2025.11.20 発行
◆半導体キャリア:日本ガイシがハイセラムキャリアの生産能力を約3倍に増強(11月14日)
◆ LIB:住友化学がリチウムイオン二次電池用セパレータ事業の再編を発表(11月13日)
◆フッ素:日本化学工業がフッ素フリーホスホニウム塩系帯電防止剤を開発(11月12日)
◆半導体キャリア:三井金属が次世代半導体パッケージ向け特殊キャリア「HRDP」の事業化を促進(11月11日)
◆電子材料:三井金属が高周波基板用電解銅箔「VSP」の生産体制を増強(11月11日)
◆電子材料:三井金属がキャリア付極薄銅箔「MicroThin」をフレキシブル基板用途に展開(11月11日)
◆リサイクル:東洋インキが導電性シートの水平リサイクル実証試験を開始(11月10日)
◆電子材料:三菱ガス化学がタイ子会社で半導体用BT材の増設プラント竣工を発表(11月10日)
◆半導体キャリア:日本ガイシがハイセラムキャリアの生産能力を約3倍に増強(11月14日)
日本ガイシは、AIや自動運転などの先端分野で注目されるチップレット集積に対応するため、ハイセラムキャリアの生産能力を2027年度までに現在の約3倍に増強すること発表した。
ハイセラムキャリアは、複数の小型半導体チップを組み合わせて高性能を実現するチップレット集積において、半導体チップを一時的に固定するためのサポートウエハー(支持材)であり、半導体製造のチップレット集積工程に欠かせない重要な部材として注目されている。
今回の設備投資では、製造を担う子会社NGKセラミックデバイス(愛知県)の生産設備を増強するとともに、前工程を担うNGKエレクトロデバイス(山口県)にも新たに成形・焼成設備を導入する。これにより、グループ全体での生産能力を約3倍に拡大し、安定した供給体制を確立することで、高性能半導体市場において2030年度に売上高200億円の達成を目指すとしている。
◆LIB:住友化学がリチウムイオン二次電池用セパレータ事業の再編を発表(11月13日)
住友化学は、リチウムイオン二次電池用セパレータ「ペルヴィオ」事業について、2026年3月末を目途に再編を進めることを発表した。
大江工場(愛媛県)の製造設備を停止し、大規模生産能力と高い生産性を備える韓国の子会社SSLM社へ製造・関連機能を集約する。一方、国内では次世代向け革新的材料の研究開発を集中的に取り組む。
「ペルヴィオ」は、アラミドが持つ優れた耐熱性と信頼性を活かしたリチウムイオン二次電池用セパレータである。2006年に大江工場で初めてペルヴィオの量産を開始し、2017年にはSSLM社でも生産体制を整え、薄膜化や耐久性の改良、生産性の向上など、競争力強化への取り組みを継続して進めながら、拡大する需要に対応してきた。
同社は、今回の再編により、中長期的に成長が見込まれる電気自動車(EV)市場・リチウムイオン二次電池材料市場における本事業の競争力強化を図るとしている。
◆フッ素:日本化学工業がフッ素フリーホスホニウム塩系帯電防止剤を開発(11月12日)
日本化学工業は、PFAS規制に差し当たりフッ素フリーのホスホニウム塩系帯電防止剤を開発したと発表した。
世界的なPFAS規制の拡大を受け、各国で対応が求められている中、同社は30年以上にわたるホスフィン誘導体の合成技術を駆使し、フッ素フリー帯電防止剤の開発に成功した。
今回開発した製品は、様々な樹脂に相溶するようイオン液体タイプとなるが、他にも多数のグレードの開発にも着手しており、顧客ニーズに答えられるよう開発を進めている。
同社は今後、福島第二工場(福島県)での実機製造に早期着手するべく、開発体制を加速させていくとしている。
◆半導体キャリア:三井金属が次世代半導体パッケージ向け特殊キャリア「HRDP」の事業化を促進(11月11日)
三井金属とジオマテックは、三井金属にて開発、ジオマテックにて製造している次世代半導体パッケージ向け特殊キャリア「HRDP」の協業関係を更に強化する体制へ変更することを発表した。
「HRDP」は、次世代半導体パッケージを高い生産効率で実現する特殊キャリアであり、ガラス等のキャリア上にスパッタリング法により形成した剥離層と銅層から構成される。
主に半導体パッケージ基板等での採用検討が進んでおり、2023年度にジオマテック赤穂工場に投資が決定した第二ラインが、まもなく稼働開始となる。これにより、生産能力はこれまでの 11万㎡から 16万㎡に向上する。
三井金属では、これまで事業創造本部傘下にて開発を進めてきたが、2025年10月1日より、機能材料事業本部傘下とした。同事業本部では、微細回路形成で世界でも高いシェアをもつ銅箔事業部や、スパッタリングターゲットを製造しスパッタリングに関する知見を有する薄膜材料事業部が所属しており、これらのシナジーを活用して「HRDP」の事業化をさらに推進していくとしている。
◆電子材料:三井金属が高周波基板用電解銅箔「VSP」の生産体制を増強(11月11日)
三井金属は、高周波基板用銅箔「VSP」の生産体制について、台湾工場およびマレーシア工場での生産能力を追加増強することを発表した。
2026年9月までの840t/月への増強に加え、約60億円の投資を行い2028年9月までに360t/月増の1,200t/月体制とする。
VSPは高周波数帯におけるプリント基板の伝送損失低減に寄与することから、サーバー、ルーター、スイッチ等の高性能通信インフラ機器に採用されている。足元はAIインフラ関連向けにHVLP5グレード品が量産フェーズに移行し、ビッグテック各社での採用が進むなど同社製品の需要が急激に増加している。
これを受け、台湾工場とマレーシア工場において汎用銅箔の現有設備の追加転用と現有設備でのさらなる生産性改善、表面処理機の新設を図り、2027年9月までに1,000t/月体制、2028年9月までに1,200t/月体制へと段階的に増強するとしている。
◆電子材料:三井金属がキャリア付極薄銅箔「MicroThin」をフレキシブル基板用途に展開(11月11日)
三井金属は、上尾事業所およびマレーシア工場にて製造しているキャリア付極薄銅箔のフレキシブル基板用途での新たな採用が始まったことを発表した。
モバイル機器などの高性能化が進む中、従来は屈曲性が重視されていたフレキシブル基板において、高密度実装に伴う薄型化やファインピッチ化が急速に進み、極薄銅箔へのニーズが高まっている。
同社のキャリア付極薄銅箔「MicroThin」は、微細回路形成に適した1.5μm~5μmの銅箔厚みと複数種類の微細な粗化処理を組み合わせた製品であり、主に半導体パッケージ基板、スマートフォン用マザーボード(HDIプリント基板)に使用されている。
「MicroThin」は、従来リジッド基板向けに培ってきた極薄・高密着技術を活かし、フレキシブル基板においても微細回路形成や信頼性向上の要求に応えることができる材料として高い評価を得ている。
同社は、今後さらに進む高密度実装や高速通信対応への要求に向け、様々な種類の樹脂に対応する「高温対応MicroThin」の開発を進めていくとしている。
◆リサイクル:東洋インキが導電性シートの水平リサイクル実証試験を開始(11月10日)
東洋インキは、マルアイと共同で、導電性シートの「水平リサイクル」スキーム確立を目的とした実証試験を開始したことを発表した。
導電性シートとは、プラスチック基材に導電・帯電防止インキをコーティングしたもので、主に電子部品を静電気から保護する搬送用の導電トレイやキャリアテープに活用されている。しかし、このようなプラスチックに施された印刷は、基材からの分離が難しくリサイクル促進を阻害する要因の1つとなっている。
昨年共同開発した「リサイクル可能な導電性シート」は、マルアイ製導電性シートに東洋インキの脱墨技術を導入することで、シートの性能を損なわずに印刷した導電インキをプラスチック基材から脱墨することを可能にした。
これにより、従来は廃棄物として処理されていた使用後のプラスチック基材をプラスチック原料として再利用することができる。
今回は、マルアイ製の「リサイクル可能な導電性シート」を加工会社にて導電トレイに成形した際に生じた端材やトレイサンプルを回収し、リサイクルを行う“ポストインダストリアルリサイクル”の実証実験を行った。今後は、使用済み導電トレイの“ポストコンシューマーリサイクル”を対象とした実証実験を進め、「水平リサイクル」スキームの確立を目指すとしている。
◆電子材料:三菱ガス化学がタイ子会社で半導体用BT材の増設プラント竣工を発表(11月10日)
三菱ガス化学は、BT積層材料の生産子会社であるMGCエレクトロテクノの子会社であるMGC ELECTROTECHNO THAILAND(タイ、以下:ETT)における半導体パッケージ用BT積層材料(BT材)の増設プラント工事を完了したことを発表した。
同社がBT材を展開している半導体市場は、5G・6Gの普及、DX化やIoT化の拡大、自動車向け用途等の需要に加え、今後はAI関連技術の急速な発展と社会実装が本格化することから、高性能半導体を含めたあらゆる半導体、およびそれを支えるBT材の需要は増加していくことが見込まれている。また、半導体サプライチェーンのさらなる安定化や多元化は重要な課題となっている。
これらの需要や課題を満たすため、ETTにおいて新たなプラントを増設し、生産能力を従来能力の約2倍に拡大した。同社は、新プラントの稼働により、事業の競争力を強化するとともに、BCP体制の強靭化を図るとしている。