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2025年10月30日

2025.10.30 発行

HEADLINE

◆無機:エボニックが日本アエロジル四日市工場に最新鋭アルミナプラントを開設しアジア戦略を加速(10月23日)
◆成形塗装:豊田合成と関西ペイントが大型製品に適用可能な「インモールドコート技術」を開発(10月24日)
◆樹脂:日本ポリプロが自社のポリプロピレン製造技術をライセンス提供したFORMOSA PLASTICS USA社のプラントの稼働
 を発表(10月23日)
◆水素関連:旭化成がクリーン水素製造用アルカリ水電解システムの生産能力拡大を発表(10月23日)
◆リサイクル:AGCが太陽光パネルカバーガラスの水平リサイクル拡大に向けてエヌ・ピー・シー社と連携を開始
 (10月24日)
◆CO2対策:日揮ホールディングスがCO2バッテリー技術を有するエナジードーム社と日本市場における協業検討を目的とした
 MOUを締結(10月23日)
◆樹脂:住友ベークライトがブレーキ摩擦材向け耐摩耗フェノール樹脂を開発(10月23日)
◆溶着技術:ユニチカがUV吸収性ポリアリレート樹脂による透明樹脂同士の新規溶着技術を開発(10月22日)
◆リサイクル:東レとリファインバースが廃棄エアバッグ由来のリサイクルナイロン66樹脂の開発を加速するMOUを締結
 (10月21日)
◆水素関連:住友電気工業のアニオン交換膜型水電解システムの開発がNEDO事業に採択(10月21日)
◆価格改定
・東ソー・ファインケムがアルキルアルミニウムを12月1日納入分より値上げ
・日本東海インダストリアルペーパーサプライがクラフト紙を1月1日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆無機:エボニックが日本アエロジル四日市工場に最新鋭アルミナプラントを開設しアジア戦略を加速(10月23日)
 エボニックインダストリーズが、グループ会社である日本アエロジルの四日市工場において、最新鋭のフュームドアルミナ製造プラント「Alu5」(以下、新プラント)の稼働を本格的に開始したと発表した
 数十億円規模の投資となる本プロジェクトにより、同社はアジアにおける酸化アルミニウムの製造基盤を拡張する。
 新プラントでは、フュームドアルミナ「AEROXIDE」を製造する。AEROXIDEは、その微粒子構造から、超薄型コーティング技術を最も得意な分野としており、電気自動車向けリチウムイオン電池、コンシューマー向け電子機器、持続可能な粉体コーティングまで、さまざまな分野における製品のパフォーマンスと耐久性を大幅に向上させる。また、効率と寿命を向上させるだけでなく、持続可能性を促進し、耐久性のある資源効率の良いソリューションを提供するとしている。

◆成形塗装:豊田合成と関西ペイントが大型製品に適用可能な「インモールドコート技術」を開発(10月24日)
 豊田合成と関西ペイントは、大型の自動車用プラスチック部品の成形と塗装を金型内で行う「インモールドコート技術」を共同開発したと発表した。
 インモールドコートは一般的に小型製品向けには活用されてきたが、難易度の高い大型外装部品の量産への適用を可能にしたのは国内初となる。
 塗装面の高い平滑性により、ガラス面と一体感のあるシームレスな外観(つなぎ目が目立ちにくい)を実現する。また、ウレタン塗料の採用により耐久性を向上し、塗装ブース、乾燥炉が不要となることで、生産時のCO2を削減する。
 2026年春頃に本技術を用いた大型外装部品を市場投入し、同社の国内外の生産拠点に展開を予定している。今後も両社協業により本技術を幅広い製品に活用し、魅力的な外観の車づくりに貢献するとともに、さらなるCO2削減の実現を目指すとしている。

◆樹脂:日本ポリプロが自社のポリプロピレン製造技術をライセンス提供したFORMOSA PLASTICS USA社のプラントの稼働を発表(10月23日)
 日本ポリプロは、同社が2015年にポリプロピレン製造技術「Horizone(ホライゾン)プロセス」をライセンス提供したFORMOSA PLASTICS USA社(以下、FPC-USA社)の新製造プラントが、2025年9月に米国テキサス州Point Comfortにて稼働を開始したことを発表した。
 本設備の特徴としては、ゴム成分を多量に含む高性能リアクターTPO(熱可塑性ポリオレフィンエラストマー)「NEWCON」の安定生産が可能である点があげられる。
 NEWCONは、自動車のバンパーやインパネなどのポリプロピレンコンパウンド製品の原料として適しており、優れた耐衝撃性と加工性を兼ね備えている。自動車部品をはじめ、家電製品、包装材など、幅広い用途に対応する次世代ポリプロピレンである。今回稼働したプラントの生産能力は年産25万トンとしている。

◆水素関連:旭化成がクリーン水素製造用アルカリ水電解システムの生産能力拡大を発表(10月23日)
 旭化成は、川崎製造所において、クリーン水素製造に用いるアルカリ水電解システムと塩素・苛性ソーダ製造に用いるイオン交換膜法食塩電解プロセスの両事業に対応した電解用枠・電解用膜を併産できる新工場の建設計画を正式に決定したことを発表した。
 旭化成は、2010年より、アルカリ水電解システムの大型化・量産化を見据えた技術検証と事業性評価を継続的に進めており、2025年度からは本格的に事業化フェーズへと移行している。
 新工場は、電解用枠および電解用膜それぞれで年間2GW超の生産能力を備え、2028年度の稼働開始を予定している。これにより、既存の食塩電解プロセス向け設備と合わせて、年間3GW超の生産能力を構築する。
 なお、本件は、2024年に経済産業省の「GX(グリーントランスフォーメーション)サプライチェーン構築支援事業」に採択されており、クリーン水素製造用水電解装置の国内製造サプライチェーンの先行構築を後押しする枠組みを活用するものである。今回の投資額は約310億円であり、うち最大1/3は「GXサプライチェーン構築支援事業」補助金の予定としている。

◆リサイクル:AGCが太陽光パネルカバーガラスの水平リサイクル拡大に向けてエヌ・ピー・シー社と連携を開始(10月24日)
 AGCは、太陽光パネルカバーガラスのリサイクル事業において、エヌ・ピー・シー(以下、 NPC社)と連携を開始したと発表した。
 太陽光パネルの耐用年数は20~30年とされ、国内では2030年代後半に年間数十万トン規模の廃棄が見込まれる。しかし、リサイクルに適した品質まで向上させるには、技術的・経済的な課題があった。
 AGCは、NPC社が開発したガラス分離装置とEVAスクレーパーの併用により、分離したカバーガラスに残存する接着部材をAGCの品質基準まで除去できることを確認した。これにより、リサイクル業者がNPC社の装置を導入し、高品質なリサイクルガラスをAGCに販売するというスキームが完成した。2025年9月には、上記方法により処理したカレット20トンを原料の一部として使用し、AGC横浜テクニカルセンターでの建築用型板ガラス製造に成功した。既存の熱分解方式や高圧水噴射技術に加え、新たな太陽光パネルカバーガラスの水平リサイクル方式を導入することが可能となった。
 同社は今後もNPC社との連携を加速し、国内外で太陽光パネルカバーガラスリサイクルを推進していくとしている。

◆CO2対策:日揮ホールディングスがCO2バッテリー技術を有するエナジードーム社と日本市場における協業検討を目的としたMOUを締結(10月23日)
 日揮ホールディングスは、国内EPC事業会社である日揮が、CO2バッテリー技術を有するイタリアのENERGY DOME(以下、エナジードーム)と、日本市場での協業検討を目的とした覚書(MOU)を締結したことを発表した。
 近年、太陽光発電や洋上風力等に代表される再生可能エネルギー発電の普及拡大に伴い、安定した電力供給を実現するための出力変動の緩和が課題となっている。このような出力変動に対する調整力・安定化技術の一つとして注目されるのが、長期のエネルギー貯蔵システム(Long Duration Energy Storage、以下、LDES)であり、このLDES技術の一つが、CO2バッテリー技術である。
 同技術では、ドーム状の貯蔵容器に、コンプレッサーを用いてCO2を圧縮・液化して貯蔵する。貯蔵したCO2は、夜間など電力需要が高まる時間帯に再加熱・膨張させてタービンを回し発電する仕組みである。
 日揮は、他のLDES技術の中でも、CO2バッテリー技術の「長時間のエネルギー貯蔵が可能」、「既存のリチウムイオン電池等の蓄エネルギー技術に比べて低コスト」等の特長が、競争優位性があると考えている。
 日揮は、同MOUを通じて、CO2バッテリー商用プラントの日本での導入可能性についての検討を進め、商用プラントを実現するとしている。

◆樹脂:住友ベークライトがブレーキ摩擦材向け耐摩耗フェノール樹脂を開発(10月23日)
 住友ベークライドは、自動車用ブレーキパッド用バインダー樹脂として、耐摩耗性に優れたアミド変性フェノール樹脂スミライトレジン(PR-56531)を開発したと発表した。
 近年、深刻化する大気汚染の改善に向け、自動車から排出される有害物質への規制が強化されている。特に2028年から適用開始予定の欧州排ガス規制Euro7では、ブレーキの摩擦によって放出される粒子(ブレーキダスト)の量が規制されている。同社では自動車ブレーキパッド用の新たな耐摩耗バインダー樹脂として、同品を開発した。
 本製品は、従来の摩擦材製法に適用することが可能であり、摩擦性能を維持しながら耐摩耗性を向上させることができる。また、同社の海外拠点でも生産可能なため、中国や東南アジア、欧米など各エリアからの現地供給が可能である。
 本製品の環境負荷低減の特性を活かし、欧州市場を中心に高機能摩擦材用バインダー樹脂として、2028年より開始予定のEuro7対応のブレーキ摩擦材市場参入を目指す。2027年の量産販売開始を目標に、グローバルでの年間売上収益10億円に向けて取り組んでいくとしている。

◆溶着技術:ユニチカがUV吸収性ポリアリレート樹脂による透明樹脂同士の新規溶着技術を開発(10月22日)
 ユニチカは、355nmのUVレーザーとUV吸収性ポリアリレート(PAR)樹脂を使用した、新たなレーザー溶着工法を開発したと発表した。
 従来の赤外レーザーによる樹脂溶着では、樹脂の透明性とレーザー吸収性の両立が難しく、接合部以外への熱ダメージが発生するという問題がある。また、吸収剤塗布工程ではコスト増が課題となっている。
 今回、開発したUVレーザー溶着技術は、UV吸収性PAR樹脂とポリカーボネート(PC)やポリエチレンテレフタレート(PET)等のUV透過性樹脂と組合せ、355nmのUVレーザーをピンポイントで吸収・発熱し、相手材と強固に溶着する。このPAR樹脂は、ポリマー自体が優れたUV吸収特性を有し、透明性・色調・UV吸収発熱性・透過側材料との溶着性において優れた材料である。さらに、UVレーザーは樹脂の切断、穴あけなどの精密加工に使用されるため、溶着加工も組みあわせた各種加工工程がワンセットで可能となる。
 今後、光学レンズ部品やマイクロ流路デバイスなどの分野における透明樹脂接合ニーズに向け、今後、レーザー装置・レーザー加工メーカーとも提携し、今回開発した溶着法の普及、UV吸収性PAR樹脂の拡大を計る。国内だけでなく、海外顧客開拓を進めることで、3年後には売上高3億円を目指すとしている。

◆リサイクル:東レとリファインバースが廃棄エアバッグ由来のリサイクルナイロン66樹脂の開発を加速するMOUを締結(10月21日)
 東レとリファインバースは、エアバッグ端材をリサイクルしたナイロン66樹脂の開発に向けて、エアバッグの回収、シリコーン剥離、洗浄、リペレット工程をリファインバースが、コンパウンド処方設計、量産を東レが実施するという役割分担で協業を深化するべくMOUを締結したことを発表した。
 両社は、ナイロン66樹脂に残存する異物をできる限り低減するべく、剥離、洗浄、リペレット工程の最適化を進めている。従来品以上に純度の高いリサイクル樹脂の開発を進めており、国内で廃車から回収するエアバッグを自動車用途に再利用するサプライチェーンを構築する。今後、リサイクルナイロン66樹脂の開発を加速させていくとしている。

◆水素関連:住友電気工業のアニオン交換膜型水電解システムの開発がNEDO事業に採択(10月21日)

 住友電気工業は、アニオン交換膜(AEM)型水電解システムの開発および長期フィールド実証事業が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「水素利用拡大に向けた共通基盤強化のための研究開発事業」における「燃料電池・水電解の実用化技術開発」に採択されたことを発表した。
 同事業は、水素製造を担う水電解装置の研究開発を加速させることを目的としている。同社が注力しているAEM型水電解は、装置のコンパクトさに加え、電力需要に応じた柔軟な調整能力、また触媒や膜に希少資源を使用しないため、低コスト化が期待されている。
 同社はレドックスフロー電池で培ったセルスタック技術を応用し、AEM型水電解セルスタックのプロトタイプをすでに完成させている。今後は、さらなる高性能化と耐久性向上を目指し、2025年度内に電源・制御系を含むシステムを開発し、AEMセルスタックを組み合わせた水電解システムを製作する予定である。
 また、2026年度には電力中央研究所の支援を受け、2025年度に開発した水素生成システムの評価運転を実施する。長期フィールド実証を通じて性能と耐久性を確認し、メガワット級の大規模実証へと発展させるとしている。

◆価格改定
・東ソー・ファインケムがアルキルアルミニウムを12月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、TEAL、DEAC、EASC、DEAL-E:120円/㎏以上
 TIBAL、DIBAL-H、TNHAL、TNOAL:140円/㎏以上
 上記以外の特殊アルキルアルミ製品及びボンベ等小型容器品は個別に改定
・日本東海インダストリアルペーパーサプライがクラフト紙を1月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、10%以上

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