2025.10.02 発行
◆リサイクル:JX金属が金属・リサイクル事業におけるリサイクル原料の増処理に向けた設備投資を決定(9月26日)
◆電子材料:旭有機材が中国にて電子材料新工場の建設に着工(9月26日)
◆医薬品:FUJIFILM Biotechnologiesが米国ノースカロライナ州にバイオ医薬品の大型製造工場を開設(9月25日)
◆非鉄金属:三菱マテリアルが高強度銅合金「MSP 5-ESH」を新たに開発(9月25日)
◆アンモニア:東レが日本国内における燃料アンモニア供給拠点整備に関する共同開発同意書を締結(9月25日)
◆製紙:巴川コーポレーションが静岡事業所2号抄紙機の停機を発表(9月24日)
◆リサイクル:JX金属が金属・リサイクル事業におけるリサイクル原料の増処理に向けた設備投資を決定(9月26日)
JX金属は、金属・リサイクル事業におけるリサイクル原料の増処理に向けた前処理プロセスの設備投資を実施することを発表した。
近年、金属価格の上昇や資源循環への関心の高まりを背景に、各国でリサイクル原料の囲い込みが進んでおり、安定的な原料確保が課題となっている。この先もリサイクル原料の増処理を進めるためには、低品位E-waste等の前処理を要するリサイクル原料の増集荷が必要となることが見込まれることから、キルン炉をはじめとする前処理プロセスの強化が急務と判断し、JX金属精錬の佐賀関精練所(大分県)に約70億円の設備投資を決定した。稼働開始は2027年を予定しており、処理能力は2025年比約5割増に増強される。
同社グループが推進するグリーンハイブリッド製錬は、リサイクル原料処理において高い技術優位性を有しており、化石燃料の使用量が少なく、投資規模も比較的コンパクトという特長がある。今回の設備投資により、金属・リサイクル事業の収益性向上とともに、再生可能エネルギーの普及や電動化の拡大を支える銅資源の循環促進にも貢献するとしている。
◆電子材料:旭有機材が中国にて電子材料新工場の建設に着工(9月26日)
旭有機材は、100%出資のグループ子会社である旭有機材樹脂(南通)において、中国市場向けの電子材料の生産能力増強を目的とした新工場建設に着工することを発表した。
新工場の主要生産品目は、半導体フォトレジスト用ノボラック樹脂である。中国では電子材料分野における原材料の国産化が進み、同社製品の需要も伸長している。こうした需要の高まりを受け、既存工場の約3倍となる1,970tまで生産能力を拡大する。投資額は約3億元であり、竣工は2027年3月の予定としている。
同社は、新工場で既存工場と同様の製品を扱いながらも、より付加価値の高い製品を中国メーカー向けに提供するとしている。
◆医薬品:FUJIFILM Biotechnologiesが米国ノースカロライナ州にバイオ医薬品の大型製造工場を開設(9月25日)
富士フイルムの子会社で、バイオ医薬品の開発・製造受託会社(CDMO)であるFUJIFILM Biotechnologiesは、米国ノースカロライナ州で建設を進めていた大型バイオ医薬品製造工場(以下、米国新拠点)を開設したことを発表した。
本年中に米国新拠点の第一次投資設備である20,000リットル動物細胞培養タンク8基の本格稼働を開始する。さらに、2028年には同規模の培養タンク8基を追加することで、バイオCDMO拠点として北米最大級の原薬生産能力を有することとなる。
米国新拠点は、拠点間の迅速な技術移管、高い品質の確保、建設のリードタイムの短縮を実現するために、高い生産性と各種認証取得実績があるデンマーク拠点と設計・設備・品質管理システムを共通化するアプローチで建設を進めている。総額32億ドルを投資して建設を進めている本拠点では、原薬製造に加え製剤の受託も可能であり、2026年には包装工程まで含めた一貫した受託体制が整うとしている。
◆非鉄金属:三菱マテリアルが高強度銅合金「MSP 5-ESH」を新たに開発(9月25日)
三菱マテリアルは、車載用電気部品などに適した新しい高強度銅合金「MSP 5-ESH(Extra Spring Hard)」を開発したと発表した。
同社が2021年より量産を開始した「MSP 5」は、高濃度マグネシウムを含有することで、強度・導電率・成型性を高いレベルで両立した銅合金である。今回、開発した「MSP 5-ESH」は、同シリーズの高強度タイプであり、従来ベリリウム銅やチタン銅が使用されていた領域への代替を可能にする性能を備えている。これら従来材は、析出強化型であるがゆえに複雑な熱処理工程を必要とし、製造コストや品質安定性、環境負荷に課題があった。
開発品は、マグネシウムを主成分とする固溶強化型銅合金であり、従来の高強度銅合金に比べて、高強度・高導電率の両立、成形性、環境負荷の面で優れたバランスを実現するとしている。
◆アンモニア:東レが日本国内における燃料アンモニア供給拠点整備に関する共同開発同意書を締結(9月25日)
東レは、伊藤忠商事と上野トランステックを含む関係会社と、舶用アンモニア燃料利用の社会実装を目指し、日本国内における燃料アンモニア供給拠点整備に向け、安全性の検証に加え、具体化に向けた必要設備や許認可関係、更には舶用アンモニア燃料の取引条件等を検討することを目的とした共同開発に関する覚書を締結したことを発表した。
舶用燃料を段階的にGHG排出量の少ない代替燃料に転換する制度などが国際間で承認された。この枠組みが発効すれば、GHG排出量の少ない代替燃料供給に向けた取り組みや、ゼロ・エミッション燃料船の導入が加速する。アンモニアは、代替燃料の中でもゼロ・エミッション燃料として期待されている。その中で舶用アンモニア燃料の供給拠点整備は海事産業と燃料産業の接点であり、日本国内においても安定的な燃料供給の体制を構築することを目指し、関係各社と協議を進めていく。
東レは、アンモニアの取り扱いに関する知見と人材を活かし、国内最大級の深冷アンモニアタンクの機能を、自社原料用輸入拠点から地域への安定供給拠点へと拡張することでアンモニア燃料の供給拠点整備に貢献するとしている。
◆製紙:巴川コーポレーションが静岡事業所2号抄紙機の停機を発表(9月24日)
巴川コーポレーションは、静岡事業所の抄紙設備2号機を2027年3月末に停機すると発表した。
製造終了対象製品はクラフト絶縁紙、耐熱絶縁紙、クレープ(クラフト・耐熱)絶縁紙である。
これまで同社は大型抄紙機7号機・9号機の停機、本年7月の1号機停機を決議し、製紙事業の構造改革を進めてきた。同社の製紙事業を取り巻く環境は、原材料価格や物流コストが引き続き上昇傾向であることから厳しい事業環境が続いていたため、国内での絶縁紙を含む製紙生産から撤退する方針を決議した。
なお、インド現地法人TOMOEGAWA AURA INDIAでの絶縁紙の生産・販売は継続するとしている。