2025.11.13 発行
◆リサイクル:信越化学工業がリサイクルを実現する画期的な熱可塑性シリコーンを開発(11月7日)
◆メタノール:三菱ガス化学と米国のTransition Industries社が低炭素メタノールの売買契約を締結(11月6日)
◆透明性樹脂:日本ポリプロが「究極の透明性」を実現したポリプロピレン樹脂を開発(11月5日)
◆リサイクル:三菱ケミカル、大日本印刷、東洋製缶グループ、三井物産など連携9社が資源循環システム構築の実証事業への
参画を発表(11月4日)
◆電子材料:JSRがIBMと協業しAIを活用した半導体材料の開発を強化(11月4日)
◆電池材料:旭化成がEAS Batteries社と超イオン伝導性電解液技術のライセンス契約を締結(11月4日)
◆リサイクル:信越化学工業がリサイクルを実現する画期的な熱可塑性シリコーンを開発(11月7日)
信越化学工業は、リサイクルを実現する熱可塑性シリコーンを開発したことを発表した。
今回開発した熱可塑性シリコーンは、ポリマー変性技術を駆使することで、「熱可塑性のため、リサイクルが可能」、「従来のシリコーンゴムとは異なり、高硬度でも高伸長の特性を有している」、「無機粉体を含有していないため透明性に優れ、着色も可能」、「加工性に優れ、プラスチックと同様の射出成形が可能」、「溶剤タイプにすることが可能で、コーティング用途にも展開できる」、「肌合いが良く、シリコーンならではの柔らかな感触がある」といった従来のシリコーンゴムにはない特長を実現した。ゴムのように弾力性のあるものからプラスチックのように固いものまで、ニーズに合った製品を提供することが可能である。
これらの特長から、モバイル機器やスポーツ用品などの肌に触れる部分のゴム部品、医療や介護などに用いられる各種機器の表面コーティングなど、従来のシリコーンゴムとは異なる用途への展開が可能といている。
◆メタノール:三菱ガス化学と米国のTransition Industries社が低炭素メタノールの売買契約を締結(11月6日)
三菱ガス化学は、米国のTransition Industries社(TI社)と低炭素メタノールの引取に関する売買契約を締結したことを発表した。
TI社は、炭素排出量がネットゼロのメタノールおよびグリーン水素プロジェクトを世界規模で展開する企業である。同社は国際金融公社(IFC)などとともにメキシコにおいて世界最大規模の低炭素メタノール製造プロジェクト「Pacifico Mexinol Project(パシフィコ・メキシノール・プロジェクト)」を進めており、年間215万トンの低炭素メタノール(グリーンメタノール、ブルーメタノール)の製造を目指している。
三菱ガス化学は、同プロジェクトの商業運転の開始予定である2029年から年間約100万トン規模の低炭素メタノールを引き取る予定である。同社は、低炭素メタノールを燃料用途に加え、各種化学品など幅広い用途に供給することで、今後高まる需要に的確に応えていく方針である。
本契約が三菱ガス化学にとって初めての大規模かつ長期の低炭素メタノールの購入契約であり、日本を中心としたアジア地域でメタノールの低炭素化を推進していくとしている。
◆透明性樹脂:日本ポリプロが「究極の透明性」を実現したポリプロピレン樹脂を開発(11月5日)
日本ポリプロは、従来のポリプロピレン(PP)では実現が難しかった「究極の透明性」を持つ新たなポリプロピレン樹脂の開発に成功したことを発表した。
近年、食品包装・日用品・医療用途などの分野では「高い透明性」と「軽量化」を両立する素材へのニーズが高まっている。従来、PPは軽量で成形性に優れる一方、透明性の観点でPSやPETに劣るため、用途が限定されていた。同社は、この課題を解決するため、新たな材料設計と触媒技術を組み合わせた革新的な開発に取り組んだ。
同開発品は、独自のメタロセン触媒技術により、高い分子制御と均一な構造を実現し、透明部材の曇り度合を示す指標であるヘイズ値において、従来材「15%」に対し、わずか「1.5%」という極めて低い値を達成した。
本開発品は、PS・PETなどの代替として使用することで、製品重量を低減し、輸送効率の向上やCO2排出量の削減に寄与するとしている。
◆リサイクル:三菱ケミカル、大日本印刷、東洋製缶グループ、三井物産など連携9社が資源循環システム構築の実証事業への参画を発表(11月4日)
三菱ケミカル、日本ポリエチレン、日本ポリプロ、カナオカホールディングス、大日本印刷、東洋製罐グループホールディングス、三井物産、三井物産流通グループ、リファインバース(連携9社)は、経済産業省の「令和7年度資源自律経済確立産官学連携加速化事業(広域自治体における資源循環システムの構築に向けた実証事業)」に参画したと発表した。
同事業は、再生プラスチックなどの再生材の回収から再資源化までのスキームを、大都市圏、地方都市、中小地域といった地域特性に応じて構築し、各地域の関係事業者とともに実証を行うことで、資源循環システムの構築を目指すものである。連携9社は大都市圏において、工場から排出される廃プラスチックを対象に、分別・回収からケミカルリサイクル・再生材製造に至るまでのサプライチェーンを実証する。
三菱ケミカルが基礎化学品の製造を担い、日本ポリエチレンと日本ポリプロがポリエチレン・ポリプロピレンを製造する。カナオカホールディングス、大日本印刷、東洋製罐グループホールディングスが廃プラ提供と容器包装製造を担当し、三井物産と三井物産流通グループが回収・輸送、リファインバースが脱墨・分別などの前処理を行う。実証期間は2026年2月までで、循環型ビジネスモデルの社会実装と全国展開を行う予定としている。
◆電子材料:JSRがIBMと協業しAIを活用した半導体材料の開発を強化(11月4日)
JSRとIBMは、化学産業に特化したAIの共同研究プログラムの開始にあたり、共同研究契約(Joint Research Agreement)を締結したことを発表した。
両社は、材料開発に特化した基盤モデルの拡張や生成AI等の活用によるデータ活用基盤の整備等を通じて、多様な材料システムを統合的に運用するプラットフォームを構築するとともに、多種多様な材料表現を理解・モデル化するためのナレッジ構築に向けた共同研究を進めていく予定である。
JSRとIBMは四半世紀にわたってAI研究を含む様々な共同研究を行ってきており、今後は、このプログラムにより、JSRの競争優位性の向上に加えて、研究開発手法の破壊的変化を追求していくとしている。
◆電池材料:旭化成がEAS Batteries社と超イオン伝導性電解液技術のライセンス契約を締結(11月4日)
旭化成は、ドイツの電池メーカーEAS Batteries社と、自社開発の超イオン伝導性電解液技術に関するライセンス契約を締結したことを発表した。
同技術は、EAS社が新たに開発したリン酸鉄(LFP)正極を用いる円筒型リチウムイオン電池に採用され、2026年3月から販売を開始する予定である。両社は、ドイツ連邦教育研究省の「HEADLINE」プロジェクトの支援を受け、共同で次世代電池の開発を進めてきた。今後は自動車メーカーや電池メーカーへのサブライセンス展開も行う方針である。
旭化成は2010年から同技術の開発を進めており、2024年6月には超イオン伝導性電解液を用いたリチウムイオン電池のコンセプト実証試験に成功している。本技術は、溶媒にアセトニトリルを含む電解液を採用することで、低温下での出力向上と高温下での耐久性向上を両立している。
本契約は、旭化成が推進している無形資産を活用する「TBC(=Technology value Business Creation:テクノロジーバリュー事業開発)」に基づくものである。同社では、こうしたライセンス活用によるビジネスを、2025~2027年度で10件以上生み出し、2030年頃までの累積利益貢献で100億円以上を目指すとしている。