為の41名削減することとした。また、現時点までに決定済の一連の合理化施策により、黒鉛電極事業としては 2024年度対比で総額117億円程度(年間)の固定費削減を見込んでいる。部門の人員数に関しては、2024年度末対比で全体の約40%(約700名)の削減を決定している。
一連の合理化施策に関しては今回の施策決定により一段落となり、今後は施策完了及び効果顕現を急ぎつつ、市況の状況等を踏まえ、適宜迅速な対応を行っていくとしている。
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの12月の契約価格を改定
12月契約価格は、675$/t(前月比▲10$/t)
国内価格換算想定値は111.3円/kg
・三井金属鉱業が電気亜鉛建値を改定(12月4日時点)
12月4日時点で568,000円/t(前回改定時比▲6,000円/t)
・クラレが水添スチレン系熱可塑性エラストマー関連製品の価格を2026年1月1日出荷分より改定
値上げ幅は、鹿島事業所生産の水添スチレン系熱可塑性エラストマー〈セプトン〉、〈ハイブラー〉、TUポリマー:1.00USD/kg
・日本製紙が液体用紙容器の価格を2026年4月1日納入分より改定
値上げ幅は、液体用紙容器のうちフジパック全品:4%以上
・日本ゼオンがシクロペンタノンの価格を2026年1月1日出荷分より改定
値上げ幅は、シクロペンタノン:70円/㎏、シクロペンタノン-HG:120円/㎏